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『レンタヒーローZ』は従来のブロックチェーンゲームとは一線を画す、ゲームファンが主体的な体験ができるタイトル。セガ内海社長とLINE NEXTキムCSOに聞く

byロマンシング★嵯峨

『レンタヒーローZ』は従来のブロックチェーンゲームとは一線を画す、ゲームファンが主体的な体験ができるタイトル。セガ内海社長とLINE NEXTキムCSOに聞く
 LINEヤフーのグループ会社で、NFTプラットフォームの企画・開発を行うLINE NEXT。同社は2024年9月20日に、新作タイトル『レンタヒーローZ』を2025年にリリースすることを発表した。
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 同作は、知る人ぞ知るセガの怪作『レンタヒーロー』(メガドライブ向けに1991年に発売)をベースにしたタイトルで、セガからIPのライセンス許諾を受けて開発しているという。LINE NEXTが持つブロックチェーン技術と、『レンタヒーロー』というIPが合わさることで、いったいどんなタイトルが生み出されるのだろうか?

 本記事では、セガの代表取締役社長である内海州史氏と、LINE NEXTのCSO(最高戦略責任者)であるキム・ウソク氏のインタビューをお届け。新作ゲームの題材として
『レンタヒーロー』が選ばれた理由や、ブロックチェーンをゲームで活用する際の理想的なありかたなどをうかがった。

内海州史氏うつみ しゅうじ

セガ 代表取締役 社長執行役員COO

キム・ウソク氏

LINE NEXT CSO(最高戦略責任者)/ビジネスディレクター

――初めに、『レンタヒーローZ』が生まれることになったきっかけをうかがいたいと思います。まず両社が協業することが決まって、その後にどのIPを使うかを決めたのか、それとも『レンタヒーロー』というIPありきで協業の話が生まれたのか、どちらだったのでしょうか?

内海
 まずは両社で「いっしょにプロジェクトをやろう」と話が持ち上がり、いろいろとお話をした中で、出していただいた候補の中に『レンタヒーロー』の名前がありました。じつを言うと、『レンタヒーロー』の名前が出てきたときは少し驚いたんですけれど……プロデューサーのハンさん(※)が熱い想いと深い知識を持っていらっしゃいましたし、お話をうかがうと、『レンタヒーロー』の世界観とブロックチェーンのシステムが非常にフィットしているということがわかりましたので、「だったらやってみよう」ということになりました。
※ハン・ギウン氏。LINE NEXTの『レンタヒーローZ』制作統括プロデューサー。
キム
 内海さんがおっしゃった通り、このプロジェクトを担当しているハンはセガの熱いファンで、セガのIPに関して膨大な知識を持っています。そのIPの中から、我々が目指そうとしているゲーム経済と世界観にフィットするIPを選びたいと思っていました。『レンタヒーロー』は歴史のあるIPですし、独自のおもしろい要素を持っていますので、今回活用させていただくことになりました。

――最初は、『レンタヒーロー』以外のIPも候補としては挙がっていたんですね。

内海
 そうですね。いくつか案はあったのですが、『レンタヒーロー』案は、アイデアの掘り下げが秀逸でした。

――とはいえ、『レンタヒーロー』は海外展開はしていませんでしたので、グローバル展開をするゲームの題材として選ばれたのは驚きます。

内海
 おっしゃる通りで、『レンタヒーロー』は、日本でもわりとマニアックなゲームとして知られています。ただ、マニアックであるがゆえに、じつはこのゲームの海外展開のニーズはあったんです。深い愛を持たれている、ちょっとした伝説になっているIPだと思っています。

――なるほど。海外の熱いセガファンには熱望されているIPなのですね。

内海
 そうですね。そういった熱い気持ちが起爆剤となって、グローバルへと理解が広がっていく仕組みが出来ればおもしろいなと考えています。

――去年、LINE NEXTが「セガのIPを活用したWeb3ゲームを開発する」を発表した際、LINE NEXTが手掛けるWeb3ゲームプラットフォーム“GAME DOSI”(※)で展開すると語られていました。その予定は変わっていませんか?
※現在、GAME DOSIは、グローバルNFTプラットフォーム“DOSI”に統合されている。
キム
 DOSIは、ユーザーがデジタルアイテムを所有して取引をするプラットフォームです。『レンタヒーローZ』においても、DOSIを活用したいと思っています。ただ我々は将来、現状よりもさらに幅広い事業を展開していくつもりです。従来のブロックチェーンゲームでは実現できなかった、より多くのゲームプレイヤーを受け入れられるエコノミープラットフォームを築いていければと思っています。

――日本のプレイヤーが『レンタヒーローZ』を遊ぶ際は、LINEアプリの中や、もしくはブラウザ上で遊ぶことになるのでしょうか。それとも、スタンドアローンのアプリとして展開されるのでしょうか?

キム
 スタンドアローンを想定しています。『レンタヒーロー』というIPは、北米なども含め多くの国で愛されているIPですので、スタンドアローンのアプリとして運営していきます。もちろん、LINEユーザーにも興味を持っていただけるように、マーケティングにも取り組んでいきます。

――Web3領域には、日本のゲームメーカー各社が取り組んでいるものの、まだ大ヒットにはいたっていないという印象です。内海さんが考える、Web3領域でのゲーム展開の課題とは?

内海
 他社さんはわりと、内部に多くのスタッフを抱えてWeb3の事業に取り組んでいる事例が多いと思うのですが、セガの場合は、Web3に対応する能力がまだないな……というのが当初から感じていたことです。それもあって我々は、Web3への技術や知識を持っている会社の方々と組んで、セガが持つIPとゲームデザインの魅力を増幅させるという方向性を選びました。

――今後も知見がある皆さんと協業しながら、道を模索していくということですね。

内海
 セガは、IPを自社ゲームだけではなくさまざまなメディアで展開していく“トランスメディア”を重要戦略として位置づけています。自分たちのIPを活用しながら、セガが強みを持っているところに対して貢献していく。そうしてIPを成長させていくことが重要だと考えています。

――ゲームにブロックチェーンを導入するメリットについて、おふたりの考えをお聞かせください。

内海
 ブロックチェーンには“所有”、“トレード”の概念があります。これによって流動性が増していけば、ゲームというものの価値がさらに高まり、おもしろくなると思っています。ただ、それを実現するのがなかなか難しい。今回の『レンタヒーローZ』では、「ブロックチェーンを利用して、ゲームをおもしろいものにしよう」と真面目に取り組んでいる方々と協業していますので、ぜひ理想を実現したいと思っています。

キム
 私はブロックチェーンに2015年から取り組んでいますが、我々が考えるブロックチェーンとは“技術”です。ゲームというものは、IPと、IPを愛するユーザーがすべてです。ブロックチェーンという技術は、ゲームプレイヤーがIPをより愛するために活用するのでなければ、何の役にも立たないと思います。ゲームをより成長させ、ゲームプレイヤーがゲームをより愛することを助けるプラットフォームであるべき。そういった意味で、従来のブロックチェーンはその役割を果たせていませんでした。

 ゲームというものは、プレイヤー 自身が所属する世界観や経済の中で、主体として活動ができなければ楽しくないはずです。ブロックチェーンは、ゲームプレイヤーが、その世界の中でより能動的な主体になれるように手助けする存在です。ブロックチェーンは“所有”を可能にしますので。ゲームプレイヤーが単純な消費者ではなく、創作者、生産者であるという経験ができるように、この技術を持って助けたいと思っています。
『レンタヒーローZ』は、そのための第一歩になると思います。

――では『レンタヒーローZ』において、具体的に、ブロックチェーンはどのように利用されるのでしょうか。

キム
 従来のブロックチェーンの事例をそのまま適用する気はありません。詳しくはお話しできませんが、実際にプレイしていただければ、「こういう風に技術が利用されたのか」とわかっていただけると思います。ゲームの中では、“トークン”といったブロックチェーン関連の用語は見せないつもりですし、従来のNFTゲームで見られるようなトークンを発行する予定はありません。あくまでも、“ゲームの世界観の中で所有の経験ができ、それによって流動性が生み出される”ということに集中したいと思っています。

――どんなゲーム内容になっているのか、早くプレイして知りたくなりますが、今後の情報展開の予定は?

キム
 正確な日付はお伝えできませんが、近いうちにいいゲームをお見せできると思います。『レンタヒーロー』の原作者の方々からもアイデアを得ていて、LINE NEXTとしてもより多くのリソースを投入して、完成度を高めるために取り組んでいます。

内海
 皆さんご存知の通り、うちのクリエイターはちょっと気難しいんです。でも、先ほどお話しした通り、プロデューサーのハンさんの熱意に背中を押されて、うちのクリエイターたちも本当に楽しみながら、前向きに『レンタヒーローZ』に取り組んでいます。これはなかなかの出来事だと思うので、本当に期待しています。

キム
 ハンさんの家は、本当にゲームの博物館のようになっていて、プロジェクトの関係者も見学に行くほどなんです。本当にハンは『レンタヒーローZ』に対して本気で、責任を持って取り組んでいますので、私個人としても非常に期待しています。従来のWeb3ゲームとはまったく違うゲームができると確信しています。

――では最後に、ゲームファンに向けてひと言お願いします。

内海
 ブロックチェーンのゲームに関しては、充実したプレイ体験を得たことがある人がまだ少ないと思いますし、そういった体験を生み出すのは難しいことだとも思っています。ただゲームというのは、技術の進化とともにおもしろいものを作っていくことで成長してきたと思います。今回、熱意のあるチームの皆さんに『レンタヒーロー』というIPを選んでいただき、協業できることをとてもうれしく思っていますし、皆さんにも期待していただきたいと思います。

キム
 私も今回のプロジェクトを通じて、セガのファンになりました。ゲーム会社がブロックチェーンを導入する際は、従来の仕組みをそのまま真似したり、当てはめてしまうことが非常に多いのですが、セガは我々のビジョンに共感してくださり、「よりよいWeb3ゲームを作ろう」という共通の目標のもと、本当にいろいろとサポートしてくださっています。LINE NEXTは歴史の長い会社ではありませんが、新しいゲームのエコシステムを作るためにがんばっています。まず、『レンタヒーローZ』で第一歩を踏み出していきますので、ぜひご期待ください。
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