主人公の桐生一馬を演じるのは竹内涼真氏。監督を務めるのは映画『百円の恋』や、世界的に大ヒットしたドラマシリーズ『全裸監督』の総監督を務めた武正晴氏。ちなみに、『龍が如く』の実写作品としては2007年に『龍が如く 劇場版』が北村一輝さん主演、三池崇史氏が監督で公開されている。
自前の着物で気合充分の竹内涼真
竹内さんは自前の黒い着物を身にまとい、気合十分で意気込みを語った。作品の象徴でもある“堂島の龍”にちなみ、金屏風に描かれた“龍”に目入れをして本作の大ヒット祈願式などを行った。
「ゲーム『龍が如く』は世界的に人気なコンテンツなので重圧感も感じつつ、命を懸けて臨まないと成立しない作品だと思ったので、お話を頂いたときは嬉しい気持ちと同時に覚悟を決めなければと強く思いました。
そして『龍が如く』の一番の醍醐味である“龍”を背負った格闘シーンや、彼の生き様をぜひ見届けて頂けるとうれしいです。格闘技は未経験だったのですが、朝倉未来さんが思いついたのでまず彼にコンタクトしました。トライフォースジムで未来さんのトレーナーさんに指導を受けて学びました。この作品に間に合うように格闘技を1から教えて頂いたので、本当にトライフォースのみなさまには感謝しています。彼らがつきっきりで見てくださらなかったら、桐生一馬のスタイルは完成しなかったです。また、10年のコントラストという意味で身体のシルエットを変化させるために、食事の調整などをトレーナーさんといっしょに綿密にコントロールしました。
ゲームで描かれていない部分を原作をリスペクトしつつ自分が一から作りあげて、新しい『龍が如く』を作っていかなきゃいけないなという覚悟がありました。僕は桐生一馬っていう人間はすごく愛情深くて、愛に飢えていると思います。そういう部分を神室町という舞台で生々しく描ければいいなと思って臨みました。桐生一馬を中心に繰り広げられる主人公達の友情や葛藤など、濃い人間ドラマにぜひ注目して頂きたいです。
じつは、はじめての映画の現場に立ったのが11年前の武監督の作品だったんです。エキストラで2秒くらいのシーンでした。10年経ってから武さんにお会いできて作品をやれるのはすごく感慨深かったです。僕は武さんじゃないとこの作品は成立できなかったんじゃないかなって思います。僕が桐生として現場に入ったときには神室町が出来上がっていたんです。街を歩いてる人や商売をしている人、喧嘩する人、警察などを全員がその世界の中で生きているようにひとりひとり細かくお芝居を付けられています。その景色をみるのは楽しかったし、こういう現場っていいなという感情を噛みしめながらお芝居をしました。
あと、武さんが撮影の合間に声をかけてくださる日本語の使い方がすごく好きです。日本人ってすごく絶妙なニュアンスで表現するので、言葉のニュアンスを間違えるとやっぱり全然違うのでそういうクリエイティブで繊細な作業をされて感情をコントロールしてくださります。声をかけてもらえることでより自分の役の厚みが増していきました。
会見前に『龍が如く』を作ったセガのスタッフさんにおもしろいと言ってくださったので、がんばってきたことが救われたという気持ちですごくうれしかったです。」
ふたつの時代のコントラストに注目
「映画の仕事始めて35年で培ったすべてを『龍が如く』に全身全霊で注ぎ込みました。すばらしい、スタッフ、キャストの才能と情熱が作品に刻み込まれたと自負しております。2024年は竜の年です。竹内涼真さんの桐生一馬の誕生をどうか心待ちにしていただきたい。
キャスティングをするときまず最初に浮かんだのが竹内涼真さんでした。まずデカいからです(竹内涼真さんの身長は185.8センチ)。やっぱりこの存在感がある人っていうのが画面の中には必要です。メインビジュアルもそうですが、背中を映すときは人間の身体のいちばん大きい面積は背中です。そこの大きく鍛え上げるっていう努力を知っている人だと思っています。
桐生一馬を演じてもらうにあたって、原作がある作品だけどものまねをする必要はなくて竹内さんの桐生一馬を作りあげるよっていう話はさせていただきました。撮影前に急に竹内さんから電話がかかってきたときがありました。お風呂で台本を読んでいて、台本がすばらしいって感動して、裸のまんまかけてきたそうです。しかも、私が竹内さんの地元の町田の駅近くの歩道橋を歩いてきたとき電話がきたんです。なんか縁があるんですよ。
(作品のチャレンジングな点を質問されて) 『龍が如く』っていうゲームが原作ですが、日本のヤクザっていう社会をどうしても明確に描かなければなりません。人が人を傷つける暴力描写が半分以上を占めるというストーリーです。全世界に配信される作品ですが、暴力がこの作品で肯定的に描くのではなく、最終的に暴力や争いが虚しいことをエンターテイメントの中で伝えるというチャレンジがありました。
この作品は1995年と2005年のふたつの時間軸で描かれています。95年は青春時代というか未熟な部分の勢いや情熱があります。そこから桐生一馬が刑務所で10年を過ごし、時代が明らかに変わってしまったなっていう虚しさの中でまた新しい活力を取り戻していきます。
このふたつの時代のコントラストが見どころです。デジタル撮影ですが、フィルムでいうと別のフィルムを使うぐらい情熱の赤と、ちょっと錆びたブルーといったものを意識して映像をつくりました。証明やルックはもちろん、俳優さんが10年差っていうのを演じてくれています。」
発表会ではAmazon MGMスタジオ インターナショナル・オリジナル責任者のジェームズ・ファレル氏と、龍が如くスタジオ代表・制作総指揮の横山昌義氏からのコメントも紹介された。
ジェームズ・ファレル(Amazon MGMスタジオ インターナショナル・オリジナル責任者)
「日本には素晴らしいゲームIPがたくさんあります。この度、Prime Videoから、『龍が如く』のオリジナル実写ドラマを世界中の皆様にお届けできることを大変嬉しく思います。私たちは桐生たちの成長や人間ドラマ、躍動感あふれるアクションを体験することができます。他のドラマとは一線を画す魅力を持っていますのでどうぞご期待ください。」
横山昌義氏(龍が如くスタジオ代表・制作総指揮)
「私は原作『龍が如く』の脚本を書き始めた日から今日まで、過去に戻り作品を作り直したいと思ったことは一度もありません。完成したひとつの作品を作り直す苦しみと難しさを知っているからです。
ですがもし今、神様の悪戯で二十年前のあの日に戻されてしまうのだとしたら、この作品を作ってみたい。どうせ死ぬほどの苦労をするのであれば、今の自分が一番魅力を感じる神室町や桐生一馬を描きたい。このドラマにはそのすべてが揃っています。
『龍が如く~Beyond the Game~』は、間違いなく『龍が如く』のもう一つの代表作となるでしょう。主観視点で楽しむのがゲームだとしたら、これは究極の客観視点で楽しむ『龍が如く』。ゲームをプレイしたファンは、数秒ごとに訪れる意外性とリアリティーに引き込まれ、そして原作を知らない方は、ただそこに実在するかのような世界での出来事に没頭するでしょう。私は一瞬も見逃せない緊張感に溢れた数時間を、世界中の人々と一緒に味わいたいと思っています」