千里の棋譜 ~現代将棋ミステリー~(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
ゲームシステムや物語展開、演出などはクラシカルなテキストアドベンチャー。将棋にちなんだストーリーと謎解きがありながら、将棋に詳しくない人でも楽しめるように配慮されている点が、地味にすごい。各エピソードの合間に登場人物や目的を確認できるなど、全体的に親切な設計。物語の細かい分岐やゲームオーバーを楽しむタイプというよりは、1本の将棋ミステリーを読み解いていくプレイ感です。
週刊ファミ通1629号より
将棋を題材にしたミステリーが興味をそそるし、実在の棋士が登場するのは、将棋界のファンにはうれしいポイント。アドベンチャーのシステムとしては昔ながらの作りだが、ストーリーがなかなか熱くて引き込まれる。用語の解説が丁寧なうえ、時として出てくる詰将棋のパートは自分で解く以外に、おまかせでやってもらうかを選べるなど、将棋に詳しくない人でも問題なく遊べる親切設計がありがたい。
週刊ファミ通1629号より
負ける悔しさ、勝つ苦しさ。凡人も天才も等しく描く人間ドラマが胸に迫ります。きれいごとでは済まない心の闇を描きつつ、性善説を連想させる人物描写が魅力的。都合のいい展開や統一感に欠ける立ち絵などの粗も気になるけど、第一部から第二部まで一気に進めてしまうパワーがあります。詰め将棋をパズル、対局をバトルとして扱う演出はアイデアもの。将棋の歴史への独自研究的視点も興味深い。
週刊ファミ通1629号より
“真剣師”という将棋史の陰の部分にスポットを当てたストーリーは興味深く、歴史的証拠との邂逅シーンはワクワクします。とは言え、主人公に問い詰められた人物が押し黙る展開が多かったり、不確定要素が多い推理前提で物語が順調に進むなど、物語世界への没入感を阻害する点が目立ちました。将棋のルール講座や詰将棋モードは対話形式で進行。門外漢も、将棋の基本をちゃんと覚えられるはずです。
週刊ファミ通1629号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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