放浪者 フランケンシュタインの創りしモノ(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
テキストを極力排除し、セリフと動き、そして舞台切り換えで進行する物語は、自身が演者になってドラマを演じている感覚に近く、自然と世界に引き込まれます。若干操作しづらかったり、わかりにくい部分が、フランケンシュタインとして人間世界に放り込まれた異物感に。明暗を使い分けた色彩豊かな美しいステージも、物語のテーマと合致。ゲームというよりは触って動かす文学作品的な趣です。
週刊ファミ通1693号より
原作小説をモチーフにしつつ、フランケンシュタイン博士が創造した怪物の視点で物語を体験する作りに興味を惹かれる。絵本風のグラフィックと音楽の美しさが、怪物の悲痛な旅路をより心に訴えかけるものにしています。調べられる場所が光るといったヒントはあるけど、どこに向かえばいいのかわかりにくい場面がたまにあるのは気になった。こだわりが感じられる仕上がりだが、不便な点も少々。
週刊ファミ通1693号より
美しく残酷な世界が徐々に浮かび上がっていく描写と、己が何者かを少しずつ知っていく表現がリンクして、作品に引き込まれました。サウンドにも想像力をかき立てられる。よくある(知っている)お話と思いきや、少しひねった真実が用意されているのもおもしろかった。メディアアート色が濃く、インタラクティブな部分もゲーム色は薄め。その加減は、物語への没入感を妨げない点においては絶妙です。
週刊ファミ通1693号より
本格的な謎解きや自由なフィールド探索といった、いわゆる“ゲームらしい手応え”を本作に期待していると、肩透かしを食らうでしょう。整合性よりも心象を優先した背景グラフィック、心の波立ちを繊細に表現する音楽は、悲しきモンスターの旅路の抒情を深めます。ゲーム進行のテンポを一切制御できなかったりと、プレイアビリティーは良好とは言えないので、せっかちな人にはおすすめできません。
週刊ファミ通1693号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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