『シャニソン』リニューアルの経緯を開発陣に聞く。アイドルたちが歌って踊るライブステージでの輝きを追求。アイドルたちとの出会いを描くストーリーの実装も計画中

byNiSHi

『シャニソン』リニューアルの経緯を開発陣に聞く。アイドルたちが歌って踊るライブステージでの輝きを追求。アイドルたちとの出会いを描くストーリーの実装も計画中
 バンダイナムコエンターテインメントより配信中のアイドルリズムゲーム&育成シミュレーション『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』(以下、『シャニソン』)。2025年2月26日にリニューアルが実施され、育成(プロデュース)パートとリズムゲームがそれぞれ単独に楽しめるようになったほか、グラフィックのアップデートなども行われている。

 そこで、ファミ通.comでは今回のリニューアルについて、開発チームにインタビューを実施。リニューアルを決めた経緯や改修内容、今後の展開などについて聞いた。
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高山 祐介氏タカヤマ ユウスケ

バンダイナムコエンターテインメント所属。『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)プロデューサー兼『シャニソン』プロデューサー。IPやキャラクター表現、『シャニソン』の大きな変更に関わる決定に携わる。文中は高山。

吉川 純生氏ヨシカワ ジュンキ

バンダイナムコエンターテインメント所属。『シャニソン』プロデューサー。『シャニマス』には2020年ごろから携わり、2023年4月ごろに『シャニソン』の開発チームに加わる。ゲームの運営や企画、MV、今回のリニューアルなど、現場でのさまざまな意思決定などを高山氏とともに行っている。文中は吉川。

岡部 穂孝氏オカベ ホタカ

バンダイナムコスタジオ所属。『シャニソン』プロジェクトマネージャー。全体のスケジュール管理、人員含めた体制作りを担当。文中は岡部。

給前 瞬氏キュウゼン シュン

バンダイナムコスタジオ所属。『シャニソン』リードエンジニア。グラフィック周りの調整や新機能の開発、クオリティーアップ、最適化、負荷軽減などを担当。文中は給前。

リリース後に実施したゲーム内アンケートを受け、大規模なリニューアルを計画。アイドルが輝く姿にいち早く触れてもらうため

――最初にリニューアルの経緯を教えてください。

高山 
まずは、どういったリニューアルを行うかをご説明させてください。『シャニソン』には、プロデュースとリズムゲームのふたつのプレイモードが存在します。従来では、プロデュースを通して育成したフェスアイドルを編成してリズムゲームを楽しんでいただくといったようなゲームサイクルとなっておりました。

 ですが、ゲームをリリース後、プロデュースはプロデュースで、リズムゲームはリズムゲームで、それぞれ異なるプレイ体験として触れたいというご意見をいただいておりました。ですので、プロデューサーさんのご意見も踏まえて、それぞれ独立したゲームサイクルで楽しんでいただけるように、今回リニューアルを行う運びとなりました。

――プロデューサーさん(※『アイドルマスター』シリーズのファンのこと)からの意見が今回のリニューアルに繋がったと。

高山 
はい。私たちの『シャニソン』でのゲーム体験の狙いは、プロデューサーの皆さんがアイドルと出会い、プロデュースパートを通して育成し、手塩にかけて育成したアイドルたちをライブステージに立たせて、アイドルが輝く姿を見守るといった一連のプロデュース体験でした。

 ただ、多くのプロデューサーさんが3Dのアイドルたちが歌って踊るMVといったところにすごく期待を寄せてくださっていまして。そこにいち早く触れたいというご要望を寄せていただいていましたので、そちらも踏まえた決定となります。
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――リニューアルは、どれくらいの時期から計画していたのですか?

吉川 
リニューアルの決定をプロデューサーの皆様にお伝えしたのは2024年9月末ごろでしたが、リリースして1ヵ月後にはリニューアルの方向性を固め始めていました。

 というのも、リリース後にゲーム内アンケートを実施させていただきましたが、高山が申し上げた通り、別々のゲーム体験として楽しみたいというご意見を多数いただきました。そういった経緯もあり、2023年11月にリリースして、ひとまず運用が落ち着いた2023年の年末の時期からリニューアルの計画を検討していきました。

 その後、年明けの2024年1月より、岡部さんたち開発のメンバーも含めてリニューアル案について議論を何度も重ねていきました。ただ、今回のような大規模なリニューアルになると、ゲームを作り直すようなボリュームの作業となります。ですので、1月から仕様概要を詰めていき、プログラムなどの変更点、開発体制面への影響範囲を確認したうえで、リニューアルする部分の物量を洗い出し、リニューアルに向けた動きを慎重に進めていきました。

――リリース後、間もない時期から多数の要望が届いたことで、「これはすぐに変えるべきだ」とリニューアルを検討されたのですね。

吉川 
そうですね。ただ、リニューアル案の採用に至るまでは、「これは変えていいのだろうか?」、「アンケートなどでもご要望いただいているものの、プロデューサーさんたちは本当に望んでいるのだろうか?」といった議論が行われていました。

 一方、チーム内でも当初私たちが掲げていたテーマでもある、自分の担当アイドルがステージで輝く姿を感慨深く見守っていただく体験を大切にしたいという意見もあり、その前にゲームを離れてしまうのがいちばん残念だろうという考えのもと、悩みながらも最終的にはチームの総意として決断をしました。

――リニューアルを決定してから、プロデューサーさんたちに発表されるまで期間が空いています。やはり、体制面を整えて、運営を続けながら開発を行うので、リニューアルの目途がつくまで多く時間を要したのでしょうか?

吉川 
リニューアルの決定からプロデューサーさんへの発表まで期間が空いてしまった理由はふたつあります。まず、リニューアルが決定しても、本当に開発できるのか? プロデューサーさんの期待に沿うものになるのか? という実現性が見えてからリニューアルの方向性をご提示しないと、プロデューサーさんたちは混乱されてしまうと思っていました。ですので、仕様の策定、その後の開発計画がしっかりと定まるまで発表を見送っていたのがひとつです。

 もうひとつは、開発体制についてです。リニューアルを実施するにあたって仕様やプログラムの影響範囲を調べていく中で、プロデューサーさんに引き続きコンテンツをご提供しながら開発するには、開発チームの体制も見直す必要があることが判明しました。そのため、2月も引き続き概要をまとめ、3月から運営とリニューアルを両立できる体制の見直しを岡部さんと実施する運びになりました。

岡部 
リニューアルに際しては、毎月新たに登場するアイドルや、MVの提供数は維持しつつも、開発メンバーをどのように通常の運営業務とリニューアルの開発業務に割り振るのか、そういったバランスを決めるのに少し時間がかかってしまいました。

 ですが、よりよいものを届けるために必要なノウハウをお持ちの方をチームに迎えたりもしましたし、いま振り返るとリニューアルをきっかけに開発体制がよりパワーアップし、頼もしいメンバーといっしょに開発を進められた印象ですね。

吉川 
そういった背景もあり、リニューアルの情報はなるべく早くお伝えしたかったのですが、プロデューサーの皆様に期待を持っていただけるように準備を進め、プロデューサーさんにもリニューアル内容を具体的にイメ―ジしていただけるだろう、というタイミングで発表をさせていただいた形です。
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ゲームを楽しんで期待してくれているプロデューサーを裏切らないように、通常運営と並行してリニューアル作業を実施

――選択肢として運営をいったんストップして、リニューアルに専念するという方法もあったかと思います。でも、運営を続けながらリニューアルすることを決めたのは、やはりプロデューサーさんに寂しい想いをさせたくないという判断でしょうか?

吉川 
おっしゃる通り、いまゲームを楽しんでいただいているプロデューサーさんが残念な思いをされることはいちばん避けなければいけないと思っていましたので、リニューアル開発を行うために運営を止めるという考えはありませんでした。
 
 加えて、当初のスケジュール見積りだと、リニューアルの完了は2025年9月以降になるという状況ではありましたが、プロデューサーさんをこんなにお待たせするわけにはいきませんので、岡部さんたち開発チームの皆様とくり返し協議し、何とか早くリニューアルをご提供できないか、という点も考えながら取り組んでいきました。

――今回のリニューアルの前に、アップデートでプロデュースモードの遊びやすさの改善などもくり返し行われていましたが、それは、リニューアルと並行しながら、現状のサービスを大切にしつつ、リニューアルの準備を整えていくことを大事にされていたことに繋がるのですね。

吉川 
リニューアルにおいて実現したい要素はいくつもあったのですが、短期的に対応できるもの、長期的に対応していくものと、それぞれ存在しておりました。そのため、まずは短期的にできるところから取り組みました。それが、いま挙げていただいたプロデュースモードの改善などですね。

――サービスを止める考えはなかったというお話もありましたが、運営型のタイトルでは1年以上先まで計画を立てられていると思います。リニューアルに伴い、計画していたスケジュールの変更などはありましたか? また、苦労された点はありますか?

吉川 
たとえば、季節もののコンテンツの場合、クリスマスモチーフのアイドルの衣装はクリスマスに登場するからこその魅力がありますし、やはり春よりは夏に水着の衣装のアイドルたちが登場したほうが自然ではあると思います。

 リニューアルを行うからといって、それに伴う開発作業が影響して、運営計画がいびつになってしまうことは避けたい部分でもありましたので、そういった季節系のコンテンツもしっかりと“旬”のタイミングでご提供できるよう、並行してリニューアル作業を実施していきました。

――岡部さんや給前さんは、リニューアルのお話を聞いたときは、どのように受け止められましたか?

岡部 
私はリニューアルの結論が出る前から議論に参加しておりました。どのようなリニューアルをするか、プロジェクトマネージャーとして意見を出しつつ、高山さんや吉川さんたちの意見とすり合わせながら計画を立てました。その中で、リニューアルを通じて一層多くの方に手に取って楽しんでいただければという思いがありました。

給前 
私もリリース前から開発に参加させていただいております。開発を進めながら、ルックの表現のこだわりであったり、もっとよい見た目にしたい、という思いで取り組んできましたので、リニューアルに関係なくもっともっとアイドルたちを魅力的に見せられたら、それこそたくさんのプロデューサーさんにビジュアルの進化に驚いてほしい、という気持ちがありました。

 ですので、私としてはリニューアルのお話はとてもよいタイミングでしたし、やる気に満ち溢れていましたね。
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具体的なリニューアルの進行については、チーム一丸となって議論をくり返しながら計画

――お話を聞いた限り、リニューアルについては意見が割れるというより、最初から皆さん同じ思いで取り組まれたのですね。

高山 
お話にもあったように、リニューアルの具体的な内容であったり、対応範囲、それに伴うご提供のスケジュール感は何度も議論に上がったところですが、給前さんがおっしゃったようにリニューアルする、しないに関係なくゲームをもっとよくしたいという思いはどの開発セクションでも共通していました。

 リニューアルの具体的な内容の決定についても、それぞれのセクション・メンバーからたくさんの意見が出て、それをどういった順番で実現するのか? すべてを一度に対応するとそれこそご提供までにプロデューサーさんをお待たせしてしまう……など、情報、やることの取捨選択に苦労をするほど、フラットな意見交換ができていたと思います。

 その議論の中でやはり核となったのは、より多くのプロデューサーの皆さんに、我々が目指すアイドルたちの輝きを届けるためには何が必要なのかということでした。それは、プロデューサーの皆さんのご意見も踏まえた今回のようなリニューアルではないのか、と同じ方向を向くことができましたので、ここまで進めることができたのかなと思います。

――既存のものを作り直すのは大きな決断であったと思います、でも、それはアイドルをより輝かせて多くの方に触れてもらうためにという思いが強かったから、リニューアルに踏み込めたと。

高山 
そうですね。やはり開発チームが前のめりでリニューアルを検討してくれたこと、そのためにどういった体制で開発に臨むのかといった実際の開発の部分もスピーディに調整してくださったこともあり、その点はご苦労をお掛けした部分でもありますが、非常によかったかなと思います。

新体制となった開発チーム内でナレッジ(※ノウハウなど付加価値のある情報のこと)を共有するため、勉強会を実施

――ここで、リニューアルにあたって、皆さんが苦労された点などがあれば聞かせてください。

高山 
くり返しになりますが、開発の皆さんの負荷が大きい点は、私の苦労ではありませんが、不安だった点ではあります。通常の運営を継続しながらリニューアル作業を行うのは難度の高いことだと思いますし、毎月ご提供する楽曲、MV、イラストなどさまざまなコンテンツについてもプロデューサーさんの期待に沿えるものにしたいと思っておりましたので、それらに対応するのはたいへんだったと思います。ただ、開発やクリエイターの皆さんのがんばりには感謝したいですね。

岡部 
いま高山さんからお話がありました通り、運営を続けながら作り直す点は、チームとしてどのように実現していけばいいかと悩んだ部分です。もともとあった開発計画や体制を変更しながら取り組んでいく点は苦労しました。

給前 
リニューアルでは、すでにできあがった状態のプログラムに手を加えることになりますが、それら既存のプログラムに新たに手を加えたり追加をしたりすると、思わぬ動作や挙動をしてしまう場合があったり、ほかの箇所と整合性が取れない、といった問題も発生します。今回はかなり大きなリニューアルではありましたので、影響範囲も大きく、新規開発ともまた異なる、リニューアルならではの難しさも感じました。

 また、開発体制の変化というお話も出ましたが、新たにジョインしてくれたメンバーにこれまでのナレッジやノウハウを共有したり、逆に私たちが学ぶ部分があったりしましたので、毎週勉強会を開き、よりよい表現のため、開発チーム全体でのスキルアップも同時に行っていきました。その甲斐もあり、とくにMVチームで言えば、アップデートの度にクオリティを向上させることができ、プロデューサーさんにも喜んでいただけるようなコンテンツをご提供できているのかなと、そこは自信を持っている点ですね。

――勉強会はどれくらいの期間実施されたのですか?

給前 
勉強会自体はリニューアル前から行っていて、リニューアルとは関係のない、通常アップデートの段階からクオリティアップを目指すために実施をしていた形です。当初からルックの面でもっと向上させたいという想いがありましたので、わりと早くから取り組んでいました。

 というのも、チームが全体で取り組むことで相互に影響を生みながらよりよいものを作れるという思いがあり、将来的に目指すクオリティを実現するために、勉強会を実施し始めたことを覚えています。

リニューアル後のMVは、イラスト調×フォトリアルな表現を融合させた仕上がり

――リニューアルの背景についてもお伺いできればと思います。まずはMVについてです。『シャニソン』のMVは今回のリニューアル前から何度もアップデートが行われていたと思いますが、このタイミングで、さらなるクオリティアップを実施した経緯を教えてください。

吉川 
ありがたいことに、リリース初期からも、MVについてご評価いただけるお声をいただいておりましたが、給前さんもおっしゃったようにまだまだやれる余地はあるなと感じていました。たとえば、カメラワーク、モーションの滑らかさ、ライトや背景、アイドルのビジュアル表現などは、まだまだ突き詰めていきたいと思っていたんです。

 ですので、チーム内で取り組みたい部分と、プロデューサーさんのお声の両方をもとに、
『シャニマス』特有のイラスト表現、そのイラストが3Dになっているかのようなビジュアルと、本当にアイドルがそこにいるかのように感じられる実在感を両立するという、一見相反するようなビジュアルコンセプトをテーマに、随時アップデートさせていただいておりました。

 少し専門的な用語にはなりますが、当初は、トゥーン調と言われる2Dやアニメ系の表現を得意とする手法を用いてビジュアルを制作させていただいておりました。ですが、それだけでなく、2Dの雰囲気を取り入れたトゥーンベースの表現だったとしても、ところどころフォトリアルな表現を加えることで、よりクオリティを向上させることができるのではないか、と考えた次第です。

 そういったこともあり、給前さんとお話しさせていただいて、トゥーン調と呼ばれるアニメに特化した表現とフォトリアルの融合を軸に、もっとビジュアルを進化させましょうと決めました。以降、MVを始めアイドルたちのビジュアルをアップデートとして続々と対応し、ビジュアルの向上を実現することができたのかなと感じています。

 ですので、リニューアル前からMVの向上には取り組んでおりましたが、リニューアル後にはさらに魅力的に感じていただけると思います。たとえば、リニューアル前、背景はフォトリアルな表現となっているものの、アイドルたちは2Dのイラストの雰囲気を持つトゥーン調で表現されているので、背景が明るくなったときにアイドルの顔に一様に暗い影の表現ができ、沈んで見えづらいという課題がありました。ですが、今回のリニューアル以降に登場するMVでは、アイドルたちに落ちる影や光の表現だったりを含めて、かなり背景となじんで、総合的にライブ全体が綺麗に見えるようなグラフィックアップデートも実施させていただきますので、そのあたりはぜひ楽しみにしていただきたいです。

給前 
ただ、いまでも現状には満足していません。これからもさまざまな表現方法を模索しながら、『シャニソン』ならではの表現、クオリティを目指して行きたいなと思います。

――リニューアルされる『シャニソン』のMVならではの魅力について、もう少し詳しくお話しいただけますか?

吉川 
今回のリニューアルにあたって、『シャニマス』ならではのユニット表現はとことん突き詰めていこうと、MVチームとも話し合いました。たとえば、このユニットの楽曲に合うステージはどのようなものか、このユニットがこのステージに立つならこんなフォーメーションを組んだほうがいいのではないかというようなことです。

 現在では、そのユニットならではの表現に対して、先ほど申し上げたイラスト調×フォトリアルな表現をどこまで融合させられるか、といった点を重視しております。イルミネーションスターズの
『Shower of light』、アンティーカの『THE LAST PRIDE』など、『シャニソン』発の楽曲については一部、アイドルたちのミュージックビデオを撮影しているという体裁で構築することで新機軸の表現を目指しています。

 そのほか、ライブ形式のMVも引き続きご提供していく予定ですし、こちらもステージギミックも活用したライブ演出なども、もっと取り入れていきたいと思っていますので、どちらのテイストも新鮮に感じていただけるようにチーム一同がんばっていきたいと思います。
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――アイドルたちを輝かせることはもちろん、ユニットとしての見せかたにもこだわっていると。

吉川 
はい。カメラワークも進化している部分があり、リニューアル後に登場するMVでは、ユニットならではのカメラカットはもちろん、アイドル個人が映えるようなカメラカットをより意識して制作していますので、楽しみにしていただけるとうれしいです。

――既存のMVもすべて改修されるのでしょうか?

吉川 
既存の楽曲については、カメラカットやステージはそのままに、アイドルたちとステージを含めた全体的な見た目が、より綺麗にリッチになるような改修を既存曲においても実施していけるといいなと考えております。

 焦点をリニューアル後に絞ってお話しさせていただくと、背景の見た目の質感がより感じられるような改修や、アイドルに落ちる影がより臨場感のある影になる改修は過去のMVもすべて適用させる予定です。

 また、背景とアイドルたちがよりなじんで見えるような表現については、ソロ曲と今後登場するMVには適用済で、アイドルの衣装がよりリアルにリッチな表現に変更される処理も現状一部の衣装に入れさせていただいていますが、今後それらは順次過去のMVにも適用していけるといいなと思っています。

――MVやビジュアル表現について、高山さん、岡部さん、給前さんが注目してほしいポイントはありますか?

高山 
技術的な面では、たとえば光の表現や背景やアイドルの衣装などのディティールへのこだわりはどんどん進化しており、そこに臨場感や描画の緻密さなども加わり、とてもクオリティの高いものに仕上がっています。

 もちろん、それだけではなく、先ほどカメラワークという言葉も出てきましたが、MVの企画班や演出チームも、どういったカメラワークでアイドルたちを見せるのがいちばん楽曲に合っていて魅力的なのか、それこそ光の演出も技術的な表現だけではなく、どういったライトを使うと画面が豪華に見えるかなど、演出面の巧みさ、経験値みたいなところも向上しております。技術面、演出の両方合わせてひとつのMVを構成するものだと思っていますので、その点に注目していただきたいです。

岡部 
リニューアル前のMVをご覧いただくと、画面全体の白いエフェクトによってライブの空気感を表現していましたが、今回のリニューアル後に登場するMVでは、その点もブラッシュアップし、背景とアイドルがなじみ、リッチに見えるステージ表現を実現することができているので、そこも注目していただきたいです。

給前 
MVについては、運営中にもずっと改善し続けており、リリース初期にMVをご覧になったプロデューサーさんが、改めてリニューアル後のものをご覧になられると、かなり驚かれるかと思います。ですので、お休みされていたプロデューサーさんにも、リニューアルをきっかけにぜひMVをチェックしてもらえるとうれしいです。

――リニューアル後には、新曲として『VOY@GER』が追加されるとのことですが、実装の背景を聞かせてください。

吉川 
『VOY@GER』は、『アイドルマスター』のブランド15周年期間に公開された、15周年以降その後の未来を感じてもらうMVです。『シャニマス』に携わりながら、社内の15周年プロジェクトの方にも参加しておりまして、そういったコンセプトが鮮明に記憶に残っておりましたので、今回のリニューアルいう名の新たなスタートと、リンクする部分があるなと考えました。それと同時にプロデューサーさんに人気のある楽曲でもありますので、そんな皆様に喜んでいただければ思い、提供させていただくことなりました。
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プロデューサーのニーズに合わせて遊びかたを選べるように

――ここからは、ゲーム体験の部分についても聞かせてください。プロデュースとリズムゲームが別のゲームパートになるとのことですが、リニューアルするにあたって大事にした点などを教えていただけますか。

高山 
全体の部分で申し上げますと、当初はプロデュースを経て育成したフェスアイドルを、ライブステージに立たせる一連のプロデュース体験を、ひとつのゲームサイクルとしておりました。

 ですが、プロデュースはプロデュース、リズムゲームはリズムゲームでそれぞれ楽しんでいただけるゲームサイクルにすることで、より多くのプロデューサーの皆さんに、ふたつのゲームパートを広く遊んでいただき、それにより、私たちがこだわってきたアイドルやMVの表現をより多くの皆様に楽しんでいただくといったことを目指しました。

 具体的な変更点としては、たとえばP(プロデュース)アイドルはこれまでプロデュースを通してフェスアイドルにし、育てたフェスアイドルを編成してリズムゲームを遊んでいただくのが基本的なサイクルでした。ですが、今回のリニューアルで、Pアイドルをそのまま編成していただき、リズムゲームをプレイいただくことが可能になります。

 もちろん、リニューアル以前もPアイドルを編成することはできましたが、基本的にはプロデュースによって誕生したフェスアイドルを編成することでリズムゲームのスコアが向上する形式でしたので、リニューアル後には専用アイテムの“練習ノート”によってPアイドルをレベルアップさせることでスコアが伸びるという直観的な形式に変更になっています。

――“練習ノート”はどのようにして入手できるのでしょうか? Pアイドルをたくさん所持されている方は、育成できるアイドルも多いということでもあるので、練習ノートが不足しがちになりそうな気がしますが。

高山 
さまざまな箇所で入手いただけるアイテムにはなりますが、基本的にはライブをプレイいただくと、ドロップアイテムとして入手していただけます。プレイすればするほど溜まっていくものですが、もちろんオートやスキップを使用しても入手できますし、LBの消費に応じてドロップ量も増えていきますので、Pアイドルのレベルを上げたいのに練習ノートがまったくない、というようなバランスにならないようにしたいと考えています。
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――リズムゲームを遊んでいれば、自然と練習ノートが蓄積されるのですね。吉川さんや岡部さん、給前さんが大事にした点もお聞きしたいです。

吉川 
高山が申し上げた内容に内包されるとは思いますが、プロデュースはプロデュース、リズムゲームはリズムゲームで楽しめるという形で、プロデューサーさんのニーズに合わせて遊んでいただけるのが大きな変更点だと思います。

 リズムゲームに特化して遊びたいときは集中して遊んでいただき、プロデュースですと、今後は“シャイニーコンペティション”という、いかにアイドルをうまく育成できたかを競う期間限定のミニイベントも始まりますので、プロデュースにより浸っていただくこともできます。プロデュースをしたいというタイミングや、ミニイベントで報酬を獲得したいといったニーズに沿って遊んでいただけるようになったのが、よいところなのかなと思います。

 実施スケジュールとしては、月下旬に“シャイニーコンペティション”を行う形にして、リズムゲームのイベントと被らないよう調整を行います。報酬に関しては、“シャイニーコンペティション”でしか入手できない衣装や限定アイテムは、現状登場する予定はありません。この期間にプロデュースをすると、多少ジュエルなどがもらえてお得というようなものなので、張り付いてプレイいただくようなイベントではありません。

 形式としても、プロデュースしたフェスユニットの総合力で競い合うランキングイベントになります。ですので、たとえば1回目のプロデュースで満足のいくスコアが出たとしたら、そのままにしていただいても大丈夫ですし、イベントのために期間中ずっと時間を管理しながら何度も何度も一生懸命プロデュースをしないといけない、ということもありません。そうした背景もあり、“ミニイベント”という扱いにしています。

 リニューアル後にイベントが重なることは基本的にはないので、リズムゲームを遊びたい、かつプロデュースもちょっと気になるという方は両立できるような形になるかなと思います。

岡部 
プロデュースとリズムゲームを別々のゲームサイクルにするということで、『シャニソン』を初めて手に取っていただく方にもわかりやすくなっているのかなと思います。そして、しばらくゲームから離れている方、プレイをストップされている方にもぜひ改めてプレイして、リニューアルした点に驚きつつ楽しんでいただきたいですね。

給前 
今回、おもに新規で遊んでいただく方に向けて、これまでインストールすると一括でデータをダウンロードする状態だったものが、必要なタイミングで必要なもののみをダウンロードする形に変わっています。ですので、端末の容量が足りずにプレイを始める前に諦めてしまった方でも楽しめるようになっていると思います。

――これまでよりも容量を気にせず、クオリティアップした『シャニソン』が楽しめるのですね。とはいえ、やはり3D系のゲームなので端末への負荷も気にはなります。

給前 
じつは、リリース後から少しずつ端末(のCPUとGPU)への負荷が軽くなっています。ここはリリース当初から明確に変化している点でして、クオリティを向上しながらも負荷は軽くなっているという状態を実現できています。アップデートの際も、動作検証を行う品質保証チームと連携を取って、高スペック端末でないと動かないような機能になっていないか……などを確認しながら対応を行っているので、リニューアルに際して必要スペックが上がっているということもありません。ですので、これまで遊べていた方は引き続き楽しんでいただけます。

吉川 
給前さんがおっしゃった通り、並行して負荷処理の軽減には力を入れています。リリース初期では実現できていなかった端末スペック、たとえばiPhone 12 miniをベンチマークに、その近辺のスペックの端末でもグローバルメニュー内にあるシステム設定でFSR(超解像度技術)をONにしていただくと、かなり豪華にMVをご覧いただけるようになっています。端末スペックでご懸念いただいている方でも、その点はある程度はクリアーできているのかなと考えております。

給前 
グラフィックはかなり作り込まれていて、幅広くシステム設定で調整できるようになっています。もしも動作が安定しない場合は、システムを調整することで負荷を軽くすることも可能です。
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――今回のリニューアルにおいて、プロデュース関連で大きな変更などは行われるのでしょうか?

吉川 
リニューアルそのものによって変化している点はありません。ですが、これまでのアップデートで、ゲームバランスの調整を行ったり、プロデュースカードゲームの際にカード効果を確認しやすくなるアップデートなど、随時対応をしてまいりました。

 そういった意味では、リニューアルをきっかけに再びゲームに触れていただくプロデューサーさんにも、まず楽しんでいただきたいのはやはりリズムゲームではあるのですが、シャイニーコンペティションを行う際などでプロデュースを改めてプレイしてみると、リリース初期に比べて手触りがよくなっているように感じられるかもしれません。
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enza版の“S.T.E.P.”編~“W.I.N.G.”編を再編集したストーリーを追加予定

――ここからは、リニューアル後の展開をお聞きできればと思います。

吉川 
3月には、関係各所にご協力いただいて、少しサプライズをご提供できると思います。こちらは、そこまでお待たせさせずに情報もお届けできるかと思います。

 ほかには、シナリオのアドベンチャーパートについても表現のブラッシュアップを進めていまして、具体的な時期はまだ調整中なのですが、今年の夏以降にご提供したいなと考えています。

高山 
アドベンチャーパートにおいては、表現のブラッシュアップという点ではお伝えの通りですが、『シャニソン』においてもアイドルと出会い、成長する過程を描くストーリーを登場させる予定です。

 具体的には、enza対応ゲーム
『シャニマス』の“S.T.E.P.”編~“W.I.N.G.”編を再編集し、アイドルによっては『シャニソン』で初めて描かれるストーリーも加えた内容となります。ですので、『シャニソン』から初めて『シャニマス』のアイドルたちに触れたプロデューサーさんも、enza対応ゲーム『シャニマス』ですでにストーリーをご覧のプロデューサーさんも、それぞれ楽しんでいただけるのではないかなと思います。

 表現のブラッシュアップ及び、先にご説明したストーリーの制作を進める都合もあり、リニューアル後も引き続きプロデュースエピソードの追加は隔月でのご提供となってしまいます。この点はプロデューサーの皆様にたいへん申し訳なく思う部分ではありますが、その分お楽しみいただけるようなコンテンツの制作を目指しております。

 加えて、バンダイナムコエンターテインメントの音楽レーベル“ASOBINOTES”とも連携して、これまでのCDシリーズのカップリング曲を、各ユニット1曲ずつの計8曲、リリックビデオ(2DMV)にしてご提供しようと考えています。

――4月には『シャニマス』の7周年が控えていますが、こちらについても現時点で何かお話しいただけることはありますか?

高山 
4月には『シャニマス』7周年を迎えますが、もちろんenza対応ゲーム『シャニマス』では7周年を記念したゲーム内の取り組みがございますし、5月には『シャニソン』の1.5周年も待っています。ゲームだけではなく、ライブという面ですと、すでに発表されている6月以降の“7th UNITLIVE TOUR”を通して、四都市のプロデューサーの皆さんとお会いするタイミングがありますし、音楽もさまざまに展開していく予定です。

 7周年のひとつのテーマに沿った展開をゲーム、そしてライブや音楽でもご提供していきます。そして、今回の
『シャニソン』リニューアルがその前哨戦と言いますか、プロデューサーの皆さんにアイドルたちの輝きを一層見守っていただく、その第一歩かなと、楽しみにしているところです。
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熱意あるPの言葉を胸に、誠心誠意アイドルたちの魅力を描いていく

――先ほど少しお話しいただいた部分もあるかと思いますが、改めて、今後のアップデートを通じて、『シャニソン』はどのようなゲームを目指しているかを教えてください。

高山 
私としては、『シャイニーカラーズ』というタイトルは、アイドルたちをプロデュースする中で、真摯に向き合って、彼女たちを輝かせる、その一連のプロデュース体験が何よりの魅力だと考えています。

 『シャニソン』においては、今回のリニューアルで、アイドルたちが歌って踊るライブステージ上での輝きというところを中心としたプロデュース体験をご提供していくタイトルになるかなと思っています。

 ですので、まずはプロデューサーの皆さんが直感的にリズムゲームに触れて、アイドルたちの輝きをご覧いただければと思いますし、今後3Dという特性を生かしたストーリー表現などにも力を入れて、ライブステージ上はもちろん、それだけではないアイドルたちの姿も引き続き魅力的に描くことができるタイトルを目指していきたいです。

吉川 
『シャニマス』のアイドルたちが3Dで歌って踊る、『シャニソン』ならではの魅力をよりよくご提供できるように、本日お話しした点や、それ以外に準備を進めている内容も含めて、運営・開発ともに引き続き尽力していきたいと思います。

給前 
私は『シャニソン』においてよりよい表現を追求したいとずっと思っていましたので、今回のリニューアルをきっかけにたくさんのプロデューサーさんに驚きをご提供したいですし、これからもトレンドや新たな技術を積極的に取り入れながら、クオリティをどんどん上げていくつもりです。ぜひその変化も楽しんでいただきたいです。

吉川 
給前さんと少しお話ししていたんですが、バージョンごとにグラフィックが変わるようなアップデートを行うタイトルは珍しいかもしれません。僕も初めての経験でしたが、プロデューサーの皆様に引き続き楽しんでいただけるように、これからもアップデートを通じて、コンテンツをご提供していけるといいなと考えております。

――それでは最後にプロデューサーさんにメッセージをお願いします。

吉川 
リニューアルの決定後、お伝えするまでに時間がかかったり、リニューアル前にメンテナンスが生じてしまったりと、ご心配をおかけしてしまった点はたいへん申し訳なく思っております。

 ただ、リニューアルを実現できるところまでたどり着けたのは、プロデューサーの皆様の応援や励ましのお言葉のおかげです。生配信やSNSでのコメントだけでなく、お問い合わせやご意見ボックスなどでお褒めのお言葉をいただいたことが何度もあり、その度に励まされていましたし、ここは改善してほしいとご要望をいただく際には身が引き締まり、ここまでアップデートやリニューアルを進めることができました。そういったプロデューサーさんのお声に感謝し、引き続き楽しい体験を提供できるようにがんばってまいります。

岡部 
同じような内容にはなってしまいますが、お問い合わせいただいた内容や、SNSに書き込んでくださっているご意見は、大切に拝読させていただいております。応援してくださるお言葉、忌憚のないご要望など、開発チーム内で共有させていただいておりまして、実際にアップデートのヒントとなることも多く、それらを受け止めながら開発しています。

 そうした皆さんの熱意にお答えできるように、MVはもちろん、アドベンチャーパートなど、今後もよいものをお届けできればと思いますので、これからのアップデートも楽しみにしていただけると幸いです。

給前 
リリース当初からかなりルック表現にこだわってアップデートや開発を進めてきました。そういった変化も楽しんでいただけたらうれしいです。そして、吉川さんと岡部さんと同じ内容にはなりますが、プロデューサーさんたちのコメントが励みになっております。これからも誠心誠意、ご期待に沿えるようがんばっていきますので、よろしくお願いします。

高山 
2024年の終盤ごろにリニューアルの発表をさせていただき、何度かの配信を通して具体的な変更、リニューアル箇所についてお伝えをしてきました。2月にはプレイできない期間も発生してしまいましたが、その点については改めましてお詫びを申し上げつつ、内部では開発を進めてまいりまして、ようやくプロデューサーの皆さんにリニューアルをご提供できるタイミングになりました。

 『シャニソン』を最初に触れられて、いまは休まれているけれどこれを機に触れていただく方、現在進行で遊んでくださっている方、そしてこれから『シャニソン』に出会われる方など、さまざまなプロデューサーさんがいらっしゃると思いますが、このリニューアルした『シャニソン』を通して、283プロダクションのアイドルの魅力を引き続きお届けできればと思っておりますので、ぜひぜひ楽しんいただけたらうれしいです。
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