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【CEDEC 2010】『怪盗ロワイヤル』はこうしてヒットした

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開催3日日に行われたセッション“怪盗ロワイヤルができるまで、できた後”。現在、テレビCMも放送中の『怪盗ロワイヤル』を手掛けたディー・エヌ・エーの大塚剛司氏が、プロジェクト立ち上げの経緯や苦労などを語った。

2010-09-04

●プロジェクト立ち上げの経緯や苦労話が語られた

 CEDEC(CESAデベロッパーズカンファレンス)2010が、2010年8月31日〜9月2日の3日間にわたって、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会 議センターにて開催中だ。社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)主催によるCEDECは、ゲーム開発者の技術交流などを目的に開催されている講演会で、今年で12年目。ゲームの知が集結するCEDEC 2010の模様をリポートする。

 ここでお届けするのは、開催3日日に行われたセッション“怪盗ロワイヤルができるまで、できた後”。現在、テレビCMも放送中の『怪盗ロワイヤル』を手掛けたディー・エヌ・エーのソーシャルメディア事業本部 プラットフォーム統括部 統括部長 大塚剛司氏が、プロジェクト立ち上げの経緯や苦労などを語った。

ディー・エヌ・エー
ソーシャルメディア事業本部
プラットフォーム統括部 統括部長
大塚剛司氏

 最初に大塚氏は、『怪盗ロワイヤル』がリリースされるまでの経緯を語った。2009年5月末に企画・開発をスタートさせ、2009年8月上旬に社内βリリースし、2009年9月25日に一部のモバゲーにてテストリリース、2009年10月7日に正式リリース、2009年12月にmixi版の展開を開始。また、同時期よりテレビCMがスタートしモバゲー外のユーザーにも『怪盗ロワイヤル』を知ってもらえるようになったと説明した。

 『怪盗ロワイヤル』がリリースされる前は、今度どのように会社を成長させていこうか、中心となるモバゲータウンをどうしていこうかと悩んでいた時期が続き、世界的な動き、業界の動き、ユーザーのニーズを分析したという。そして、「ソーシャルゲームに会社のリソースを寄せて勝負をかけていこう」と会社としての意思決定したのが、2009年の春だったという。大塚氏はそれまでモバゲーやソーシャルゲームの事業とはまったく別の新規事業をやっていたそうだが、会社がソーシャルゲームに大きくリソースを投入していくということで、「ソーシャルゲーム(『怪盗ロワイヤル』)のプロジェクトに移ることになったので、みずから企画を考えたり、試作を作っていきました」と経緯を語った。

 小学生以降、ソーシャルゲームはもちろん、ゲーム全般に触れてこなかったそうだが、今回のプロジェクトを「ゲーム、ソーシャルゲーム、オンラインゲームって何ぞや?」というところを自分で実際にプレイして何がおもしろいのか、何かつまらないのか、何がイライラさせるのかをユーザーとしての感覚で徹底的に研究したという。その後、自分だったらどういうゲームを作るかということで、最初に20〜30個の企画案を出し、その中から筋のよさそうなものを2〜3個ピックアップして進めていったという。そのひとつが『怪盗ロワイヤル』なのだ。

 大塚氏は、ディー・エヌ・エーの社員に見せたプロトタイプはあまり評判がよくなく、全体の9割はつまらないという意見であったことを明かした。しかし、「ここでいちいちへこんでいるわけにもいかない。なぜつまらないと言っているのかを分析し、修正していくことが大切」なことだったと振り返った。その後も「作っては試して破壊して……を何度もくり返した」と試行錯誤の期間が続いたことを説明した。

 そして、ようやく『怪盗ロワイヤル』が完成し、『ホシツク』、『海賊トレジャー』といったいくつかのソーシャルゲームをほぼ同時期に公開した。その結果、公開から3週間でディー・エヌ・エーのソーシャルゲーム全体の売り上げは3億円、PV数は45億と膨れ上がったが、ユーザー数が急激に拡大したことで、サーバーの増設やアプリの修正、ユーザー対応などに追われ、会社から帰れない状態だったとし、「作ってリリースするまでの人員と出した後の人員では、出した後の人員を増やしていくのがソーシャルゲーム」であると語った。

 『怪盗ロワイヤル』を始め、ソーシャルゲームは継続率が大切だという大塚氏。継続率とはユーザーがソーシャルゲームに登録し、1日〜7日後に何%の人が再度アクセスするのかを表したもの。一般的な目安として、100万人が登録しているゲームで月間の売り上げが1億円を達成するために必要な継続率は、7日後に30〜40%、2週間後に25〜35%、1ヵ月後に20〜30%が平均的な数字と説明。また、課金単価は1ヵ月に1500〜3000円が一般的だという。このデータを踏まえて、課金効率を上げる鉄則は「ユーザーがシンプルに効果を実感できるか、目標感が適切か、ユーザーを焦らせる要素があるか」の3点であると述べ、「いまじゃないと目標を達成できない!」と焦らすことが肝だと説明した。

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