『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた

『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
 EVO2025で『New VIRTUA FIGHTER』Projectとしての対戦映像が流され、東京ゲームショウ2025での解説後、沈黙が続くこと約8ヵ月。ついに新映像が公開された。
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 『
VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』(バーチャファイター クロスロード)と銘打たれた本作の新映像では、東南アジアの架空の街・ヴィラサパラが舞台であることが明らかに。この街で、新キャラクターであるシエロとステラを含む4人の主人公の物語が楽しめる、アクションアドベンチャーと対戦格闘が融合した作品になることも判明した。

 また、シリーズファンからすれば、パイなどの『
バーチャファイター』(以下、バーチャ)作品のキャラクターが登場したこともうれしいニュースだったに違いない。
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 今回、事前にこの映像を見せてもらったうえで、『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のプロデューサー/クリエイティブディレクターである山田理一郎氏にインタビューをさせてもらう機会を得た。映像を見て本稿担当ライターが疑問に思ったことはもちろん、シリーズのファン、アクションアドベンチャーとしての“バーチャ”に注目している方々が気になるであろうポイントに関しても率直に訊き、山田氏に答えてもらった。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた

山田理一郎

『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』プロデューサー/クリエイティブディレクター。コンシューマーでさまざまなタイトルに携わり、『Jリーグ プロサッカークラブをつくろう!6』で初プロデュースを担当。その後は、『D×2 真・女神転生リベレーション』を筆頭とした数々のスマートフォン向けタイトルをプロデュースした。文中は山田。

舞台のスケールはかなりのサイズ感!? ヴィラサパラという街が生み出すナラティブ体験

――“Summer Game Fest 2026”で何らかの発表があるのでは? 本作ですが、物語や主人公、対戦も含む格闘パートなどが明らかになりました。2027年発売ということですので、ある程度方向が定まった感じでしょうか?

山田
 そうですね。以前のファミ通さんのインタビューでお答えしたことにつながるものが形になってきて「これを言っていたんだな」というものが何となくわかっていただけたかと思います。今回の映像はまだ断片的な部分もありますが、お見せしても恥ずかしくないものにはなってきたかな、という感じですね。
――ワクワク感がスゴかったです。

山田
 バトルの部分は、『バーチャ』シリーズのいちばんいいところなので、下敷きにしながら発展させていく必要があるんですけど。ゲーム全体として大きく変えなければならない部分があって、それがシングルプレイかな、と。格闘ゲームという枠を超えたものにしたいと思っていて、それをどう作っていくかを考えています。

 個人的にいちばん嫌なのは、RGGスタジオが作っていることもあって、“バーチャが如く”みたいな捉えられかたをすることでした。だからこそ、その言葉から連想するものとは違う体験ができることを大事にしています。バトルもいろいろ考えなきゃいけないポイントはあるのですが、ストーリーを進めて行くシングルプレイ、アドベンチャー的な部分をとにかく考えましたね。
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――映像ではナラティブ体験と表現されていた部分ですね。

山田
 はい。シナリオを進める体験を、どうやってゲームプレイの中に組み込んでいくかっていうところです。

――なるほど。まずは外枠である舞台についてお伺いします。街の規模感はどれくらいなのでしょうか?

山田
 サイズの話だと、RGGスタジオなのでどうしても神室町が比較対象になるんですけれど(苦笑)。

――大丈夫です! だからと言って“バーチャが如く”的な理解はしませんので(笑)。

山田
 神室町が何個かあるくらいの感じかなと思います。これが大きいと捉えられるか、小さいと捉えられるかはわからないんですけれど。舞台となるヴィラサパラがあるのは半島のような、島のような場所で、そこはかなり大きいです。広大な場所にいろいろなエリアがあって、それぞれのエリアでアドベンチャープレイが楽しめるものと思ってください。
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――わざわざ“エリア”というからには、街じゃない場所も?

山田
 都市部ではない場所もあったりはしますね。ヴィラサパラは東南アジアにある架空の国・架空の街ではありますが、舞台となる場所をしっかり感じられるようなエリアは準備しています。

――きっとエリアのあちこちで問題が起きて、それを解決することにもなると思うのですが、基本的にはバトルで解決していくイメージですか? 映像ではいろいろなスポットがあることは示唆されていましたけれど。

山田
 やっぱり『バーチャ』はゲームの根幹がバトルですから、物語を読み進めるだけではなくて、ゲームプレイとしてバトルを組み込むことになるでしょう。最終的には“適切なリアリティの線引きはしつつ、プレイヤーの皆さんが遊んで楽しいものにする”がポイントになると思います。
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――ときどき遊びの要素もあって?

山田
 そうですね。ただ「ミニゲームがものすごくたくさん!」というものは想定していないです。治安がいいとは言えない街で起きそうな出来事は起きるんでしょうけれど、そこも『龍が如く』シリーズとは違うものを意識しつつ。

――なるほど。映像を見るとチェイスバトル的なシーンもあるようですね。
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山田
 そうですね。シネマティックなシーンの中にゲームプレイを組み込むのは苦労するところでもあって。なので、チームには方針として「バトルに紐付いているほうがゲームとして整理しやすくていいだろう」という話はしていて、それでチェイスバトル的なものが盛り込まれているんです。あくまでコンテンツの一例で、そればかりではないのですが。

――コンテンツはいろいろあるけれど、バトルという部分で一貫性を持たせる感じでしょうか?

山田
 ええ。『龍が如く』シリーズのような幕の内弁当的彩りという感じではなく。バトルをベースにしたコンテンツのよさを活かして、プレイボリュームや楽しさを引き出していければと思っています。

――本作には対多人数のバトルもあるようですしね。そうそう、ひとつ確認したいことがありまして。ムービーシーンでマフィアの一員が武器を持っていましたが、これまでの『バーチャ』と言えば素手での格闘がメインでしたから……武器は演出上のものということでいいのでしょうか?
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山田
 それは場合と相手によるんじゃないですかね?

――うわ! そうなんですか!?

山田
 相手はマフィアですからねえ(笑)。ただ、主人公のシエロが参加するようなトーナメントは格闘技の大会なので、そこに武器を持ち込むのはダメなんですけれど。もしかしたら、武器を持った危ない人たちと戦うこともあるかもしれない。

――リアルだったらそうですよね。

山田
 ただ、この街はマフィア同士の抗争が起きているものの、銃は禁止という取り決めがあるんです。なので、銃を撃ったり撃たれたりということは基本的にないと思ってください。武器を使われるとしても、それ以外のものですね。
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最初に触れられる主人公シエロ。彼のバックボーンは、ボクサーファイター!

――本作は主人公が4人で、しかも全員が初めましてのキャラクターだったのが驚きでした。疑問だったのは、シエロがメインのお話で進んでほかの3人が登場するのか、それとも4人が並列で、独自に物語が進んでいくのかというところです。

山田
 シングルプレイで最初に皆さんの手に触れるキャラクターがシエロになります。
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――ゲームを進めていくと、新たな主人公の物語が解放されていくような?

山田
 そこはまだ言えません(笑)。いま言えるのは、メインシナリオは4人の主人公のお話で進みます、という点だけですね。4人には違う人生があって、違う目的で街に来ている。そして、それぞれの物語が重なったりすれ違ったり。我々としては「物語をどう体験してもらうか」という部分を楽しんでいただきたいですし、いまはそのための設計と実装を進めているところです。

――今回の映像でフィーチャーされているシエロは、どんな格闘技スタイルなのでしょうか?

山田
 彼はMMAが基本になるキャラクターですね。ただ、もともとはボクサーだったというバックボーンがありますので、ボクシングをベースにした技が多いです。何でもありの試合に出ますから、ちゃんとMMA的な動きもするんですけれど。

――映像でもパンチによる攻撃がメインでしたね。
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山田
 ステップワークもボクシングっぽくて。そもそもこれまでの『バーチャ』シリーズは、カンフー映画にすごく影響を受けていた歴史がありました。新しい主人公に相応しいのはどんな人かと考えたとき、もう少し現代的なファイティングスタイルがバックボーンにあるキャラクターがいいだろう、と。

――いま若い子にカンフー映画と言っても、あまり伝わらないかもしれないですし。

山田
 そこで「ボクサーか、MMAファイターかな?」となんとなく考えていました。僕がボクシング好きという影響もありますけれど。MMAはベネッサというキャラクターがいましたが、じつは過去『バーチャ』にボクシングメインのキャラクターはいなくて。それもあって、シエロのバックボーンを決めたところはあります。

 やはり『バーチャ』として新しいスタートを切る以上、新しいスタイルのスターが必要だと思うんです。世の中には多様なファイトスタイルがありますが、主人公のファイトスタイルは何でもいい訳ではない。それなりのリアリティとバックボーンがあるもの中から選んだ感じです。もちろん、並行して過去のキャラクターをどう料理しようかと考えましたけれど。

――登場する既存キャラもけっこう明らかになりました。(結城)晶とウルフ、パイ。サラとそっくりなステラもいますが、彼女は主人公扱いでした。あと、映像をよく観るとジェフリーの名前が入っていたりもしていて。
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山田
 よく見てますね。

――もっと言えば、中国マフィアと格闘場で揉めるシーンに少しだけ映った、重要人物っぽい銀髪の女性も一瞬「ベネッサか!?」と思いましたけど……違いました。既存キャラもサラかと思ったらステラだったり、ウルフが髭モジャだったりとかなり容姿が変化しているので、出てくる全員が怪しく見えてしまい。

山田
 (笑)。デザインが変わっている既存のキャラクターたちは、“時が経ってどうなっているのか”をイメージしました。それに対する“答えの方向性”を、今回の映像で観ていただけたかと思います。

過去キャラと主人公たちが交わる道。誰が登場するの? 残りの主人公のファイトスタイルは?

――確認しておきたいのですが、本作はこれまでの『バーチャ』、つまりデュラルがいた世界線の延長線上にあるものだと思っていいのでしょうか?
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デュラルはシリーズのボスキャラとしておなじみ。金属的な体を持ち、さまざまなキャラの技を使いこなす。画像は『バーチャファイター5』のもの。
山田
 そうです。デュラルは秘密結社“J6”が作った改造人間で、それも設定である以上欠かせないものですからね。そのあたりも含めて物語をモダナイズする必要があると感じました。時を経て、J6という組織はどうなったのか、デュラルはどうなったのかという部分に関して、僕としては結論を出したつもりです。また、各キャラクターの関わりについても僕なりに再解釈しました。

――シリーズファン的には楽しみな部分です!

山田
 ひとつ言えるのは、寺田克也さんが描かれた漫画『VIRTUA FIGHTER2 TEN STORIES』にインスパイアされた部分があるということですね。寺田さんがキャラクターに色付け、肉付けをされて描いているのですが、やっぱりかっこいいんですよ。

 ただ、作品のかっこよさも80年代から90年代の映画テイストが影響を及ぼしているものだったりして。いまは時代が違い過ぎるので、そこをどう解釈して、どうやって現代のイケてるものにするかということに挑戦しています。

――設定による制約も少なからずありそうです。

山田
 じつはそうでもないんですよ。『バーチャ』はわりと細かいことが決まっていなかったので、余白がすごくある。だから、「こんなのをやったらおもしろいよね!」と広げていくことは難しくなかったです。逆に、広げたものを整理するほうがたいへんでした。

――おもしろいとはいえ、ファンタジーになりすぎても……ですしね。

山田
 そのあたりはけっこう難しいんですよね。リアリティのある話ではあるけれど、完全に嘘がないものにはどうしてもできない。その中で、皆さんにどうリアルさを感じてもらえるかが大事だと思って考えています。
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山田
 たとえば『龍が如く』だって、いくらでもツッコミどころはありますよね? それでも成立させられているのは日本映画やVシネマっぽい一線、リアリティラインを超えていないから納得感があるんです。アメコミ映画なんかも同様ですよね。『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』に関して言えば、海外ドラマや洋画的なリアリティラインを設定しているので、それを感じてもらえればいいなと思います。

 ひとつ言えるのは、これまでのシリーズ作でしっかりとしたストーリーを積み重ねたわけでもないので、『バーチャ』ファンの方が入りづらいことはない、ということ。

――たしかに。むしろ「初めてガッツリ描かれるぞ!」くらいの感覚かもしれません。

山田
 逆に本作から遊んでいただく方から見ても、主人公は新しい4人ですから、以前のことを気にしなくて大丈夫です。4人のストーリーラインを追っていけば、自然にこれまでの『バーチャ』の世界や各キャラクターの関係性がわかると思いますし。

――なるほど。いやあ、いいですね。どんな話が展開していくんでしょう? とりあえず、残りふたりの主人公の名前くらいは早く知りたいですね。

山田
 いいタイミングで紹介したいと思っています。4人はそれぞれ、お話のトーンや狙いがけっこう違いますね。バリエーションがあるお話になっているので、誰かしらは気に入っていただけるようなキャラクター、あるいはお話があればいいなと思っているので、期待してください!

――そもそも4人とも見た目の方向性がぜんぜん違うので、ファイトスタイルの予測も難しそうですね……。今回判明したシエロと、過去キャラクターのサラ的な容姿なので、スタイルを察することができたステラ以外は……どうやって戦うんでしょう?
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とくに右端のキャラクターはシュッとした雰囲気。ガチガチの格闘技バトルに参加するように見えないと思った人は、筆者だけではないはず。
山田
 それは追々発表しようと思っています。キャラクター造形で言うと、これまでの『バーチャ』は技そのもの……動きや、流派のようなものをルック(キャラクターの特徴を象徴するもの)にしている人物も多かったので、ファイトスタイルは比較的わかりやすかったです。ただ、今回は設定やバックボーンを大事にしています。

 たとえばボクサーファイターのシエロには、よく見るとボクサー的な記号があります。ただ、それよりも大きな記号にしているのが、そのキャラクターのアイデンティティや生きてきた背景、現在の状況、好きなものなど。このように、シリーズで初めて深くキャラクター設定を深掘りしてキャラクターデザインに落とし込んだことは、『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のポイントかもしれません。

 これが受け入れられるのかどうかは、僕にもわからないんですけれど。ただ、我々としては「いまはこれがかっこいいんじゃないか」と思ってキャラクター造形をしていますし、晶やウルフと同じ世界の人として表現しています。
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ポスタービジュアルのような雰囲気になっているこの画像は、キャラクターセレクト画面。デザイナー入魂の作。
――ちなみに、いま登場することが確認されている主人公4人と過去キャラは、対戦モードなどで使えるプレイヤブルキャラクターだと思っていいのでしょうか?

山田
 いま姿が見えている人は使えます。そのほかの過去キャラがどうなっていくかは、今後かなと思っています。あんまりたくさんのキャラクターがいても……という。

――みんないたらうれしいですけれど……。

山田
 『バーチャ』は1キャラクター当たりの技数が多いこともあって、バランス調整がたいへんなんです。キャラクターひとりひとりを使い込めるし、やり込んで対戦できることが『バーチャ』のいいところなのですが、楽しく戦ってもらうにはバランス調整がとても大事。そこを重視したいと思っているので、キャラクターを闇雲に増やせないなと感じています。どれくらいの人数の過去キャラを、どういう順番で用意するのかという部分は、もう少しお待ちいただきたいですね。
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トレーラーには壁面に描かれたキャラが動き出すシーンが収められている。ジャッキーらしき姿もあるため、実装を期待してしまう。

操作はどうなる? コントローラーでも遊べるの?

――映像には、コントローラーで遊んでいるシーンがありました。本作は基本的にコントローラーで遊ぶ前提のもの、というイメージでいいのでしょうか?
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
山田
 ちょっと言いかたが難しいのですが、家庭用ゲーム機で出るという時点で、コントローラーで遊べること、遊びやすいことは絶対やらなければならないことだと思っています。それを踏まえて、操作系は見直しているところです。ただ……これも伝えかたが難しいのですが、クラシックかモダンか、みたいな話もよく聞かれるわけです。

――いまはそういう質問も多そうです。

山田
 ただ、そもそも『バーチャ』にはあまり複雑なコマンドはなくて、言ってみればモダンタイプのゲームだったんです。レバーと3ボタンで遊べるところからスタートしているし、それがベースなので。操作に関しては入りにくい要因はなかったと思います。だからこそ当時格闘ゲームをやったことがなかった人もゲームセンターに来て遊んでいたわけで。もともと操作系が複雑なゲームではなかったです、ということは強調したいですね。

 ただ、これまでの『バーチャ』はゲームセンターのスティックで遊ぶことを前提に作られた入力形態ではあるので、そこは見直そうと思っています。もちろんアーケードスティックで遊びたい方もいるでしょうから、そこはフォローするつもりですけれど。

――そのあたりが、映像で語られていた“操作もバーチャ的である”という部分ですか?

山田
 はい。パンチボタンを押したらパンチが出て、キックボタンを押したらキックするシンプルさ。直感的な部分が大事ですし、触って気持ちいいことも大事。これは守っていきます。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
――基本操作は簡単に。ただ、うまくなるため、勝つためには読み合いやフレームの奪い合い、正確な操作は必要になりますけど。

山田
 対戦で勝とうとなると、ちょっと考えかたは変わりますよね。まずは、シングルプレイを重視して。初めて遊んだ方でもスムーズに遊べるところを大事にしますし、そういう風に作っていくつもりです。

――シングルプレイで遊んでいくことで操作に慣れるし、対戦も同じ操作方法だから楽しめる……という流れにしていきたい?

山田
 そうですね。シングルプレイで遊んで、その後に対戦に行くというのが自然な流れだと思うんです。もちろん、すぐに対戦を楽しみたい人は歓迎しつつ、そうじゃない人たちにも幅広く遊んでもらいたい。何ならシングルプレイを主な目的として遊んでもらってもかまいませんし、その先で対戦に興味を持ってもらえたらうれしいなと。

 もし対戦に行き着いたとしたら、操作がシングルプレイと同じであることは必須です。対戦時のルールは少し違うかもしれないけれど、同じフィーリングで遊べる。このように、とにかくゲームに触っていれば上達するというサイクルは、本作で絶対やらなきゃいけないことだなと思っています。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
――なるほど。ひとまずの到達点がストーリークリアーという感じでしょうか。

山田
 そうですね。ちゃんとエンディングもありますし。ただ、すべてをちゃんと遊ぼうと思ったら、けっこう時間がかかると思います。

――少なくともストーリーを遊んでクリアーすれば、主人公の4人はある程度上達した状態になるでしょうから、その気になれば対戦でさらに無限に遊べそうです。

山田
 あと、シングルプレイというのはストーリーモードだけとは限らないですよね? だからわざわざシングルプレイと言っているんですけれど。

――あー! なるほど。まだ言えないっぽい気配ですが、そこも期待しちゃいます。

山田
 最後まで隠し通すような話でもないんですけれど、ストーリーを遊ぶ以外のひとりで遊べるものもシングルプレイですよね、という。ストーリーを終えたらゲームが終わりというわけではないですし、そこで「こういうプレイをやってみたい」と思ったものに応えられるようなものを準備したいと思っています。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
山田
 もちろんストーリーは本作の重要な要素です。ですが、ゲームプレイというものはトータルですからね。シングルプレイのほかの要素も含め、買っていただいた方々にしっかりとしたプレイボリュームを確保して、飽きないようなゲームを作るのが僕の目標です。

――それが何であるかはまだ言えないけれど!

山田
 皆さんが想像しているようなものかもしれないけれど……どんなものを想像されているかわからないですからね(笑)。ただ、長く遊べるものにはなります。僕自身が永遠に遊んでいられるようなゲームが好きなので、そういうものを目指したいと思っています。

シナリオや設定に超豪華布陣を展開。彼らが紡ぎ出すナラティブに期待大

――錚々たる顔ぶれが開発に参加されていることも明らかになったわけですが、それぞれどんなお仕事をされているのか、教えていただけますか。

山田
 ストーリーモードを作っていくとなったとき、最初に僕が大まかな設定を考えました。その後、どういう街が舞台で、どんなカルチャーがあって、いつくらいの話なのかというのを決めていく段階で、古田(※1)に入ってもらって。ストーリーのプロットは彼を中心に作っていくことにして、最初に主人公は4人で、こういうキャラクターがいて……というところまでを決めました。
※1 古田剛志氏:RGGスタジオ所属のシナリオライター。『龍が如く』シリーズや『JUDGE EYES』シリーズの脚本や演出を担当。
山田
 その後、ライターのオーディションというか、トライアルのようなものを実施しまして。そこにBradさん(※2)がいたんです。というかDavid Haterさん(※3)もいて、ちょっとビックリしたんですけど(笑)。Davidさんは、とあるつながりがあって参加してくれたみたいで。
※2 Brad Kane氏:ゲームのほか、映像作品も手掛ける脚本家。代表作として『As Dusk Falls』 (Lead Writer) 『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』 (Writer) 『You vs Wild: Out Cold』 (Writer/Co-Producer)がある。 ※3 David Hater氏:映画を中心に手掛ける脚本家。映画『X-MEN』や続編の『X-MEN2』、『ウォッチメン』などの作品を手掛けた。『メタルギア』シリーズ英語吹き替え版のソリッド・スネークの声優としても知られている。
――すごい!

山田
 そのトライアル的なものを経て、今回の作風に近いのは、やっぱりBradさんかな、と。人間性やドラマをしっかり描ける方なので。プロット自体は古田くんが書くのですが、Bradさんが見ておかしなところは日本側のライティングチームと調整しつつ、メインのライティングを任せています。めちゃくちゃたいへんそうですけれど、いいものが上がってきていると思います。

 僕の考えた世界観は日本人が書いたものなので、ワールドワイドの人が見たときに「これ変じゃない?」みたいなことが起きるかもしれない。そう思ってHaterさんにも世界観についてのアドバイスをお願いすることにしました。彼はハリウッド仕込みの方なので、見せかたに関してはいろいろな意見を持っていて。アメコミを得意としている背景もあるので、「キャラクターをどう見せるか、主人公はこういうアクションをすべき」といったところは強く言っていただけました。

 とは言え、BradさんやHaterさんの指摘通りに必ずしも直すわけでもなく。意見を交換しながら、お互いに尊重しあっています。もちろん、彼らの指摘になるほどと思うこともありますしね。コミュニケーションを取りながら、いいアウトプットができていると思います。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
――豪華ですねえ! 山本さん(※4)は、途中からの参加ですか?
※4 山本眞司氏:『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズや『真・女神転生IV』、『ペルソナ』シリーズに携わる。『ペルソナ5』ではシナリオプランナーを担当した。
山田
 そうです。山本にはキャラクターの設定周りで、深く掘ったりする部分を担当してもらいました。山本からは、「主人公としての動きにこういうものがないと、プレイヤーの皆さんが共感できないんじゃないか」みたいな指摘をもらって。そういう視点はおもしろいですね。

――作りかたがワールドワイドですね。世界に打って出るぞという覚悟も感じます。

山田
 正直、日本が舞台で日本のことを描くなら、我々だけでできたとは思うんですけれど。格闘ゲームは多国籍なキャラクターが出てくるじゃないですか。それをイマドキのものにしていこうと思うと、日本人だけで作るのは難しいんじゃないかなと思っていて。

 舞台を東南アジアに設定したのも、いろいろな人が集まってきてもおかしくない場所という理由からです。そうやって作っていくと、やっぱり海外の方の知見も借りないと……子どもっぽいものになってしまう可能性があると思いました。映像を観ていただいたのでわかると思いますが、けっこううまくできたと思います。

――個人的には、パイの登場シーンがいちばんシビれました。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
山田
 そこは僕が最初の企画書を書いたときから決めていた部分です。年齢を重ねたパイが出てきて、映像の締めになるというところはどうしてもやりたかったので、守ってもらいました(笑)。

――なるほど。思ったより若々しかったです。

山田
 パイはそもそも女優ですから、美容にもちゃんとお金をかけているはず。そこが僕なりのリアリティラインなんですよね。アピールのためにヘンに歳を取らせることもないんじゃないかと思うんです。彼女は姿を隠してこの街にいたわけですが「化粧をしてない彼女はこのくらいかな」という想像をして。ただ、パイは童顔なので、きれいに歳を取らせるのが難しかった。デザイナーはわりと苦労したと思います。

開発の鍵はやり手とベテランが握る。発売前に触れる機会が訪れるかも?

[B]――今回そういったデザイナーの中心になっているのが、映像にも登場しているアートディレクターの柴崎亮さんだと思うのですが、どんな経歴の方なのでしょうか。

山田
 柴崎は、長いあいだAM2研(アーケードゲームの製作チーム)にいたんですよ。たぶん、鈴木裕さん(※5)とも仕事をしていたと思います。そのころは『シェンムーII』を作っていたかもしれないですけれど。
※5 鈴木裕氏:『バーチャファイター』を作ったレジェンドクリエイターで株式会社YS NETの代表取締役。『ハングオン』、『スペースハリアー』、『アウトラン』などを送り出し、体感ゲーム機の一大ブームを巻き起こす。『バーチャファイター』以降は、家庭用作品として『シェンムー』などを開発した。
 その後は、『バーチャ』シリーズや『ボーダーブレイク』など、けっこういろいろなことをやっていて。今回いっしょに仕事をするのは初めてなんですが……すごいっすよ。

――と、言いますと?

山田
 僕がいままで仕事をしたなかで、いちばんデキる人です。そんな彼が、「こういうものを作りたい」と言ったときにだいぶ乗ってくれました。CES2025で本作のコンセプトムービーを公開したと思うんですが、1ヵ月半くらいの短い期間であの映像を用意してくれたりして。

――仕事が早い!

山田
 もともと映像畑出身ということもあって、見せ方のアイデアの引き出しが多いんです。絵作りがうまいというか。彼の作る絵は『龍が如く』シリーズとは違ったものになっていると思いますし、僕としては仕事を安心して任せられる人です。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
――ちょっと納得したのは、ゲームセンターのゲームは一瞬で引き込んで、お金を入れてもらえるようなデモ映像が必要になりますよね? それがコンセプトムービーにはあったと思うのですが、それは柴崎さんがAM出身だからなのかな? って。

山田
 それはそうかもしれないですね。最初の企画段階でも映像から入るのがAMのカルチャーだと思いますし。そういった面でも、柴崎が自分の引き出しからけっこう出してくれたんじゃないかなとは思います。


――そして、バトルディレクターを担当されているのが、東京ゲームショウ2025のステージイベントにも登場された武田洋介さんですね。

山田
 武田はもともとサウンドの人なんですよ。ただ、自分自身もかなり『バーチャ』をやり込んでいて、『バーチャ』がやりたくて『バーチャファイター3』くらいからプログラマーに転身したという。

――すごい経歴ですね。

山田
 昔はそういう人、けっこういましたよ。もう退職されましたけど、ドラゴンエンジン担当していたあるプログラマーの方は、もともとデザイナーだったんです。でも「プログラマーの説明に納得できないことがあって、その悔しさからプログラムを勉強した」と言っていましたから。

――なぜだかわからないけど、セガっぽいかも。

山田
 いまはちょっと違いますけれど、昔はそういうノリがあったんです。もちろん武田も鈴木裕さんといっしょに仕事をしていて。けっこう振り回されたんじゃないかなと思います(笑)。

――たいへんだったかもしれないですが、プレイヤーとしても作り手としても、がっつり『バーチャ』に関わっていたわけですね。

山田
 僕自身、格闘ゲームを作るのは初めてということもあって、『バーチャ』にとって何が大事なのか語れる人がディレクションをしてくれないと困るんです。僕はいろいろなものを変えようとする人間なので、バトルディレクターには「ここだけは絶対に譲れない」という信念を持っていてほしかった。

 あと、アクションゲームはモーションチームとプログラマーが職人的な技術で作るもので、言語化されていないけれど大事なことがメチャクチャあるんです。それがわかっている必要もあったので、武田にお願いしたという流れです。プログラマーなので、最終的にケツを持ってくれるという点でも助かりますね。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
――そんな武田さんが映像の中で“リアリティの追求”について語られていました。ただ、『バーチャ』的なリアリティというのはちょっと特殊だと思うんです。具体的には、技がきれいにヒットしても銅鑼のような音がしないし、人間はあんなに高くジャンプできないし……。エフェクト的な演出はありますよね?

山田
 そうですね。

――本作では、そのあたりもリアル寄りになるということなのでしょうか?

山田
 リアル寄りかどうか……ですか。ちょっと言い方は難しいんですけれど、初期の『バーチャ』にはスタイリッシュなかっこよさがありました。その後、シリーズを重ねてグラフィックはリッチになったけれど、スタイリッシュさの衝撃みたいな部分は徐々に薄れていった気がしています。

 本作でリアリティを大事にすると言っていますが、それは我々が設定したリアリティラインの中で、かつて感じたスタイリッシュさをどう出していくかという点につながります。先程お話されたエフェクト的な演出の話であれば、ひとつひとつを見て、リアルかどうかではなく、スタイリッシュに見えるものを目指したい。結果、それが“飾らないかっこよさ”みたいに見えるように。自分でスタイリッシュって言うと、ちょっとかっこ悪いんですけれど。

――(笑)。初期の『バーチャ』には“飾らないカッコよさ”があったというのはわかりますね。
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた
ほかの格闘ゲームとは異なる印象を受けていた人も少なくないだろう。この画像はセガサターン版『バーチャファイター2』のもの。
山田
 少なくとも、僕が思う『バーチャ』のユニークさ、アイデンティティには、“飾らないかっこよさ”が必要だと思っています。RGGスタジオが手掛けるとなったら、なおさらですね。エンタメの枠内ではありますが、人のリアリティを大事にしてきたスタジオだと思うので。

――わかりました。時間も迫ってきたので、最後の質問です。今回の映像で、ストーリーやシングルプレイ、アドベンチャー的な部分をしっかり作っていることは伝わりました。一方で、対戦格闘の部分がどうなっているか気になっている方も多いと思うんです。そういう方を、山田さんの言葉で安心させていただけるとうれしいのですが。

山田
 そこはちゃんと両立させるために作っていますからね。『バーチャ』を知らない世代の人たちにも触ってほしいと思っているので、何よりも操作の気持ちよさと、誰でも遊べる気軽さは絶対に担保しなければならない。そのうえで、奥深さをどう出すかという勝負だと思っています。なので、事前に「これでどう?」と触れてもらうような機会もあるんじゃないかと思います。そのフィードバックは大切だと思いますし。

――おお! それは楽しみです。

山田
 新しいチャレンジなので、触っていただいて評価してもらうしかないですよね。言葉で「ちゃんとできています」とか、「安心してください」と言うのも違うと思うので。

――続報を待ちつつ、触れる機会を待ち望んでいます!
『バーチャファイター クロスロード』インタビュー。アドベンチャーと対戦格闘の融合とはどういうことか。主人公は4人でパイやジャッキーの姿も。気になることを山田Pに全部訊いてみた

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