ファミレスを享受せよ(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
深夜営業のファミレスが持つ、時が止まったような佇まいと静かな雰囲気、気だるさをゲームで体験できるとは! とりとめのない会話から、進んでいく物語、狭いけど無限に感じる空間&世界に、月の光に照らされたような色遣い、そして、落ち着きのあるBGMなどがシンクロして、プレイヤーを深夜のファミレスという“異”世界へ誘う。ゲーム的な盛り上がりに欠ける部分はあるが、個性が光る作品です。
週刊ファミ通1826号より
舞台はファミレスという日常的な空間ながら、そこで展開する不思議なストーリーが好奇心を刺激。シンプルな線画のようなグラフィックも味がある。話題を選択して短めの会話ベースでまったりと進行していくが、とぼけた雰囲気のときもあれば、若干怖さのあるミステリーのようなときもあり、退屈さを感じることがありません。読後の余韻も心地いい。既読の文章をスキップ可能だと、なおよしだった。
週刊ファミ通1826号より
遊んでいたのはほんの数時間ほどですが、ずいぶんと長くファミレスに閉じ込められていたような疲労感が。ともに過ごした客との別れに寂しさが募る、物語と一体になった体験をしました。テキストの“間”、月夜のごとく静かな曲、儚げな線画など、ゲームを媒体とした映像作品として、独自の世界を表現することに成功しています。クリアー後に秘密が明かされるものの、さらに空想が広がる設定がすてき。
週刊ファミ通1826号より
そのときどきで思いつく限りのことを総当たりでやった気になっては、動かなくなった状況に途方に暮れ……といったことをくり返すうちに、自身の魂が外界から遊離していきます。空疎かつ気だるいムードに浸り続けることに価値を見出せれば、メインストーリーのボリュームの少なさは、マイナスどころか余韻となるでしょう。シンプル構成のUIのレトロチックな操作感覚も、物語世界にマッチしています。
週刊ファミ通1826号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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