『ウマ娘』メインストーリー第2部中編“盛夏の星、晩秋の華”をプレイバック! 未来につながっていくラインクラフトやシーザリオの想い
 2025年2月24日でゲーム配信開始から4周年を迎えた、サイゲームスの人気コンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)。6月には新育成シナリオ“無人島へようこそ -DESIGN YOUR ISLAND-”が実装されたり、放送中のテレビアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』が2025年4月の放送開始から6月の第1クール終了まで毎週のようにSNSで話題になったりと、多くのトレーナーを楽しませてくれています。

 そんなゲーム『ウマ娘』では、メインストーリー第2部後編“種を貴方に、希望は巡る”がいよいよ2025年7月22日より公開に! ラインクラフトやシーザリオら、チーム<アスケラ>のウマ娘たちの物語もクライマックスへと向かいます。

 そこで本記事では、後編に続くメインストーリー第2部中編“盛夏の星、晩秋の華”のシナリオをプレイバック。ぜひ、この機会にお付き合いください。なお、
本記事には同ストーリーの重大なネタバレが含まれますので、ご注意ください。
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中編の前に、まずは前編を振り返って

 まずはメインストーリー第2部前編“ヒカリ射し、芽吹くとき!”の要点もおさらいしていきましょう。

  • 物語の主役となるのはチーム<アスケラ>
  • チーム<アスケラ>の大黒柱は、トレーナーとキングヘイロー(声:佐伯伊織)
  • チーム<アスケラ>に、ラインクラフト(声:小島菜々恵)とシーザリオ(声:佐藤榛夏)が加入
  • エアメサイア(声:根本優奈)やデアリングハート(声:希水しお)など強力なライバルたちも台頭
  • ティアラ路線のウマ娘たちは桜花賞で激突し、栄冠はラインクラフトに!
  • ラインクラフトはNHKマイルカップへ出走し、変則二冠を達成

 ……ということで、
チーム<アスケラ>の快進撃はキングヘイローの努力が実るところから始まります。キングヘイローといえば、一流のウマ娘を自称しながらも黄金世代のウマ娘たちにひたすら辛酸をなめさせられ続けていた苦労人。『ウマ娘』を愛するファンの中で“血筋も顔も性格も面倒見もすべてがよくて、悪いのは諦めだけ”と評されがちな彼女とトレーナーというへっぽこコンビの歩みが読める点も前編の醍醐味でした。
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 そんなチーム<アスケラ>に期待の新星として入ってきたのが
ラインクラフト&シーザリオです。ふたりが目指すトリプルティアラ路線(桜花賞、オークス、秋華賞)は、この時点ではクラシック三冠路線(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)よりもレースとしての注目度は落ちると言われていましたが、ふたりはそんなことは意に介しません。

 同世代のティアラ路線には
エアメサイアやデアリングハートといった将来有望なウマ娘たちがいて、彼女たちの本気の決戦の場となったのが桜花賞です。同じチームに所属しながら互いに夢を譲れないラインクラフト&シーザリオ――そして、ふたりの板挟みになるトレーナー。それぞれの思惑が交差し、意地と意地がぶつかり合う激闘の果てに桜の栄冠はラインクラフトに輝きました

 余談ですが、ティアラ路線のウイニングライブの曲といえば、
『彩 Phantasia』。言わずと知れた名曲ですが、前編の時点ではラインクラフトやシーザリオといったキャラクターの歌唱はゲーム内に入っていませんでした。現在はしっかり歌唱メンバーに入っているので、まだ彼女たちの歌唱を聴いたことがないという方はぜひ一度チェックを……!

 さて、話を桜花賞の後に戻します。桜花賞の後はオークスへ進むのが常道とされていましたが、
トレーナーはラインクラフトの距離適性を考え、オークスを回避してNHKマイルカップへ進む道を提示します。ラインクラフトもシーザリオとお互いの想いをぶつけ合うことでトリプルティアラの夢に区切りをつけてNHKマイルカップに臨み、デアリングハートらを退けて見事に変則二冠に輝きました
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第1話~第3話 オークスで夢を競ったシーザリオとエアメサイア

 ここからが中編の物語。テレビ番組に出演したラインクラフトとトレーナーはこれまでの蹄跡を振り返りつつ、オークスを制覇する夢を親友であるシーザリオに託すことを宣言します。シーザリオもラインクラフトに託された想いの強さを肌で感じていました。

 そんな矢先、
シーザリオはエアメサイアからオークスと同じ条件の練習試合を挑まれ、土をつけられることに……。己の慢心とライバルの実力と執念を目の当たりにし、シーザリオは悩みます。そんな折、彼女はふらりと立ち寄った教会で天皇賞(秋)を連覇したウマ娘・シンボリクリスエスと出会います。モチーフとなった競走馬のシーザリオ、シンボリクリスエスの配合実績を知っているとニンヤリしてしまうシーンですね。
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 いよいよ
オークス当日。かつて2着に敗れた母の無念を晴らそうとエアメサイアは闘志を燃やしていました。しかし、シンボリクリスエスという最高の練習パートナーを得ていたシーザリオにもはや迷いはありません。レースが始まるや否や、ほかのウマ娘たちに囲まれて内側に閉じ込められますが、それでも自分の脚を信じて強烈な末脚でスパート。シーザリオは見事にオークスを制し、樫の女王を戴冠します

 ここまでやっても母の代からの呪縛が解けないのかと悔しさに打ちひしがれるエアメサイアに、シーザリオは
「貴方は……“貴方たち”は強かった。その強さが――私を目覚めさせてくれた」と声をかけます。同志であるラインクラフトとの約束を無事に果たした彼女の顔は晴れやかでした。
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第4話~第6話 シーザリオは自分だけの道を模索してアメリカへ

 祝賀パーティーの席でラインクラフトは秋華賞を勝つことで“変則三冠”を目指すという夢を語ります。ウオッカ(この時点ではまだデビュー前)もその見果てぬ夢に興奮を隠せません。一方、シーザリオはラインクラフトとは違う自分だけの道をどこに見出せばいいのかと悩んでいました。「自分だけの道を残したい」という強い想いを抱く彼女に、トレーナーはアメリカの西海岸で開催されるGIレース“アメリカンオークス”の招待状を見せます。

 未だにアメリカのGIレースを制覇した日本のウマ娘はおらず、国内最強と名高いウマ娘が前年に負けているということは作中でも語られていました。しかし、そんな未踏の領域であってもシーザリオは怯みません。
スイープトウショウがティアラ路線出身のウマ娘としては39年ぶりに宝塚記念を勝利するという偉業を達成したことにも触発され、アメリカンオークス挑戦の決意を固めます。

 トレーナーよりひと足早くロサンゼルスに到着したシーザリオとキングヘイロー。キングヘイローは、慣れない海外でポンコツお嬢様っぷりを発揮しながらも、
シーザリオを支えようと献身的にサポート。その過程でキングヘイローは、かつて日本ダービーに出走したときにトレーナーが抱いていたであろうプレッシャーや、母親が自分をレースに出走させることに反対していたときの心情を察します。

 国際電話でトレーナーに不安を吐露して頼ろうとする場面にも、へっぽこコンビの絆や成長がありありとにじんでいます……尊い……。
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 なお、このときトレーナーは日本に残り、
前年に“天才”トレーナーとともにアメリカンオークスに挑みながらも惜敗したウマ娘の記録を辿るなど、入念に準備を進めていました。出国便の遅れが響いて、トレーナーの現地到着はレース出走直前となりましたが、どうにか万全の体制でアメリカンオークスに挑戦できることに(ここで安堵の表情を覗かせながらも怒るキングヘイローがまたかわいいんですよ……)。

 トレーナーを介してシリウスシンボリやシーキングザパールなど、海外に目を向けていた先駆者たるウマ娘からも激励を受けつつ、
「ペースがゆっくりでも慌てなくていい」という過去の記録をもとにしたアドバイスを胸に刻み、いよいよシーザリオ出走のとき。

 事前に想定されていたようにレースはスローペースとなり、シーザリオは中盤から先頭に立つことに……。しかし、彼女は慌てることなく、自分の脚を信じて走り続けます。先駆者たるウマ娘たちの蹄跡を感じ、同志であるラインクラフトの背中を心の中に捉えながら、大河の流れを追うように駆け抜けて――なんと
レコード勝利をもって、シーザリオは日米オークス制覇を成し遂げました

 これはもちろん、これまでにない大記録。レース後のインタビューで「あなたのようなウマ娘がなぜ二走前に勝てなかったのか?」と聞かれたシーザリオがラインクラフトの名前を出したり、三着となったウマ娘が日本に行くことに興味を持ったりといった一幕もありましたが、これはモチーフとなった
2005年のアメリカンオークスを詳しくご存知の方にとって「おや……?」となる場面かもしれません(知らない方は検索してみるとおもしろいかと)。
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 ちなみに、コースとなっているサンタアニタパークは
第2R“アメリカンオークスの夢”を選択することで、育成ウマ娘を自由に走らせることが可能です。現時点でサンタアニタパークを走れるのはここだけなので、ぜひ一度は推しウマ娘がアメリカを走るところを見てほしいところ! 発走音やレースリザルトの発表もアメリカンオークス仕様で見どころたっぷりです。
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第7話~第11話 秋華賞のあとに残った救済と絶望

 日本に帰ってきてから、ティアラ路線のウマ娘は夏合宿へ。唐突に浜辺で始まったダンス大会はデアリングハートの独壇場かと思いきや、審査員(トレーナー)を尻に敷くキングヘイローの乱入によって熾烈な加点合戦に……。

 夜のバーベキューでは互いの未来についても語り合い、ラインクラフトやエアメサイア、デアリングハートは秋華賞に向けての想いを語ります。一方、シーザリオは引き続きアメリカのレースに出走するという展望を語りますが、そんな矢先、彼女の右脚を痛みが襲います。
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 ――それは重度の靭帯炎。完治を約束できないというウマ娘としては最悪の宣告を受けたシーザリオでしたが、その胸中は驚くほどに凪いでいました。彼女はムリにケガから復帰することを目指さず、むしろケガをきっかけとして後進を育成する道に携わりたいという夢を語ります。それに対してトレーナーも「一番叶えたい夢を、叶えてほしい」とその背中をそっと押しました。
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 こうして、シーザリオは地方の小さなウマ娘スクールで子どもたちの面倒を見ながら復学を視野に入れて療養することに。
トリプルティアラを夢見て競い合ったふたりの物語は終わり、変則三冠という重い夢がラインクラフトに託されました
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 一方、エアメサイアは桜花賞、オークスでの敗北を噛みしめながら、エアシャカールと猛特訓を続けます。「今度こそ」と母に悲願達成を誓うのですが、
母はエアメサイアという名に“復讐”ではなく“救済”という想いが託されていると語ります。そして、彼女に血の呪縛から自分自身を救ってほしいと送りだしました。オークスでシーザリオにかけられた言葉を思い出し、誰かのためではなく、ただ栄光のためだけに走る。それがエアメサイアの選んだ道でした。彼女は前哨戦で見事にラインクラフトを下します。

 じつはこのときのクラシック路線では、
無敗で皐月賞と日本ダービーを勝った英雄のようなウマ娘が話題に。そちらの三冠達成に合わせて、ラインクラフトが秋華賞を勝って“変則三冠”を取れば歴史に残る年になると注目を集めていました。しかし、このことがプレッシャーとなり、ラインクラフトはメンタル面でも次第に追い込まれていきます。もちろん、シーザリオの不在も響きました

 そして、秋華賞本番。デアリングハートは失速。エアメサイアとラインクラフトとの熾烈なデッドヒートとなりましたが、最後に勝利したのはエアメサイア。彼女は自分の救済のために走ったことでついにGI勝利という悲願を達成することになります。
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 このときの心境は
エアメサイアのキャラクターソング『十帰りの花』でもしっかりと歌われています。名曲揃いの『ウマ娘』のキャラクターソングですが、この『十帰りの花』は珠玉のバラード。ここからは筆者の個人的な印象語りで恐縮ですが、何がすごいってまずはタイトル。秋口に季節外れに咲く花を“帰り花”というため、これはまさに秋華賞での勝利と重ねて見ないほうが難しいぐらい。

 また、“とかえり”というのは10回くり返すことで、100年に一度咲くという伝説があることから松の花の別名としても使われる単語です。親子の悲願になるほど長く咲かず、季節外れの秋になってようやく咲いた救済の花――そう考えると、エモーショナルにもほどがありますよね……。

 切なく呪縛を思い出すような歌い出しから始まりながらも、自分のために咲かせた“繋いだ一冠”を誇りに思い、そして生んでくれた“貴女”への想いを綴るという歌詞も眺めているだけでグッと来ます。

 心にスッと入ってきて染みわたっていくような穏やかだけれどもポジティブな曲調と、エアメサイア役の根本さんの素敵な歌唱が合わさって、さらなる説得力が生まれているというのもこの曲の見事なポイント。未聴の方はぜひともメインストーリーと合わせて堪能してほしいです。

 ……話を秋華賞に戻しますが、歓喜に涙するエアメサイアとは対照的に
ラインクラフトは絶望の淵にいました。「もし、変則三冠を取れていたらティアラ路線の人気ももっと出たのに」と考えて走り続けるも勝ちきることができません。状態は日に日に悪くなっていきます。ついに彼女は歴史的な偉業を果たせずに消えかけているような錯覚を覚えるようになりました。
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 第3R“閉ざされた光”は、そんなラインクラフトの絶望を体現するかのようなレース。本レース限定のスキル“匣の抑圧”によるマイナス効果がとてつもなく大きいため、しっかり育成したウマ娘でも沈んでいく感覚を味わえます(負けても先に進みます)。勝利すること自体は不可能ではありませんが、かなり入念に準備をしないと難しいかと。

第12話~第13話 絶望に沈んでいくラインクラフトがつかんだ光

 夢の中でラインクラフトが聞いたのは「運命は――変えられない」という言葉。次第に彼女は現実と夢との境目すらわからなくなっていきます。彼女はこのまま何も残せずに消えるのが当たり前だということまで口にしていました。

 しかしトレーナーは、
「たとえ本人が諦めても、誰かが諦めなければ夢は叶うのだから、10年後もラインクラフトを忘れさせない」と説得します。これはまさにどれだけ勝てなくてもキングヘイローとともに必死にもがき続けて勝利に辿り着いた経験あっての言葉。その真摯な言葉に、ラインクラフトはシーザリオとともに高松宮記念の走りに感動した日のことを思い出します。
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 約3ヵ月の休養を挟み、思い出深い
高松宮記念でラインクラフトは2着に食い込みます。そして、ヴィクトリアマイルの前哨戦となる阪神ウマ娘Sではデアリングハートやエアメサイアといったライバルたちに勝利し、見事な復活を果たしました。キングヘイローとともに勝利を分かち合い、拍手を送るライバルたち。
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そして、彼女の走りに憧れ、その魂を受け継ごうとするウマ娘もいました。そのひとりが
フサイチパンドラでした。

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フサイチパンドラ(声:佳原萌枝)。天才を自称しながらも、桜花賞では着外に甘んじてウイニングライブで悔しそうにバックダンサーの役目をこなすフサイチパンドラ。モチーフとなった競走馬のことを考えると、カワカミプリンセスやアーモンドアイとのドラマが描かれる可能性が高そうですが……?
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 ここからは筆者の個人的な感想となりますが、『ウマ娘』の魅力はモチーフとなった競走馬の辿った蹄跡を――つまり、
運命を大切にしていることにあると思います。数あるアニメでもレースの結果はもちろん、レース運びまで含めてモチーフとなった競走馬たちやそのレースの蹄跡を追うように表現されています。

 一方で『ウマ娘』では、
違った運命が描かれることもゼロではありません。たとえば、そのひとりがアストンマーチャン。ウマ娘のアストンマーチャンは人々の記憶に残ろうと奔走するものの、彼女は春先を境に人々の記憶から次第に消えていくという現象に襲われてしまいます。これはモチーフとなった競走馬の蹄跡を考えればしかたがありません。けれども、ゲームではトレーナーという存在がいたこともあって、彼女は新たな運命をつかむことができます(何度読んでも泣きます……)。

 そして、こういったウマ娘はアストンマーチャンだけではありません。サイレンススズカやライスシャワー、ケイエスミラクルといったウマ娘も走り続ける未来がありますし、筆者が印象に残っているところではアヤベさん(アドマイヤベガ)もそう。

 アニメ
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』を観たトレーナーや、ゲームの育成シナリオ“運命のジェミニ”を読んだトレーナーはご存知かと思いますが、彼女の菊花賞後の運命は“あの子”が持っていってくれました。レースの展開などを大きく変えることなく、そうあってほしいと多くの人が願ったであろう未来を見せてくれるのも『ウマ娘』というコンテンツの魅力なのかなと。

 中編のラストでラインクラフトは輝きを未来に残すという想いを再び抱き、その想いこそが閉ざされかけた未来に差し込む光となりました。筆者もメインストーリーの後編がどうなるのかは予想できませんが、託された想いをフサイチパンドラたちがどう背負っていくのか楽しみです。
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 メインストーリー第2部後編“種を貴方に、希望は巡る”がいよいよ2025年7月22日より公開予定。チーム<アスケラ>の物語を最後までしっかり見届けましょう。
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