2024年9月6日に発売予定の『逆転検事1&2 御剣セレクション』は、かつてニンテンドーDS用ソフトとしてリリースされた2作品をフルHDグラフィックでリメイクしたもので、スマホアプリを除けばじつに15年振りの移植となる。そんな“ミッちゃん”ファン待望の本作を先駆けてプレイする機会を得たので、必見のシーンとともに、その進化のほどをお伝えしていこう。
『逆転検事』シリーズとは
“モダン”スタイルになった御剣の麗しい一挙手一投足を見よ!
ドット絵の“クラシック”か、新規イラストによる“モダン”かを、お好みで選べるのだ。サンプルとして御剣の歩く姿が表示されるのだが、アニメチックに滑らかに動くモダンな御剣は、まったく新しい生き物のようで、目が釘付けになってしまった。
また、御剣の立ち上がった前髪も繊細に描かれ、高さも出たからか、頭身が少し下がった印象も受けた。この絶妙なデフォルメ感により、かわいいイメージに寄ってしまうかと思ったけれど……。
実際に2作品をプレイしてみて、やっぱり御剣はかっこよかった。
顔が大きいというと語弊があるかもしれないが、そのぶん、引きの画面の中でもハッキリと表情の変化が見て取れる。余裕たっぷりに笑ったり、眉間にヒビを入れながら考えごとをしていたり……。絵柄としては新しさを感じつつも、「そうそう、こういう動きするよね!」と、私たちの知る御剣だと噛みしめることしきり。
モダン化されているのはほかのキャラクターも同じで、糸鋸刑事や、美雲ちゃんなどは動きも大きいし、表情もころころ変わって画面を賑やかに彩ってくれていた。
そんなふうに「モダンのアニメーションがすごい」と思うほど、その土台となったドット絵がいかにすごかったかを思い知らされる。モダンからクラシックに切り替えてみると、思った以上に遜色がないことに驚かされた。
また、大きなモニターでプレイしてみたことで、本当に細かな部分まで作られていたんだなと再認識。本作は背景もリファインされているので、その中にドット絵キャラクターがいると少し浮いた感じは出てしまうが、その陰影が存在感を強めている。ちなみに、ミニキャラクターの設定はオプションでいつでも変更できる。
背景といえば、より高精細になったことでこれまで見えなかった部分、読めなかった文字などがわかるようになったのがおもしろかった。
たとえば、検事局の御剣の部屋にティーセットが置かれていたのは知っていたが、その下の棚には紅茶の缶が並んでいたなんてまったく気づかなかった。紅茶の缶は銘柄ごとにキチッと積まれているけれど、棚がギュウギュウになるほど置かれてはいない。御剣の性格や美学が表れているように思えた。
また、本作では画面比率が変わったことで、背景の両サイドが描き足されているのだが、元からあったモノも加筆されている。オバちゃんこと大場カオルから贈られたお花は、よりゴージャスになり、胡蝶蘭のような品種だとわかる。今回増えたピンクの胡蝶蘭の花言葉を調べてみると、「あなたを愛しています」だそうで……。
現場で事件解決! テンポのいい捜査にのめり込む
『逆転検事』では、御剣はほんの数日のあいだにさまざまな事件に巻き込まれるのだが、天才検事だけあって、ことごとく現場でホシを挙げていく。また、それらのエピソードがしだいにつながっていく仕掛けもあり、ページを送る手が止まらなくなってしまう。
その積み重ねにより、少しずつ真相に迫りゆく高揚感がたまらない。ミステリーを解き進めるときの、急かされるようなあの感覚……。筆者は本作を一度クリアーしているし、あれから15年も経っているのにも関わらず没頭してしまった。
ここでは、何かを隠していそうな相手から情報を引き出すことが目的なのだが、さながら言葉の応酬、舌戦といった様相だ。相手が落ち着くまで様子を見たり、ポロリとこぼした言葉にすかさずツッコんだりという駆け引きが重要になる。また、制限時間があり、返答に時間をかけすぎてもいけないところも実際の会話のようで緊張感がある。
それが、美雲ちゃんの持つシミュレーター“ぬすみちゃん”。情報を入力すると、事件当時の様子がホログラフィーのように映し出されるというもので、状況の把握にとっても便利。フィールドを歩ける本作とも好相性のシステムだ。
あッ! お。お前は…… ぶち 上がるファンサービスがそこここに
ただ、もし『逆転検事』から『逆転』シリーズの世界に踏み入れたなら、「アイツは何者だったんだろう……」という謎を、『逆転裁判』シリーズをプレイして解き明かしてみてほしい。
便利機能で快適プレイ&言語チェンジでツウなプレイも!?
ちなみに、オリジナル版と新たに収録されたアレンジ版を比べてみたところ、オリジナル版は硬さのあるゲームらしい音に対し、アレンジ版は音数が増えてオシャレかつ、音の広がりが感じられた。だが、静かな場面では、筆者の耳にはオリジナルとアレンジの違いを聴きわけられないところもあった。それくらいオリジナル版が完成されていたということなのか、アレンジ版が寄り添っているのか……。ぜひプレイした際には聴き比べをしてみては。
同じくオプションの言語設定から、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、韓国語、繁体字、簡体字の7ヵ国語に切り替えられるようになっている。外国のお友だちに薦めてもよし、一度クリアーした人ならテキストや「異議あり!」などの音声を変えて違いを楽しむのもいいかもしれない。背景のポスターや、証拠品のテキストも選択した言語に変わるのも注目だ。
恒例のオーケストラ音源も! 充実のギャラリーコーナー
ミニキャラクターの正面、横、背後、そしてモーションを見られる鑑賞モードで、ずっと眺めていても飽きない。
ウエストアップのイラストがあるキャラクターは、そのパターンも網羅されている。ネタバレを避けるためココでは掲載できないが、犯人の通称・ブレイクモーションも何度でも再生できるので、各話をクリアーした暁には、こちらでじっくり鑑賞してみては。
それにしてもブレイクモーションって、ほぼ一瞬なのにめちゃくちゃ動きが詰め込まれていてスゴイ……。
とくにキャラ図鑑のイラスト、美雲ちゃんとイトノコ刑事が一緒にテレビを観ている絵がかわいらしい(イトノコ刑事の靴下は穴が開きまくっているけど……)。
まとめ
「すでにストーリーや犯人は知っているから、オリジナル版の初回プレイほど没入できないかも」なんて思っていた自分が恥ずかしい。ほぼ15年ぶりで細かい部分はいい具合に忘れていたり、1画面に集約され操作もしやすくなったことで、より集中できたのもよかったのかもしれない。
驚くべき展開にハッとさせられたのも1度や2度ではなかったし、御剣たちのいいセリフに、じーんと来たりもした。
やっぱり御剣検事はカッコイイのひと言に尽きる。
「え、『逆転裁判』シリーズならやったことあるけど、『逆転検事』はなかなか機会がなくて」という方や、「オーケストラコンサートで『検事』の楽曲が演奏されても知らなくて盛り上がれなかった」という方、「御剣は好きだけど、スピンオフってどうなの?」と思われている方……、まずは何はともあれ、本作をプレイしてみては。御剣のいろんな一面を見ることで、さらに彼の魅力に引き込まれるはずだ。
ちなみに、御剣が走ったり、後ろ手に囚われていたり、雨どいをつたって滑り降りたり、名刺交換をする姿が見られるのは『逆転検事』シリーズだけ(たぶん)!
製品情報
- タイトル:『逆転検事1&2 御剣セレクション』
- 発売日:2024年9月6日(金)発売予定
- プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、Windows、Steam(※Xbox One、PCはダウンロード専売)
- ジャンル:アドベンチャー
- プレイ人数:ひとり
- レーティング:CERO 12才以上対象
- 対応言語:日本語、英語、フランス語、ドイツ語、韓国語、繁体字、簡体字