『萬手一体』は一度見たら忘れられない悪夢的ビジュアルながらデッキ構築ローグライクの魅力みっちり【BitSummit Drift】

by小林白菜

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『萬手一体』は一度見たら忘れられない悪夢的ビジュアルながらデッキ構築ローグライクの魅力みっちり【BitSummit Drift】
 2024年7月19日(金)~21日(日)の3日間、京都・みやこめっせで開催された“BitSummit Drift(ビットサミット ドリフト)。そのLightning Gamesブースにて、強烈なビジュアルで異彩を放っていたゲームが『萬手一体』(Out of Hands)でした。
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 本作は、ゲームデベロッパー・Game Riverに所属するZeyu Yang氏が開発中の“デッキ構築型ローグライク”の要素を取り入れたRPG。つまるところ『Slay the Spire』などと近いジャンルのゲームです。

 主人公は目が覚めると“体中すべてが手になっていた”男。本当の自分を取り戻すべく、悪夢のような世界をさまよいます。
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 敵と出会ったらバトル開始。画面右側に並んだ手札から任意のカードを使って戦いましょう。敵からの攻撃でダメージを受けて、こちらの“心臓”の数値がゼロになったらゲームオーバーです。

 プレイしてみて感心したのは、デッキ構築型ローグライクとして「しっかりおもしろい」ということ。ビジュアルの奇抜さだけのゲームではありません。
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 武器カードには単体に対する威力が高い“スチール定規”や、3人まとめて攻撃できる“黄色のコップ”、“青色のコップ”、複数回攻撃できる“万年筆”などがあり、これらを左右の手で掴んでから、敵めがけて放ちます。ターンごとにコストが“3つ”与えられ、カードの効果を使用するたびにひとつを消費するので、この制約下での最適な行動を見極めましょう。

 状況に対して適したカードが手札になければ、いったんあとで使いたいカードを左右どちらかの手に持っておいて、これにより“山札のカードを新たにもう1枚引く”ことができます。

 たとえば、敵本体の前に複数のザコ敵がいるのなら、“スチール定規”を左手にキープしておき、新たに引いた“青色のコップ”のカードを先に使ってザコ敵たちを殲滅。邪魔者が消えたところで、続けざまに本体を威力の高い“スチール定規”で叩く……! といったことが考えられます。
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 プレイを続けていると、武器カードの威力を増幅させる補助的なカードや、ザコが残っていても本体を後ろにいる叩ける遠距離攻撃用のカード、主人公自身を永続的に強化するアイテム(『Slay the Spire』でいう“レリック”)などのカードも加わって、考えうる戦術はより多彩なものになっていきました。

 新たなカードや敵キャラクターのビジュアルも、「そう来たか!」と目を見張る奇妙なものばかり。この点も、先の展開を見たくなるモチベーションになってくれそうです。
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 試遊してみて「この奇抜なビジュアルながらおもしろいゲームはどのようにして生まれたのか?」と気になったので、ブースに来ていた開発者のZeyu Yang氏にインタビューしてみました。

Zeyu Yang氏インタビュー

――この唯一無二のビジュアルは、どうやって思い付いたのでしょう?

Yang
 身も蓋もないのですが、実写を使ったのはビジュアルに割くコストを下げるためです。もともと変わったものが好きなので、実写をどう活かすか試行錯誤する中で強いインパクトが与えられる手応えのあった“人の感情をすべて手で表現する”というアイデアを思い付きました。

 最初はコンテストに参加するための小規模なデモ版として開発していたのですが、予想以上にいい感じになったので、製品版も同じコンセプトを引き継ぐことにしたんです。

――手以外に、顔を使った画像もありますが、すべてYangさんご本人なのですか?

Yang
 手や顔はすべて私です。ほかの方の顔を使うといろいろな問題が生じる可能性があるので、いっそすべて自分でまかなうことにしました。
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――敵キャラクターのビジュアルも“手”を用いたものが多くて印象的でした。BitSummitで体験できた箇所以降も、“手”で表現されたキャラクターのバリエーションは用意されているのでしょうか?

Yang
 敵は主人公が見ている“幻影”なんです。手で表現したものはもちろん、それ以外にも夢の中に出てくるような不思議なビジュアルの敵のバリエーションを用意しています。

――本作は『Slay the Spire』のような“デッキ構築型ローグライク”のゲームだと思います。このジャンルとしてのゲームバランスもかなりよい印象を受けたのですが、開発で大事にしていることはありますか?

Yang
 『萬手一体』にはカードゲームの要素がありますが、カードゲームとマップ探索とストーリーの融合が魅力のRPGだと思ってほしいです。これらすべてによってもたらされる体験が魅力的なものになることを大事に開発しています。

――最後に、このゲームは日本のどんな人たちにプレイしてほしいと考えていますか?

Yang
 まずはカードゲームが好きなプレイヤーさんです。あとはちょっと変わった雰囲気のホラーゲームが好きなプレイヤーさんですね。ただ、ホラーがメインというわけではなく、あくまで主人公が自分を見付けるために不思議な世界をさまようというのが本作の肝なので、ストーリーも含めて楽しんでほしいです。

――完成が楽しみです。ありがとうございました。
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