フロム・ソフトウェアより2022年2月25日発売予定の『ELDEN RING』(エルデンリング)。本作は『DARK SOULS』(ダークソウル)シリーズなどを手掛けたフロム・ソフトウェアが満を持して放つ完全新作だ。ディレクターを務めるのは、『ダークソウル』シリーズだけでなく『Demon's Soul』や『Bloodborne』、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』など、アクションRPGの新たな地平線を切り拓いてきた宮崎英高氏だ。
『エルデンリング』では、プレイヤーは“褪せ人”となり、広大なフィールドを舞台に探索や戦闘などをくり広げながら冒険していくことになる。本記事では、そんな冒険の舞台となる“狭間の地”について解説しよう。
重層的に語られる物語
『エルデンリング』はいわゆるハイ・ファンタジー作品となるが、その世界観の構築に重要な役割を果たした人物がいる。それが、世界的なファンタジー・SF作家であるジョージ・R・R・マーティン氏だ。
アメリカを代表する日刊紙『ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)』ベストセラーリストのトップになったこともある『氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)』シリーズや『タフの方舟(Tuf Voyaging)』、『ダンクとエッグの物語(Tales of Dunk and Egg)』などを執筆。ヒューゴー賞やネビュラ賞といった権威ある賞も受賞し、『氷と炎の歌』を原案とするテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』では製作総指揮と脚本を務めたマーティン氏は、本作のために神話を書き下ろした。それはゲームで描かれる時代の遥か昔を描いた、文字通りの“神話”である。
この神話をベースに、フロム・ソフトウェアは本作の物語を構築した。積み重ねられた血筋が生む史劇と、個性的な登場人物たちのさまざまな思惑が多層的に絡み合うマーティン氏らしい神話を元に、宮崎氏の作品らしく断片的に語られる物語をプレイヤー自身が集約して理解するという語り口が、本作の重層的な群像劇が紡いでいく。
“狭間の地”でくり広げられる神話
“狭間の地”は、本作の根幹となる舞台だ。
神にも近い存在である“永遠の女王”マリカを主君とするこの地は“黄金樹”に祝福されており、マリカの血を受けながら、とくに強い祝福を持つ“デミゴッド”と呼ばれる英雄たちによって狭間の地は治めてられていた。しかしあるとき、狭間の地から祝福を失った人々が現れる。
祝福された者のすべてが、その瞳に黄金の光を宿している。しかし、祝福を失った者たちは目から光が消えていた。その目を通して映る狭間の地は、色褪せた世界だ。いつしか祝福を失った者は“褪せ人”と呼ばれ、狭間の地から追放されてしまう。
褪せ人よ、王となれ
物語の主人公であり、プレイヤーが操作するのは、狭間の地を追放された褪せ人の子孫だ。あるとき、黄金樹の祝福の根源たる“エルデンリング”が砕けてしまう。“エルデンリング”の破片である大ルーンを手にしたデミゴッドたちはその力に狂い、“破砕戦争”を引き起こす。誰もが王を目指して殺し合ったが、ついには誰も勝たなかった。そして、世界は壊れてしまった。
やがて狭間の地の外にいた褪せ人のもとに、かつて失くした祝福への導きがもたらされる。謎の啓示は褪せ人を狭間の地へと再び誘う。そして、その啓示は主人公をエルデンリングへと導き、「王となれ」と囁くのだ。
誰が何のために“エルデンリング”を砕いたのか。そして、誰が王となるのか。主人公が王を目指す道中には、デミゴッドたちが立ち塞がる。
『エルデンリング』で描かれるのは、かつての英雄を倒し、数多の困難を乗り越えながら王を目指すという、王道の“英雄譚”である。