マルチプレイ
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回

後輩F「じゃあこれお願いします」
 そういってFが俺に渡したのは、発売したての『アサシン クリード リベレーション』だった。
俺「わーい」
後輩F「わかってると思いますが、マルチプレイメインですよ」
 けっきょく『ブラザーフッド』のストーリーモードを遊ぶ暇もなく、オンラインモードに明け暮れた俺に、『リベレーション』のストーリーモードを遊ぶ気はなかった。どうせ遊ぶならちゃんとシリーズを追って遊びたい。
後輩F「まだ続きますから、しっかり遊んでくださいね」
 いくら連載とはいえ、こうも執拗にストーリーモードをやらせないのには何か理由があるのではなかろうか? この男は、俺を第一級オンラインアサシンに仕立て上げたいのだろうか? ひょっとしてコイツ……。
俺「お前、ナントカ騎士団の手の者か!」
後輩F「“テンプル”です。年末で忙しいでしょうけど、お願いしますよ」
俺「お察しの通り、年末進行で忙しくてさ。ひと眠りしてからでいいかな?」
後輩F「締切○日後ですけど、大丈夫なら」
 思わず心の中で□ボタン(プレイステーション3版)を押したくなる。

※ ※ ※ ※ ※ ※

 ということで、ようやく『リベレーション』編に突入です。

さっそく遊んでみて、まず最初に思ったのは、「対戦相手がいっぱいいる!」でした。マッチングの速度が、『ブラザーフッド』のときとは段違いです。

 まあ考えてみれば当然でして、『ブラザーフッド』が出たのは2010年ですから、オンラインで遊んでいる人数も全盛期よりは減っているわけです。発売したての『リベレーション』と比べるのは無理な話。ただ、逆に考えれば時間は多少かかるものの、いまでもちゃんとマッチングされる『ブラザーフッド』もスゴイ。それほど遊び続けてしまう魅力が、オンラインモードにあるという証拠かもしれません。ちなみに、あとで後輩Fから聞いた話ですが、『リベレーション』では、『ブラザーフッド』をプレイしていたユーザーの要望が反映され、マッチングしやすいように調整されたみたいです。

 そんなこんなで、今回は個人戦用に新たに追加されたモード、“デスマッチ”にチャレンジ。じつは、事前にあまり下調べをしていなかったため、どんなルールかわからないまま対戦に突入してしまいました。
 始まって表示される情報からすると、どうやら自分は誰かに追われていて、同時に誰かを暗殺するのが目的のようです。つまり、基本は1回目で紹介した“ウォンテッド”と変わりません。しかし、すぐにある違和感を感じます。いつもあるはずのモノがない。慌ててマニュアルを見つつ、いろんなボタンを押してみます。でもない。コンパスがない。

 これまで、いくつか『ブラザーフッド』でオンラインモードを遊んできた俺には、それは大変なことでした。だってコンパスがないんですよ。暗殺対象がどこにいるのか、まったくわからないんですよ。しかもマップは、地形すらろくに把握していない新マップ。お小遣いを握りしめて田舎から渋谷にやってきた少年が、センター街(現・バスケ通り)に迷い込んだ気分ですよ。

 こうなると、とたんに疑心暗鬼です。周囲の奴らが、みんな自分を狙ってくるように思えてくる。取り急ぎ街をブラブラ歩いている集団に紛れて、「俺超地元民だし」って顔でその辺を歩いてみます。しばらく襲われることもなく歩いていると、いくつかのことに気が付きます。

 まずマップが狭い。印象では“ウォンテッド”などのマップの半分ぐらい。なので、ちょっと歩くとすぐ1周してしまいます。
 つぎにNPCの住民に、やけに同じ顔が多い。これもある意味センター街っぽいですが、これだと同じフェイスのプレイヤーは隠れ放題です。が、ここで周囲をよく観察し、ある事実に気がつきます。自分と同じ顔のNPCがいない。
 これはどーゆーことかなーと頭をひねらせていると、正面からやはりほかに見たことのない、顔色の悪いおっさん顔のキャラクターが近づいてきます。同時に、どこからかささやき声のような音も聞こえます。あれひょっとして、と思うやいなやグッサリ。

 ゆっくり倒れゆく自キャラ(ハゲオヤジフェイス)を眺めていると、まるで走馬灯のようにこれまでの情報が頭を巡っていきます。そして点が線になりました。つまりこのモード、自分の目でターゲットを探すんだ、と。
 直にそのルールを感じたとき、ちょっとゾクッとしました。周囲への警戒度の緊張感が、これまでのモードと段違いです。

 たとえば、同じ顔のNPCがいる集団に紛れて歩くといった戦法が、このモードでは基本的に通じません。かといって、派手に動き回るのは目立ちすぎるので危険。ときに身を潜め、ときに激しく移動するといった、緩急のある行動が求められます。
 敵を見付けたからといって安心はできません。近付くにしても、ただ近付いていったんじゃ反撃を食らう可能性が高い。遠距離武器を使ったり、ロックオンしていったん距離を置くといった戦術が求められます。

 守るも攻めるも、ピリピリした緊張感があります。しかもマップが狭いので、鉢合わせになる可能性もけっこう高い。とりあえず自分は、キャラクターの顔がハッキリ認識できるぐらいテレビに近づくと、適当なわら山の中に潜り込みました。ヘタレと思うなら呼べばいい。これがセンター街で学んだ俺の護身術だ!

 ちなみにこのわら山引きこもり作戦、体感的にはそこそこ有効で、倒される回数はかなり減ります。ただ、問題は誰も暗殺できません。

 さすがにそれじゃらちが明かないので、ターゲットを見つけたらわら山から出て、暗殺を仕掛けるという、ちょっとだけ引きこもり脱出作戦に切り替えます。しばらくすると、俺のターゲットであるバンダナおばちゃん(仮称)の顔が見えました。
 ころ合いを見てわら山から出て、そっと後方から近づきます。が、あと少しというところでバレてしまい、走り出すバンダナおばちゃん! 追うハゲオヤジ! そしてオヤジにすがりつくセクシーお姉さん! ……え? はい殺られましたー。

 こんな感じで、混戦模様になることが“デスマッチ”では多い気がします。マップの狭さや、暗殺するときに目立つ動きになりがちなのが、その理由ではないかと。“デスマッチ”とはまさに言い得て妙ですな。

 個人的な感触ですが、いまオンラインで活発なルールのひとつが、この“デスマッチ”モードに思えます。『ブラザーフッド』にはなかった、この緊張感のあるルールは、確かに一度遊ぶと、妙にクセになる楽しさがありました。ぜひお試しください。

※ ※ ※ ※ ※ ※

俺「『ブラザーフッド』で、これ以上新しいルール作り出せるのかなーと思ったけど、まだあったね!」
後輩F「何よりです」
俺「とりあえずしばらく“デスマッチ”メインで、レベルを上げていこうかなーとね」
後輩F「いやいや、どんどんほかのルールも遊んでくださいよ」
俺「でもつぎの締切まで、1週間あるでしょ?」
後輩F「年末ですからね。いろいろ進行早いんで、つぎは○日後にお願いします」
 思わず心の中でR1と×ボタン(プレイステーション3版)を押したくなる。

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 次回(2011年12月15日更新予定)も『リベレーション』マルチプレイの、新モードを紹介する予定! とりあえずがんばってレベル上げておきます!

●今週の一枚

▲わら山引きこもり作戦は、待ち伏せに有効。ただし、あまり使いすぎるとわら山自体が警戒され始め、襲われる危険性もある。
外見を選択
まずはプレイヤーの外見を選択。フィールドでは同じ姿をした人物の近くにいれば、敵に見付かりづらくなる。
対象に接近
画面中央に表示されているコンパスをよく見て、ターゲットとなる敵を捕捉。群衆に紛れて暗殺対象に接近しよう。
敵を暗殺
ターゲットを暗殺すれば、ポイントを獲得。ゲーム終了時にもっとも多くのポイントを得たプレイヤーが勝利。
個人用モード
●ウォンテッド
追っ手から逃れつつ、指定されたターゲットを暗殺
●デスマッチ
コンパスが制限され、プレイヤーと同じAIキャラが出現しないウォンテッド
●アサシネーション
プレイヤー全員がターゲットで追っ手となるモード
●秘宝強奪
マップ上に置かれている秘宝を奪い合うモード
●感染
感染者がほかのプレイヤーを倒すと感染者を増やせる。ほかのプレイヤーは感染者から逃れる
チーム用モード
●マンハント
攻撃ラウンドでは敵チームを倒し、防御ラウンドでは敵チームから逃れる
●キャッチ・ザ・フラッグ
お互いの陣地にあるフラッグを奪い合うモード
●宝箱争奪戦
攻撃ラウンドでは宝箱を奪い、防御ラウンドでは宝箱を護衛
●エスコート
攻撃ラウンドではVIPを倒し、防御ラウンドではVIPを護衛
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※画面は開発中のものです。
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