多くの人を虜にしたミステリー
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『ポートピア連続殺人事件』は、エニックス(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミコン初のアドベンチャーゲーム。もとは1983年にPC版として発売された作品で、その後さまざまなPCに移植され、1985年にファミコンでのリリースにいたった。シナリオ、グラフィック、プログラムのすべてを、『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親として有名な堀井雄二氏がひとりで手掛けていることでもおなじみ。なお、ファミコン版の開発元はチュンソフトとなっている。
少し話が逸れるが、今年(2025年)11月3日に堀井雄二氏が旭日小綬章を受章した。旭日小綬章は、国家または公共に対し功労のある者に授与される勲章であり、ゲームクリエイターとして初の叙勲となる。その報せに日本中がお祝いムードに包まれた。
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“ローンやまきん”の社長“やまかわこうぞう(山川耕造)”の死体が、自身の屋敷で見つかった。遺体の第一発見者である守衛の“こみや(小宮)”と秘書の“さわきふみえ(沢木文江)”を聴取すると、耕造が密室で死んでいたことが明らかになる。何者かに殺害されたのか、はたまた自殺なのか。やがて耕造と金銭的な繋がりがあった“ひらた(平田)”、“かわむら(川村)”という人物が捜査線上に浮かび……。
ゲームの全容を知っている人は多いと思うが、すべて書くのは野暮なのでここまで。
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前述の通り、本作はファミコン初のアドベンチャーゲーム。表示されるコマンドを選択して行動をしていくというスタイルに、まだ子どもだった筆者は衝撃を受けた。最適解がわからず苦戦した覚えがある。そうしてむやみやたらに“たたけ”や“たいほ しろ”を連打したりもした。捜査の途中、“むしめがね”画面をいろいろクリックして調べていると、ヤスが「あっ! これはっ!」と言うので何か見つかったのかと喜んだのも束の間、「なーんて うそです」と言い出したときは心の底から怒りが湧いたものだ。そんなヤスには、“むしめがね”で太陽を見せる刑!
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本作を象徴するもののひとつに、地下迷路がある。進めども進めども代り映えのない景色が広がる3Dダンジョンに苦戦した人は多いだろう。方眼紙にマップを書くというテクニックを知らなかった筆者は毎回迷い、奇跡を信じてただただ進んだ。背後の壁が急に閉まったときは、もう生きて帰れないと思ったものだ。しかし本作はセーブ機能がないので、一度ゲームをスタートさせたらクリアーするしか道はない。
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個性的なキャラクターが織り成すドラマはもちろん、真相に一歩近づいたと思ったらさらなる謎が噴出するという本格ミステリーに、夢中になってプレイした人は多いはず。なぜ茂みから指輪が出てきたのか、“こめいちご”とは何か、耕造はなぜ叫び声を上げていたのか……。
すべての謎を解いて犯人にたどり着いたとき、プレイヤーの心にはあらゆる感情が濁流になって押し寄せたことだろう。
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さまざまな要素が当時のゲーマーの心をつかみ、本作は犯人の名前も含めて大きなブームを巻き起こした。ゲームをプレイしたことがなくても、犯人の名前を知っている人は多いと思う。当時は犯人がわかっているのにゲームをプレイする人が多かったのだから、作品自体に魅力があるとしか言えない。
ちなみに、『ポートピア連続殺人事件』と、堀井雄二氏が後に手掛けた『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』(1984年)、『軽井沢誘拐案内』(1985年)と合わせて“堀井ミステリー三部作”と呼ばれている。現在、本作を家庭用ゲーム機で遊ぶにはファミコンでプレイするしか方法がない。そうした点も、この作品がいまなお多くの人の中で輝きを放っている理由なのかもしれない。












