ただ石を積むだけのゲームや犬と猫の像をなでるゲームなど……“これはゲームなのか?展3”が開催。いままでにない感情を思わず揺さぶられる!? ゲームの可能性は無限大であることがわかる!?

ただ石を積むだけのゲームや犬と猫の像をなでるゲームなど……“これはゲームなのか?展3”が開催。いままでにない感情を思わず揺さぶられる!? ゲームの可能性は無限大であることがわかる!?
 現在好評開催中のSHIBUYA GAMES WEEK 2026(シブヤゲームズウィーク 2026)ではさまざま催しが行われており、渋谷駅に直結しているShibuya Sakura Stageの404 Not Foundで“これはゲームなのか?展3”が2026年2月11日からついにスタート。同所で行われているBitSummit the 13th Award Selectionについても取材してきたので、併せてリポートしよう。

 SHIBUYA GAMES WEEKは、渋谷のあちこちでさまざまな催しが行われている都市型ゲームフェスだ。イベント全体の概要や、メインスポットとなる“PARCO GAME CENTER”については、下記記事を参考にしてほしい。
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“これはゲームなのか?展3”にはオープン直後からたくさんの来場者が! 出展されていた19作品はいずれも遊ばれている印象だった。

新たな気づきやいままでにない感情を揺さぶられる!? “これはゲームなのか?展3”

 さまざまなスポットがあるSHIBUYA GAMES WEEK 2026の中でも、ちょっと異質な存在となっているのがこの“これはゲームなのか?展3”である。参加しているクリエイターはボードゲームデザイナーが中心で、現代アートとゲームの中間のものを目指して作られたものばかりだ。“これはゲームなのか?”という展名の通り、「いま自分が体験しているものは何なのだろう?」と思わず自問自答したくなるものが多い。

 会場では19作品ほど展示されていたが、実際に触ってみて印象に残った3作を紹介しよう。

『#河原にて』は石に触れて積んで崩すゲーム!?

 オインクゲームズの『#河原にて』は石を積むゲームで、それ以上のルールは何もない。ただ積んでいると無意識に「もっと高く積みたい」「もっと細い塔みたいにできないか」「真ん中に大きく積み上げたい」など、自分の中でいろんなルール(感情)が自然と生まれてくる。
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 これを作ったオインクゲームズ佐々木隼氏によると、石は買ったり拾ったりして40kg以上集め、その中から積みやすい石を選んで持ってきたという。細かくいろんなルールがあってもいいものだが、あえてそぎ落としたそう。ただひたすら積むという行為をしていく中で、気がつけばいろんな感情が生まれてきた。

 確かに「これはゲームなのか?」と思いつつ、気がつけばゲームっぽいルールを自分で生み出していた体験だった。

神仏や像を撫でたくなる感情を作品化した『撫物(なでもの)』

 デザインユニット“daitai”による作品は『撫物(なでもの)』。犬と猫の像が置かれているのだが、これをひたすらなでるだけ。なでるためのアイテムも用意されており、封筒を開けると中から紙や布などが出てきて、それで像を拭くことができる。
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 犬と猫のどっちの像が触られる(磨かれる)のか、どの部位がいちばん触られるのか。筆者は気がつけば犬の頭をなでていた。犬派だということもあるが、とくに鼻筋あたりがいちばん触られていたので、何となく自分もそこを触ってしまった。誰もが触るから自分もそこを触ってしまったのだろうか……と思わず自問自答。触られた結果、最終的にどんな姿になるのかとても楽しみだ。

 「これはゲームなのか?」はもちろんだが、なぜ人は像を触りたがるのか、さらに言えば犬派猫派と分かれるのか。なんとなく信仰について考えたくなる体験だった。

『生き死に骰子』は生と死を彷徨うダイスゲーム

 『ぷよぷよ』や『はぁって言うゲーム』でおなじみの米光一成氏の作品は『生き死に骰子』。6面ダイスを6つ一斉に振ってその結果を楽しむ、というもの。ダイスは1面だけ“死”と書かれており、残りはすべて“生”が書かれている(ひとつだけ“死”がふたつあるダイスあり)。6つのダイスすべてが“死”となる確率は23328分の1。米光氏曰く、「会期中、5秒に1回振れば出るかどうか」「おそらくギリ出ないくらい」とのこと。
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 基本は全部“生”が出ることが多く、その場合は「ああ、生きててよかった!」という気持ちになる。だが、ひとつでも“死”が出ると「いっそのこと全部“死”になってほしい」と願っている自分がいる。それは単に確率が低いものを出したいという気持ちからなのか、それとも……!?

 「これはゲームなのか?」というより、自分が死ぬとき「どうありたいか」という人生観を真剣に考えてしまう体験だった。

 そのほか展示されていたゲームをいくつか紹介しよう。
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『Wobble』(itten作)は展示されている生き物の写真に記されている色のパターンをスマホに入力。あえて少し間違えて、そのゆらぎを楽しむ。
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『記憶喪失の女』(安藤耀司〔なの〕作)は、モニターに映し出された女性と会話して付箋にメモを残し、彼女について考える、というもの。リモート越しに女性が受け答えをしている。
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『チェルシー・ホテルの芸術家たち』(Atelier Mimir作)は、画家や音楽家など多くの芸術家が活動してきたホテルを眺め、街ゆく人々の会話から彼らの逸話を読み、かつてここに住んでいた人物を想像して楽しむ。
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『リヴァイアサンのゲーム』(朝戸一聖〔TANSAN〕作)は、展示テーブルの上に自分の財布を置いて、財布を視界から外してほかの作品を楽しみつつ、盗まれちゃうんじゃないかという不安を感じながら過ごす作品。みんなびっくりするほどここに財布を置いていた。

“これはゲームなのか?展”主催者ニルギリ氏インタビュー「現代アートとゲームのあいだには多くの可能性がある」

 今回で3回目となる“これはゲームなのか?展”、主催の“するめデイズ”所属のニルギリ氏に本展示会を始めるようになったキッカケや、7年ぶりの開催となった経緯を聞いた。
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主催のニルギリ氏。会場のメインスクリーン前で撮影したのだが、じつはこの映し出されているものも展示作品のひとつ。ぜひ会場で確認してほしい。
――このイベントはどういった経緯で企画されたのでしょうか?

ニルギリ
 自分が発案して、みんなに声をかけて回ったというのがきっかけになります。

 いちばんの動機として、まず自分自身が現代アートを好きなんです。いろいろな展覧会を見ていたとき、ゲーム的な作品があるなと思っていたんです。ジェンガやチェスっぽいものとか、そうしたゲームのルールを流用しているものがかなりあるな、と。

 自分はゲームとアートのあいだに大きな可能性があると思っています。現代アートの作家さんたちがゲーム的なアプローチをしているなら、われわれゲームクリエイターもそれに対してアンサーすべきだろうと思ったのがキッカケです。

 この展示会を始めるにあたって、話をわかってくれそうなクリエイターさんに声をかけて、第1回(2018年)は10組でスタ-トしました。

――第2回は2019年に行われて、今回は7年ぶりの開催となりました。これだけ期間が空いてしまったのは何か理由があったのでしょうか?

ニルギリ
 かなりの赤字になってしまったことが原因です。第2回が終わった後に、3ケタ万円くらいのマイナスになってしまって。ある程度の規模を維持しつつ、お金の問題がクリアーになるような方法はないかと模索していたんです。

 そんな中、今回SHIBUYA GAMES WEEKのほうから声をかけていただいて、開催できることになりました。

 主催スタッフの方が熱心に推してくれたらしくて、“これはゲームなのか?展”は意義あるから開催すべきだとおっしゃっていて、その熱意もたいへんありがたいと思っています。

――今回は19組が出展していますね。

ニルギリ
 第1回からずっと参加していただいているところもありますが、今回はゲームよりもアート寄りの作品を増やしたいなと思っていました。

 会場がそれほど広いエリアではないので、45分で50人を回す計算でいくと最大で1日500人程度、おそらく350人から400人くらいが限界そうです。出展規模は最大なのに、体験できる人が少なくなってしまうのはちょっと申し訳なく思っています。

 今回、本当はもっと外に出て遊ぶゲームもやってみたかったんですよ。木原共さんによる
『迷子になるゲーム』(クルマで未知の場所に降ろされ、スマホを封印された状態で街を彷徨う体験型ゲーム)以外は全部会場内で遊ぶものだったので、どうしても入場制限する形になってしまいました。

――街中で体験できるゲームなら、確かに会場は必要ないですね。

ニルギリ
 単純に自分の好みなのですが、実際の街とインタラクトするようなものをもっとたくさんやってみたいですね。今回、SHIBUYA GAMES WEEKさんからお話をいただいて404 Not Foundという会場で開催となりましたが、もしこの話がなかったら会場を使わずに外で遊ぶゲームだけというのも考えていたんです。外でやるなら場所は渋谷がいいなと思っていました。渋谷は『街』や『428』のようにゲーム文脈がある場所ですし。

――本展示会の見どころを教えてください。

ニルギリ
 体験型コンテンツが好きな方にはぜひ来ていただきたいですね。デジタルゲームやアナログゲームにあまり興味がない人なら、「ゲームってけっこうおもろいじゃん!」となってくれるのが理想的です。もちろんゲームが大好きな人も大歓迎ですので、ぜひお越しください。

BitSummitのアワードタイトルが遊べる! BitSummit the 13th Award Selection

 そして404 Not Foundで開催されているもうひとつのイベントが、“BitSummit the 13th Award Selection”だ。2025年7月に開催された“BitSummit the 13th”に出展したインディーゲームの中から選ばれるアワード受賞作品から5作品と、クリエイター支援基金“ars●bit”(アーソビット)から2作品が展示されていた。意欲的な作品ばかりなので、触れたことがない人はぜひ体験してみてほしい。
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『Flip Panic!』(ソフトウェアコントロール)は16個×16個=256個のボタンを使ったふたり対戦による陣取りゲーム。
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『CÔGEIMU』(ars●bit GameArt プロジェクト)は空洞になっている目の部分からのぞき込むようにしてゲームを遊ぶ。アートとゲームの境界を融合させることを目指した作品。
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 “これはゲームなのか?展3”はゲームという概念がひと回りもふた回りも大きくなる印象だし、BitSummit the 13th Award Selectionはどんどん新しいアイデアが出てくるインディーゲームタイトルの勢いを感じることができた。404 Not Foundで体験したふたつのゲーム展示会は、広い意味でゲームの可能性を感じられる催しになっていたように思う。

 “これはゲームなのか?展3”は2月11日~15日まで開催中だ。