2025年4月1日、“ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE High↑ 特別編”として、“ポケミク”と“重音テト”のコラボが発表。コラボを記念したイラストや、サツキさんによる『ファサード・クエスチョン』の楽曲とMVが公開された。
17年前のエイプリルフールにネット掲示板ユーザーのジョークから産み出された重音テトが、ポケミクのエイプリルフール企画に参戦。古くから重音テトを知るものにとっては 「嘘だろ?」と言いたくなるような本当の話。
楽曲を制作したサツキさんと映像を制作した読谷あかねさんに、その詳細を語っていただいた。
シンオウ地方の大体ミオシティ辺り出身。2019年活動開始のボカロP。型にはまらない曲展開や重厚なサウンド、叙情的な歌詞が特徴的。代表作は『メズマライザー / 初音ミク・重音テトSV』、『オブソミート / 初音ミク・重音テトSV』、『CIRCUS PANIC!!! / 初音ミク』など。
株式会社一二三所属。映像編集、アニメーション、漫画、イラストレーションなど幅広く手掛ける。重音テトの楽曲を中心に映像やイラストの制作を行いつつ、自身もボカロPとして重音テトの楽曲を投稿している。
重音テトとは、有志がインターネット上で意見や素材を出し合い制作された、声となる音声素材集(音声ライブラリー)を持つ、実際に歌うことのできるキャラクター。2008年3月に匿名掲示板2ちゃんねる内にある“ニュー速VIP板”で有志の手によりエイプリルフールのジョークとして制作。“架空のVOCALOID(ボーカロイド)”として動画投稿サイトであるニコニコ動画にデビューした。
ボーカロイドの技術を使用しておらず 、歌声合成ツールUTAUを使用して楽曲制作が行われてきた重音テトだが、2023年には、生誕15周年を迎えた記念として新たな歌声合成ツールSynthesizer V専用の歌声データベースが作成。なお、開発はUTAU版と同じ小山乃舞世さんの声を基に行われた。
現在はUTAU版とSynthesizer V版の重音テトが存在しており、『ファサード・クエスチョン』ではその両方が登場している 。
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――まずは、“ポケミク”が初めて世に出た際の印象を教えてください。
サツキ
初音ミクがポケモンとコラボするということで、とにかく驚きました。18タイプの初音ミク&相棒ポケモンのイラストが発表されて、さらには曲も18曲出るなんて。そのスケール感に圧倒されて、当時はいちリスナーとして純粋にワクワクしていました。
読谷
ポケモンも初音ミクも小学生のころから慣れ親しんだコンテンツなので、私も発表時からとてもうれしくてワクワクしていました。楽曲が公開されるフェーズに入って著名なボカロPの皆さんがつぎつぎに登場するのを見ていると、何だかジムリーダーみたいだなと感じて。つぎはどんなジムリーダーと出会えるのか、どんな楽曲をくり出してくるのか。そんな風に考えながら、童心に帰ったように楽しく見させていただいていました。
――実際にオファーが来たときはどう思われましたか?
サツキ
まずはポケミクに参加させていただけるということがシンプルにうれしかったです。ただ、メールを読み進めるとどうやら、重音テトでの楽曲制作依頼ということで、とても驚かされました。テトの人気がかなり高まってきているとはいえ、テトの出自を考えると、ポケミクというポケモンと初音ミクとのコラボで、フォーマルな場に出て来られるようになったというのは感慨深いものがあります。その記念すべき企画に自分が楽曲制作でかかわるというのは、楽しみと緊張が入り混じったような思いでした。
読谷
私も似たような気持ちで、テトもここまで来たのかと感激していました。私自身もひとりのテトPですので、これは絶対におもしろいものにしようと情熱を燃やしていました。
――おふたりにとって重音テトはどんな存在なのでしょうか?
サツキ
僕も小学生のころからボカロ文化に慣れ親しんでいましたが、そのころにはテトはすでに人気のキャラクターだったんです。ボーカロイドでこそないものの、似た存在の合成音声ソフトとして『おちゃめ機能』を始めとするヒット曲もありました。なので個人的には当たり前のようにいた存在だったのですが、改めて考えてみると親近感を感じるところがあって。
というのも、ユーザー主導で始まったものが一部の人気を得て製品化され、より多くの人に受け入れられていくといった流れは、僕たちボカロPないしアマチュア音楽家と似ているところがある気がしました。初音ミクがJ-POPの有名アーティストだとすれば、重音テトはインディーズから這い上がった泥臭いバンドみたいなイメージなんです。
読谷
わかります。そもそもの出自がネットの人間の悪ノリから始まっていたり、無料で利用可能であるがゆえにディープなインターネットカルチャーで用いられていたり。31歳という年齢設定も含めて、いい意味でキラキラしていないんですよね。インターネットの隅っこで親しまれた存在が、今回のような輝かしい舞台にも立てるようになったのが一ファンとして感慨深いです。
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――おふたりとポケモンの関係についてもお聞きできればと思います。最初にポケモンとの出会いについて教えてください。
サツキ
ポケモンは、気付けば当たり前のように日常に溶け込んでいた存在なので、はっきりとした最初の記憶を覚えてはいないのですが……アニメが出会いではないかと思います。初めてプレイした『ポケットモンスター』シリーズが、『ポケモン ダイヤモンド』だったことは覚えています。
ほかには『ポケモン プラチナ』、『ポケモン ハートゴールド』、『ポケモンブラック・ホワイト』、『ポケモン エメラルド』 もやりましたね。『ポケットモンスター』シリーズ以外にも、『ポケモンレンジャー』や『ポケモン不思議のダンジョン』、それからアーケードの『ポケモンバトリオ』 も遊んでいました。中でもいちばんやり込んだのは『ポケモン ダイヤモンド』か『ポケモン プラチナ』だと思います。特別なポケモンを受け取るために映画館へ行ったり、一度クリアーした後もさいしょからもう一度遊んだりしていた思い出があります。
読谷
サツキさんとはほとんど同年代なんですけど、私も『ポケモン パール』から始まって、それに加えて『ポケモン ハートゴールド』や『ポケモンホワイト』をとにかく遊びつくした記憶があります。とくにポケモンのデザインに惹かれていて、ゲームでポケモンたちを集めるのはもちろん、リアルでも物凄い数の指人形を集めて遊んでいました。
――おふたりの好きなポケモンは何ですか?
サツキ
ブラッキーです。イーブイの進化形の中でも、あくタイプということでちょっとダークなイメージがあって。でもやっぱりかわいさが抜けきらないそのバランス感が好きなんです。シンプルにビジュアルが好きというのも大いにありますが(笑)。それと分類が“げっこうポケモン”で夜のイメージがあるポケモンというのも、自分が夜行性なので共通点があって親しみやすいなと感じています。
読谷
私ははがねタイプ、ゴーストタイプ、エスパータイプのポケモンたちが好きです。とくにドータクンやゴルーグ、デスカーンにシャンデラ、フワライド、ランクルスが大好きで。なんとなく無機物っぽい造形のポケモンがかっこよく感じるんです。ビクティニの映画(※)ではゴルーグが大活躍するのですが、当時映画館で観ながら必死にゴルーグを応援していました(笑)。
※……2011年公開『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム・白き英雄 レシラム』 ![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40927/a3dab27271745935c9b55f88a43b36a77.png?x=767)
――ポケモンの音楽については、どんな印象を持たれていますか?
サツキ
これはじんさんも以前のインタビューで仰っていたと思うのですが、BGMを聴いただけで当時見た街やどうろの景色や思い出がよみがえるんですよね。脳なのか耳なのかわかりませんが鮮明に染みついていて、懐かしいという感覚さえなく当時の記憶がつい先日のように感じられるんです。当時はまだ子どもでしたし、BGMに集中して聴いていたことなんてないはずなのに。それだけ、ポケモン音楽の持つパワーが非常に大きかったんだなと思います。
読谷
私はとくにBGMが切り替わる瞬間が好きで。曲調がガラっと変わる場所なんかはとくに、新しい場所に来たんだっていうワクワク感が増幅されるのがたまらなく好きなんです。あと、単純にポケモン音楽は曲として大好きで、過去に何曲か耳コピして分析したこともあります。
――とくにお気に入りのBGMは何でしょう?
サツキ
いちばんは『209ばんどうろ』です。209ばんどうろって、言ってしまえばただのどうろのひとつなんですよ。特別重要なイベントがあるわけでもないのに、ファンの皆さんからの人気も高いです。それってつまり、楽曲自体のパワーがとてつもなく強いんだと思うんです。一部の人は聞く機会が多いというのもあると思いますが(笑)、純粋に音楽として素晴らしいというのが、自分の中で強く印象に残っている理由なのかなと思っています。
読谷
わかります。私も『209ばんどうろ』がめちゃくちゃ好きで、『ファサード・クエスチョン』のデモが上がってきたときに感極まって「『209ばんどうろ』うれしすぎる……」ってサツキさんに送っちゃいましたもん。
サツキ
いただきました(笑)。
読谷
私はゲーム音楽全般が好きなので、ほかにも『コガネゲームコーナー』や『10ばんどうろ』 、『Nの部屋』、『戦闘!グラジオ』など好きな楽曲がたくさんあります 。
――『コガネゲームコーナー』が最初にくるのが非常にコアでいいですね(笑)。確かに『209ばんどうろ』は人気が高い楽曲で、『ファサード・クエスチョン』へのコメントでも感激の声が複数寄せられていました。具体的に、音楽としてどういった点が素晴らしいと思いますか?
サツキ
とくに印象的なのは冒頭の部分です。最初にピアノがアルペジオで流れた後にメインメロディーが入ってくるところ。しっとりとした雰囲気がする一方で、晴れやかさも同時に感じさせてくれるんです。音数自体は特別多くもなくシンプルな楽曲でありながら、聞き手のさまざまな感情を揺さぶる深みのある楽曲だと思います。
――『ファサード・クエスチョン』はどんなテーマで制作されたのでしょうか。
サツキ
重音テトの誕生日である4月1日に公開される楽曲ということもあり、テトの出自とも深くかかわっている“嘘”をテーマとしています。より詳しく言うと、「嘘は必ずしも悪いことではないよ」というメッセージ性を込めています。
――映像にも、“嘘”に関連するポケモンたちが登場していましたね。
サツキ
ウソッキーの擬態やゾロアークの幻影は自分や仲間の身を守るため、ミミッキュのばけのかわは人間やほかのポケモンと仲よくなりたいから、というように嘘をついたりごまかしたりするのはそのポケモンなりの理由があることもあるんです。人も同様だと思います。2番Aメロの歌詞で【どんな人でも、みがわりを立てて日々やってくんだ。なのに、「本当の自分」がどうだとかさあ!】という部分があるのですが、これは僕自身が普段から思っていることでもあって。
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「嘘をつかずに本当の自分、自分らしさを出していこう」というような言葉を聞く機会は現実でも創作でもそれなりにあるかなと思います。その言葉に救われる人もいると思うので一概に否定するわけではないのですが、僕個人としては必ずしもそうあるべきではないと考えているんです。その人がいう“本当の自分”を出したことで人間関係や環境がプラスに進めば喜ばしい限りですけど、反対に悪化してしまったときに、大抵の場合その人は言うだけ言ってどこかに行ってしまうので、責任を取ってくれる訳じゃないよなと考えていて。
本当の自分がつねに正解なわけじゃない。なら、偽りの自分を持っていたっていいじゃないかと。それで自分を含めて周りの環境や物事が円滑に進むならそれでいいと思うんです。もちろん、抑圧し過ぎはよくないですけど。最近の自分の楽曲の根幹として「0か100かではなく“妥協”とか“割り切り”も重要だよね」というような考えかたがあるのですが、そういった僕の感情的な部分をかなり詰め込んだこともあって、気に入っているパートでもあります。
――いまのお話を念頭に置いてもう一度曲を聴いてみたくなります。ほかにも制作でこだわった部分があれば教えてください。
サツキ
僕の代表作を挙げるとすれば『オブソミート』と『メズマライザー』だと思うのですが、これらとどう差別化するかというのは今回の制作でかなり頭を悩ませたところです。前述の二作とは曲調から変化をつけようかとも考えたですが、お祝いの曲なのに真っ直ぐ明るいポップスを書かないのもなんか違うかな……と思ったので『ファサード・クエスチョン』でも、初音ミク&重音テトの楽曲で明るい曲調というのは共通としつつ、曲の細部で差をつけることが出来るように工夫を凝らしました。
たとえばコード進行や曲の構成に変化をつけていたり、サビのビートを4つ打ちから跳ねるようなシャッフルビートに変えてみたり。歌詞もいまお話しした部分は僕の思想を表に出していますが、それ以外はあくまでもミクとテトやポケモンたちが主役ということで自我をあまり出さないようにしています。そういった部分も含めて、ポケモンの世界観と僕の世界観をいい塩梅で混ぜ合わせることができたのではないかなと思っています。
――まさしくそうした世界観のすり合わせというのは、コラボ楽曲ならではの工程だったのではないかと思います。今回ならではの体験で印象的なものがあれば教えてください。
サツキ
せっかくなので自分にとって思い入れが強い作品のBGMを中心に使わせてもらったのですが、それゆえにBGMと僕自身のゲーム体験が紐づきすぎてしまっていて。それを自分の中でいったん取り払って、先入観なく純粋に音楽として聴き直してから楽曲の中にどう組み込むかを試行錯誤したのですが、これは今回ならではの作業だったなと思います。たとえば、ポケモンが進化するときのBGMを改めて聴いてみるとビルドアップ(※)みたいでおもしろいなと感じたので、サビ前に置かせもらいました。
※ビルドアップ……おもにEDMで使用される用語。楽曲がもっとも盛り上がるドロップ(サビ)に向けて徐々に楽曲のテンションを高めていくパート。
――進化BGMの部分はとくに重音テトファンからの反応が大きかったように見えました。
サツキ
進化BGMを経てUTAU版のテトからSynthesizer V版のテトへと切り替わる演出は今回のお話をいただいた当初からやりたかったことでした。テトのそれは厳密には“進化”ではなく“変化”だと捉えていますがそれはさておき、狙い通りにファンの皆さんからもいい反応がもらえてよかったです。
――読谷さんはこの楽曲を初めて聴いた際にどんな感想を持たれましたか?
読谷
今回はお互いに音楽と映像でやりたいことを事前に共有しあっていまして。それもあっていきなり完成版ではなく段階的に聴いていったのですが、最初のデモの段階からすごく興奮しましたね。自分が当初「クイズをやりたい」という案をお伝えしていたものが、デモの段階からゲーム内のSEやBGMとうまく組み合わせた形で盛り込まれていて、流石だなあと感じていました。
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――クイズの形式は楽曲を聴く前から決めていたものだったんですね。どうしてクイズをやろうと思われたのでしょうか。
読谷
これまでのポケミクの楽曲は、冒険に焦点をあてたものも多くあったと思います。たとえばそれがポケミクの王道だとすれば、今回は違う道を選んだ方がテトやミク、ポケモンたちみんなのよさを引き出せるだろうと考えたんです。ポケモンには冒険という本筋以外にも小ネタがいろいろあるし、ゲーム外でも楽しい企画がたくさん行われています。そういった何でもありのお祭り感がテトにもマッチするだろうと思ったので、それならクイズにしようと提案した次第です。
――これまでの作品とはガラッと雰囲気が変わって、また違った楽しみかたができました。読谷さんが個人的に気に入っているフレーズはありますか?
読谷
うーーーーん。進化BGMのところも好きですし、大枠の構成もすごく上手ですし、より展開を盛り上げるようなサンプリングも、細かなSEの拾いかたもおもしろくて……ぜんぶ好きなんですよね。どこかと言われると難しいです。
サツキ
ありがとうございます(笑)。
――では、映像に関してもこだわりをお聞きしたいのですが、まずはポケモンのチョイスについて教えてください。
読谷
部分的にはテーマに沿ったポケモンを選択しています。擬態をするポケモンであったり、こうそくいどうのクイズでは、“こうそくいどう”を覚えるポケモンを選択したり。
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――パーモットやポリゴン2が一瞬映る部分はそういうことだったのですね。
読谷
はい。あそこは自分の中で“こうそくいどうクイズ”と呼んでいます(笑)。そのほかのパネルクイズのような縛りのないところは、私のエゴでとくに好きなポケモンを出させていただいています。すみません。
サツキ
(笑)。
読谷
ポケモンを描かせてもらえるということ自体がうれしくて! それこそ先ほども挙げさせていただいたドータクン、フワライド、ランクルスとか。ガオガエンも『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で使い込んでいるので思い入れがあります。マッギョはその独特な雰囲気に惹かれて、300匹以上集めたことがあって。
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――300ですか⁉
読谷
ボックスがマッギョだらけになりました(笑)。ほかにも四国出身なので、うどん県PR団として香川県で活躍しているヤドンは入れたいなとか。かなりのびのびとやらせていただきました。その結果として、「ヤドンがようやくポケミクに出てきてうれしい」みたいにそれぞれのポケモンに対してファンの方が喜んでくださっている様子が見られたので、いっぱい描いてよかったなと思っています。
――すべてのポケモンにファンがいますし、フィーチャーされるとうれしくなりますよね。ほかにもこだわった部分があれば教えてください。
読谷
細かい部分ですが、ポケモンの世界には日本語や英語など我々の世界で使われている文字が存在しないと思うので、いま映像内で行われているのがどんなクイズなのか、パッと見ただけでわかるようにする意識はしました。
――言われてみれば、問題文はありませんでしたが、内容はすんなり理解できました。
読谷
ビジュアルクイズという形式を選んでいるのもそれが理由です。ほかにも1問目を簡単にして例題としての役割を担わせたり、1分28秒からのモンスターボールを数えるクイズでは、ミクに数える動作をしてもらいつつテトにモンスターボールの絵を持ってもらったりすることで、視覚的にわかりやすくなるように工夫しています。
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――なるほど。そういった部分にも注目して見直してみるとまた違った楽しみかたができそうです。歌詞がテレビ番組のテロップのように表示されていたのもおもしろい演出だなと感じました。
読谷
ありがとうございます! あ、あれはじつは事前に共有したものとは違うことをしていて。いまさらですが、サツキさん大丈夫でしたか……?
サツキ
もちろんですよ(笑)。たしか最初は定番の形のように下に表示される予定でしたもんね。
読谷
ええ。最初は終始下付けの予定だったのですが、よりクイズらしくて目立つ形にしたいなと思い立って、急遽変えたんです。
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サツキ
今回読谷さんに映像制作をお願いしたのは、僕の希望なんです。この楽曲はテトの生誕を祝うもので、ポケミクの重要な役割を担っているものでもあります。主役はあくまでもテトやミクとポケモンたちで、楽曲制作における僕らの最優先はその役割をまっとうすることでした。
MVに関しても、ポケミクというたくさんの方々に聴いていただける機会ですし、それに合わせてバズりを最優先するのであれば、最近流行りのフォーマットというものがあるわけですが、今回はそれとは違うものが作りたかったんです。もちろんそれらの作品を揶揄したり悪く言うわけではないのですが、今回自分がやるべきことかと言うとそんなことはないよなあと思ったので。
昨年はありがたいことに、想像もできないほどたくさんの人に聴いていただいたので、個人的に今年は「記録よりも記憶に残る」を裏テーマに活動をしていて(笑)。だからテト愛があって、自分にはない独特で多彩な発想を持たれている読谷さんにお願いしました。読谷さんの思うように作ってもらうのが僕の希望でもあったし、僕や読谷さんを含むチームの皆がこの作品にかけた思いを、作品を視聴してくれた皆さんにも届けられているといいなと思います。
――きっとその思いは多くの人に伝わっていると思います。実際、作品への反響をご覧になっていかがでしたか?
サツキ
投稿の1週間前くらいからかなり緊張していたのですが、本当にたくさんの反響をいただけて純粋に嬉しかったです。僕たちの気持ちを受け取ってもらえたんだなと思えるようなコメントもたくさん見られて、ありがたい限りです。楽曲に関してもふだんとはすこし異なる言葉選びで歌詞を書いたので不安もあったのですが、いろいろな方が歌詞から背景を想像して読み解いてくれているのを見てうれしく思っています。
読谷
制作中はとにかく死に物狂いでしたし、完成してから投稿されるまでもあっという間だったので、落ち着いて客観視するタイミングがほとんどありませんでした。サツキさんといっしょに制作ができることも、ポケミクに参加させていただけることも、自分にとってものすごくうれしいことであると同時に、プレッシャーも大きく感じていました。クイズもちゃんと楽しんでもらえるか不安だったりもしたのですが、実際に楽しんでもらえている様子を確認できてホッとしています。
――このインタビューを機に、またくり返し観て聴いて楽しんでいただきたいですね。それでは最後に読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
読谷
今回のMVは、ポケモンのように子どもから大人まで幅広く楽しめるように意識して制作しました。まずはシンプルに曲と映像を楽しんでいただき、そのあとに細部の小ネタを探すなどしていただける作りになっています。これまでの冒険の記憶をたどりながら、隅々まで楽しんでもらえるとうれしいです。
サツキ
まずは『ファサード・クエスチョン』をご視聴いただいた皆さん、ありがとうございました。今回のインタビューを機にというのもそうですが、以降も何度も観なおして聴きなおしてみると、また違った味を楽しんでいただけると思います。楽曲・映像ともに末永く愛していただければ幸いです。
ちなみに、僕自身ポケモンのSEやBGMをたくさん入れさせてもらっていますが、ギター担当のヒロモトヒライシンにも「好きなフレーズを入れていいよ」と伝えてあります。楽曲のどこかに隠れているはずです。公式サイトでインスト版も配信されていますので、ぜひ聴いて探してみてくださいね。
『ボルテッカー』から『チャンピオン』までのRemixを含む21曲を収録した、ポケミクのスペシャルなCDアルバムが全国のCDショップほかにて発売中!
※「ファサード・クエスチョン」は収録されていません。