今井麻美さんのミニアルバム『Uneriba』発売記念インタビュー。作家陣の “今井さんに歌ってほしい”という想いと個性が溢れる4曲が詰まったCDに

by北埜トゥーン

更新
今井麻美さんのミニアルバム『Uneriba』発売記念インタビュー。作家陣の “今井さんに歌ってほしい”という想いと個性が溢れる4曲が詰まったCDに
 Beyond The Music(販売:MAGES.)より、声優、歌手として活躍する今井麻美さんのミニアルバム『Uneriba』が、2024年6月26日に発売された。

 約2年半振りとなる、CDのリリースを直前に控えたタイミングに今井さんへのインタビューを実施。作詞も担当した表題曲
『Uneriba』に込めた想いなどを語っていただいた。

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今井 麻美いまい あさみ

5月16日生まれ。山口県出身。『アイドルマスター』シリーズ(如月千早役)を始め、『シュタインズ・ゲート』シリーズ(牧瀬紅莉栖役)、『グランブルーファンタジー』(ヴィーラ・リーリエ/フライデー役)など多数の作品に出演。2008年に歌手活動をスタートし、これまでにシングル20枚、ミニアルバム、コンプリートアルバム、アコースティックアルバムを含むアルバム10枚をリリース。

――2021年12月に発売した『Balancing Journey』以来、約2年半振りのCDリリースになりますが、いまの心境を聞かせてください。

今井 
2年半振りと聞いて、そんなに出していなかったんだとビックリしました。しばらくCDを出せていなかったので、買ってくださる方がいるのか不安な気持ちがありつつも、やっぱりレコーディングするのはすごく楽しいなと思いました。

――CDこそ発売していないものの、ライブなどは頻繁に行われていましたが、この2年半を振り返ってみていかがですか?

今井 
いま振り返ってみると、この2年半は私の人生の中でいちばんがんばらないといけない時期だったと思います。そんな中でもそれなりの頻度でライブをキッチリやれていたというのは、私の体の中に音楽活動がしみ込んでいるということの証明なのかと感じました。

 やっぱり、自分のライブというのは本来、気負ったり、印象に残るほど気合を入れまくったりするものなんですよね。それを楽しい記憶のままさらっとできているというのが、私の中で音楽活動というものが常識になっているんだなと。とくに今年に入ってからツアーを開催していて、1月の公演を含めると、明後日(※インタビュー実施時)の鳥取で4公演目になるのですが、馴染んでいるというか、アコースティックライブがすごく私にあっているなということを体感した数年間だったような気がします。

――確かにこの2年半はさまざまなことがあった印象です。それこそ5月の品川公演で、ピアノの牧戸太郎さんが、この数年の今井さんは乗り越えるべき試練のようなものがあって、完成した『アリウム』を聞いたときに、その何かを乗り越えた人にしか歌えない歌があるんだと感じたというようなお話をされていましたね。

今井 
『アリウム』という曲は、シンプルそうに思えて、じつはすごくテクニカルな部分が多い楽曲なんですよね。くり返しが多かったり、音の飛びかただったり、リズム的なものではなくて、感情の乗せかたみたいなものが、音楽に携わっている方からすると、少し難度が高めの楽曲という印象があるらしくて。

 でも、いろいろな方から「(
『アリウム』という曲を)本当に自分のものにしているね」というお話をいただいたんです。私としては、そんなつもりなく「この曲をどんな風に歌おうかな?」という気持ちで取り組んだものが、そういうように言っていただけたのがうれしかったですね。

 とくに私は感性で歌うタイプの人間だったと思うんですけれど、ここ7~8年くらいはそういった技術的な部分にももう一度目を向け直していたので、それがいま融合し始めたのかなと。私としてはその試練のことを意識して歌ったわけではなかったのですが、たろさ(牧戸太郎さんの愛称)にそう感じ取っていただけたというのが、すべてなのかなと思います。

――そんな『アリウム』も収録された『Uneriba』が6月26日に発売されますが、CD全体のコンセプトを教えていただけますか?

今井 
結果的にはなりますが、“私のために作ってくれた曲たち”です。じつは今回のミニアルバムは私がレコーディングをストップした関係で、すべての曲が出揃うまでに1年以上掛かっていて、ゆっくりゆっくり曲をピックアップした形になります。そんな楽曲を作ってくださった全員が「今井さんのためにこの曲を作りました」というように言ってくださっているんですよ。

 もちろん、過去にもそのようなこともありましたが、私はクリエイターさんをとても尊敬しているので、クリエイターさんの個性を活かしたものを私がどう歌うかというほうが好きなんですよね。

 そんな中で今回は皆さんが「今井さんに歌ってもらうなら、私はこういう曲を作りたいんです」と言ってくださっていて。厳密に言うと、
『Greige』だけは、私のほうから、キノコさん(作詞作曲の藤本記子さん)とアフロさん(編曲の福冨雅之さん)に「ぜひ、私の曲を作ってください」と依頼をしてはいるのですが、おふたりからも「今井さんにこんな曲を歌ってほしいんです」というアツい想いを聞かせていただいていました。

 なので、オムニバス的にはなっていますが、本当に皆さんが思う今井麻美像で曲を作っていただきつつ、クリエイターさんの個性もふんだんに盛り込まれた楽曲という共通点のあるCDに仕上がっていると思います。

――先ほど、アコースティックライブが合っているという話もありましたが、やはり今井さんはバラードのイメージが強いという方が多いと思います。今回の『Uneriba』に収録されている4曲もどちらかというとすべてバラード寄りの楽曲になっていますが、どの曲もまったく違う方向性の曲に仕上がっていておもしろかったです。

今井 
そうですよね。やっぱり作家さんが思うように作ってくださいと言ったときに、そこにキラリと光るプライドみたいなものを感じるんですよね。それを私がうまく汲み取れているのかどうかで、個性がわかれてくるのかなと思います。すべてを自分色に染めるというタイプの歌い手さんもいるとは思いますが、私の場合は私の歌手としての成り立ちも含めて、そういうのが合っているのかなと。

 おかげで何年経っても、「まだまだ自分に足りないところがある」と気付かせてもらえますし、向上心が枯渇することなく湧き上がってくるのは、そういった部分の取り組みかたへの姿勢が大きいのかなと思います。

――そういった部分をすごく感じました。ここからは各楽曲について伺っていければと思います。まずは今井さんが作詞も担当されている『Uneriba』ですが、こちらはどのような楽曲なのでしょうか?

今井 
先ほど少しお話ししたツアーで、奈良に行ったんですよね。奈良には、子どものころにも行ったことがあったのですが、そのときにはまったく感じられなかった、土地の市勢と言いますか、いろいろな観光資源があるなかで、それを華美に装飾したりしない県民性みたいなものを感じました。もちろん、ずっと住んでいる方からすると、いろいろな想いがあるとは思いますが、東京生まれ山口育ちで、奈良にあまり行くことがなかった私からすると、その潔さみたいなものが、住んだことがないのにすごく懐かしくておもしろいなと。

 残念ながら私は見ることができなかったのですが、奈良公演の1週間前に奈良市で発掘された蛇行剣が初めて一般公開されていたんですよね。そういった遺物が時が経っても、そのままの形で発掘されるというのは、やっぱりそういう県民性があるからこそなのかなと思いました。

 もちろん、奈良に限らず、さまざまな場所でそういった遺物は発掘されていると思います。じつは、私も通っていた大学の建て替えのときに地下から遺物がたくさん出てきて、工事が中断するということがありました。なので、もしかすると知らないうちに遺物の上を歩いていたり、遺物の上にある建物で生活していたりする可能性もある中で、あの土地(奈良)だからこそ守られてきたというものを街並みから感じることができて、すごく素敵だなと。

 本当に素直な意見としてそう思っていたところ、今回の表題曲の歌詞を奈良公演の直後に書くことになっていたので、もうそれしか書きたいことが思い浮かばなかったです。遠い山々だったり、昔話の絵本を読んでいたりするような、地元に帰ったときにもあまり感じない感覚で、私のインスピレーションにすごく刺激を与えてくれた出来事でした。

――奈良でさまざまなことを感じられたんですね。そのタイミングで歌詞を書く予定になっていたということは、奈良公演の時点で曲は完成していたのでしょうか?

今井 
メロディーだけ出来上がっていましたね。それで品川公演のリハーサルのときに、ピアノを演奏してくれたたろさに「奈良の街並みが素敵だったので、昔の飛鳥時代とかをテーマに歌詞を書いてみようと思っているんです」と話していたところ、たろさが信じられないレベルの奈良オタクだったことが判明して、「ぜひ、僕に編曲をやらせてください」と立候補してくださって。「奈良のイメージなら僕に任せて」くらいの勢いで、「飛鳥時代でいきますね」とおっしゃっていたんですけど、仕上がったものを聴いたら、私のイメージと違っていてビックリしました(笑)。

――(笑)。どういうものを想像していたのですか?

今井 
私は飛鳥時代ということで、時代音楽のような和テイストなものを想像していたのですが、たろさが詳し過ぎて、そういう表面的なものではなく、「(奈良好きの)僕が思う奈良はこうです!」みたいなものになっていたんです。元々の曲ともまったく違うアレンジになっていて、慌てて歌詞の方向性を現代寄りにシフトチェンジしました。

――歌詞は編曲の前に書きあがっていたのですか?

今井 
いや、なんとなくこんなことを書こうかなとイメージしていたくらいでした。なので、編曲を聞いて一旦すべてを放り投げました(笑)。当初は飛鳥時代のことを書こうと思っていましたが、時代ではなく、“過去と現在の時代のうねりをいろいろな立場から感じ取れる、そんな場所なんだ”ということをテーマにしようと、たろさの編曲を聴いて思いました。

――タイトルの“Uneriba”は造語で、いま「過去と現在の時代の“うねり”を」というお話もありましたが、先ほど話題に挙がった蛇行剣も、“うね”った“刃”の剣だと思いますが、意識はされているのでしょうか?

今井 
そうなんです! 本当は蛇行剣の話も歌詞に入れようかと考えたのですが、あまりにもピンポイント過ぎたのでやめました。でも、意識はしています。

――レコーディングはいかがでしたか?

今井 
けっこう難しくて、めちゃくちゃ難航しました。というのも、私がなかなか納得しなかったんですよね。ただ、何が違うのか言語化できなかったので、現場にいらっしゃったプロデューサーの濱田さん、たろさ、ミキシングをしてくださった熊手(徹)さんの3人が「できている」と思っているなか、私だけが「何か違う」と否定し続ける感じでした。

――最終的にはその何かは判明したのですか?

今井 
私が途中で「博物館で聴いて、違和感がない感じにしたいです」と言ってから、イメージがしっかりしてきました。最初、たろさは古代米の定食が食べられるイチオシの喫茶店があるらしく、そこで流れていてほしいとおっしゃっていて。本当にちょっとした差なんですけど、博物館をイメージできるまでは「ちょっと違う」と納得できなかったのですが、どこで流れていてほしいかということを意識しながら歌うことで、徐々に形になっていきました。

――とくに注目してほしいポイントはありますか?

今井 
歌詞だと、やっぱり“あをによし”を入れられたのはすごくよかったです。本来、“あをによし”は“奈良”への枕詞なのですが、それをちゃんとした文学的な使いかたをするかしないか、すごく悩みました。でも、『Uneriba』は現代ポップスなので、そこは文学的なルールに基づかなくてもいいのかなと思いつつ、なかなか決断できなくて。なので、“あをによし”の本来の使いかたなどをご存じの方にはニヤリとできるような楽曲になってくれたのかなと思います。

――ニヤリとできるポイントという意味では、個人的には“キトラ”がまさにそうでした。初めて聴いたときは音だけだったのでピンと来ていなかったのですが、あとで歌詞のテキストをいただいたときに「あっ、なるほど!?」となりました(笑)。続いて、『Greige』について教えてください。こちらは先ほど唯一、今井さんからのオファーだったというお話もありましたが。

今井 
私の感覚が正しいのかわかりませんが、イージーリスニングに近いのかなと。ただ、歌うのは難度がすごく高くて。聴くのは容易く、歌うには厳しくてテクニックが必要な楽曲です(笑)。

 歌に対する取り組みかたというのは100人いたら100通りあると思うんですけれども、作詞作曲のキノコさんは歌い手でもいらっしゃるので、やっぱり私とは違う部分があるんですよね。私は演者というフィルターが掛かっている分、相手に感情をどう伝えるかということに重きを置いた歌をこれまでずっと意識していました。対して、キノコさんは以前お話ししたときに「歌はリズムだよ」とおっしゃっていて。

 私は若いころそこを少しおざなりにしてしまった部分があって、リズムはあまり得意なほうではなかったので、そこをいちばんにしたことはありませんでした。でも、ここ最近は私もリズムというものに対してのアプローチの仕方を自分なりに研究し始めていたところもあったので、キノコさんがおっしゃる「音楽はリズム」という意味もすごく納得がいきました。そのリズムを遺憾なく発揮している楽曲だと思います。

 なので、初めは歌うのが難しい部分もあったりもしたんですけれども、カチッとハマったときの気持ちよさがすごくて。今回収録されている4曲の中では、
『Greige』がいちばん多く歌っているのですが、ハマると本当に気持ちいいので、何度でも歌いたくなる楽曲ですね。

――『Balancing Journey』でインタビューをさせていただいたときに、ジャズのノリかたを研究されていたと話されていましたが、そのときの経験がさらに活きたんですね。ちなみに藤本記子さんと福冨雅之さんはライブに来られたりもしていましたが、おふたりから感想などは聞かれましたか?
今井 
いつも「よかったよ!」とは言ってくださるのですが、本番でミスしたりもしているので何とも言えないです……(苦笑)。じつは、ライブでアコースティックとして歌うときと、CD音源で歌うときで違っている部分があって、その違いが難しかったりもするので、怖くて自分からは突っ込んで聞けていないんですよ。

――そうなんですね。先ほど最初は歌うのが難しかったというお話もありましたが、レコーディングは苦労された感じですか?

今井 
レコーディングはかなり前だったので、「いまだったらもっとうまく歌えるのに!」と思っています。でも、それはつねにつきまとうジレンマなんですよね。

――確かにそれは永遠の悩みかもしれないですね。それでは、レコーディングで印象的だった出来事などはありましたか?

今井 
ちょうど『Greige』をレコーディングするときに、私がすごくハマっていた声の出しかたがあって、その出しかたをすると、自分の好きな声になるんですよ。でも、皆さんおやさしいので直接的には言わないのですが、私が好きなその声の出しかたにハマっていないというか、反応が悪いんです(苦笑)。なので、私の好きな歌いかたから、徐々に私らしい歌いかたにグラデーションにしていって、仕上がったということが印象的です。そうですよね、濱田さん?(※今井さんの音楽活動のプロデューサーの濱田智之さん)

濱田 よく思っていないというよりは、それがベストではないと思っていたのかもしれない。ただ、これは好みの問題でもあるんですよね。

今井 
おそらく、私は声質や歌いかたが似たタイプの人があまりいない歌い手だと思うんですよね。いわゆる上手な人たちとの歌いかたとは一線を画している自覚もあるんですけれども、私はそれがあまり好きではなくて。でも、私に関わってくださっている音楽クリエイターの方々は、その私の独特なところがお好きなのかなと思いました。

濱田 確かにみんな合う合わないではなくて、個性が埋もれてしまうのがもったいないという気持ちのほうが強いかもしれない。

今井 
だから、最初『Greige』を歌ったときに、自分の中では「いいじゃん!」と手応えを感じていたのに、私以外の全員が「うーん……」という空気感で、「あれ? 感触悪いな……」と思ったことを覚えています(笑)。

濱田 あとはやっぱり膨大な曲数を歌ってきているので、新しい歌いかたをすると、らしくないと感じてしまうところはあると思います。

今井 
当時はその歌いかたが私の中で流行っていたんです。

――そんな話を聞くと、元のバージョンも聴いてみたい気もします。

今井 
でも、半分くらいはその要素も残っていると思います。

濱田 そうですね。なので、CDバージョンをヘッドホンなどでじっくり聴くと、この曲だけいつもと違うなと感じてもらえると思います。

――それは楽しみですね。続いて、『現実のラプソディ』について教えてください。作詞、作曲、編曲の椿山日南子さんは『新しい時計 ~Tick-Tack~』の編曲も担当されていて、そのときに「いつか私も今井さんの楽曲を作りたいです」とおっしゃられていたと、以前インタビューで語られていましたよね?

今井 
そうなんです。それが実現した形です。でも、当初この曲はふたりで歌う曲として作っていただいたんですよ。それ以外にどういうオーダーをしたのか私は知らないのですが、どうなんですか?

濱田 それ以外だと、『新しい時計 ~Tick-Tack~』でジャズに挑戦したので、今回はプログレ(※プログレッシブ・ロック)に挑戦したいということを椿山さんにお話ししました。

今井 
そうだったんですね。それで誰と歌うのかは決まっていなかったのですが、とりあえず、ふたりで歌うにしてもすべてのパートをレコーディングしておこうと進めていたところ、すごく評判がよくて「これ今井さんの曲でいいんじゃない?」という流れで、私ひとりの曲になりました(笑)。

――ふたりで歌う予定の楽曲だったというのは、『Uneriba』の収録曲の中にゲストボーカルのような形で誰かといっしょに歌う楽曲が入る予定だったということですか?

今井 
完全に別の企画としてですね。

濱田 これまであまりそういうことをやっていなかったので、たまには誰かとコラボする楽曲があってもいいかなと考えていました。

――そういう企画が動いているというのは、それはそれで楽しみです! 話を戻させていただいて、“ラブソディ”というタイトルや、先ほど濱田さんからプログレに挑戦するというお話もあった通り、かなりトリッキーな楽曲ですね。

今井 
私はこういう曲が大好きなんですよね。

――「終わるのかな?」と思ったら、また新しい雰囲気に変わって、続いていったり、これまで今井さんの楽曲ではあまりなかったですよね。

今井 
「終わると思ったら、終わらないんかーい」って(笑)。

濱田 ちなみに久しぶりに6分超えの楽曲です。

――「今井さんひとりの楽曲でいいんじゃない?」という意見が出たということは、レコーディングはスムーズにいった感じでしょうか?

今井 
じつはこの曲が4曲の中で最初に録って、それがもう1年以上前なので記憶があいまいですが、私もレコーディング中に「私ひとりの楽曲でもよくないですか?」と思った記憶があるので、割とスムーズだったはずです。

濱田 そうだったね。誰かとコラボするかもしれないということがあったので、今井さんのものは1年以上前にレコーディングして、ずっと取ってあったんです。それで、今回のミニアルバムに今井さんひとりの楽曲として収録することに決めて、先月トラックダウンしました。

今井 
今回収録されている4曲は本当にすべて素敵でそれぞれに想いがありますが、いちばん私の趣味に近いのは『現実のラプソディ』ですね。プログレ大好きです。

――そんな『現実のラプソディ』のとくにお気に入りのポイントがあれば教えてください。

今井 
やっぱり編曲が素晴らし過ぎて、たまらないです。インストで聴いていても楽しいし、歌っていても気持ちいし。ふとした瞬間に青春時代の懐かしさみたいなものが込み上げてきたり、本当にこの楽曲が訴えたいものが、そのまま感情として湧き上がってくるんですよね。まるでドラマを観ているみたいというか、「映画のBGMです」と言われても驚かないくらいの壮大さがあって、すごく好みですね。

――確かに聴いていて、物語性みたいなものを感じました。そして、最後の『アリウム』は先日の品川公演でも披露されましたね。

今井 
そうですね。この曲は私の友だちでもあるMoeMiちゃんが、濱田さんから「そのうち作詞作曲をお願いしたい」と話しをされた直後に「今井さんの歌を作ってみました」と持ってきてくださったんです。その数日前に濱田さんと「MoeMiちゃんに曲をお願いしようかな?」という話をしていたばかりだったので驚きました。

濱田 正確には、「近いうちに今井さんの曲をぜひ書いて欲しいです」とは話していたのですが、今井さんと会話した翌日にはデモが送られて来て、しかもお願いしたかったイメージにぴったりだったのでびっくりしたという経緯ですね。

――すごい経緯で生まれた楽曲なんですね。

今井 曲自体もMoeMiちゃんが私のことを本当によく見てくださっているということが伝わってきて、タイトルにもなっている“アリウム”は、私の誕生日である5月16日の誕生花なのですが、この曲をいただくまで私はそのことを知らなかったんです。歌詞も「友人から見た私ってこんな風に見えていたんだ」、「私はこんなやさしい人なの?」と感じるような内容で、驚きとうれしさと恥ずかしさみたいものがありましたね。

 あと、この曲はいろいろな方から「歌が本当に素晴らしいです」と言っていただきました。でも、自分ではよくわからないんですよね。

濱田 おそらく、曲と声質とかが合っているんだと思う。マスタリングのエンジニアさんも『アリウム』がいちばんいいと言っていたので。

今井 
そうなんですね。私のボーカルトレーナーさんにもラフの状態で聴いていただいたときに、「めちゃくちゃ泣きました」と言っていました。ただ、確かにとつとつと同じメロディーで語るところは「どうすれば過剰ではなく、想いが伝わるか」ということを考えながら少しずつニュアンスを変えて歌ったので、その部分に役者兼歌手である私の利点みたいなものがうまく作用したのかなと改めて思いますね。

――確かにそのくり返しの部分でいろいろな感情が伝わってきました。順番が前後してしまいますが、そもそもの部分で、MoeMiさんはどういうご関係なのかを伺ってもよろしいでしょうか? いまでこそレーベルメイトでもありますが、それ以前からお知り合いだったというお話もありましたが。

今井 
出会いとしては、とあるラジオの構成作家さんが共通の知り合いだったことがキッカケですね。その作家さんは交友関係がすごく広くて、コロナ禍以前の話にはなりますが、よくホームパーティーを開催されていて。私はこう見えて人見知りなので、そういうパーティーにはほとんど行かないのに、なぜか「すごく行きたい」と思ったときがあったんですよね。

 それで勇気を出して行くことにしたのですが、開始から少し時間が経ってから着いたこともあって、既にいくつかのグループが出来上がっていて、案の定、輪に入ることができず、端っこに座っていたところ、隣に居たのがMoeMiちゃんだったんです。そこから、MoeMiちゃんを含めて全員が初対面という状況で3~4人くらいでおしゃべりしているうちに意気投合しました。当時は「綺麗なお姉さんとお友だちになった!」くらいで、まさかこうしていっしょに活動するようになるとは、まったく想像もしていなかったです。

――今年の4月からは事務所の後輩にもなりましたからね。ということは、レーベルメイトになる前から作詞や作曲をやっていることはご存じだった感じですか?

今井 
いや、それがまったく知らなかったんです。というのも、仕事の話はほとんどしたことがなくて、本当に他愛のない女子トークみたいなことをずっとしていたので。歌を歌っていることは知っていたけれど、ご自身で作詞作曲までされているのは知らなかったです。でも、今回改めてごいっしょして、本当に素敵な歌詞や曲を書かれる方なんだなと思いました。
※そんなMoeMiさんのメジャーデビューシングル『星のブランコ』が7月28日に発売予定。詳細は記事の最後に掲載。
――そうだったんですね。ジャケット写真についても聞かせてください。撮影は『Uneria』が完成してから行われたのでしょうか?
[IMAGE][IMAGE]
左:通常盤A、右:通常盤B
今井 
いや、完成前でした。それこそ、撮影は立川の国営昭和記念公園で行って、通常盤Aのジャケットのネモフィラというお花が一面に咲いているところで撮影しているときに編曲のデータがあがってきたので、聴いてみたら予想していたものと違っていて驚いたという感じでした。ただ、予想外ではあったのですが、撮影中の写真にピッタリで、「予想外だったけど、結果的に合うね」とみんなで盛り上がっていました(笑)。

――先ほど、編曲を聴いて歌詞の方向性をシフトチェンジしたと話されていましたが、ということは、衣装はなんとなくイメージしていた歌詞にあわせて選ばれた感じですか?

今井 
今回も衣装は私が選んでいるのですが、『Uneriba』というタイトルは決まっていたので、“Uneriba”を体現できるような服を選びました。

――そうだったんですね。今回は東名阪でリリースイベントが開催されますが、意気込みを聞かせてください。

今井 
私がリリースイベントでいちばん覚えているのが、イベント前にお昼ご飯を欲張って食べ過ぎて、ずっと苦しいと言っていたことなので、同じ轍は踏みたくないです(苦笑)。でも、最近また地方に行ったりすることも増えてきたのですが、やっぱり「いつまた来られるかわからない」と思うと、どうしても欲張っちゃうんですよね。なので、今回は自制心を持ちながら取り組みたいと思います。

――わかりました(笑)。ちなみに関東以外でのリリースイベントは、2019年1月発売の『Believe in Sky』以来、約5年半振りということで、初めて参加する方もいるかもしれませんが、参加するうえでの心構えやアドバイスなどはありますか?

今井 
おそらく、声優界……いや音楽業界を含めても、これだけラフな気持ちで来られるイベントはないと思います(笑)。なので、気負わずに来てほしいです。困ったときは隣の人に聞けば教えてくれると思うし、もし隣の人も初めてだった場合はその隣の人に聞けばわかるはずなので。約1時間のイベントですが、司会も立てずに私がひとりでトークをしたり、歌ったり、思うまま楽しくやるイベントなので、気楽な気持ちで来てください。

――ありがとうございます。今年は、声優活動25周年、歌手活動15周年のメモリアルイヤーでもありますが、今後の目標などはありますか?

今井 
正直、いつまでこの活動の数字を伸ばせるのか私にも予測がつかなくなっています。私は5という数字が好きなので、25周年、15周年というのはめちゃくちゃうれしいんですけど、あまり気負わず「そうなんだ。へぇ~」ぐらいの気持ちで活動できたらいいなと思います。ただ、不思議なもので、私はこういう〇周年というような記念の年が被ることがすごく多いので、楽しく過ごせたらいいなとも考えています。

――そういう意味では、声優活動25周年、歌手活動15周年のタイミングに、今井さんのことを思って作られたミニアルバムが発売されるのは、運命的なものを感じますね。

今井 
確かにそうですね。本来は昨年発売する予定だったので、結果的にはよかったのかもしれないです。

――少し本題から外れる部分ではありますが聞かせてください。今年初めに行った詩趣ミンゴスとしてのインタビューで「VTuberの活動が声優活動や歌手活動に活きることはありますか?」という質問をさせていただきました。そのときにも「いい影響がある」と話されていましたが、その後、配信番組で詩趣ミンゴスとして参加されたCD『gnosinA -Beyond』のレコーディングがとてもいい経験だったと語られていましたよね。その経験も歌手活動にいい影響がありそうですか?
今井 
そうですね。声優として歌を歌わせていただくときは、初めましてのスタッフさんもいらっしゃることがありますが、私が声優として関わっている作品や歌手活動では同じスタッフの方々とレコーディングすることが多いんです。なので、正直、私の場合はこれまでの活動の中で新しいスタッフさんとレコーディングをするということはあまりなかったんですよね。

 そんな中で
『gnosinA -Beyond』のレコーディングを担当してくださったのが、本当にベテランの方で、お会いした瞬間から「この人はやり手だ!」という空気を感じたほどでした。実際に収録が始まっても、私が苦手としている部分の解決方法などを、「こういう感じで歌うといいですよ」と的確なアドバイスをつぎつぎとしてくださって目から鱗でした。

 やっぱり、新しい方との音楽に対するコミュニケーションというのはすごく新鮮かつ刺激的で、その後、べつの現場で歌わせていただくときにも、とてもいい影響がありました。初めての方とお仕事をするときは緊張もするんですけれども、その方がいままで培ってきたもので褒めていただけると、うれしさが増したりもするので、そういう意味でもすごくいい経験をしたなと思います。

――詩趣ミンゴスとしての活動がほかの活動にもいい影響を与えているようでいいことですね。それでは最後に改めてファンの皆さんにメッセージをお願いします。

今井 本当に久しぶりのCDリリースなので、いままで買ってくださっていた方も期間が空いてしまうと、買うのを忘れてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、もしよかったら青春時代を思い出す意味も込めて手に取っていただけるとうれしいです。もちろん、CDが出ない間も、ライブだったり、ラジオ番組だったり、YouTubeだったりでずっと応援してくださった方にもようやく新しい作品をお届けできるようになりました。

 正直、引け目を感じていたりもしたんです。応援してくださる方とイベントなどでお話する機会などもあって、そのときに皆さんがすごく真剣な目で「新しいCDがほしいです」とおっしゃっている方とかもいらっしゃって、申し訳ない気持ちもありました。かなりお待たせすることにはなってしまいましたが、それがようやく実現する形になったので、喜んでくださっているといいなと思いつつ、いろいろな方に聴いていだけるとうれしいです。

『Uneriba』商品情報

アーティスト:今井麻美
タイトル:Uneriba
【通常盤A】BTMC-0022/価格:3080円[税込]
【通常盤B】BTMC-0023/価格:3080円[税込]
収録内容(CD1枚組)※通常盤A・B共通:
  1. Uneriba
  2. Greige
  3. 現実のラプソディ
  4. アリウム
  5. Uneriba - off vocal -
  6. Greige - off vocal -
  7. 現実のラプソディ - off vocal -
  8. アリウム - off vocal -
発売元:Beyond The Music、販売元:MAGES.

MoeMiさんのメジャーデビューシングル『星のブランコ』商品情報

以下、リリースを引用
 声優アーティスト“MoeMi”がBeyond The Musicより、メジャーデビューシングル「星のブランコ」を自身の誕生日である7月28日にリリースする事が決定!

 表題曲「星のブランコ」はMoeMi自身の作詞作曲で、夢への想いを歌う、切なくも芯の強さを感じる一曲。自身が小学一年生の時に作った曲のタイトルを使用している。

 カップリング曲の「世界に優しいあなたに」は、こちらもMoeMi自身の作詞作曲で、優しい人に優しい音楽を届けたいと願う、MoeMiらしいメッセージの詰まったバラードです。

 プロデュースは、今井麻美、小笠原仁等の音楽プロデュースを手掛ける濱田智之氏! MoeMiのキラキラした美しいマシュマロボイスが織りなす、美しいメロディー達を存分にお楽しみください。

Type-AとType-Bの2形態で発売! Typeごとに異なるオリジナルジャケット

 Type-AとType-Bの2形態での発売で、Type-Aは、リード曲「星のブランコ」をイメージしたジャケットと、MoeMiの写真を多数掲載したブックレット付き、Type-Bは、CW曲「世界に優しいあなたに」をイメージしたジャケットと、MoeMiの写真を多数掲載したブックレット付き。

 Type-AとType-Bは全て別写真を使用。Type-A・B共通特典として、MoeMiプリントサイン入りブロマイド1枚(全5種)を封入。

 ECサイト(FHMオンラインショップ、BTMオンラインショップ)では楽曲のダウンロードカードを販売予定。またCD購入者を対象に、リリース記念イベントも開催を予定しています。

商品概要

アーティスト名:MoeMi(読み:モエミ)
商品名:星のブランコ
【Type-A】BTMC-0020/価格:2200円[税込]
【Type-B】BTMC-0021/価格:2200円[税込]
収録内容 ※Type-A・B共通(CD1枚組):
  1. 星のブランコ
  2. 世界に優しいあなたに
  3. 星のブランコ(off vocal)
  4. 世界に優しいあなたに(off vocal)
発売元:Beyond The Music、販売元:MAGES.
[IMAGE][IMAGE]
左:Type-A、右:Type-B
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