
本作はリアルに再現した中世ヨーロッパや硬派なシステムが人気を博したタイトルで、続編の製作も発表されたタイトルだ。魔法や魔物が登場しない、ファンタジー要素が一切ないリアルな中世ヨーロッパを舞台に、史実に基づく重厚なストーリーが味わえるのが見どころとなっている。
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そんな本作は登場する街や建物、法律なども含めてすべてリアルに再現されているのが特徴。あまりにもリアルすぎて、主人公であるヘンリーも特別な力は何も持っておらず、序盤だと酔っ払いにボコボコにされるくらいには平凡だ。
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ゲーム内に登場する建物や文化、そして人々の考えかたは、史実の情報をベースに作られているため、プレイ中もそのこだわりが見て取れる。各種資料は写本という形で確認も可能で、ゲームを遊びつつ、中世ヨーロッパの文化に触れられるというのも、本作のおもしろいところだ。
本記事では、実際に『キングダムカム・デリバランス』のSwitch版をプレイしつつ、中世ヨーロッパの文化で再現されている要素や、ユニークな描写について紹介していきたい。
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本を読むのもひと苦労! 貴族は意外と文字が読めなかった?
ここで驚かされるのが、この文字の読み書きという点がゲーム内でも再現されていること。鍛冶師の息子として育てられた主人公ヘンリーは当然文字など習ったことがなく、本を読むことができない。
作中ではスキルレベルを上げるためのスキルブックが用意されているのだが、文字を習う前だと、そもそも本を読めないので使えないという徹底ぶりだ。
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ゲーム内で読める写本によると、鍛冶師の息子だったヘンリーのような庶民だけでなく、意外にも貴族も文字を読むことができなかったという。
中世ファンタジーなイメージで本を読むのは貴族の教養のような印象があったが、娯楽は演劇や馬上試合、狩りが中心で文字は読むことはなかったようだ。作中で文字の読み書きをしている描写があるのは、神父や書記官などの役職についている者ばかり。
この背景を知ってから貴族の屋敷などを覗いてみると、家令の部屋など一部の場所にしか本は置いておらず、その数も多くはない。RPGだと本棚にギッシリと本が詰まっている部屋がたくさん出てくるが、実際のところ本は貴重で、入手するのもたいへんだったのだろう。
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狩りは貴族の特権? 八百屋やパン屋から察する当時の食文化
領主が守っている大きな街では八百屋やパン屋などが出店されており、ここで食事を購入することが可能だ。ちなみに本作は定期的に食事を取らないとマイナス効果が発生するし、食べ過ぎてもマイナスになるリアルな要素も盛り込まれている。
さて、この八百屋で販売されているのはニンジンやキャベツ、ニンニクなどの野菜や、リンゴなどの果実がメイン。中世では田舎でも宮廷でも、食品はその地域で作られていた物を使用する地産地消が当たり前だったようだ。
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野菜のほかは、豆類やチーズ、牛乳などが食事の中心。もっとも一般的な料理はパンを浸すためのピューレやソースで、肉類については宴の料理として提供されていたという。
肉は高価だったことに加えて、獲物となる動物はすべて貴族のものという、圧倒的な格差社会だった。貴族以外が森で狩りをすること自体が犯罪だったため、庶民が食べられる動物性タンパク質は魚が中心だったようだ。
本作でも庶民のヘンリーが森で狩りをして肉を得ると盗品扱いになるほか、密猟者を見つけると絡まれたりもする。世知辛い世の中だ。
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また、貴族の狩りの作法もイメージとは異なり、ザックリとした言いかたをすると”いいとこ取り”の狩りが主流だった。ゲームでよくある狩りだと、獲物にコッソリと近づき弓矢や銃で撃つという方法だが、中世ヨーロッパでは犬を使って獲物を追いつめている。
貴族が娯楽として行う狩りは、猟犬とともに獲物を追いかけるのが主流。まずは猟犬が獲物をひたすらに追いかけ回し、逃げた動物が動けなくなり棒立ちになって、初めて人間の出番になる。
最後の抵抗を試みる状態になった動物に近づき、槍や弓矢で獲物を倒す。猟犬に弱らせて自分はトドメを刺すだけと考えると、ゲーマー的思考で言えばキルパク、いいとこ取りでちょっとズルいと感じてしまう。
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ただ、実際に動いている動物を弓矢で狙うのは難しいため、狩りをする上で合理的ではある。実際に本作で弓矢を使う場合、射出位置を示すポインターが一切出ないため、狙った場所に矢を放つのは至難の業。
慣れるまでは苦戦を強いられるし、上達してからも走り回る動物を狙うのは難しいため、動かなくなっているところを狙うのは理にかなった方法だ。
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当時もっとも清潔だったのは貴族ではなく農民
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中世ヨーロッパでも清潔さを保つ習慣はあったようで、貧しい家庭でも水差しと洗面器はつねに置かれており、手洗いをしていた。また、村民たちは外で作業をする機会が多いからか、馬小屋や川で頻繁に身体を洗う習慣もあったようだ。
一方の貴族や富裕層は頻繁に入浴することはなく、いつでもキレイな服を着ていただけだったという説も……。じつはお金持ちより貧しい人たちのほうが清潔だったというのは、現代では考えにくい状況である。
また、不衛生な場所には公衆浴場が建設されていた背景もあり、ゲーム内でも浴場が用意されていた。こちらはお金を払うと風呂桶に入って身体を洗える仕組みで、追加料金を払えば服も洗濯してくれる。現代と違い恥じらいなどもさほどなかったようで、男女共有で浴場を使用していたようだ。
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ちなみに、自宅にバスルームがあるのは贅沢と身分の高さの象徴で、庶民の家にはまず設置されていない。貴族の家を軽く調べても、バスルームらしきものは発見できなかった。それくらい入浴するという文化が浸透していなかったということだろう。
付近に浴場がない城に住む人々は、どのように衛生を保っていたのか。もしや本当に服を着替えているだけなのでは……と考えつつ城や街を見てみると、また違ったおもしろさがあるかもしれない。
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語り尽くせないほど再現にこだわった『キングダムカム・デリバランス』の世界
当時はトイレがほとんどなかったという話や、建物の窓が小さい理由、床は地面むき出しなど、当時の文化を反映させた要素が語り尽くせないほどに盛り込まれている。貴族の家には一部トイレが存在していたなど、写本を読んで「ここは再現されているのかな?」と各地を巡ってみたりするなど、自分で目的を見つけて旅をしてみるのも一興だ。
徹底的な調査と再現にこだわったタイトルなので、まだプレイしたことがない人はもちろん、RPGとしては遊び尽くしたという人も、写本を読みながらもう一度冒険してみてほしい。
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キングダムカム・デリバランス ROYAL EDITION
- 対応プラットフォーム:Nintendo Switch
- 発売元:PLAION
- 開発元:Warhorse Studios
- 発売日:2024年5月23日発売
- ジャンル:RPG
- 価格:5980円[税込]
- 対象年齢:CERO 18歳以上のみ対象
- 備考:Nintendo Switchダウンロード版は2024年3月14日に5980円[税込]で配信