『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】

『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
 古今東西の魅力的なインディーゲームを紹介する“とっておきインディー”
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 今回は、この記事の書き手自身が制作した80年代レトロ風アドベンチャーゲーム『王家の棺』。
※Web転載に合わせて、本誌掲載時から一部を追記・改訂しております。

これは“40年前の迷子”を救う旅路である

『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
 今回は少しばかり手前味噌ながら、自作のインディーゲームを紹介します。

 開発者が少年少女時代に楽しく遊んだ、しかし現在の主流とは言えない、クラシックな趣をたたえる作品をオマージュしたレトロゲーム……というのもまた、インディーゲームの範疇で作られやすいスタイルのひとつです。

 「あのころのゲームはこんな感じだった」という印象を見た目やプレイフィールで再現し尽くそうとする、過去への忠実さを感じるものもあれば、現代的な表現手法の選択肢のひとつと割りきって軽やかに“ 逸脱”していくものもあり。

 『王家の棺』も、そういった作品群のひとつ。シナリオテキストをストレスなく、かつ、場面の臨場感をある程度キープした状態で読み進めるためのフォーマット……いわゆる“ノベルゲーム” 然とする前のアドベンチャーゲームのムード、セオリーが随所で再現されているのが、特徴です。
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
90年代前半のコマンド選択型アドベンチャーゲーム風のルックを再現。本編の使用色は4色だ。
 かつてのアドベンチャーゲームは、クリアーできなくて当たり前。昨今の高難度アクションゲームのような、パターン研究しつつ腕を磨きつつで何度もリトライすればいつかは努力が実を結ぶ、なんなら難度設定の変更で修羅場もあっさり突破、といった余地はなく、当時のゲームデザイナーが用意した、あまりに恣意的かつピンポイントな“正解”を入力しない限り、物語世界のスタティック(静的)な状態に閉じ込められたままになってしまうのがつねでした。

 もし『王家の棺』が、往年のアドベンチャーゲームのそういうところまで忠実に再現することを目的とした作品だったら、わざわざ紹介することはなかったでしょう。この文章を書いている私自身が作者だとしてもです。実際そうですが。
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
 ゲーム内に物語があるように、プレイヤーにも物語があります。本作は“昔のゲームっぽさを体験しつつ自力でクリアーできる、ほどほどの難度&快適さ”に重点が置かれていることで、プレイ中、ふたつの物語がリンクします。

 具体的には、1980年代当時、大人っぽい雰囲気にワクワクしながら始めたものの、まったく先に進めなくなり、途方に暮れたまま高難度アドベンチャーゲームの世界に留まっている少年少女時代の自分を発見し、その世界から救い出す……というミッションが、同時進行するのです。

 たかだかゲームの挫折体験、もう過ぎたことだし、そもそもゲーム自体別物じゃないか、といった常識的な判断とは別に、もうひとつの冒険は始まります。そんな大昔、この世に生まれてもいなかったんですけどという方は、父親など身近な当該世代を想定してプレイしてみてください。きっと彼(彼女)も、あなたの救いを待っているはずです。

前半ストーリーダイジェスト

 本作の物語は、エジプトのサハラ砂漠を中心に展開。30近くのスポットを移動しながら、世界を救うカギ“王家の棺”を見つけだそう!
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
(1)アナタは平凡なサラリーマン。いつものルーチンから逸脱した行動をとることで、人生を一変させる“ドリーム・チケット”が舞い込んでくる!
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
(2)災難に見舞われ、エジプトのサハラ砂漠をひとり旅することに。遠出する際には、周囲をよく調べて、飲み水を確保しておこう。
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
(3)大サソリと遭遇! すぐに襲ってくることはないけれど、モタモタしていると毒牙のえじきになるのは必至。無理に戦わずさっさと通り抜けよう。
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(4)ヒエ〜、ガイコツだ〜! なんてビビッていたら、この先の冒険の大事な手がかりを見逃してしまうぞ。場所が崖っぷちなので、長居は無用だ。
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(5)王家の洞窟では、考古学者“ショーン・コスギ”と遭遇。国内インディーゲームに古くから注目している人であれば、ピンとくる人物かも。
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
(6)伝説上の怪物・スフィンクスの姿を模した巨大石像。最初のうちは無反応だけど、“ある条件”を揃えてから話しかけてみると……!?

【知っているとより楽しめる】'80年代AVGあるある

【1】単語さがし

 1980年代前半までのPC 用アドベンチャーゲームは、実行したいコマンドの単語を一字ずつタイピングする“コマンド入力型”が主流でした。

 単に面倒なだけでなく、特定場面でのみ有効な特殊な単語を探す必要があったり、あまつさえ、英単語しか受けつけない作品もあったり。攻略情報をネット経由で簡単に入手できない時代ならではのゲーム性です。

 
【 『王家の棺』では】各場面で必要なコマンドが適宜リスト化される“コマンド選択型”を採用。

【2】手描きマッピング

 昨今の探索系ゲームでは、1ボタン操作で瞬時に表示されて当たり前の、フィールドマップ。かつては、マップの全体構造を知る手立てがゲーム内に用意されているタイトルのほうが、圧倒的に少数でした。

 そんな状況下で当時のプレイヤーが行ったのが、おもに紙とペンによる自力でのマップ作成“ 手描きマッピング”でした。ゲームを攻略するために渋々始めたはずが、マップをきれいに書くこと自体が楽しくなっちゃった御仁もけっこういたのでは。

 
【 『王家の棺』では】移動即ゲームオーバーのトラップもあるので、手描きマッピング推奨。

【3】詰み

 以降の攻略に必須のアイテムも通常操作で手放せる、しかもそのゲームプレイでは以降二度と入手できない……といったタイプのトラップも、平気でありました。

 なぜ“ 詰んだ”のかといった情報がゲーム上で明かされないまま、クリアー不可のセーブデータを何度もロードしていた経験は、当時の若年PCゲーマーの瞳から輝きを失わせました。

 
【 『王家の棺』では】失ってしまった重要アイテムを再入手可能……などの“詰み防止措置”が施されています。とはいえ、データセーブの管理だけは慎重に!

【4】Moon Logic

 「こんな道理、地球上のものとは思えない、月の道理に決まっている!!」と文句のひとつも言いたくなるほど無茶苦茶なトリック・謎解き要素の存在も、往年のアドベンチャーゲームの華。

 突飛な行いが世界線を移動するトリガーとなる……とはいうけれど、当時の制作者が意識していたかは、疑わしいです。
【 『王家の棺』では】プレイ次第で、不条理に感じる場合もあれば、妙に納得感を得られる場合も。
『王家の棺』これは“40年前の迷子”を救う旅路である。80年代のアドベンチャーにワクワクしながら挫折した“かつての少年少女”たちに捧ぐ【とっておきインディー】
「昔のゲーマーはたいへんだったのね♡」

王家の棺

  • プラットフォーム:PC
  • 発売元:qtq
  • 発売日:2025年6月26日
  • 価格:500円[税込]~
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 対象年齢:審査なし
  • 備考:ダウンロード専売(itch.ioやBoothで販売)
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