くまのレストラン(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
ゲームというより、インタラクティブドラマに近い作り。暗転や間の取りかたなど緩急織り交ぜた展開、画面構成と絵の作り込みなど、2Dドットを駆使した演出が巧みで、プレイヤーを物語に惹きつけます。本編は饒舌にならず語りを抑えた形で進み、エンディング後の要素などで物語を補完する受け手を信頼した作りもすてき。事前情報なしのカワイイタイトルのイメージのままプレイしてほしい作品です。
週刊ファミ通1701号より
物語のテーマからして切なさ全開だけど、温かな気持ちになれる作品。かわいらしいグラフィックと穏やかな音楽が醸し出すやさしいムードも心地いい。自分が抱える後悔や未練といった思いにどこかしら重なる部分があって共感できるストーリーに、心が救われるようにも感じます。ひとまずのエンディングを迎えた後の構成もよくて、ボリュームは多くはないけれども、プレイ後も余韻に浸れる。
週刊ファミ通1701号より
短いテキストやドット絵が想像の余地を残し、テーマの普遍性も高いため、自分の物語として感じられます。よくあるポイント&クリック型のシステムも、シナリオを押しつけず体験させる仕組みとしてうまく機能。ドット絵のモザイク効果もあり、凄惨な死や残酷さがストレートに描かれていてハッとさせられました。愛おしいキャラそれぞれの死を悼み、そっと祈りを捧げるような手続きが心に残ります。
週刊ファミ通1701号より
おもに序盤の調理シーンで活かされている、丁寧なドット絵アニメーションに惹かれます。扱いが難しい重めのテーマをほどよく曖昧に描写することでプレイヤーの共感を引き出す……というストーリーテリングも見事ですが、個人的には“考えて操作する楽しさ”との連動性をもう少し楽しみたかったです。クリアー後のオマケ要素は、何となく去りがたい物語世界の余韻にしばし浸れる、粋な計らいでした。
週刊ファミ通1701号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
ファミ通公式のレビュー文、レビューアーイラスト(画像)等の無断転載・複製をお断りしています。