Dear My Abyss(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
価格に比してテキスト量が多く、なかなか読み応えのあるサウンドノベル。クトゥルフ神話を題材としているが、現実世界が徐々に浸食されていく様子と、登場人物たちの心理描写の細かさによって、不安がだんだん高まる構成がうまい。ただ、ここぞという盛り上がりに欠ける印象も。クトゥルフ神話を知っていると、思わずニヤリとする場面も多いのだが、知識がないと存分に楽しむのは難しいかな。
週刊ファミ通1527号より
クトゥルフ神話を題材として扱ったオカルトもののシナリオは、ホラーというほどの怖さはないが、得体の知れない何かがにじり寄ってくるような不気味さがよく表現されている。登場人物たちの心情の描写も丁寧。冒頭で、視点が頻繁に変わってわかりにくいなどといった部分はあるけれど、先が気になる展開に、次第に引き込まれてしまう。この価格ながらこのボリューム感というのもうれしいポイント。
週刊ファミ通1527号より
演出は最小限にとどめられ、ひたすら文字を読み進めるシンプルな作品ですが、気がつくと時間を忘れてのめり込んでいました。選択肢は少ないものの、どれも選ばなかったほうの展開が気になるものばかり。夢と現実の境界が薄れゆく中、じわじわと異変に飲み込まれていく不気味さと、ヒロインがさらけ出す内面の生々しさに打ちのめされます。謎のままの謎が多い点には、若干の虚脱感も覚えました。
週刊ファミ通1527号より
選択肢は厳選され、分岐も多くなく、アドベンチャーというよりはノベルゲーム寄りの作り。学園サスペンスをベースに、隠し味として百合、退魔、ファンタジーなどの要素が散りばめられている物語、という印象。同じエピソードを、主人公を変えて別視点で追体験できる構成で、物語に一定の深みはある。主要な登場人物の多くが定番的な個性づけで、物語として読みやすい反面、展開での驚きは少なめ。
週刊ファミ通1527号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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