
本作は2020年3月12日に発売された『仁王2』の続編で、約5年ぶりとなる最新作。“戦国死にゲー”と銘打たれた骨太な難度もさることながら、細かな装備収集要素や育成によるハック&スラッシュ要素や、豊富なアクションでさまざまな攻略法が存在する戦いの自由度などで評価され、シリーズ累計販売800万本を突破する人気シリーズだ。
本記事では『仁王3』のゼネラルプロデューサー・安田文彦氏と、プロデューサー・柴田剛平氏にインタビュー。『仁王3』がどのような作品になっているのか、詳しくお聞きした。また、インタビューの前に、PS5で2025年6月18日まで期間限定配信の体験版を1時間ほど試遊させていただいた。試遊してわかった、本作の鍵となる新たなシステムなどを先にお伝えしておこう。
『仁王』は、オープンフィールドへ
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探索要素も拡大しつつ、道や拠点にいる敵ともしっかり戦っていく形になっており、『仁王』らしい骨太な戦いを、自分ならではのアプローチで攻略していくようなゲーム性になっていた。ちなみに、本作からジャンプができるようになっていて、崖登りなども可能。なんでも登れるような自由度ではないので、このあたりは『Wo Long: Fallen Dynasty』に近い感じだった。
フィールドには“地獄”と呼ばれる、前作でいう“常闇”のような空間があり、こちらがマップの攻略目標。地獄を祓っていき、最後の目標となる最深部をクリアーすることで、つぎのマップへのルートが広がるようだ。地獄という目標ポイントはありつつも、そこにいたるまでの道順はプレイヤーに委ねられているゲームシステムになっている。
そして、もうひとつの大きな変化が、バトルスタイルの違いだ。初代『仁王』から続く、刀や槍などを駆使したサムライのような剣戟アクションはもちろん健在。『仁王2』からは妖怪の力を駆使した“妖怪技”や“妖怪化”といった要素があったが、こちらは『仁王2』ならではのシステムといった感じで、本作ではまた別の形で登場するとのこと。武器ごとの上段・中段・下段といった構えも健在だ。
『仁王3』では戦闘スタイルが“サムライスタイル”、“ニンジャスタイル”の2種類に分けられた。バトル中にいつでも切り替えられ、バトルシステムをガラリと変更しながら戦える。
サムライスタイルは、これまでの『仁王』シリーズと同じようなスタイルで、気力(いわゆるスタミナ)を回復する“残心”を駆使して戦える。新たな要素として、武技を強化してくり出せる“技研ぎ”が追加され、チャンスが訪れればよりパワフルかつド派手に立ち回れるようになっていた。また、刀や槍などはサムライ専用、鎖鎌などはニンジャ専用というようにスタイルごとに使用できる武器が異なるようになった。
ニンジャスタイルは、主人公が身軽になり、スピーディーに動けるように。これまであった “鎖鎌”などのニンジャらしい武器は、ニンジャスタイルでのみ使えるようだ。1発の威力は低いが全体的に手数にすぐれ、さらに“残心”による気力管理がない代わりに、“霞”という独特の移動技が使用可能。自分の残影をデコイにし、敵の背後に回り込むような立ち回りが可能だった。
また、これまでの“忍術”は、習得したものを装備し、使い切ったら社(拠点となるチェックポイント)で補充するような使いかたが基本だった。本作では、忍術はニンジャスタイルでのみ使用可能となっている。
忍術を発動できる回数に制限があるのは同じだが、攻撃を当てていくと回数が回復するシステムになっているので、攻めながら忍術を大量に使いこなせるようになっていた。ちなみにサムライスタイルの攻撃でも補充された。
さらに、スタイルチェンジのアクションは、防御アクションにもなっている。ボタンを押すと早着替えのように、瞬時にその場で衣装を変更するのだが、そのときの赤く光る危険な攻撃“大技”を弾くくことが可能で、敵の体勢を崩せるようになっていた。『仁王2』の“特技”(妖怪の姿になってカウンターしたりするアクション)や、『Wo Long: Fallen Dynasty』の“化勁”などに近いイメージだ。
装備セットはサムライスタイル、ニンジャスタイルに分かれていて、装備しているものもスタイル変更をした際に一瞬で変更される。装備できる防具自体が2スタイルで異なるので、装備の幅も2倍。突き詰めてプレイすれば、ふたつのビルドを同時に使い分けるようなプレイもできそうだ。
『仁王3』インタビュー
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安田文彦 氏(やすだ ふみひこ)
『仁王3』ゼネラルプロデューサー。『仁王』ではディレクター、『仁王2』ではプロデューサー&ディレクターを務めた。Team NINJAブランド長。
柴田剛平 氏(しばた こうへい)
『仁王3』プロデューサー。『仁王』、『仁王2』では、プロジェクトマネジャーを務めた。
『仁王』の新たな挑戦
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『仁王』発売から時間が経ったんだなと感じつつも、シリーズ作品のファンが開発スタッフとして加わることは大きな力になりますし、既存のメンバーとしても心強く、高いモチベーションを保てているように感じます。
――『仁王2』発売後、2020年6月4日発売の週刊ファミ通本誌にて、プレイヤーアンケートを交えて安田さんにインタビューさせていただきました。そのとき、安田さんはすでに「もし『仁王3』があるのであれば、つぎはオープンワールドでしょうね」とお答えしていました。そのときからすでに、ビジョンはあったのでしょうか。
今回はもう1度見つめ直し、『Rise of the Ronin』を制作した経験も生かして、オープンフィールドに挑むことにしました。なお、『Rise of the Ronin』を制作したスタッフも本作には多数関わっています。
――2021年2月の『仁王』4周年のタイミングでは「戦国時代のサムライや妖怪たちから離れ、新しいプロジェクトに挑戦します」とお答えしていました。と言いつつ、じつのところはかなり早い段階で『仁王3』に着手されていたんですね。
――しかも、そのあいだにも“ダーク三国死にゲー”の『Wo Long: Fallen Dynasty』があり、“幕末オープンワールド”の『Rise of the Ronin』があったわけですよね。昨今のタイトルとしては、とても速い開発スピードに感じます。以前も、1年1本は大きなタイトルを発売したいと、安田さんからお聞きしましたが。
プラチナゲームズさんに制作をお願いしている『NINJA GAIDEN 4』もありつつ、今後も毎年1本は大型タイトルをお届けしたいと計画しています。TeamNINJAにとって2026年は『仁王3』がそれに当たります。
『仁王』ならではのオープンフィールド
ただ、最初はフィールドの設計が難航しました。あまりにも広すぎてしまったり、逆に狭すぎてこれまでの『仁王』シリーズと変わらないようなものになってしまったり。その塩梅をレベルデザインチームが何度も調整して、ようやくうまい落としどころに落ち着きました。
――『Rise of the Ronin』とは、どのような差別化を図っているのでしょうか?
シリーズ従来のリニアに進むステージ制のよさも、もちろんあります。今回はオープンフィールドにしたことで、プレイヤーの皆さんがシームレスに困難に遭遇するような、プレイヤーそれぞれの体験も大きな価値として生まれました。これまでとはひと味違う魅力を感じ取ってもらえると思います。
――たしかに、美しい幕末の世界をオープンワールドで生き抜く、みたいな感じよりも、血なまぐさい荒廃とした戦国時代で、人間や妖怪と戦うことこそが、『仁王』らしいなと言いますか。
――なるほど。また、ムービーなどからも察することができるように、本作の舞台は戦国時代なんですよね。以前のインタビューでは「もし『仁王3』があるなら、戦国時代は描き切ったので海外になるでしょう。たとえば三国志とか」とお答えされていました。
――そうなんですね(笑)。どこかで見たキャラクターも居るようですが、世界観は同じ戦国時代になるのでしょうか?
従来のシリーズと同じ戦国時代を描いているのでそういった部分で疑問に思われるかもしれませんが、物語を進めていくとまた風景も様変わりして、だから戦国時代を舞台にしたんだなとわかっていただけるかと思います。
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シリーズをプレイされた方々ならば「おっ」と思えるキャラクターもいますが、これまで『仁王』を遊ばれていない人も、イチから楽しめるタイトルになっているので、ストーリーを楽しみにしている方もぜひ注目してください。
――主人公は、徳川竹千代という名前なんですよね。主人公は『仁王2』と同じようにキャラクタークリエイト式ですが、どのような主人公なのでしょうか?
――期待しています! 『仁王』シリーズはマスコット的な妖怪がいますよね。木霊、魑魅、すねこすりなど。本作からのマスコット的な妖怪“千々古”もいて、やはり増やしたかったのでしょうか?
――悪くない妖怪なのに、弓矢で射抜いていいのかなと思いました(笑)。
サムライ×ニンジャのダブルスタイル
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とはいえ、いままでの『仁王』らしいアクションがなくなってしまったり、別モノになってしまったりするのは違いますよね。いままでは、プレイヤーキャラクターの中に、サムライもニンジャもすべて内包するような形でシステムを構築していましたので、それを独立させつつ、うまく組み合わせて戦う方法を模索し、現在のスタイルチェンジの仕組みになりました。
ゲーム体験としては、従来の構えに似ているところもあって、これまでも「自分は上段しか使わない」みたいに構えを1個に絞ってプレイしてもクリアーできました。あくまでアクションの幅のひとつですので、相手を見てスタイルを変えてもいいし、変えなくてもクリアーできます。これは体験版で、我々としてもとくに反応を気にしている部分です。
――「自分はサムライ1本でいく」、「自分はニンジャとして生きる」みたいなこだわりのプレイもできますし、切り替えて臨機応変に立ち回ることも可能なんですね。
――竹千代が、サムライでもありニンジャでもある理由はあるのでしょうか?
――スタイル変更時の弾き性能ですとか、Team NINJAが作ってきたアクションの集大成のような形で好評だったものをうまくミックスしているように感じました。
――これまでにない部分ですと、ニンジャスタイルの忍術が、バトルを通して補充できるようになり、大量に使うことができました。これはオープンフィールド体験との兼ね合いなどもあって採用したのでしょうか?
ニンジャが好きなのに、忍術を使い切ってしまったらサムライスタイルで戦い、社に戻るまでサムライで居なくてはならない、というのも選択の自由度を狭めてしまいます。ですから、戦いながら忍術を補充できるアクションにしています。
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――『仁王』シリーズは忍術がものすごく強い、というイメージが個人的にはありますが、ニンジャスタイルの忍術はどうでしょうか?
――忍術スキルがスタイルとして独立しましたが、陰陽スキルはありますか?
ですので、敵を倒した際にドロップした魂代を拾うと、陰陽スキルの札となり、陰陽スキルが使えるようになります。また、一部の強敵を倒した際にドロップする特別な魂代を拾うと、その妖怪が札となります。使用するとその妖怪を呼び出して得意な攻撃をくり出してくれます。つまり、妖怪技の代わりのような陰陽スキルがあります。
――そこは『仁王2』で人気だった妖怪技システムを踏襲しつつ、本作ならではの形に落とし込んだ結果なのでしょうか。
――なるほど。サムライスタイルは基本的にそのままでありながら、ジャストガードであるスキル“捌き”や、武技を連続でくり出せる“技研ぎ”などがあります。ここはサムライの部分も強化しようと考えて取り入れたのでしょうか。
もちろん調整はしていますが、単に立ち回りが強いサムライスタイルになってしまうと、これまでのシリーズ作品と変化がなく、新鮮味がなくなってしまいます。サムライならではの特徴をより持たせたいというところで、武技をフィーチャーし、強力な武技をくり出せる“技研ぎ”を取り入れました。
――また、サムライスタイルとニンジャスタイルで使用できる武器種が異なります。『仁王2』までに出てきた武器種が登場しつつ、さらに新しい武器も取り入れているイメージなのでしょうか?
――(笑)。“地獄”は、『仁王2』の“常闇”に似ていると感じましたが、そのイメージであっていますか?
“和”の中で、いちばん恐ろしい場所はどこだろうかと考えたら、やはり地獄だと思うんです。ですので、フィールドに地獄の一部が現れて、結果妖怪たちが入り混じるような世界になったら、和風ダークファンタジーらしさ、そして『仁王3』ならではの要素になると考えました。
――“地獄”は、どのような攻略要素になっているのでしょうか。
フィールドには敵がいるので、経験値を稼いでステータスを上げたりですとか、装備品を集めたり。また、レベル上げだけではなく戦いかたが変わるような強化、たとえば先ほどお伝えしたように、魂代を集めて陰陽スキルに利用することも可能です。ほかにも、フィールドを攻略していくと新たな忍術を取得したり、特殊なスキルなども習得できたりします。
――攻略順の自由度がありながらも、『仁王』シリーズらしく、ビルドの自由度もあるんですよね。
――装備品にはいつも通り細かな特殊効果がズラリと並んでいました。さらに本作の新要素として、探索で新たな能力を手に入れ、社でパッシブスキルとして付け替えていく“能力付け替え”システムがありました。わかりやすい能力を付与できるのかな、と思っていたら、初手からすごくマニアックな能力が伸びていって(笑)。もう最初から、細かなビルドが楽しめるゲームなんだというメッセージ性を感じました。
ただ、自分でも“能力付け替え”は最初から深みを見せすぎなのではと思っていました(笑)。最初はもっとわかりやすい能力を提供したほうがいいのかな、とすごく迷ったのですが、最初から深みを見せたほうが今後のやり込み度も序盤からわかってもらえるのではないかと。また、序盤は細かい部分を気にしなくても攻略できるようになっています。
――やはり骨太さは、健在であると(笑)。
また、システムなども段階を経て解放されていくようにしています。本作はシリーズで踏襲されてきたシステムも多いですから、一度にすべてが使えても何を使えばいいのかわからないですよね。もちろんアクションスキルが高いプレイヤーは刀を振るだけでもクリアーできるものの、攻略が難しい場合にさまざまなアプローチを学んでいけるような形にしています。
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慣れている人はそこまで気にしないと思いますが、初めて遊ぶ人にとっては、サムライスタイルとニンジャスタイルが最初からある時点で、武器2種とふたつの構えが用意されているようなものです。ですので、いきなりサムライスタイルで構えが使えると、アクションの幅が多すぎて戸惑ってしまうんじゃないかと。
――また、切り札のひとつとして“九十九化身”が使えますが、『仁王2』では“妖怪化”がそれにあたるシステムなので、初代に戻ってきたと思いつつ、『仁王2』のような見た目の変化もありました。
『仁王3』の主人公は、守護霊の力をより引き出せる才能がありますので、守護霊と半分合体したような見た目になります。ちなみに見た目は、サムライスタイルとニンジャスタイルで異なります。
体験版から、ぜひご意見を
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――マルチプレイ要素や、“血刀塚”などの非同期オンライン要素などは、前作よりそのまま踏襲されています。協力マルチプレイ部分では、どのような新要素がありますか?
一定のエリア内であれば複数人でフィールドをバラバラに探索してもいいですし、いっしょに挑むこともできます。ホストのプレイヤーが、たとえばボス戦に挑むとなったら、全員集結するのはこれまで通りです。よりプレイヤーたちがフィールドを自由に楽しめるようにしています。
――さすがに、まるでMMORPGかのように、フィールド全体で協力プレイするわけではないんですね。
『仁王』シリーズは、ストーリーを協力プレイでみんなで追える“常世同行”もあり、人気だったシステムです。そこは『仁王』シリーズだからこそ、オープンフィールドでも実現しようとスタッフたちが努力してくれました。実際、かなりシステム構築はたいへんだったように見ています。
――『仁王』シリーズは、発売前のベータテストなどから意見を汲み取ってブラッシュアップしてきたタイトルです。今回の体験版も、やはりプレイヤーの意見を聞きたかったのでしょうか?
――最後に、『仁王3』に期待されているファンの方々に、メッセージをお願いします。
――(笑)。ありがとうございました。
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