スパイク・チュンソフトより2025年7月25日に発売される、Nintendo Switch、Nintendo Switch 2、PC(Steam)向けの新作アドベンチャーゲーム『伊達鍵は眠らない - From AI:ソムニウムファイル』 。
本作は、これまで2作品がリリースされてきたサスペンスアドベンチャー『AI:ソムニウムファイル』シリーズのスピンオフ(外伝的作品)。シリーズ第1作の主人公・伊達鍵とその相棒である眼球型AI"アイボゥ”のコンビがふたたび物語の中心となって、新たな事件に挑む。
現実世界で聞き込みや調査を行う“捜査パート”、重要参考人の夢の世界に入り捜査する“ソムニウムパート”というふたつのパートに加え、密室に仕掛けられたギミックを解いていく“脱出パート”が新たに登場。これらを突破しながら、物語を進めていくのだ。本記事では、そのレビューをお届けする。
ファンディスクであり入門編
シリーズのスピンオフである本作は、ナンバリングタイトルの前2作と比較すると、ボリュームや設定の複雑さ、難易度など全体的に軽めの作りになっている。本編は、セリフを自動送りするなどゆっくりめにプレイしていても、10数時間あれば正規のエンディングを迎えられるくらいの長さだ。
もっとも、"正規の”とわざわざつけたからには"正規ではない”、つまりアナザーエンドのようなものもあるわけで、そういったものを全部見つけたり、そのほかの収集要素や実績解除をすべてこなしていくと、ナンバリングタイトルほどではないがさらに長い時間楽しめるようになっている。
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主人公の座には伊達が返り咲いた。顔は2枚目中身は3枚目で、どんな役どころもこなしてしまうスーパーヒーローである。本作では、推理の鋭さや先輩捜査官としての器の大きさなども随所で発揮されており、伊達ファン大満足のストーリーになっている。
また、ディレクターも務めている新鋭スタッフ・山田和也氏らがシナリオ担当に入ったこともあってか、ギャグの守備範囲(カバーしている年代など)が広がっており、より伊達の魅力が増しているように感じた。おかげでアイボゥの舌鋒もより鋭さを増しているようで、ふたりのやり取りは見どころだらけである。
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そのほかの登場人物もほとんどが過去2作品から継続され、全体的に過去作をプレイしてきたファンでこそ楽しめるような構成になっている。一方で、新たに脱出ゲームの要素が追加されたのに加え、難易度を下げつつ、刃傷沙汰だったりクレイジーな要素の表現も控えめになっているなど、シリーズ初心者にもとっつきやすい調整も。言わば“ファンディスク”であり“入門編”でもある作品だと言える。
緻密に構成されたストーリー
ストーリーは一本道。選択によって思わぬ終わりを迎えてしまうことはあるが、本筋が分岐することはなく、初回のプレイで正規のエンディングまでたどり着ける。いきなりイリスがUFOにさらわれたとか、人類の存亡を懸けた脱出ゲームが行われるとか、トンデモな話が展開してプレイヤーを惑わせてくるが、今回もきちんと伏線は回収されていく。
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ひと通りクリアーして感じたのは、ストーリーは“起承転結”を忠実に守った構成になっていて、置かれている状況が非常にわかりやすいということ。また、前作『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』では“2=対を成すもの”がテーマとなっていたが、3作品目となる本作のテーマは“3”。3組の操作キャラクター(伊達、アイボゥ、イリスたち)、3つの舞台とパート(捜査パート、ソムニウムパート、脱出パート)など、さまざまな要素で“3”という数字が絡んでいる。
そしてそのことが、システムだけでなく事件の真相にも大いに関わってくる。完全なネタバレになるので詳しくどころか匂わせさえもできないのだが、“3”がとにかく重要なのだ。脱出パートといいストーリーといい、じつに緻密に計算された構成になっていると感心した。
なお、本作の時代設定は第1作『AI:ソムニウムファイル』の直後、第2作『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の6年前。シリーズをプレイしてきたファンは第2作の登場人物を知っているので、怪しい人物は誰と誰で……と推測しやすい。
ただ、本作では真相を当てることよりも、おなじみのキャラクターたちそれぞれに用意された“見せ場”を楽しむことがメインになっているようだ。伊達、アイボゥはもちろん、イリス、応太、猛馬にボス、龍木&タマ、そして○○○○……。『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』からのキャラクターもけっこう出てくるので、ファンとしては満足度が高かった。
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多彩なギミックの脱出パートとカジュアルになったソムニウムパート
目玉となる新パート“脱出パート”についても説明しよう。
『AI』の前2作でディレクターを務め、本作では監修を担当する打越鋼太郎氏が過去に手掛けた『ZERO ESCAPE』シリーズでもおなじみの、本格派の脱出ゲームが楽しめるパートだ。
入魂の新要素だけあって、もっともボリュームを割かれているだけでなく、作りもかなりていねい。全体的な難易度は控えめだが、パズルを解いたり、ロジックを考えたり、手掛かりを組み合わせたりと、さまざまなギミックが用意されている。とくに印象に残ったのは、ゲーム=仮想空間ならではの大掛かりなギミック。現実世界にはない大仕掛けばかりで、その意味でも新鮮だった。
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このパートでは、イリスが操作キャラクターとなる。イリスは、隙あらば何かネタを挟もうとしてくる伊達やアイボゥと違って、目の前の物事へのあらゆる反応がナチュラル。円熟コンビの伝統芸に浸ってしまった身には、この“味変”がかなりいいものに感じた。
演出面では、パートのクライマックスに“第3の選択肢”を考えさせる場面が挿入される形に。前作における“真相再現パート”を少し難しくしたようなもので、時間制限もある(難易度によってリミットは異なる)。難易度を下げれば答えに近いヒントをくれたりもするが、一度は自分の力で挑んでみてほしい。
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なお、脱出パートの謎解き自体はオーソドックスなものが多く、手堅い作りと言える。ただ脱出ゲームという遊びの特性上、脳内だけで考えるのはきびしい(図面をひっくり返したり、複数の手掛かりをまとめる必要がある)謎解きもあって、電車での移動中など短時間で遊びきるのは難しいかもしれない。
一方で、従来からある捜査パートとソムニウムパートは、ナンバリングタイトルと比べるとだいぶシンプルにまとめられている。これまで捜査パートに挿入されていた謎解き要素が、脱出パートに集約されているから、というのがその理由かもしれない。
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とくにソムニウムパートは、捜査可能なポイントの数が少なく、足踏みをさせられることが少なくなったという印象がある。過去作品では大長編のソムニウム世界が終盤に出てきていたが、本作では適度な長さにとどまっていて、何度もやり直しをしなくても突破可能だ。ただ個人的には、多少難易度が上がることになっても、もう少しネタ選択肢があったほうがよかった気はしている。
ボーナスコンテンツは“ノベルシナリオ”がイチオシ!
ボーナスコンテンツも充実している。とくによかったのは、作中に獲得できる“メダマ”と交換で解放できるノベルシナリオ。
ノベルシナリオはひとつひとつのボリュームがけっこうあって、しかも本編ではやや抑え目であったギャグ&下ネタ要素も大いに解放されている。イリスの母・瞳など、本編では出番にあまり恵まれていないキャラクターが活躍してくれているのもうれしい。なお、瞳は本編でも出てきて、伊達の行動次第では意外な一面を見せてくれたりもする。
あとはシリーズ作品でおなじみの“FILE”のデキがすばらしい。下ネタやオカルトネタもきっちり収録されている。本編ではだいぶクレイジー度が控えられているぶん、ここで回収する形になっているのだろうか。
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本作はゲーム自体はかなりシンプルで遊びやすく、初心者にもやさしい作りの一方で、ファンサービス的なテキストややり込み要素もふんだんに入っていて、幅広い層が楽しめるような作品になっている。
全体的なボリュームやシナリオの分岐、クレイジー成分など、シリーズファンには少し物足りない部分もあるかもしれないが、本作で「シリーズはこれからも続く」とわかったことで、次回作を待てばいいとわかったのは大きい。まだまだ続く夢の世界が楽しみだ。
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