タマシイとなった男の孤独な追跡劇。死の真相の解明を「やってやりますともッ!」

本作は『逆転裁判』シリーズの生みの親、巧 舟氏による謎解きミステリーアドベンチャー。最初からクライマックスという展開は多くあれど、主人公がいきなり死んでいるところからスタートする作品は数少ない。……たぶん。

主人公の名前は“シセル”。文字通り“死せる”男だ。ゲーム開始時点ではすでに何者かに撃たれ、記憶のないタマシイとなっている彼は、謎の電気スタンド“クネリ”に導かれて“死者のチカラ”に目覚める。
果たして誰が自分の命と記憶を奪ったのか。このままでは死んでも死にきれないと、シセルはみずからの死の真相を解明すべく動き出す。彼の魂消滅のタイムリミットは、明日の朝まで。


一方、アヤツル際には時間が進み、冷蔵庫だったら扉を開く、自転車なら走らせるなどのアクションを取れる。取り憑いている物体&コアの位置を物理的に動かすことで、それまで届かなかったコアに乗り移れるようになるわけだ。
上記の方法を用いて、シセルは冒頭で本作のヒロインである刑事“リンネ”の死の運命を変えることになる。暗殺者の手に掛かって亡くなった彼女に取り憑くと、時間はなんと死の4分前へ。もうひとつの死者のチカラである“モドル”が発動したのだ。



また、物語上でも、登場人物に忍び寄る死の影、リンネが捜査中のとある事件、犯人たちの狙いなど、さまざまな要素が絡み合い、主人公の死から始まった一連の出来事は複雑な経緯をたどっていく。紆余曲折ありながらも失われた自身の過去に迫っていく物語は、プレイする者を魅了する。
魅力を挙げればキリがないが、独特のテンポ感を持つセリフ、濃すぎるキャラクターたちなど、本作でひと際目を引く要素にも言及しておきたい。主人公はもちろん、ポメラニアンの“ミサイル”から犯人一味、名もなき刑事にいたるまで、彼らの言動はじつにユーモラス。アクが強く、クセになる。

2023年6月30日には、Nintendo Switch、プレイステーション4(PS4)、Xbox One、PC(Steam)用、2024年3月28日にはスマートフォン(iOS/Android)用のHDリマスター版が発売され、本作はより手軽に遊べるようになった。HDリマスター版は杉森氏によるオリジナル曲のほか、『大逆転裁判』シリーズのBGMを手掛けた北川保昌氏がアレンジした37曲などを収録。新規コンテンツも追加され、新たに“ヨミガエッタ”このミステリーアドベンチャーをぜひ体験してみてほしい。
※画面写真はHDリマスター版(PS4)のものです。














