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[完全版]和田氏、木村氏がグラスホッパー・マニファクチュアに移籍
ゲーム インタビュー●元マーベラスエンターテイメントの和田氏と木村氏が電撃移籍
『牧場物語』を手掛けた和田康宏氏と、『王様物語』のプロデューサー兼ディレクターを務めた木村祥朗氏が、マーベラスエンターテイメントを退社。今後の活動の場を『キラー7』、『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』など、国内外で高い評価を得ている開発会社グラスホッパー・マニファクチュアに移すことが明らかになった。週刊ファミ通10月28日号にて3名のインタビューを掲載したが、ファミ通.comではそのインタビューに加筆したより濃い内容をお届けしよう。
須田剛一氏 |
木村祥朗氏 |
和田康宏氏 |
――まず、皆さんが出会ったきっかけについて教えていただけますか?
和田 僕と須田は『花と太陽と雨と』ですね。
須田 『花と太陽と雨と』の発売元がアスキーからビクターに切り替わる前に、ビクターの幹部の皆さんへのプレゼンを行ったんです。そのときに最初に質問をしてくれて、『花と太陽と雨と』にすごく興味を持ってくれたのが和田でした。けっきょく和田は『花と太陽と雨と』の担当にはなりませんでしたが、「あの方といつかいっしょに仕事ができたらいいな」と思っていた記憶と、コム・デ・ギャルソンのジャケットが印象的でした(笑)。
木村 僕と須田との1発目は、たしか“素っ頓狂ゲームショウ”ですかね!?
須田 そうそう。2003年に行われた新宿ロフトプラスワンでのそのイベントが最初でしたね。いっしょに出演したわけではないのですが、控え室が同じだったんです。そのときに初めて木村と出会って「慣れ慣れしい男だな」って。第一印象は最悪でしたね(笑)。
木村 僕の第一印象は「プロレス好きなのか。時田さん(スクウェア・エニックス)と同じだな。面倒くさそうだな(笑)」でした。
須田 イベントに時田さんも出演されていて、たしかプロレスゲームの話をしました。
――和田さんと木村さんの出会いはいつごろなのでしょうか?
和田 僕と木村がいっしょに仕事をしたきっかけは『チュウリップ』ですね。その前から『moon』を作った人だというのを一方的に知っていたのですが、実際に出会ったのは『チュウリップ』のときです。
木村 『チュウリップ』を売り込みに行ったとき、和田だけ引っかかってくれたのでしつこくつきまといました(笑)。
和田 木村とはずっといっしょに仕事をしていたわけではなく、『チュウリップ』の後も彼は別の作品を作っていて、僕も別のことをやっていました。それが、縁があってまたいっしょにゲームを作る関係になったんです。このときグラスホッパーと実際に仕事をするチャンスにも恵まれて『コンタクト』を出しました。でも『コンタクト』は須田のディレクションではなかったので、僕の中で「須田ゲーを作りたい」という思いが残り、つぎに『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』を出すことになったんです。当時、僕は現場に深く入るというよりちょっと引いた感じで仕事をしていたので、たまたま近くで『王様物語』を作っていた木村に『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』を手伝ってもらいました。
木村 『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』のときは最悪でした。いま思えば須田から怒られたことを吸収して糧にしていますが、当時は須田とかなり激しくやりあっていましたかね。
――その当時からすると、まさか同じ会社で働くことになるなんて思ってもみなかったのでは?
須田・木村 考えられないです。
須田 でも、『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』の音声収録でいっしょにロスへ行ったときに木村への印象が変わりました。1週間ぐらい缶詰で朝昼晩ずっといっしょにいたのですが、「この人は本当に作品のことを想っていて、いいゲームにすることしか考えていないんだな」って、本物の情熱を感じたんです。『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』を通じて木村との信頼関係が太くなりましたね。
――皆さんはお互いを尊敬しながら、同じ業界の別の場所で動かれていたわけですが、今回おふたりがグラスホッパー・マニファクチュアに移籍したきっかけはなんだったのでしょうか?
須田 ちょうど和田、木村とタイミングが合ったんです。グラスホッパーは飯田和敏と山岡晃の加入によって開発におけるクリエイティブな部分はブ厚くなりましたが、今度は外側の組織をしっかり作っていきたいという考えがありまして、COO(最高執行責任者)の役割を担える人、開発全体を統括できる人材が必要な時期でした。このときにちょうどふたりがマーベラスエンターテイメントさんから離れたことを耳にして、声をかけました。
――須田さんからお話があったときの気持ちはいかがでしたか?
和田 うれしかったです。当時、僕は現場からどんどん離れていて、もっと現場に近いところで仕事がしたいという気持ちがありました。マーベラス時代後期にはゲーム事業の経営全体を見るのではなく、ゲームのクリエイティブな部分を見るCCO(チーフクリエイティブオフィサー)もやらせていただきましたが、やはり環境を大きく変えないと自分の仕事に対するスタンスを変えるのは難しい。いままでやってきたことを活かしたうえでもう一度クリエイティブに近い立場、現場に近いところで仕事がしたかったんです。それで環境を変えるために、いちから自分で始めるという選択も含めていろいろな選択肢がありましたが、本当にタイミングよく須田から声がかかりました。グラスホッパーは見ている方向がいっしょというか、僕はこれまでの経験を通して『NO MORE HEROES(ノーモア★ヒーローズ)』のトラヴィスのように上を目指そうという強い気持ちがなければいいモノ作りはできないと実感していて、そのベクトルが合ったんですよね。同じ想いを抱いて形にしながらがんばっている独立系の会社からのお誘いだったので、本当にうれしかったです。もしグラスホッパーがどこかの子会社だったら来なかったと思います。
木村 僕も和田が思っていたことを考えていましたが、うれしさと不安でモヤッとした気持ちでもありました。
――具体的にはどのような気持ちですか?
木村 僕はなにかの区切りを迎えるとき、いつも“ゲーム作りを続けるか”、“ゲーム作りをやめて別のことを始めるか”を天秤にかけるんです。マーベラスの区切りでは本当に一生懸命働いたのでゲーム作りはもういいかなとか、海外の開発会社に行って海外で働きたいなとか、いろいろな考えが分散していました。ちょうどそのころに須田から話があり、いい話に違いないと思いつつも即答するようなことでもないし、どうしようかと悩んでいたんですが、須田が会社にまつわるいいこと、悪いことをすべて話してくれたので信頼してくれているんだなと感じました。
――おふたりがグラスホッパー・マニファクチュアに入られて、どんな科学反応が生まれると思われますか?
須田 ゲームの安定供給ができるようになります。2009年はグラスホッパーのタイトルが1本も出せなかったので、後悔と反省といろいろな思いがありました。1年間もゲームを提供できなくてはお客さんに忘れられてしまうし、「グラスホッパーのブランドをもっと強くしたい」という言葉と矛盾が生じます。しかし、このふたりが来たことで組織が強固になり、開発力、技術力に加え、外に対して発信していく力もどんどん上がっていきます。昨年は仕込みの年で、やっと『Shadows of the DAMNED(シャドウ オブ ザ ダムド)』、『codename D(仮題)』を発表できました。まだまだ皆さんにビックリしてもらえるようなものをたくさん仕込んでいる最中ですし、来年、再来年にそれらの花が開いていく。そういった組織力の強さによって、新しい仕込みが目に見えて実現すると思います。また、和田にはグラスホッパーのブランドで『牧場物語』とは違う新しいコンテンツを世界中の子どもたちや女性の皆さんに提供してほしいという思いがありますね。当然木村にもディレクターとしての活躍の場をしっかり作りたいです。
和田 そういうのを夢見られることも、移籍した大きな理由のひとつです。経営面で須田の手伝いをするだけでは来た意味がありません。
――飯田さん、山岡さんが入られて、つぎにおふたりが入られて、現場のスタッフも刺激になるのでは?
須田 いい科学反応が起きると思います。若いスタッフにはいい意味での刺激であったり、ジェラシーを感じてもらって「もっと自分がおもしろいものを作りたい」というエネルギーにしてほしいですね。外国人スタッフも含め優秀なスタッフがたくさんいる。こういう環境はなかなかないと思います。
木村 実際にグラスホッパーに来て新鮮だったのは、優秀なスタッフがたくさんいて、みんながアイデア出し合いながら作品を作っていること。いっしょに働いているとおもしろいんですよ。みんないい意味でとがっているのでマネジメントし甲斐があります。
――最後にゲームファンへ向けてメッセージをお願いします。
和田 グラスホッパーのブランドイメージというものがあって、そのブランドイメージにぴったりな作品を出し、コンセプトを明確にしていくのと同時に、「これもグラスホッパーなの!?」というようなバラエティーに富んだ作品を出していきたいです。グラスホッパーの作るゲームは世界中で遊んでほしいという想いがありますが、海外向けには作っていません。完成したものがたまたま海外で通用しちゃうんですよね。それは、この会社にいろいろなカルチャーが集まっていて、その中で共通のおもしろさを持った作品が生み出されているからだと思いました。マーケティングをしてこの国はこういう考えだからそれに合わせて提供しようということではないんです。誰もが思っているおもしろさに対するアンテナを突き詰めて作っていきます。ご期待ください。
木村 文化の違いを超えた“みんなが楽しめるゲーム”を発明したいし、グラスホッパーならその発明ができると感じました。なぜならこの会社ではいろいろな文化の人がいっしょに生きているから。ここでみんなが「おもしろい!」と感じたものは、かなり精度が高いおもしろさになるような気がします。文化の違う人とおもしろさ、悲しさ、かっこよさなど、さまざまな感情を共有できることが僕たちの宝ですし、この宝があるからこそ全世界へ向けてゲームを提供できるんです。これからみんなと新たな発明を生み出せるようにがんばります。
須田 グラスホッパーという会社をもっと魅力的なブランドにするためにこのふたりが来てくれたのは、必然なんじゃないかなと思うくらいです。これまではアクションゲームを中心としたタイトルが我々の強みとなっていましたが、今後いろいろなタイプのゲームがグラスホッパーから生み出される原動力となることは間違いありません。遊園地のようにいろいろな乗り物や遊び、テーマがあってお客さんはその場所を愛して止まないような、つねに魅力を感じてもらえるブランドを1、2年という近い時間軸の中で実現していきます。僕のひとつの目標は、全年齢に対してゲームを作ること。そういったゲームも作れる土壌ができ上がってきているので、世界中の皆さん、とくに日本の皆さんに注目してほしいです。グラスホッパーが放つ新たなビデオゲームを、皆さん応援してください。
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