これは“40年前の迷子”を救う旅路である

開発者が少年少女時代に楽しく遊んだ、しかし現在の主流とは言えない、クラシックな趣をたたえる作品をオマージュしたレトロゲーム……というのもまた、インディーゲームの範疇で作られやすいスタイルのひとつです。
「あのころのゲームはこんな感じだった」という印象を見た目やプレイフィールで再現し尽くそうとする、過去への忠実さを感じるものもあれば、現代的な表現手法の選択肢のひとつと割りきって軽やかに“ 逸脱”していくものもあり。
『王家の棺』も、そういった作品群のひとつ。シナリオテキストをストレスなく、かつ、場面の臨場感をある程度キープした状態で読み進めるためのフォーマット……いわゆる“ノベルゲーム” 然とする前のアドベンチャーゲームのムード、セオリーが随所で再現されているのが、特徴です。

もし『王家の棺』が、往年のアドベンチャーゲームのそういうところまで忠実に再現することを目的とした作品だったら、わざわざ紹介することはなかったでしょう。この文章を書いている私自身が作者だとしてもです。実際そうですが。

具体的には、1980年代当時、大人っぽい雰囲気にワクワクしながら始めたものの、まったく先に進めなくなり、途方に暮れたまま高難度アドベンチャーゲームの世界に留まっている少年少女時代の自分を発見し、その世界から救い出す……というミッションが、同時進行するのです。
たかだかゲームの挫折体験、もう過ぎたことだし、そもそもゲーム自体別物じゃないか、といった常識的な判断とは別に、もうひとつの冒険は始まります。そんな大昔、この世に生まれてもいなかったんですけどという方は、父親など身近な当該世代を想定してプレイしてみてください。きっと彼(彼女)も、あなたの救いを待っているはずです。
前半ストーリーダイジェスト






【知っているとより楽しめる】'80年代AVGあるある
【1】単語さがし
単に面倒なだけでなく、特定場面でのみ有効な特殊な単語を探す必要があったり、あまつさえ、英単語しか受けつけない作品もあったり。攻略情報をネット経由で簡単に入手できない時代ならではのゲーム性です。
【 『王家の棺』では】各場面で必要なコマンドが適宜リスト化される“コマンド選択型”を採用。
【2】手描きマッピング
そんな状況下で当時のプレイヤーが行ったのが、おもに紙とペンによる自力でのマップ作成“ 手描きマッピング”でした。ゲームを攻略するために渋々始めたはずが、マップをきれいに書くこと自体が楽しくなっちゃった御仁もけっこういたのでは。
【 『王家の棺』では】移動即ゲームオーバーのトラップもあるので、手描きマッピング推奨。
【3】詰み
なぜ“ 詰んだ”のかといった情報がゲーム上で明かされないまま、クリアー不可のセーブデータを何度もロードしていた経験は、当時の若年PCゲーマーの瞳から輝きを失わせました。
【 『王家の棺』では】失ってしまった重要アイテムを再入手可能……などの“詰み防止措置”が施されています。とはいえ、データセーブの管理だけは慎重に!
【4】Moon Logic
突飛な行いが世界線を移動するトリガーとなる……とはいうけれど、当時の制作者が意識していたかは、疑わしいです。【 『王家の棺』では】プレイ次第で、不条理に感じる場合もあれば、妙に納得感を得られる場合も。

王家の棺
- プラットフォーム:PC
- 発売元:qtq
- 発売日:2025年6月26日
- 価格:500円[税込]~
- ジャンル:アドベンチャー
- 対象年齢:審査なし
- 備考:ダウンロード専売(itch.ioやBoothで販売)










