新時代の幕開けを華々しく飾ったハード
プレイステーションは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)から発売された据え置き型ゲーム機。当時のゲーム業界はおもに任天堂、セガ、NECホームエレクトロニクスといったハードメーカーがしのぎを削る激戦をくり広げていた時代。そこへ天下のソニーがすごいマシンを引っ提げて乗り込んで来たのだから、ゲームファンが注目しないわけがなかった。
業界では新参者ではあったが、最初から異例とも言える注目を集めていたのを覚えている。セガサターンの発売(1994年11月22日)からわずか10日後の登場だったこともあり、どちらのハードを買うかで悩み抜いたユーザーも多かったのではないかな。
おそらくデモ用として作られたものだったと思うが、PSの発売前にティラノサウルスが動き回る映像が公開されたときは、筆者は家庭でこんなゲームができるわけがないと思ってしまったほどだった。
ローンチタイトルはいくつかあるが、なかでも『リッジレーサー』のインパクトはすさまじかった。アーケード版『リッジレーサー』はゲームでテクスチャーマッピングを施した最初期のゲームで、映像の美しさは折り紙付き。そんな最先端のゲームが登場から約1年で、プレイステーションで遊べてしまったのだからすごいやら、ありがたいやら。少々現実離れ気味ではあったが、ドリフトの爽快さはゲーム随一。いっさいスピードを落とさずにコーナーに飛び込んでドリフトで切り抜けるという荒業もかっこよかった。
以降、しばらくはナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)のレースゲームが、プレイステーションシリーズのローンチタイトルとして定番となっていった。
「いくぜ、100万台」をはじめ、耳に残るサウンドとキャッチコピーを使ったコマーシャルも話題を呼んだ。本体発売前の放送だったか、「1・2・3!」とくり返す、さまざまなパターンのCMもなかなか衝撃的。CMの冒頭にはプレイステーションのロゴとともに「ボン」だか「ビョン」だか、何とも言えない効果音が必ず組み込まれていたのもよく覚えている。
日本はもちろん世界でもヒットし、据え置き型ゲーム機としては初めて累計出荷台数が1億の大台を突破している。2000年7月7日には、性能はそのままに小型化・軽量化を施した新モデルの“PS one(ピーエスワン)”も発売された。