『Forza Horizon 6』は、ファンや開発チームも念願だった日本を舞台に、四季折々の景色や文化を細部までこだわって表現している【TGS2025】
 XboxおよびPlayground Gamesは2025年9月25日、オープンワールドレースゲーム『Forza Horizon』シリーズの最新作『Forza Horizon 6』が 2026年に発売予定であることを発表した。

 本作の発表に先駆けて、Playground GamesのアートディレクターであるDon Arceta(ドン・アルセタ)氏インタビューを実施。ファン、そして開発チームとしても念願だったという舞台・日本への思いや、日本文化をリアルに描くために重ねたリサーチやこだわりについて聞いた。
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Don Arceta氏(ドン・アルセタ)

Playground Games。『Forza Horizon 6』アートディレクター

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奥深い日本の文化を、音にもこだわりながら表現

――本作『Forza Horizon 6』は、日本が舞台となっております。なぜ、日本を選ばれたのでしょうか?

ドン
 日本が舞台となった理由は、大きく分けて3つあります。ひとつ目は、ファンの皆さんからご要望の声が多数寄せられていたことです。「つぎはぜひ日本で!」と新作の度にリクエストいただいておりました。我々開発陣としても、いつかは日本を舞台にしたいと考えており、新作の舞台を選ぶ際には必ず日本を候補に挙げておりました。それが大きな理由のひとつです。

 ふたつ目は、今回が日本を選ぶにふさわしいタイミングではないかと考えたからです。シリーズを通じて、私たちは舞台となる国の文化的要素までとことん作り込んでおり、その規模もシリーズを重ねるにつれて大きくなっています。ノウハウも積み重ねてきましたので、いまこそ文化的な魅力が多彩に存在する日本を舞台として取り上げる絶好の機会なのではないかと考えました。

 3つ目は、開発力の向上です。我々の追い求める日本を再現するためには、高いレベルの開発力が必要です。歴代作の開発を通じて、我々の技術も向上しましたので、このタイミングがふさわしいと感じました。

 この3つの理由により、ファンの皆さんはもちろん、我々にとっても夢であったロケーション、日本を舞台として選択することができました。

――ファンの皆さんはもちろん、開発の皆さんも日本を取り上げたかったと。それだけ、開発チームの日本への思いも大きかったのでしょうか?

ドン
 そうですね。日本は見た目、ロケーションの美しさは当然として、ひとつひとつの文化が奥深く、歴史が詰まっています。リッチな文化だと魅力的に感じています。チームとしては、前作よりもさらに舞台となる国の文化を体験していただくことを目標として掲げていますので、リサーチを通じて日本のよさを現地で学びながらゲームの中に落とし込むことに注力しています。ビジュアルだけにとどまらず、音、質感などにも意識を向け、エネルギーを注いでいます。日本を代表するカーカルチャーだけでなく、ファッションや音楽も体験いただけるように開発しております。

――リサーチを通じて、新たに気づいた日本の魅力や、そこからゲームに盛り込もうと考えた要素などがあればお聞かせください。

ドン
 本作で日本を舞台に選んだことにより、我々は膨大な量のリサーチを行ってきました。

 というのも、開発チームには、僕を含めて、日本に接点を持っているメンバーが多いです。たとえば、ゲームや映画、アニメ、マンガ……。日本のポップカルチャーに魅了されたメンバーが多数在籍しています。ですので、それぞれが考える日本の魅力をもとに、それぞれがリサーチを行った結果、その規模もとても大きくなりました。

 初めてのリサーチを行ったのは東京でしたが、実際に東京で過ごして初めて気づくこともありました。世界有数の大都市では、たいていネオンが煌めいて、交通量、人の量も多く、それに付随するたくさんの環境音が耳に入ってきて、それはそれで魅力的ですが、それがノイズとして存在しているとも感じていました。

 ですが、東京で過ごしたときには、そうした大都市ならではの光景と同じぐらい、平穏な景色も存在していました。東京では、観光客が訪れる場所から一歩外れた街並みも観察しましたが、落ち着いた、静謐な時間が流れていて。それが僕たちにとって驚きでした。それをどのようにゲームの中に落とし込むかにもこだわっていまして、チームとしてたくさん話し合いながら開発しています。

――日本では四季の文化がありますが、そうした四季それぞれの景色や音なども楽しめたりするのでしょうか?

ドン
 まさにその通りです。日本の四季折々の景色・文化というのは趣深く、心を穏やかにしてくれます。まさに平穏な景色ですよね。そうした日本の四季や季節の移り変わりというのは、景色はもちろん音にもこだわって表現すべく、サウンドデザインの環境も整えています。そして、それぞれの季節によって変わる街や自然の景色、春夏秋冬それぞれで行われるイベント、お祭りなども表現できたらと考えております。

――たとえば夏ですと、花火が上がる夏祭りのような、各季節で楽しめるお祭りの要素を、景色や音とともに楽しめるのですね。

ドン
 そうですね。お祭りで聞こえてくる音でしたり、夏でしたら夏でしか味わえない色調を表現できたらと考えています。生い茂る木が揺れたときの音、枯れ葉を踏んだときの音など、その季節ならではの自然が見せてくれる景色、音なども味わえるよう、四季を感じられる体験作りに取り組んでいます。

 日本の奥深い文化というのはもっとも魅力的な点です。それらをどれだけゲームに取り込むことができるか、という点は楽しくもあり、チャレンジングな点でもあると制作を通じていま感じているところです。

――四季に応じたロケーションを体験できるのはとても楽しみです。日本では、東京はもちろん、各所で歴史的な建造物が存在していますが、それらも合わせて楽しめるのでしょうか?

ドン
 はい。日本をリサーチする際、上空から日本の景色を眺めましたが、本当にさまざまな環境、エリアが存在していると感じました。

 東京でも、未来的な都市とモダンな建築が混在した味わい深いロケーションが楽しめますし、各都市でそのような光景が存在していることもリサーチ早期から理解できました。

 ですので、本作でも、そうした対照的な景色を再現した、ワンパターンとならないさまざまなロケーションをご用意させていただきます。

 なお、改めてにはなりますが、『Forza Horizon』シリーズでは毎回、舞台となる国のすばらしいロケーションを厳選してお届けすることを心掛けています。その国のグレイテスト・ヒッツだとも捉えています。

 しかしながら、日本は選び抜くのも難しい、美しい環境、興味深いロケーションが数多く存在しています。そのすべてをカバーしきれるのかは不安ではありますが(笑)、我々が感じる日本のグレイテスト・ヒッツをとことん追求するつもりです。

――『5』はメキシコを舞台にした大ボリュームな作品で、現在も多くのファンの方々が楽しまれていますが、『6』も、『5』に負けないボリュームとなっているのでしょうか?

ドン
 もちろんです。『Forza Horizon』シリーズではいつも、前作以上のものをお届けすることを目標とし、それを毎回達成しています。そうしてシリーズは進化していますので、『5』も壮大な作品となりましたが、『6』はそれをも超える作品になると自信を持ってお答えできます。

 また、『5』で得た技術的な知見を、十分に開発チームで共有できましたので、それをもとに『6』では存分に日本の魅力を表現できると感じております。

 とはいえ、先ほども申し上げました通り、日本の四季の変化を余すことなく表現することは、簡単なことではありません。ただ、チャレンジングな開発の中でも、細部までこだわることは我々のモットーとして存在しています。

 ですので、自分たちへの挑戦状として受け止め、高い目標ながらも着実に積み上げて、日本のよさを表現できるように開発しています。その中で、起伏の激しい、さまざまな環境でのレースをお楽しみいただけることを目指しています。

――それでは最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

ドン
 『Forza Horizon 6』は、いままで我々が作り上げてきたシリーズの中でもベストな作品にすべく開発している最中です。過去最大規模のマップのもと、魅力溢れる、奥深い文化を持つ日本を表現し、それを通してシリーズの魅力も体験していただけると思いますので、その点はぜひご期待いただきたいです。

 ロケーションとしては、皆さんが親しんだ街並みが出てくると思いますが、その中で、『Forza Horizon』なりのひねりを加えた体験もご提供できるかと思います。

 そして、『Forza Horizon』シリーズでは共通して、ゲームの中で舞台となる国へお連れして、その国の文化を楽しんでいただくことをテーマにしています。現在の日本はたくさん海外から観光客が訪れていると思いますが、日本を観光したいけどまだそれが叶わない方もたくさんいらっしゃると思います。そんな方々に向けて、バーチャルの空間ではありますが、少しでも日本の魅力をお届けできれば、という思いもモチベーションとして存在していますので、日本を含め、世界中のファンに楽しんでいただけれたらと思います。
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