発売から約2年半。ついに2026年5月13日、PC版とNintendo Switch版の累計販売本数10万本突破が発表された、インディーゲームファンの間で広く長く愛され続けるアドベンチャーゲームだ。
永遠のファミレス“ムーンパレス”へようこそ

文学的なタイトル、黄色やミッドナイトブルーといった少ない色味で構成された味わいあるビジュアル……たったそれだけの情報に触れるだけで、引力が働いたかのように本作に惹かれる人は多いのではないだろうか。
2時間ちょっとあればクリアーできてしまう内容だが、物語が緻密でプレイすれば必ず心に残る本作。その魅力を紐解いていく。
こんなに月が綺麗な夜はファミレスに行こうかな





注文したものが運ばれてくる気配がまるでない。周囲をよく見ると、店内の雰囲気が何か違う。
ファミレスで出会う先客たち


かつて存在したフォースプーンという小国の王様。誰かに逃がされてムーンパレスへとやって来た。
ガラスパン
数千年前からムーンパレスにいると語るデザイナー。ラテラという名の女性と同棲していたらしい。


大学の図書館で働いている男性。観察眼に優れ、人の言動をよく見ている。趣味はTRPG。
ツェネズ
ムーンパレスの最古参。ドアの向こうに隠れ、姿を見せようとしない。いつも何かにおびえている。
気づくとそこは、不思議なファミレス
あなたは、このファミレスへやってきた5番目の客。つまり、4人の先客がいます。彼らの目、見てください。目を閉じていたり、横を向いていたり。目線が交わりません。なんだか拒絶されているような感覚に陥りますが、大丈夫。大丈夫です。
【話題】をもとに会話を重ねていくと距離が縮まっていきますから。そのうち彼らの心の柔らかい部分に触れることができるでしょう。このゲームは“人狼”のように嘘を暴くものではありませんので、彼らが誠実であることがすぐにわかるはずです。でも、それゆえに何か不可解なのです。
なぜ生きる時代が違う人がいるのか、なぜドアの向こうに隠れたまま姿を現さない人がいるのか……。まあ、考えてもわからないので、ひとまず【ドリンクバー】で好きな飲み物でも飲んでください。どれも聞いたことも見たこともない飲み物ばかりですが。コーヒー? 残念ながら機械が壊れているようです。

見てはいけないものを見てしまったような、不思議な感覚。爽快感なのかもしれません。いずれにしても、一度本を読んでしま
ったらもう引き返すことはできません。後戻りはできないのです。ああ、これが不可逆的な体験というのでしょうか。この感覚、とても気持ちがいいものです。とぷとぷと笑ってしまうくらいに。こぷこぷと笑ってしまうほどに。
考察が好きな人はますます魅入られてしまうでしょう、つるりとした【月】が照らすこの永遠のファミレスに。

そこに触れたとき、あなたは衝撃を受けるでしょう。これまで知り得たものが大きなものの片鱗でしかなかったことに。この世界観がいかに緻密に構築されているかということに。あまりの衝撃にどろどろになってしまうかもしれません。
まるで、純文学の世界に漂っているような心地よさがあります。哲学書かもしれません。大丈夫、時間は十分あります。好きなときにこのファミレスを享受しに来てください。
あなたには【話題】が必要です

話題が尽きたら、席に戻ってぼんやりすることも大事。そのうち新しい話題が浮かんでくるかもしれない。

どこか達観しているキャラクターたち。会話を重ねることで、少しずつ自分の過去や価値観を語ってくれるようになる。
【ドリンクバー】だってある




これは……【間違い探し】の本だ


本当に【月】?

【クリアー後】が真骨頂
後者は本編では語られなかったキャラクターたちの解説があり、これを読めば作品の世界観に圧倒され、また最初からプレイしたくなること間違いなし。

ファミレスを享受せよ
- プラットフォーム:Nintendo Switch、
- 発売元:わくわくゲームズ
- 発売日:2023年8月1日
- 価格:1500円[税込]
- ジャンル:アドベンチャー
- 対象年齢:IARC 7歳以上対象
- 備考:ダウンロード専売、Nintendo Switch版は2023年11月15日発売 開発:月刊湿地帯













