『なつもん!』DLC"ゆうやけの島とラジオ局”では街の賑わいが増して夏休み度がアップ。屋根の上などのアイテムも増え探索がさらに楽しくなった本作の開発者・綾部和氏にインタビュー

『なつもん!』DLC"ゆうやけの島とラジオ局”では街の賑わいが増して夏休み度がアップ。屋根の上などのアイテムも増え探索がさらに楽しくなった本作の開発者・綾部和氏にインタビュー
 『なつもん! 20世紀の夏休み』(以下、『なつもん!』)は、海の見える緑豊かな田舎町・よもぎ町で、特別な夏休みが体験できるアドベンチャーゲーム。発売から約1年が経ち、初のダウンロードコンテンツ(以下、DLC)が配信された。

 追加コンテンツ"ゆうやけの島とラジオ局”では、新エリアとして“夕焼け島”が登場。新たな冒険や物語が楽しめる。
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 本記事では、原作・脚本・ゲームデザインを担当した綾部 和氏へのインタビューを公開しよう。

綾部 和あやべ かず

株式会社ミレニアムキッチン代表取締役。シナリオライター、ゲームデザイナー。本作では原作・脚本・ゲームデザインを担当。

──追加コンテンツの開発は、いつごろ、どのような経緯でスタートしたのですか?

綾部
スタートは去年の秋ですね。『なつもん!』はとにかくいいゲームに仕上げたい、長く愛されるゲームにしたいというトイボックスさん(編注:本作の開発を担当)やスパイク・チュンソフトさんの考えがあり、ギリギリのタイミングまで改良や調整をさせてもらえたので、去年の夏に発売されたゲーム本編だけでも、かなりおもしろいものになっていたと思います。

 僕は本編が完成した時点でいったん魂が燃え尽きているんですよ(笑)。でもじつは、予算の関係であきらめた要素がいくつかあったので、追加コンテンツはそのリベンジです。とにかく発売後の反響が大きかったこともあり、燃え尽きた灰にまた火がついた状態でした。

 今回はDLCと同時にゲーム本編にも適用するパッチもリリースしましたが、パッチでは操作感・演出・テンポなどがさらにアップグレードした“改良版”になり、さらにさらにDLCも入れると、もっと広い世界や大勢のキャラクターがいる、ディレクターズカット的要素がある“増量版”になる、という感じです。
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──"ゆうやけの島とラジオ局”を開発するうえで、とくにこだわったポイント、苦労したポイントをそれぞれ教えてください。

綾部
夕焼け島はおもに開発会社のアプシィさんが設計や実装を担当して、僕はゲーム全体の操作性、グレードアップ、ラジオ局、追加キャラクターとそのシナリオなどを受け持ちました。夕焼け島は、本土の町や自然とは違った景色と、冒険感を感じられる場所にしようと心掛けていたそうです。

 僕はとにかく自分で気になっていたところに(たぶん「まだやるの?」と思われつつも)手を入れたり、追加シナリオを作ったり、町の人口をアップさせたり、ラジオ番組を書いたり、などなど、もっともっと「人が生きて生活しているゲーム」になるようこだわりました。

 苦労した点? ゲーム開発はとにかくたいへんなので、個人的には人生が全部苦労です(笑)。
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──新エリアの夕焼け島はどのような場所なのでしょうか? 島の見どころやお気に入りのスポットと併せて教えてください。

綾部
同じ質問をアプシィのディレクターにも聞いたところ、すてきな答えが返ってきたので、そのまま転載させてください。

 「夕焼け島は、秘密基地、ですね。昔の人の暮らしの跡だけが残り、時代に忘れられたところです。一見、寂しい場所にも見えるのですが、その雰囲気を子ども心に感じるとしたら、誰にも見つからない、自分だけの自由な場所でもあるなと思ったのです。」

 なるほど、同感です。
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──夕焼け島には新たな昆虫や魚も登場しますね。どのような昆虫や魚と出会えるのか教えてください。

綾部
これは夕焼け島だけではないのですが、数十種類の虫や魚が新たに追加されています。えーどこまでネタバレしてよいか、わからないので、僕の口からは以上です。

──新たに展開する物語に登場する、DJ低気圧、トビヤマさんの魅力を教えてください。

綾部
彼らは小さな放送局“ラジオ低気圧”をやっているのですが、毎晩、生放送してるので、ぜひ、よもぎ川の河口近くにあるスタジオを訪ねてみてください。

 ゲーム本編でのトビヤマさんは、名前が何度も出てくるのに、本人は一度も出てこない
『ゴドーを待ちながら』とか『桐島、部活やめるってよ』のような設定のキャラクターだったのですが、DLCではついに出てきてほぼメイン扱いなので、ぜひご期待を! 彼女の声を演じているのは僕が作った『ぼくのなつやすみ』シリーズで、何度かヒロイン役を演じてくれた、あの坂本真綾さんです。
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DJ低気圧(画像左)とトビヤマさん(画像右)。
──今回のダウンロードコンテンツでは、本編にも追加要素や一部要素の調整が実施されていますね。どのようなところが変わっているのでしょうか?
綾部
いちばん大きく変わったのは人口がいきなり増えて、商店街がにぎわうようになったことでしょうか? とにかく町や人が「ちゃんと生きている」感じになったと思います。あと、いままでほとんど出てこなかったヒデコのお父さん(谷地頭教授)もDLCでは大活躍! 個人的にこのゲームでは壁のぼりが好きなので、ありとあらゆるところの屋根や山頂に、アイテムやお金が置かれているのがうれしかったりします。
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──追加コンテンツの配信を機に、初めて『なつもん!』を遊ぶ方も多いと思います。本作をどのように楽しんでほしいですか?

綾部
とにかく自由に、きままに遊んでください。目標を決めて行動しても寄り道に夢中になって、いつの間にか1日が終わる、そんな夏休みの日々をすごせるゲームです。

 個人的には山登り、ガケ登りがとにかく楽しかったなあ。「ここなら登れそう」というルートを見つけてアタックしたのに、あと一歩で登れない……というシチュエーションを何度経験したことか。まさにこれも人生ですね。

──改めて、本作をおすすめするコメントをいただけますでしょうか。

綾部
ぜひ、遊んでみてください。そしておもしろかったならまわりの人にもぜひすすめてください。僕はファミコン時代の1986年からゲームを作っていて、代表作も、たぶんいくつかありますが、とにかく『なつもん!20世紀の夏休み』は自分で遊んでいても楽しい、自信作です! あと、最後まで読んでくれてありがとうございます!!
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      集計期間: 2025年05月01日15時〜2025年05月01日16時