女性VTuberグループ“ホロライブ”所属の鷹嶺ルイさんの1stアルバム『Liberty』。2024年6月12日のデジタルリリースに続いて、ホロライブプロダクションオフィシャルショップではCDも発売された。豪華アーティスト&作家陣による全10曲を収録した記念すべき初のアルバムとなる。
アルバムの発売を記念して、鷹嶺ルイさんのYouTubeチャンネルにて本アルバムを手掛けた作家陣との対談動画が公開された。ファミ通.comでは、動画では紹介しきれなかった未公開の部分を含む、フルバージョンを5回に分けて掲載。第2回は『魔眼ウインク』の制作を務めたてにをは氏との対談をお届けする。
ルイさんからの特別コメント!
ファミ通.comの読者の皆さん! まったかね~?
holoXの女幹部 鷹嶺ルイと申します!
私の1stアルバム『Liberty』を記念して、新曲を書きおろしていただいた5名の作家さんと対談をおこないました!
配信では泣く泣くカットになってしまった部分も含めて、こちらの記事ではフルバージョンを公開します!
ぜひ『Liberty』を聴きながら、大ボリュームのこちらの記事もお楽しみください!
鷹嶺ルイ
【秘密結社holoX】の女幹部。総帥にできない交渉を担当しており、実質“組織の司令塔”。一見クールに見えるが仲間思いで面倒見がいいお姉さん。しかし、大事なところでミスをするポンコツ。
てにをは
ロックからポップまで手掛け、言葉遊びや韻を踏んだ歌詞が特徴的なボカロP。代表曲は『女学生探偵シリーズ』や『ヴィラン』、Adoへの提供曲『ギラギラ』などが挙げられる。本アルバムでは、『魔眼ウインク』の作詞/作編曲を担当している。
『魔眼ウインク』のイメージは創作和風料理。鷹嶺ルイさんが楽曲制作の裏話を深掘り
鷹嶺
今回は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます!
てにをは
いえいえ、こちらこそありがとうございます。
鷹嶺
私がてにをはさんに楽曲制作をお願いしたい気持ちがあり、1stアルバム『Liberty』のリード曲となる『魔眼ウインク』の作詞・作曲をお願いさせていただきました。依頼がきた際の最初の印象はいかがでしたか?
てにをは
最初は詳しいスタートではありませんでした。ですが、前段階でホロライブメンバーの方々に何曲か提供していて、自分の曲がどのように歌われているのかをYouTubeの配信で見るようになりました。そこでルイさんが秘密結社【holoX】の方だと知りました。
当初、ルイさんは目の部分が印象深かったです。知っていくうちに、能力の“ホークアイ”っていうんですかね? 目にまつわるなにかを持っている、そこを起点としたおもしろい曲が作れるかもしれないと考えました。
鷹嶺
そうなのですね!
てにをは
僕はつぎからつぎに曲を生み出せるタイプではなく、お題に対して「このお題ならまだ作ったことのない曲が作れるかも」といった考えがあります。今回はホークアイがスタート地点でした。
鷹嶺
なるほど。レコーディングの際に、『魔眼ウインク』はかなり早く制作できたといったお話をいただいていたので、“ホークアイ”からインスピレーションを得て、すぐ作れたのですね。
てにをは
そうですね。テーマ自体はわりとすぐ浮かびました。
逆に言うと、僕は言葉やタイトルといったテーマがないと「どんな音にしよう」とか「どういったリズム感の曲にしよう」と、かなり悩むんですよ。
そのため、今回は“ホークアイ”というテーマがあったおかげで、「こういうフレーズがあったほうがいい」、「ウインクという言葉はここぞというときに出したい」とか、パーツやマストな言葉が、フレーズとして多く出てきたため、制作は早かったですね。
鷹嶺
曲も歌詞もそうなのですが、曲調がラテンといいますか、だんだんとダンスがしたくなるような……(笑)。
てにをは
そうですね(笑)。
鷹嶺
情熱的な曲調の中に、ダークな歌詞が散りばめられている印象がありました。今回の曲調になったきっかけや考えはありましたか?
てにをは
曲調もテーマから、勝手に出てきてしまったが故の情熱の部分があります。
鷹嶺
勝手に出てきてしまった(笑)。
てにをは
“ウインク”という言葉を使うとなった時点で、まずは「ウインクが情熱的じゃないわけがない」といったことを自分の中で考えました。低体温な曲でウインクをしても、グッときませんしね。
となると気分が高揚するフレーズやサウンド感を考えて、情熱的な方向で制作していった結果、ラテン調のような印象の曲になりました。結果論なのですが、試行錯誤を重ねていくうちに形が作られていきましたね。
鷹嶺
ふだんから音楽を作るうえで連想ゲームのように、ひとつの題材からさまざまなワードを連想していき、曲や歌詞が作られていくイメージなのですね。
てにをは
そうですね。要素と要素があって、それを補強するために必要なことが散りばめられていてそれを拾って作っていきます。
これは独学なのですが、本当のフラメンコとか、本当の海外の古くからある伝統ジャンル、確立されているジャンルそのものの音にはしないようにしています。
『魔眼ウインク』ですと、じつはフラメンコギターを使用していません。本来ならこの手のジャンルでは使わない通常のアコースティック・ギターでラテン調のフレーズを鳴らしていますし、今回だと打ち込みの音も混ぜたりしています。
本場の和風料理ではなく、自分なりの調味料を入れた結果、不思議なものになればなという……創作和風料理みたいなイメージですね(笑)。
鷹嶺
すごいですね(笑)。ルイ友(※)さんからも『魔眼ウインク』についての質問が多くきています。「てにをはさんは、何を食べたらこんな発想になるのか?」といった質問をされているルイ友さんが多いんですよ。何を食べていらっしゃるんですか?(笑)。
※ルイ友:鷹嶺ルイさんのファン愛称てにをは
ふざけて返すと、お米が大好きなので「お米は食べましょう」って言いたいです(笑)。
鷹嶺
皆さん、お米は食べましょう(笑)。
てにをは
その質問の裏を読むと、「なにを吸収すれば、どういったものを見聞きすればいいのか」といった言い換えになるかと思いますが、僕は勤勉ではありません。そもそも興味があるものや好きなものでないと、見たり聞いたりし続けられない。これ、勉強のために見とこうというようなことができないタチなんです。
映画でたとえると、ひとつの映画を見た後、「この監督の前作品を知りたい」、「この監督が前に助監督をしていた時代の師匠の映画が観たい」とか。そういった興味でどんどんと追いかけるように観ていくうちに、気がついたら自分がもともと好きじゃなかったジャンルも見るようになっているイメージです。
音楽も同じで、「この曲が好きでずっと聞いていたんですよ」というよりかは、さまざまな経験の中から、「今回はこの引き出しを開けてみよう」みたいな感じで、混ぜている感じです。歌詞に関しても同じです。
ただ、“連想ゲームで作る”とは言いつつ、この連想ゲームに飽きる瞬間もありますね。
鷹嶺
飽きる瞬間があるのですね。
てにをは
この流れは気持ちいいけど、予想がついちゃうから、まったく関係のないところから言葉を持ってきてみようとか。そうすることで意外な要素と要素を繋げられたり、響きが似ている意外な言葉が見つかったりもするので、そのあたりは特定のなにかから得た栄養ではないかもしれないですね。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/11425/a8f67bed04e4bd546c1ec6bf49ac12b94.jpg?x=767)
鷹嶺
聞いていて驚きばかりです……。言葉にするのは簡単ですが、実際に形にするのはなかなかできないですよね。
私や一般的に音楽を聴いている人、作詞作曲に携わっていない人にとってはできないことだと思いますし、自分の経験を音楽に活かすのが難しいので、やはり天才なんだなと感じました(笑)。
てにをは
では、天才ってことにさせてもらったうえで、これから進めてください(笑)。
ただ、VTuberの世界も、僕らの音楽の世界と同じだと思っています。表に出すキャラクター性や本人のパーソナリティーとか、ほかに替えがきかないものをどうやって世の中に出していくか。誰かの真似をしても仕方がないですし、影響を受けたものをそのまま出しても、本家の代わりにはなれないという点があると思います。
“一点ものでいたい”というワガママをどれだけ通すか。ほかの人がやっていないことのなかで、自分がやってみたいことはあるかなと、重なる部分やその余地を探していく。それに加えて、聞いたことがないもの、特別なものをどうやって出していくかを楽しんでいる感じはありますね。そう思ってくれたら、うれしいですし。
鷹嶺
私は“ホロライブ”というアイドルVTtuber事務所に所属していますが、みんなかわいい声なんですよね。
ただ、自分の声が低かったり、歌で高音が出なかったりするので、悩んでいた時期がありまして……。
てにをは
そうなのですね。
鷹嶺
そのときに、自分にしか出せない色を出そうと思い、歌を積極的にやり始めたので、いまやっていることは、てにをはさんがおっしゃっていることなのかなと思って、勝手にシンパシーを感じてしまいました(笑)。
てにをは
うれしいです。きっと大事な部分なのでしょうね。
歌詞に“眼”や“羽”を使った意味は、てにをは氏の自分印。てにをはさんの楽曲制作に対するこだわり
鷹嶺
ルイ友さんから『魔眼ウインク』の歌詞に関しての質問も届いています。2番のサビ前に「目には眼を 歯には羽を」という歌詞がありますが、通常ですと同じ漢字を使うのが一般的だと思います。“眼”や“羽”を使った意味、そこに込められた意味を教えてください。
てにをは
さきほども触れましたが、ほかにない言葉や、まだ使われていなさそうなフレーズを探しました。
「目には目を 歯には歯を」というワードは、小学校のころに聞くぐらい有名な言葉ですし、誰でも知っているかと思います。それをあらためて、サビ前の大事な部分に入れたのですが、そういうときに自分印を入れたいなという悪い癖が出るんです(笑)。
鷹嶺
悪い癖なんだ(笑)。
てにをは
何か変えてやろう……ただ、歯の部分を別の言葉、そもそも違う発音にしたら気持ち悪くなってしまいます。発音はそのままでほかの漢字を探したときに、ルイさんには羽があるのでそのまま入れてみましたが、「まさにこれっ!」という結果になりました。即決でしたね。
歌詞まで見てくれる人は気づいていただけると思いますし、ちょっとした遊び心も入れてみました。
鷹嶺
『魔眼ウインク』を依頼したときに、裏切られた人への復讐をテーマでお願いをさせていただきました。羽を歌詞に使ったことで飛び立つような、つぎのステージに行くように私は感じたので、自分なりの意味を持たせて歌いましたね。
てにをは
羽ばたくことでわからせてやろうという歌なので、正解だと思いますよ。
「目には眼を」に関しても、タイトルも魔眼なので、ウインクもさせてみようっていうのはもちろんのこと、どれだけ眼に関するワードを散りばめられるかなといった自分へのチャレンジでもありました。
そうすることで、1本筋の通ったテーマの歌詞になるかなと思い、さまざまな「目に目を」を使った慣用句や言葉を書き出して、どれがいいかなとか考えながら散りばめていきました。
鷹嶺
あらためてお話を聞くと新たな発見があっておもしろいですね! では、『魔眼ウインク』を制作する際にもっともこだわった部分はありますか?
てにをは
イントロはかなりこだわっています。
まず、初めから耳に残るものにしたい気持ちがありました。フレーズができて、ギターで弾こうといったときに、ギター奏法のミュート奏法というものを使いました。
ギターの弦をそのまま鳴らすのではなく、右手で少しだけ弦を抑えることでシャープな、伸びやかじゃない音にあえてするという奏法で、独特の打楽器っぽさが出ています。ピアノとかはふつうのコードで弾いているときとは違う音色になっていて、それをまるまる同じものを2本重ねたりして、不思議かつ一瞬なんの楽器かわからなくなるような。期待値を上げるという意味で、そういった音色はかなりこだわった部分ですね。
鷹嶺
たしかに、イントロを聞いてワクワクしました! 初めてデモ版をいただいたときに、曲調もイントロもいままで聞いたことがなくて、使っている楽器がいっしょなのかとびっくりしました。
てにをは
やはり生楽器は打ち込みの音とは違いますし、もっと言うと湿度なんかも楽器に影響して、わずかなところで差が出たりします。
そういった揺らぎの感じがどこか冷たいだけではなく、魂が宿る気がするのが好きなので生楽器を必ず入れるようにしています。
鷹嶺
この対談はかなり貴重だなぁ(笑)。
てにをは
手の内をこんなに答えることは僕もあんまりないので(笑)。
鷹嶺
手の内を明かしてくださって、ありがとうございます(笑)。
てにをはさんとの次回コラボ曲は“ダジャレ”がテーマ!?
鷹嶺
歌う際に、「この歌詞は英語っぽく歌ってください」といったディレクションがかなりあったように感じます。そのような考えがどのように導かれたのかお聞きしたいです。
てにをは
昔からJ-POPの中では、確立された手法のひとつでして。僕自身そういった曲を聞きながら育っていて、こういうことをしてもいいんだと学んできました。言わば、すべてはダジャレが発祥だったりもして、同じ言葉、似た発音や同音異義語をくり返すとか。そういったものの中に英語もあっていいのではないかと考え、手法のひとつとしてやっています。
あとは曲のリズム、歌詞のメロディーの譜割りと相談しながら、まともに日本語で歌ったら意味としてはあっているが、違和感がある。その場合、少し崩した発音にしたほうがいいかなみたいな。
英語では当たり前にある手法だと思いますし、中学生のころに習ったappleの前のaはanにすると似たようなイメージです。つぎのappleが綺麗に発音しやすい、そのように教えているのかなと自分なりに考えたときに、日本語にもそういったものがいっぱいあるだろうと思ったので、あんまり型を気にせずに崩すことをしますね。
鷹嶺
ダジャレという言葉が出てきましたが、鷹嶺ルイはかなりダジャレ好きだとまわりからも言われているので(笑)。
てにをは
繋がった!(笑)今回は少しシリアスなテーマだったのですが、もしそうではなかった場合、完全にダジャレに特化した曲があってもおもしろいのではないかと思いましたね。
鷹嶺
では、お忙しいのは重々承知ですが、次回それをぜひ作っていただきたいですね。
てにをは
ダジャレと言い切ってやるというハードルも、なかなか新しいハードルですね(笑)。
鷹嶺
どのような曲になるのか、楽しみです。
てにをは
かっこいいとは思っていたけれど、これはダジャレだったとなると、少し親近感が湧いて、聞きかたが変わるかもしれないです。
鷹嶺
かっこよくて近寄りがたいと思っていたら、じつはおもしろい人で、なんか笑ってもいい人なんだみたいな。
そうすると親近感が湧いて、少し話してみようってなったりすると思いますよね。私もお堅い人だと思われていたけど、ギャグとかを言っても大丈夫なのかとか、いじってもいいんだって思ってもらえるように最近なってきたので……。
てにをは
僕も配信を見させていただくようになったときに、ホラーゲームが苦手だけど、ほかのホロライブメンバーさんから勧められてやる羽目になるくだりとか(笑)。
鷹嶺
白上フブキさんですね?(笑)
てにをは
いわゆる、愉悦でしょうか。それをみんなが楽しんでいて、いじられるのも才能がいると思っているので、そこで気持ちよく泳げる才能があるのではと。
日常生活でもあるかとは思いますが、いじってもいいんだとまわりが思ったときに、本人にその才能がなかったら上手に受け流せなかったりすると思います。そこが、ハマっているというのは、本来あった才能がまわりから見出されて、さらに成長させているのかなと。僕は勝手にそのように思いながら楽しく見させてもらっています。
鷹嶺
ありがとうございます(笑)。私は、いじられたいと気持ちはあれど、いじりにくいのかなと悩んでいたときもあったので、いまいじってもらえることが増えてきました。てにをはさんがおっしゃってくださったように、私としては本当に日々成長しているといいますか、もっと配信やVTuberの世界を泳ぎたいなと思っています。これからもそういった楽曲ができたらいいな、いじってもらえるかなと思っています。
てにをは
確かに、さまざまな角度からの楽曲は単純に聴いてみたいですね。
鷹嶺
何かあればよろしくお願いします。
てにをは
もちろんです(笑)。
鷹嶺
ここでしっかりと言質を取っておく!
鷹嶺ルイさんがてにをはさんの仮歌を絶賛! ルイ「ソロライブにも出てほしい!」
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/11425/adb2ab0a66d8c71534f7e17bca50f8f64.jpg?x=767)
鷹嶺
レコーディングの際に、実際にお会いさせていただきました。最初にデモを聞いたときに「とても難しい曲だな……私に歌えるかな」と不安でした。
レコーディングのときにも、その気持ちをお伝えさせていただきましたが、実際に作家目線で感じたことや私の声の印象はありましたか?
てにをは
シンプルな話ですが、本当にこの声なのかと思うところから当然入るわけですよ。
鷹嶺
(笑)。
てにをは
この声のまま歌っている。そこにプラスして、ずっと自分の仮歌でしか聞いていなかった曲に、本物の声がカチッと入り、想像して作った通りの喜びがありました。どの曲でもそうなのですが、少し難しくしすぎたのかなといった細々とした反省点もありましたね。
声でいうと、低いことを気にしているといったお話がありましたが、僕はそれがいいように働きました。芯がしっかりとあり、響いてくる声だなと感じ、低いだけではなく、鷹嶺ルイがそこにいるといった声の安定感といいましょうか。それらが余すことなく曲に込められたという点は素晴らしいと思います。
さまざまな歌いかたをチャレンジさせてしまった部分もありますが、そういったことも自身のキャパシティーの中で最終的には表現されていて、レコーディングで全部込められていたのでよかったなと思います。そのため、後ろで腕を組んで頷いていました(笑)。
鷹嶺
後方腕組保護者かのような感じで(笑)。
てにをは
最後は本人の納得度が決め手になってくるので、「何も言うまい」といった感じで見ていましたね。
鷹嶺
私が納得いかなくて、もう一回撮らせてくださいという機会が多かったので(笑)。
てにをは
ずっとチャレンジしていて、途中猫ミームのように悲鳴を上げながら、終わるのだろうかと言っていましたよね(笑)。
鷹嶺
頭抱えて、悲鳴を上げながらやっていましたね……。それこそ、仮歌をてにをはさんが歌ってくださっていて、私の中でその仮歌がもう完璧すぎて!
てにをは
そうですかね?(笑)。
鷹嶺
エッジの効いた声だったり、セクシーに歌い上げるところだったりとか、憧れてしまう歌いかたでした!
てにをは
そこまで言ってもらうことも珍しいな~。うれしいです。
鷹嶺
このように歌いたいといった、私の中での理想が高くなってしまって……。
てにをは
仮歌を聴いたが故にということですか?
鷹嶺
はい。ただ、これはよかったことでもあります。『魔眼ウインク』を通して歌えるようになったのも、レコーディングをする前の私だったらできなかったこと、難しい曲だなと思って諦めてしまうと思います。ですが、自分のものにできたのは、このレコーディングを通して、仮歌を聴いて憧れたからこそ、もっと自分を磨こう、私のスキルをさらに磨こうと思ったからです。
てにをは
それはよかったです! 僕は、基本的に仮歌は、自分で入れられるものは入れてお渡しすることが多いです。ときにはボーカロイドに頼ったりすることもありますが、最近は女性キーもがんばれば出ないこともないので、自分で歌うことが増えてきているんです。
自分の家でやるので、ここにかける時間は無限なんですよ。歌をご本人に伝えなきゃいけない、この曲のポテンシャルを仮歌で損なうことなく届けたい。100点じゃないにしても、この曲をしっかり歌うと、ここまでできる曲なんだ、ここまでよくなるんだと。
作った本人としては、唄以外の部分をがんばって録音をしていてるのに、主役の歌だけ手を抜いて6割ぐらいでやってしまうと、もったいないと感じてしまいます。プレゼントしたときの感動が薄れたら悔しいですし、勝手な対抗意識があるので、初見で渡されたときに再生ボタンを押して、その瞬間に驚かせてやりたい、いい曲を作ってくれたと思ってもらいたい。そのため、かなりがんばれているところはありますね。
鷹嶺
私は本当に仮歌が大好きなので、いまでも聴いています!
てにをは
門外不出の仮歌を(笑)。
鷹嶺
私だけ聴いているのが、本当にもったいないと思うぐらいです。すべての方に聴いてもらいたいと思うほどステキなので、いつかてにをはさんと『魔眼ウインク』を歌いたいです(笑)。
てにをは
僕が3D化して同じ舞台に? ファンの人に怒られそう(笑)。
鷹嶺
怒られないです(笑)。皆さんも感動するかと思いますし、私もぜひ聴いてほしいです。てにをはさんの仮歌も聴いてほしいのですが、世には出せないので……。
てにをは
ここまで言われると、「そうなんだ~、ふーん」って誇らしげな気分になってしまうので、少し危ない誘惑ですね(笑)。
鷹嶺
こんなことを言うと怒られてしまうかもしれないのですが、ぜひセルフカバーをしてほしいです!
てにをは
セルフカバーといったタイトルじゃなくて、あえて『仮歌』というタイトルでYouTubeにアップしちゃうとかね(笑)。
鷹嶺
「これ仮歌なのか、本物はどこ?」ってなりますよ(笑)。
てにをは
事情を知らない人は、「投稿するデータをミスったのでは?」と思いますよね(笑)。
鷹嶺
「仮歌って世の中に出しちゃってよかったのか?」みたいな(笑)。ただ、そのくらい聴いてほしいです。私が参考にした部分、このように歌い上げたいなと憧れた部分が多いので、対談のときに絶対に伝えようって思っていました(笑)。
てにをは
うれしいです。とはいえ、ミックスに関してはほぼなにもしてないので……。ただ、いざ出そうとするとこだわり始めて終わらない未来が見えましたね。
鷹嶺
いまのままでもぜんぜん。本当に出していただきたいです。
てにをは
考えておきます(笑)。
鷹嶺
ぜひお願いします! 私は“ソロライブを開催する”といった目標がありまして、いつかそのソロライブが叶ったときに見に来ていただけるか、もしくは壇上に上がっていっしょに『魔眼ウインク』を歌っていただけますか?
てにをは
なるほど。ソロライブの開催がルイさんのひとつの夢なのですね。
鷹嶺
てにをはさんとともに歌うのも夢のひとつになっています。
てにをは
そのお膳立てが揃ったら、一肌脱ぎますよ(笑)。さすがにそこで逃げ出すほどのヘタレは見せられない。
鷹嶺
うれしい! ソロライブに向けて、これからも活動をがんばっていきますので、また機会がありましたら、そしてソロライブの際にもぜひよろしくお願いします!
てにをは
2Dの人魂アイコンで、浮遊してる可能性も……。技術的にはたいへんではないかもしれないので、ぜひやります(笑)。
鷹嶺
ありがとうございます! 貴重なお時間をありがとうございました!
てにをは
こちらこそありがとうございました。楽しかったです!
鷹嶺ルイ 1st Album『Liberty』収録曲
豪華作家陣が書き下ろした新曲4曲に、いままで配信リリースしたシングル曲を計10曲収録。
01.ひみつのおしごと
- 作詞:TOPHAMHAT-KYO(FAKE TYPE.)
- 作曲:FAKE TYPE.
- 編曲:DYES IWASAKI(FAKE TYPE.)
02.魔眼ウインク
03. ばかばっか
- 作詞:DECO*27
- 作曲:DECO*27
- 編曲:Naoki Itai(MUSIC FOR MUSIC)
04. FIRST CRY
05. CHARISMA
06. オーバード
07. Tori To Re:TreaT
- 作詞:ハヤシベトモノリ/鷹嶺ルイ
- 作編曲:ハヤシべトモノリ
08. ホロホーク
09. 夢ができたの
10. TSUBASA
鷹嶺ルイ 対談企画の関連記事