2024年8月21日~24日の4日間、ヨーロッパ最大級のゲームイベントgamescom 2024がドイツ・ケルンにて開催。
サンソフトから発売中のNintendo Switch、PC(Steam)用ソフト『SUNSOFT is Back! レトロゲームセレクション』の開発を手掛けた、RED ART GAMESがブースを出展していたので、広報担当のROMAN MAHUT(ロマン・マーウ)氏にお話をうかがった。
RED ART GAMESブースの壁。右下にサンソフトのタイトルが確認できる。
ROMAN MAHUT氏(ロマン・マーウ)
RED ART GAMES広報担当。『SUNSOFT is Back! レトロゲームセレクション』を開発を手掛けた。
RED ART GAMESのサンソフト愛が半端ない
――『SUNSOFT is Back!』をRED ART GAMESが開発することになった経緯をお聞かせください。サンソフトとは以前もやり取りはあったのですか?
マーウ
サンソフトさんとは、『へべれけ2』でごいっしょさせていただきました。そして今回は、ファミコン40周年を記念して何かやりたいという相談をいただいたんです。「まず、サンソフトのゲームソフトを使ってどういったところまでできますか?」というところから。
――企画段階から相談を受けたのですね。
マーウ
それで、ファミコンカセットの3Dレンダリングやブラウン管の再現フィルター、壁紙などいろいろなものを提案しました。そしてとんとん拍子で話は進んでいきました。
――ソフトの移植に関してもスムーズに進行したのですか?
マーウ
もともと、サンソフトさんからはNintendo Switch版とSteam版だけ作れますか? と聞かれました。でも、それならせっかくだからプレイステーションやXboxのプラットフォームでも展開したほうが、世界のゲームファンに期待していただけるのでは? と逆に提案したんです。
そして、その期待に応えるためにも、まずはローカライズしましょうと。そういった提案も受けていただけて、各プラットフォームで英訳まで担当させていただきました。
――すごい熱意ですね。お話を聞いているだけでもクラシックゲーム愛が伝わってきました。
マーウ
ひとりのクラシックゲームファンとして、非常に光栄です。ファミコンやスーパーファミコン、ゲームボーイなどで日本のゲームを遊んで育ってきた私たちが、サンソフトさんと最初にお仕事することになったとき、交換した名刺にサンソフトさんのロゴが印刷されていたのに気付きました。
子どものころから大好きだったサンソフトさんのロゴでしたので、それはもうテンション爆上がりでしたよ(笑)。もうひとつ自慢になってしまいますが、スタッフロールの中にRED ART GAMESの社名も入れていただきました。これもすごくうれしいことです。
――それは間違いなく自慢できますね! 日本のサンソフト本社には行かれたのですか?
マーウ
来日した際、本社でサンソフトの資料を見せていただきました。ものすごく参考になる内容のものが保管されていて、何百枚も写真を撮ったんです。
――クラシックゲームファンにとっては、まさしく財宝の山……。
マーウ
秋葉原や池袋で資料となるソフトを探したときは、なかなか見つからなくて。なんとか手に入れても箱や説明書が欠けていたり、状態のよいものには巡り会えなかったんです。
それをサンソフトさんにお伝えしたところ、新品同様の美品をお貸しいただけて。そこからスキャンしたので、3Dのモデリングもはかどりました。ゲーム内ではカセットをさまざまな角度から閲覧できますし、箱絵の原画などの貴重な資料を高解像度で堪能できます。
マーウ
あと余談ですが、この画面の左右が斜めの線でデザインされているのがわかりますよね。これはサンソフトの“S”の角度と同じにしているんです。
――なんと、あのデザインには意味があったんですね。ファミコン初期のゲームはもう40年近く昔のものになりますから、資料やソフトがちゃんと残されているのはすばらしいです。
マーウ
はい! 昔のゲームを未来に伝えることは非常に難しいと思います。そもそも、ゲームの現物が残っていない、あるいはデータもデジタル版もない……といった要因で、存在したこと自体が歴史から消えてしまうんですよ。
そんな寂しいことにならないためにも、『SUNSOFT is Back! レトロゲームセレクション』のようなコレクションが出ることは、とても意義があることだと思います。ほかのもので例えると、いまは100年前の音楽を聴いたり、数十年前の映画を観たりできますよね。ゲームも同様に、つぎの世代に伝えていきたいです。
――すばらしい考えだと思います。
マーウ
先日、『SUNSOFT is Back! レトロゲームセレクション』の試遊台で小さいお子さんが楽しそうに遊んでいたのを見て、とてもうれしくなりました。アラフォーやアラフィフのクラシックゲームファンに懐かしんでいただけるのももちろんいいですが、当時生まれていない若い世代が楽しくプレイしている姿は最高です。
本作を購入された方は、ぜひお子さんや若い人たちといっしょに遊んでみてください。昔のゲームなので難度が高いものもありますが、セーブ機能もあるので気軽に楽しめますよ!