『劇場版アイカツスターズ!』が10年ぶりに映画館へ帰ってくる! 『超かぐや姫!』や『リズと青い鳥』と並び称されるべき傑作の魅力を広めたい

『劇場版アイカツスターズ!』が10年ぶりに映画館へ帰ってくる! 『超かぐや姫!』や『リズと青い鳥』と並び称されるべき傑作の魅力を広めたい
 2026年7月3日(金)より、2016年に公開されたアニメ映画『劇場版アイカツスターズ!』の10周年を記念したリバイバル上映が、全国の劇場にて3週間限定で実施されます。
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 筆者はゲームライターとして生計を立てる傍ら、女児向けアニメの魅力を広める活動をライフワークにしています。

 振り返ってみると、長らくこの活動を続けるにいたったターニングポイントはいくつかありました。そのなかでもっとも大きかったもののひとつが、この『劇場版アイカツスターズ!』との出会いだったことは間違いありません。
『劇場版アイカツスターズ!』が10年ぶりに映画館へ帰ってくる! 『超かぐや姫!』や『リズと青い鳥』と並び称されるべき傑作の魅力を広めたい
 同じような“その後の人生を変えてしまうような出会い”だったと言える作品に心当たりがあるアニメファンは多いのではないでしょうか? 『リズと青い鳥』や『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』がそんな一作だったという方もきっといるはず。直近の作品であれば、『超かぐや姫!』がこれからそんな作品になっていくだろうと予感している方もいらっしゃることでしょう。

 多分にひいき目が含まれているであろうことは重々承知していますが、筆者は『劇場版アイカツスターズ!』を、いま挙げた3作品に決して引けを取らない傑作だと思っています。これらのような作品に強く惹かれた方になら、きっと多かれ少なかれ刺さるものがあるだろうということも……。

 全100話という長編テレビシリーズと連なるストーリー、そして視聴の切っ掛けが作りづらい人も多いかもしれない“女児向けアニメの劇場版”という立ち位置。これらの要因から、先に挙げた3作と比べれば、本作はまだまだ「届くべき人に届いていない」と感じます。

 この記事が、そんな“届くべき人”の背中を押すものになったのなら、こんなにうれしいことはありません。

『アイカツスターズ!』はこんな作品

 『アイカツスターズ!』は、『アイカツ!』シリーズの2作目にあたる作品。前作から世界設定は一新されており、新たな主人公・虹野ゆめ(声:富田美憂、歌唱担当:せな)を中心とした、アイドル養成校である“四ツ星学園”での物語が幕を開けます。
 四ツ星学園には、歌組(うたぐみ)、劇組(げきぐみ)、舞組(まいぐみ)、美組(うつくしぐみ)という4つの組のいずれかに所属する制度があります。それぞれの組のトップスターになった4人は“S4(エスフォー)”と呼ばれ、歴代S4には特別な制服が受け継がれているのです。

 ゆめは物語の序盤で、歌を極めるアイドルを育成する歌組に所属。同じく歌組に入った桜庭ローラ(声:朝井彩加、歌唱担当:りえ)とは、ときに競い合い、ときに励まし合うライバルに。ふたりは、ただひとりだけがなれる歌組のS4を目指します。

 前作
『アイカツ!』はスポ根モノの文脈を取り入れつつも、明るく朗らかな作風が象徴的な一作でした。『アイカツスターズ!』は前作から引き継がれた魅力も多々ありつつ、アイドルたちが悔し涙を流したり、思い通りにばかりは行かない展開にスポットが当たることも多く、誰もが憧れるS4という存在を巡るドラマは、その最たるものと言えるでしょう。
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第25代S4
 そうした競争の中にあってもなお、“誰かの憧れ”たらんとするアイドルたちの行動やそこに宿る信念には、曇りなき輝きが宿っていることを感じられるはず。それは先輩アイドルたちからゆめやローラたちへと受け継がれ、やがて彼女たちも“誰かに輝きを手渡す”アイドルへと成長していきます。

 初代『アイカツ!』とは方向性の異なるシビアさにより、困難と向き合い、何度も立ち上がるアイドルたちに視聴者も鼓舞されるようなエピソードが散りばめられたストーリーライン。そこから立ち現れるそれぞれのアイドルたちの“生き様”と呼べる在りかたこそが、『アイカツスターズ!』をシリーズの“最推し作品”と位置付ける人たちの多くが心を打たれた、大きな魅力となっているのです。
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劇場版アイカツスターズ!
 『劇場版アイカツスターズ!』は、時系列としてはテレビシリーズ第18話のあと。とはいえ、ストーリーはこの一作だけでも問題なく楽しめるものになっています。本作から視聴を開始して、『アイカツスターズ!』の沼に落ちた者も数知れず……。

 ちなみに無印『アイカツ!』は全178話ありますが、じつは3日と2時間くらいあれば全話観れるので、全100話の『アイカツスターズ!』なら2日くらいで完走できますよ。

ゆめとローラ、はじめての大喧嘩!

 全100話のテレビシリーズを通して、ゆめやローラたちのアイドルとしての成長が描かれていく『アイカツスターズ!』。劇場版はその序盤にあたる時系列ということで、まだまだアイドルとしても、人間的にも未熟な彼女たちを軸に、物語が進行します。

 舞台は、四ツ星学園のアイドルたちが南の島で一堂に会する夏の一大イベント“アイカツアイランド”。学園の1年生から3年生まで、たくさんのアイドルたちが島中でさまざまなパフォーマンスや催しを行い、ファンを楽しませます。
 そんな中、ゆめとローラは、アイカツアイランド内で行われるオーディションに挑戦することに。参加条件は“1年生どうしがふたりでユニットを組むこと”。優勝したユニットは、憧れのS4とステージで共演できるというのです。これまでもいっしょにさまざまな困難を乗り越えてきたゆめとローラは、ユニットを組んで優勝しようと張り切るのですが……。

 ふたりは、ちょっとしたボタンの掛け違いで、それまでに経験したことのないほどの大喧嘩をしてしまいます。ふたりの仲はどうなってしまうのか? そして、オーディションの行方は? というのが本作のストーリーの見どころ。

 この『劇場版アイカツスターズ!』は、初代『アイカツ!』の短編との同時上映ということもあり、単体での上映時間はおよそ59分と、劇場作品としては短めです。そしてある意味、上記のあらすじから予想できる以上のことは、とくに起こらないストーリーだと言っても決して間違いではありません。

 
けれど、この59分のあいだに鑑賞者が受け取ることになる“感情”の膨大さに関しては、間違いなく視聴前の想像を遥かに上回ることでしょう。

 その膨大なエネルギーが発生する理由について、“最大の見どころ”を避けつつ言及するなら、それは本作が“最高の青春映画だからである”ということに尽きると思います。

描かれていたのは、“永遠より長い一瞬”――

 本作のキャッチコピーは「ふたりなら最強☆」。これはゆめとローラが披露する劇中曲の歌詞であり、作中の台詞にもなっているフレーズです。

 物語のクライマックスには、テレビシリーズでは当時まだ描かれていなかった、S4の4人全員によるユニットステージも描かれます。ゆめたちにとっての憧れの存在による、それはもう素晴らしいパフォーマンスが映し出され、それでもなお大胆不敵に飛び出す「ふたりなら最強☆」というフレーズ。一連の流れで観ると、この“無敵感”にたまらなく痺れるんですよ……!

 『劇場版アイカツスターズ!』の序盤には、
ゆめとローラがふたりともS4の先輩たちに認められ、現S4とゆめとローラの6人で“S6”になるという妄想をゆめがしているシーンがあります。けれど現実には、歌組に所属したゆめとローラで、S4になれるのはどちらかひとりだけ。劇場版の先に、82話ぶんの長い道のりが続いていく『アイカツスターズ!』。残酷な現実を受け入れながら、ゆめとローラは、アイドルとしても、人間的にも、大きく成長して、強くなります。

 でも、ふたりがどんなにトップアイドルに近づいたとしても、本作で描かれた“無敵感”を超える強い気持ちになれたことって、ほとんどなかったんじゃないかと思うのです。
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『劇場版アイカツスターズ!』のボーカル曲を収録したシングルCD。歌詞カードの裏表紙には……?
 「この人といっしょなら誰にも負けない」という強い想い。それは“思い込み”と言い換えても間違いじゃない、若さゆえの視野狭窄がもたらした錯覚かもしれません。でも、その瞬間、ふたりの中ではそれだけが真実。夢に向かってがむしゃらで、ちょっとしたことで大喧嘩をしてしまうくらい、視野が狭くて未熟な、“青い”ころのふたりにしかたどり着けない真実が、きっとそこにはあるのです。

 どんなにゆめとローラの人生が続いても、きっとこのアイカツアイランドでの出来事は、お互いさえいれば“最強”と心の底から言ってのけることができた眩い瞬間の記憶として、色褪せることなく残り続ける――。

 10年前、筆者がこの『劇場版アイカツスターズ!』に激しく打ちのめされるほど夢中になったのは、そんな
ゆめとローラにとっての“永遠より長い一瞬”が描かれていることが、映像を通して伝わってきたからだったのかもしれません。

 果たして、筆者の脳内に焼き付いて離れないこの情景は、これから本作を鑑賞する皆さんの前にも立ち現れるものなのか? それとも、在りし日の夏に見た蜃気楼だったのか? 10年目の真実は、ぜひ映画館で、ご自身の目で確かめてみてください。

『劇場版アイカツスターズ!』作品概要

  • 2016年8月13日(土)公開
  • 2026年7月3日(金)より、公開10周年記念リバイバル上映(3週間限定)
  • 同時上映:『アイカツ!~ねらわれた魔法のアイカツ!カード~』
『劇場版アイカツスターズ!』が10年ぶりに映画館へ帰ってくる! 『超かぐや姫!』や『リズと青い鳥』と並び称されるべき傑作の魅力を広めたい

主要キャスト

  • 虹野ゆめ:富田美憂
  • 桜庭ローラ:朝井彩加
  • 七倉小春:山口愛
  • 早乙女あこ:村上奈津実
  • 香澄真昼:宮本侑芽
  • 白鳥ひめ:津田美波
  • 如月ツバサ:諸星すみれ
  • 二階堂ゆず:田所あずさ
  • 香澄夜空:大橋彩香
  • マオリ:日高里菜

メインスタッフ

  • 原作・企画・アニメーション制作:BN Pictures
  • 原案:バンダイ
  • 監督:綿田慎也
  • 脚本:柿原優子
  • キャラクターデザイン:愛敬由紀子
  • スーパーバイザー:佐藤照雄/木村隆一
※画像は『アイカツ!シリーズ』アニメ公式X(Twitter)アカウントおよびAmazon、サンライズ公式サイトより引用。

担当者プロフィール

  • 小林白菜

    小林白菜

    ひとり用ゲームと女児アニメを愛するライター。旅行も好き。ユニークな体験が味わえるものなら大作もインディーゲームもなんでも遊ぶ。好きなゲームはたくさんあるが、リマスター版を出してほしいゲームなら『ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター』。ゲームに関する記事は読むのも書くのも大好き。ファミ通で書いた代表的な記事は「『アイカツ!』視聴徹底ガイド」「『ウーマンコミュニケーション』ゲームデザイン考」など。世界中の誰もが自由にゲームができる世界を望んでいるので、あらゆる戦争と差別に反対です。

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