MMORPGのボス戦は決まった攻略がない時代へ。プレイヤーの行動でサブクエが生まれ、NPCは過去を引き合いに出す。GameBotの最新AI技術“game bot”の可能性と最新事例
 ゲーム開発にとっても欠かせないものとなっているAI。そんなAIに注力している企業のひとつにGameBotがある。

 GameBotは、世界を対象としたゲーム向けインテリジェントソリューションプロバイダー。コアチームは2019年からゲームAI分野に深く関わっており、これまでにテンセントやmiHoYoなど、数多くの企業と連携・協業を行ってきた。

 具体的にどんな企業かというと、先日開設したばかりのLinkedIn公式ページにある「私たちは、ただのゲームAI開発会社ではありません。プレイヤーの心に響く“驚き”と“感動”をテクノロジーで形にし、世界中のゲーム体験を革新していくことが、私たちGameBotの使命です。これまでにも、FPS/TPS、MOBA、RPG、SLGなどのヒットタイトルの裏側で、デベロッパーや運営者の皆さまの情熱に寄り添い、その成功を支えてきました」というコメントの通り、ヒット作の裏側、いわば、縁の下を支える存在だと言える。
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GameBot LinkedIn公式ページ
GameBot LinkedIn公式ページ(英語)
 そんなGameBotが、同社におけるAIの最新事例のリポートを寄稿してくれた。それによると、世界的に有名な人気タイトルにGameBotの最先端AI技術“game bot”(ゲームの知能エージェント)を搭載。これにより、ボス戦が大いに変わるのではないかというのだ。ゲームの未来が変わる、AIの話をご一読あれ。
[IMAGE]※この記事はGameBotの提供でお届けします。
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攻略暗記はもう古い? GameBotのAI技術がRPGのボス戦を根底から覆すかもしれない

 MMORPGの高難易度ボス戦といえば、何度も全滅しながら攻撃パターンを覚え、体に叩き込む「攻略暗記」。それもまたMMOの醍醐味だ。でも、その常識がもうすぐ変わるかもしれない。

 最近、アジアのゲーム業界を騒がせるニュースが飛び込んできた。次世代ゲームAIソリューションを手掛けるGameBot社が、とある世界有数のMMORPG開発スタジオとタッグを組むことを発表。その内容はなんと、世界的に有名な超人気IP(知的財産)シリーズ最新作に、GameBot社が誇る最先端AI技術
『game bot』(ゲームの知能エージェント)を搭載するというのだ。

 これはただの技術協力ではない。AIがゲームの核心的な遊びに深く関わって、プレイヤーたちのゲーム体験を根っこから変えようとしている、ゲーム業界全体の大胆な挑戦だ。

AIを搭載した“生きたボス”が誕生するのか?

 今回話題になった2社は、どちらも個性的だ。

 まずはAIテクノロジー企業のGameBot社。ゲームAIの分野で長年の経験を積み重ねてきた、業界のパイオニア的存在だ。

 公開情報によれば、創業チームは世界的ゲーム企業テンセントの出身で、かつて囲碁AI
『絶芸』などの著名なプロジェクトを開発した。2025年現在では、GameBotの『game bot』は世界65カ国で使われていて、年間延べサービス回数は174億回を超え、しかも同時接続AI数は最大300万を突破。その技術力は、テンセントやmiHoYoを含む多くの大手ゲーム企業から高い評価を受け、自社のMOBA、FPS、RPG、SLGといった主力タイトルで採用が続いている。

 導入後のタイトルでは、プレイヤーの継続率やインタラクション量がアップしているそうだ。
※創業チームが開発した囲碁AI『絶芸』は、世界囲碁大会で4度の優勝を果たし、ハンデとして二子を置いた状態で、世界王者の柯潔(かけつ)棋士に勝利した実績を持つ。 ※データはGameBot公式サイトより引用。[IMAGE]
GameBot製の『game bot』は、マッチングの穴埋めからトレーニング用スパーリング、さらには“相棒”としての役割までこなし、ゲーム全体の体験を向上させる。
 そしてもう一方は、アジア最大級のMMORPG開発スタジオの一つ。巨大なファンベースを抱える超人気IPホルダーであり、常にプレイヤー体験の向上を追い求めることで知られている。彼らの最新作は、Unreal Engine 5で作られたPC向けオープンワールドMMORPG。自由度も没入感も、これまでにないレベルを目指しているという。

 今回の提携でメスが入れられるのは、ゲームの核心ともいえる「ボス戦」。従来のボスは、その行動が固定されたスクリプトで決められていた。だが、GameBot社の『game bot』技術によって、ゲーム内のボスたちは、もっと賢い“知能”を持つことになるかもしれない。
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 『game bot』が入ったら、ボス戦が大きく変わる。

 もし、ボスの行動が固定スクリプトに依存せず、戦場のリアルタイム情報、例えばプレイヤーの数、職業、立ち位置に応じて、自らの戦略を動的に調整するようになったら? その時はきっと、戦闘は「謎解き」から、真の「駆け引き」へと昇華するだろう。プレイヤーは、ボスの“その場の判断”に応じて戦術を変えなければならない。

 この予測不能な駆け引きこそが、ゲームの奥深さとリプレイ性を爆上げしてくれるはず。ゲーム世界がもっと“生きている”と感じられるし、毎回の挑戦が新鮮な気持ちになれるだろう。もはや「行動パターン」なんて概念を超えたボス体験は、間違いなく戦闘の奥深さをさらに向上させ、ゲーム体験を一変させるだろう。こうした革新的な取り組みは、実は業界全体の大きな流れの一部なのかもしれない。

AIの導入は、もう避けられない流れ

 近年のゲーム開発において、世界の広大化とシステムの複雑化に伴い、コンテンツ制作のコストと開発期間はどんどん増えている。開発者が人力と従来のスクリプトツールだけで、広大で生命感あふれる仮想世界を埋め尽くすのは、費用対効果の面で年々ハードルが上がっている。

 開発者たちが、より効率的でダイナミックなコンテンツ制作手法を求めているのは当然の流れであり、AIはまさにそれを実現する切り札なのだ。
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いまや名だたる大手スタジオが続々とGameBotと手を組み、AIの力で開発フローを加速させている。
 これからは、ゲーム会社とAI専門企業との協業は、当たり前になるかもしれない。ほとんどの開発チームにとって、世界トップクラスのAI研究開発チームをゼロから作るのは、莫大な資金と長い時間、そして専門人材の確保という、あまりに高いハードルが存在する。

 それに比べれば、GameBot社のような、すでに市場で実績を積んだ成熟したソリューションを選ぶことは、いい選択と言えるだろう。彼らが持つ先行者としての優位性や、トップ企業との協業で得た膨大なノウハウは、ゲーム開発者が自らの貴重なエネルギーを最も得意とする分野――面白いゲームアイデア、世界観の構築、そして“遊び”のデザインに集中させてくれるのだろう。

ゲームコンテンツ制作の新たな可能性

 今回の提携が示すのは、単にボス戦を改良するだけではなく、もっと大きな可能性を示している。

 想像をしてみよう。未来のAIは、もはや単一のNPCやボスを制御するだけのものではない。ゲームデザイナーが作った壮大な枠組みの中で、より多彩な、より個性的なコンテンツを動的に生成するようになる。

 例えば、プレイヤーの行動次第で、その人だけのサブクエストが生まれる。NPCは長期記憶を持ち、過去の行動を覚えていてリアルに反応してくれる。独自の経済やルールで進化する仮想生態系も夢ではない……。
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AIネイティブゲーム『Astrobuilder』では、GameBotがAIプラットフォームを全面サポート。AIによるNPC生態系の構築と、ダイナミックなオープンワールド開発に新たな可能性を示した。
 この夢みたいな話を実現するには、ゲーム開発者の豊かな創造性と、GameBot社のようなAI技術の専門家との緊密な連携が不可欠だ。片方が「面白い世界観」と「楽しさの本質」を提供し、もう片方が「それを生きた体験にする技術」を提供する。

 人間の創造力と、AIの進化する力が真に融合する時、未来のゲームはきっと想像を遥かに超えて、よりリアルで、自由で、いつまでも新鮮な世界を見せてくれるだろう。