2025年9月25日から28日にかけて開催される“東京ゲームショウ2025”(25日、26日はビジネスデイ)。その開幕を飾る公式ステージとして、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)による基調講演“ゲーム市場の変革者 : プレイステーションストアがもたらしたもの”が行われた。
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当講演には、SIEのトップである社長兼CEOの西野秀明氏が登壇。いまやゲーム購入の主軸となったプレイステーションストアが、いかにして生まれ、ゲームの体験をどう変革してきたのか。その19年にわたる歴史と、プレイヤーとクリエイターをつなぐ未来のビジョンが、数々のデータや懐かしいエピソードとともに語られた。
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SIEのトップとして登壇した社長兼CEOの西野秀明氏。
プレイステーション30年の感謝から
講演は、昨年30周年を迎えたプレイステーションの歴史を振り返ることから始まった。西野氏は、ハードウェアの進化とともに、数々のクリエイターが生み出した魅力的なコンテンツこそがプレイステーションの体験を形作ってきたと強調。スクリーンには、30年の歴史を彩った無数のゲームタイトルとともに「あなたにありがとう 30年の感謝をこめて」というメッセージが映し出され、プレイヤーとクリエイターへの深い感謝が示された。
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西野氏は「プレイステーションとは体験である」と定義。その体験は、プレイヤーとクリエイターをつなぐエコシステムによって成り立っており、その中核を担うのが今回のテーマであるプレイステーションストアだと位置づけた。
現在、プレイステーションのネットワークには1億2300万以上のアカウントが存在し、4000社を超えるゲーム会社が12000以上のゲームを提供する巨大な経済圏となっている。なかでも、日本のパブリッシャーが生み出すコンテンツは、そのストア売上のうち79%が海外からもたらされており、日本のゲームが世界でいかに強く求められているかをデータで示した。
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ストアの売上は2兆円を突破。日本のパブリッシャーが生み出すコンテンツは、その売上の約8割を海外市場が占めているという。
黎明期の挑戦。PS3が実現した本格ストア機能
いまでこそ当たり前のストアだが、その道のりは平坦ではなかった。西野氏は、プレイステーションがネットワークを見据えた挑戦を始めた原点として、プレイステーション2(PS2)の時代を振り返る。
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スクリーンに映し出されたのは、PS2用のネットワークアダプター。そこに貼られた“電話回線接続禁止”というユーモラスな1文が、当時の通信環境の過渡期を何よりも雄弁に物語る。それもそのはず、2000年ごろは携帯電話の通信速度が9.6kbpsという時代。そんなインフラが未熟な中で登場した『ファイナルファンタジーXI』のようなオンラインゲームは、まさに画期的な挑戦だった。
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ネットワークアダプターを活かしたオンラインゲームの先駆け『ファイナルファンタジーXI』。
この状況を打破すべく、本格的なストア機能を搭載して2006年に登場したのがプレイステーション3(PS3)だ。しかし、西野氏が「機能はそろった。でも、まだ環境がついてこない」と振り返るように、先進的なビジョンにインフラが追いつかないという根本的な課題は、まだ横たわっていた。
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2006年、後に“プレイステーションの父”と呼ばれる久夛良木健氏によって発表されたPS3。ここからストアの歴史が本格的に始まった。
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2006年、PS3の発売と同時にプレイステーションストアのサービスが開始。UIも非常にシンプルだった。
当時の日本のインターネットはADSLが主流で、容量の大きいゲームのダウンロードには途方もない時間がかかった。初期のストアは『まいにちいっしょ』のような小規模なダウンロード専用タイトルや追加コンテンツが中心で、ディスク販売という20年近く続いた商習慣の壁は厚く、社内ですら「本流のビジネスではない」と見なされることもあったという。
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PS3時代に40%弱だったネット接続率は、PS4、PS5の時代にはほぼ100%に。プラットフォームのオンライン化が加速した。
すべてを変えた“Day and Date”という転換点
大きな転換期となったのが、2013年に発売されたプレイステーション4(PS4)の時代だ。光回線の普及というインフラの進化を追い風に、ついにディスク版とダウンロード版を発売日に同時リリースする“Day and Date”が実現した。
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大きな転換期となったPS4の時代。インフラの進化がビジネスモデルを変革させた。
これにより、プレイヤーはパッケージを買いに行く手間なく、発売日の深夜0時からすぐに遊び始めることが可能になった。これは単なる利便性の向上にとどまらない。クリエイターにとっては在庫リスクがなくなり、セールやキャンペーンといったデジタルならではの柔軟な価格戦略が打てるようになった。
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大規模セールはデジタルならではの施策。パブリッシャーにとっても新たなビジネスチャンスとなった。
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ストアの展開国・地域は急速に拡大。2017年には70に達し、グローバルな販売網が構築された。
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SIEへと組織が統合されていった歴史を示すスライド。ゲームとネットワークの融合を象徴する。
さらに、基本プレイ無料の『フォートナイト』や『Apex Legends』、『原神』といったタイトルが数多くの新規ユーザーを呼び込み、デジタルビジネスは爆発的に拡大した。
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「ディスクか、デジタルか」という二者択一の議論ではなく、完全版(コンプリートエディション)の展開など、両者が相乗効果を生み出すビジネスモデルが確立されたのもこの時期だと西野氏は分析する。
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通常版をディスクで、後に完全版をデジタルで購入するといった、ディスクとデジタルの相乗効果が生まれた。
プレイヤーが主役の“最高の遊び場”へ
そして、2020年に発売されたプレイステーション5(PS5)は、まさにネットワーク時代を前提として設計されたハードだ。ストア機能はコンソールの体験に完全に統合され、『Playstation App』(PS App)を使えば外出先からでもゲームを購入し、自宅のPS5にダウンロードしておくことができる。機能は進化し、「当たり前の時代になった」と西野氏は語る。
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PS4タイトルの互換機能により、PS5発売初日から膨大なゲームライブラリがストアに存在したことも大きな強みだ。
今後のプレイステーションストアが目指すのは、コミュニティとともに創り上げる、よりパーソナライズされた“最高の遊び場”だ。ユーザーレビューや評価はもちろん、AI技術を活用してひとりひとりのプレイヤーに最適化されたコンテンツを提案し、新たなゲームとの出会いを創出していく。
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ユーザーレビュー機能やAIなどを活用し、よりパーソナライズされたストア体験へ。
さらに、成長著しいアジアやラテンアメリカ市場への展開を強化し、各地域の文化に合わせた多様な決済手段を拡充することで、世界中の誰もがストレスなく遊べる環境を構築していくビジョンも示された。
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クレジットカード決済しかなかった時代から、世界中の多様な決済手段に対応。誰でもアクセスできる環境を目指す。
プレイステーションネットワークの月間アクティブユーザー数は過去最高を更新し続けており、安定した人気フランチャイズと多様なインディーゲームが共存する現在のストアは、まさに成熟期を迎えている。
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月間アクティブユーザー数は右肩上がりの成長を続け、過去最高を更新している。
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日本発のコンテンツが世界中で高い需要を生んでいることをデータが裏付ける。
講演の最後に西野氏は、プレイステーションストアを「プレイヤーとクリエイターをつなぐ“最高の遊び場”であり、“最高の出版の場”」であると改めて定義。“遊び”の限界を超えるというプレイステーションの理念を、このストアを通じてこれからも追求していくと力強く宣言し、講演を締めくくった。
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プレイステーションストアは19年の歳月を経て、ゲームの届けかた、遊びかた、そして作りかたそのものを変革する巨大なプラットフォームへと進化した。西野氏が語った未来は、その進化がまだ道半ばであることを感じさせる、ワクワクに満ちたものだった。