HOME> ニュース> 【CEDEC 2010】torneを支えるゲーム制作現場のノウハウ

【CEDEC 2010】torneを支えるゲーム制作現場のノウハウ

ゲーム
プレイステーション3を地デジチューナーにする周辺機器torneは、なぜ使いやすいのか。

2010-09-03

●“できないことだらけ”のtorneが高評価を得た秘密はゲームにアリ

ONI_0301

 CEDEC(CESAデベロッパーズカンファレンス)2010が、2010年8月31日〜9月2日の3日間にわたって、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会議センターにて開催中だ。社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)主催によるCEDECは、ゲーム開発者の技術交流などを目的に開催されている講演会で、今年で12年目。ゲームの知が集結するCEDEC 2010の模様をリポートする。

 プレイステーション3を地デジレコーダーにする周辺機器“torne(トルネ)”はなぜ使いやすいのか? “torne(トルネ)に注ぎ込まれたゲーム制作現場のノウハウ”と題したセッションで、ソニー・コンピュータエンタテインメントの西沢学氏と石塚健作氏が、torne開発にあたって使われたゲーム制作のテクニックを解説した。

ONI_0274
ONI_0275

 発売後2ヶ月品薄状況が続き、通販サイトなどの満足度も高かったtorne。評価コメントの多くが家電レコーダーとは違う独自性や、操作性の良さに言及していた。

 一般の家電レコーダーと比較すると、むしろ地デジ以外のCS放送などの受信ができないだけでなく、BD-Rディスクに書き込んだり、編集ができなかったりと、「できないことだらけ」(石塚氏)なのだが、そのことが逆に設計思想を明確にしていた。

 家電レコーダーが機能ベースで差別化を図るのに対して、こういった新しい体験ができるという“ソリューションベース”にしたとのことで、機能競争の面では最初から戦おうとしなかった」と石塚氏は語った。「ナンバーワンは最初から目指せない」(石塚氏)ことで、家電レコーダーが競争しているハードウェアやスペックによる差別化ではなく、アプリケーションでの差別化を行い、オンリーワンの商品を目指したのだ。

ONI_0280

▲一般的な家電レコーダーとtorneの設計思想の違い。

 そこで行ったのは、西沢氏が所属するJAPANスタジオ制作部がゲーム制作のノウハウを持ち込んだアプリケーションの監修と企画を行い、ハードウェア周辺のソフト開発を行ってきた石塚氏らのソフトウェアプラットフォーム開発部が実装を行うという、社内では稀な横軸の制作体制を編成すること。

 torneのコンセプトは、快適な操作、PSP(プレイステーション・ポータブル)などとの連携、そしてネットワークを利用した新しい体験を提供するということ。なかでも快適な操作を実現するためのユーザーインターフェースにノウハウが盛り込まれている。

 まず必要だったのは、マニュアルいらずでわかりやすいこと。ボタンの意味付けを統一し、基本操作は十字キーと○ボタンとボタンで可能。覚えなくてはいけないボタンを減らしているのは、PSPや、ブラビアリンクなど、デュアルショック3以外でも快適に操作できるようにするためでもある。

 また、画面の流れも統一されており、トップメニューから入って以降は基本的にすべて左から右に進行し、リストや項目の選択はすべて上下に展開。極力画面全体を切り替えずにシームレスに表示を切り替えていき、どこにいてもボタンを連打すればトップに戻ってこれるようになっているのもミソだ。また、いつでも操作をブロックせずに、1/60フレームで入力を見てどこからでも操作のキャンセルを可能にしているとのこと。

 合わせて、ゲームよりもずっと使用するものなので、極力表示を中央にセンタリングして集中させ、ダイアログも小さくして視点の移動が少なくて済むようになっている。長期間の使用という点では、つねに画面でなにかを動かすようにして、放送が表示されるまでのあいだストレスがたまらないようにしつつ、かつハデになりすぎないように過剰なアニメーションは控えるといった工夫も見られた。

 一番コアにあるのは、ユーザー視点に立って、ストレスなくやさしく使える工夫を仕上げていくということ。西沢氏は、ゲームのユーザーインターフェース制作の基本をすべてtorneに応用したと語り、ゲームではこういったことを意識せずにやっていると思うが、機械との対話インターフェースとして応用できるはずだと語った。

ONI_0285
ONI_0289

▲ゲーム制作畑のノウハウと、ハードウェア周辺のアプリケーション開発を行ってきたチームのプログラミング技術が融合。

▲ユーザーインターフェースはストレスなく快適で、楽しく操作できることを目的としている。

ONI_0302
ONI_0312
ONI_0313
ONI_0318
ONI_0319
ONI_0327

 石塚氏からは、駆け足ながら技術面で苦労した部分についても説明が行われた。開発スタートからリリースまで1年ないなか、プレイステーション3に接続できるtorne実機があがってこないため、どのような状況にも対応できるようにアプリケーション開発が進められたのだとか。torneのソフトウェアはアプリケーションモジュールと録画サーバーから成り立っており、録画サーバーは、ゲームの動作中にゲームの処理に干渉しないよう、使用メモリーは680キロバイトに制限されている。このため、録画中に0.2秒ハードディスクが止まるとコマ落ちが起こる。録画のコマ落ちは、ゲームの処理が高まった場合も行われるようになっており、あくまでゲームを優先するようになっている。ちなみに、番組表の表示処理も大変で、大量の文字を表示し、かつスクロールしていくので負荷が高い。しかしテレビ番組表に使われている文字の種類は意外にも1000種類ほどしかなく、このため4096ドット×4096ドットの1枚のテクスチャにすべての文字を用意して対応しているそうだ。

 西沢氏いわく、現在はtorneをもっと楽しくするベースづくりが終わった段階。今後もトルミル機能などをもっと活用してアップデートしていきたいとのこと。どんな進化が行われるのか、期待して待とう。

ONI_0330
ONI_0335
ONI_0336
ONI_0337

ソーシャルブックマーク

  • Yahoo!ブックマークに登録

評価の高いゲームソフト(みんなのクロスレビュー

※ ブログ・レビューの投稿はこちら!ブログの使い方

この記事の個別URL

その他のニュース

【週間PVランキング】自分の好きなポケモンの順位は? “ポケモン総選挙720”がrなキング1位に!【6/18〜6/24】

ファミ通ドットコムの、2016年6月18日〜6月24日の週間PVランキングをお届け!

『スーパーロボット大戦』シリーズを支え続けたスタッフたちが、制作の裏側を語るインタビュー【完全版】

週刊ファミ通2016年6月23日号(2016年6月9日発売)にて25ページにわたって掲載された『スーパーロボット大戦』シリーズ25周年記念特集。同特集に掲載された、スパロボを支えてきたスタッフ陣へのインタビューの完全版を掲載!!

劇場版『KING OF PRISM by PrettyRhythm』バルト9で舞台挨拶“〜ありがとうの代わりに好きって言わせて〜”開催

2016年6月24日に行われた、劇場版『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の大ヒット記念舞台挨拶のオフィシャルリポートが到着。

『妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ』堺雅人さん、菜々緒さん出演に関するリリースが到着! おふたりからのコメントも

レベルファイブより2016年7月16日発売予定のニンテンドー3DS用ソフト『妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ』に、俳優の堺雅人さん、モデル・女優の菜々緒さんが出演することに関するリリースが到着。

『イナズマイレブン』新作はアニメ化前提で進行中! 主人公は新キャラクターで、時代設定はパート1のころに戻る

レベルファイブの日野晃博氏が存在をほのめかしていた“イ……”の新作が、『イナズマイレブン』シリーズの新作であることが明かされた

『討鬼伝2』写真&動画コンテストの結果が発表! 体験版から製品版への改善点やオリジナルアニメに関する情報も

コーエーテクモゲームスは、2016年7月28日発売予定のプレイステーション4、プレイステーション3、プレイステーション Vita用ソフト『討鬼伝2』について、4月11日から5月31日の期間に募集していた、写真&動画コンテンスの結果を発表した。

【動画追加】『妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ』堺雅人さん、菜々緒さんの出演が決定! 堺さんは“さかウィス”としてCMにも登場

ニンテンドー3DS用ソフト『妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ』に、俳優の堺雅人さん、モデル・女優の菜々緒さんが出演していることが明らかになった。

『キングスグレイブ FFXV』の試写会にファミ通.com読者25組50名をご招待!

『FFXV』と世界設定やキャラクターを共有し、2016年7月9日に全国ロードショーされるフルCGの映像作品『キングスグレイブ FFXV』。同作の全国ロードショーに先駆け、7月1日(金)に行われる試写会にファミ通.com読者25組50名をご招待!

レベルファイブ日野氏が『レイトン教授』シリーズ新作の存在を明かす! 詳細は7月27日に判明

『レイトン教授』の正統なシリーズ新作が開発中であることが明らかに。