本記事では、そんなゲーム部門のシニアカテゴリ(※)で日本一に輝いたオノ リュウセイ選手へのインタビューをお届けする。
ジュニア・マスターカテゴリのチャンピオンへのインタビューはこちら↓
オノ リュウセイ
“ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026” ゲーム部門 シニアカテゴリ 優勝 “ポケモンジャパンチャンピオンシップス2023” ゲーム部門 ジュニアカテゴリ 3位 “ポケモンジャパンチャンピオンシップス2022” ゲーム部門 ジュニアカテゴリ 準優勝
- “ダブルウイング”、“いわなだれ”、ときどき“フェイタルクロー”
連続する不運に屈さず希望を探し続けたからこそのドラマチックな結末
- インタビュー本編/一瞬揺らいだメガプテラへの信頼。最後の最後で取り戻す
- インタビュー本編/ダブルバトルを始めたその年の“PJCS”で準優勝。天狗になるも、すぐに挫折を経験して成長できた
“ダブルウイング”、“いわなだれ”、ときどき“フェイタルクロー” 連続する不運に屈さず希望を探し続けたからこそのドラマチックな結末
まずは決勝戦の内容をおさらいしておこう。試合を丸ごと見返したい方は、以下のアーカイブをチェックしてほしい。
決勝戦はお互いのポケモンたちの技、特性、持ち物、能力補正が分かった状態で戦う(能力ポイントは公開されない)。シニア決勝のふたりがバトルチームに入れたポケモンたちは以下のとおり。

プテラ、リザードン、ガブリアス、ドドゲザンの4匹が共通しているが、オノ選手のプテラはプテラナイトを持ってメガシンカを前提とした育てかた。キタザワ選手は持ち物がきあいのタスキ、攻撃技は“いわなだれ”のみでサポート寄りの育てかただ。
キタザワ選手は2匹目のメガシンカポケモンとしてフラエッテ(えいえんのはな)、そしてサポートも攻撃もこなせるオオニューラを採用。対するオノ選手はフェアリータイプのポケモンとしてニンフィアを採用。そしてより攻撃に特化したイダイトウ(オスのすがた)にきあいのタスキを持たせている。
やや似ているチームどうしの対決といえる。相手のチームを見たオノ選手は「お互いガブリアスにこだわりスカーフを持たせていますが、素早さは能力補正の差でキタザワ選手のガブリアスに分があります。そのため、ガブリアスどうしの対面を作られないようにしなければ」と警戒していたという。
BO3(2本先取)の決勝戦、1試合目はオノ選手がプテラ&ニンフィア、キタザワ選手がオオニューラ&ドドゲザンをくり出すところからスタート。
お互いに弱点を突き合う攻撃的な盤面になったが、まずはキタザワ選手のオオニューラが“ねこだまし”でニンフィアをひるませた。その隙にメガプテラがオオニューラを“ダブルウイング”で攻撃。オオニューラはHPや防御が高くなるように育てられていたが、それでもピッタリ倒しきる。
そして最後に動いたドドゲザンの“アイアンヘッド”はメガプテラ方向へ。なんとこれをメガプテラがギリギリで耐え、1ターン目の攻防はオノ選手が一方的にポケモンを倒して優位に立った。

メガプテラの育てかたについてオノ選手は「耐久の高いオオニューラでもちょうど倒せるくらいには攻撃を確保しつつ、耐久面にも能力ポイントを回していました。ドドゲザンの“アイアンヘッド”を確実に耐える保証はありませんでしたが、がんばって耐えてくれました」と語ってくれた。序盤は思いどおりの展開になったようだ。
しかし、すぐさま雲行きは怪しくなってくる。2ターン目にメガプテラが“おいかぜ”を決めるまではよかったが、3ターン目、4ターン目と連続で“ダブルウイング”を相手のガブリアスに避けられてしまったのだ。命中は90、2連続で外す確率はたったの1%だ。


オノ選手としてはガブリアスに少しダメージを与えつつ、特性“さめはだ”によるダメージでメガプテラには倒れてほしかった。そうすれば“おいかぜ”のターン数を残した状態でオノ選手もガブリアスをくり出せる。ガブリアスどうしの素早さ関係が逆転しているうちに攻め立てたかった。
しかしその目論見は崩れ、最後は裏の裏を読むプレイを仕掛けるもうまく決まらず、1試合目はキタザワ選手の勝利となった。
1試合目の結果を受けてオノ選手は「メガプテラの攻撃に頼るのが怖くなった」と感じたため、2試合目は“おいかぜ”と“ワイドガード”で味方を支える方針に変更。1試合目にキタザワ選手が先発させたオオニューラ&ドドゲザンに強いガブリアスをプテラといっしょにくり出した。
しかしキタザワ選手がくり出したのはオオニューラ&プテラ。オノ選手のメガプテラを“ねこだまし”でひるませて、キタザワ選手のプテラが一方的に“おいかぜ”を成功させた。

1ターン目はキタザワ選手の思いどおりになった形。続く2ターン目は両者ともにポケモンをチェンジ。キタザワ選手はオオニューラをガブリアスに、オノ選手はガブリアスをニンフィアに交代した。
ここはオノ選手の「相手が“おいかぜ”を成功させたので、ガブリアスどうしの対面を作りにくると判断してニンフィアを合わせるように交代しました」という読みがピタリ的中。キタザワ選手に流れを持って行かせない。
勝負が動いたのは試合中盤。キタザワ選手はメガプテラをオオニューラの“ねこだまし”で止めようとしたが、オノ選手はガブリアスに交代。特性“さめはだ”のダメージでオオニューラが倒れてしまった。

さらにこの後のオノ選手による盤面づくりが巧みだった。オオニューラの代わりにキタザワ選手がくり出したのはリザードン。プテラはきあいのタスキが発動してHPが1しか残っていないものの“おいかぜ”を決め、終局に向けて詰めの盤面へと移行していく。
ここでオノ選手は、ニンフィアの“でんこうせっか”で簡単に倒せるプテラをあえて倒さずに盤面に残し続ける選択を取る。「キタザワ選手はおいかぜ状態があるうちにメガリザードンYとガブリアスの並びを作りたいはず」と考え、そうさせないように立ち回った。

“いわなだれ”しか攻撃技を持たないプテラを盤面に残されてしまったキタザワ選手は、オノ選手のガブリアスを倒しきれない。メガリザードンYを動かせないと判断し、2連続“まもる”を試みるも失敗。大ダメージを受けてしまった。ここで大きく有利になったオノ選手が、そのまま2試合目に勝利した。
泣いても笑ってもここで勝負が決まる3試合目。オノ選手は1試合目とおなじプテラ&ニンフィア、キタザワ選手は2試合目とおなじプテラ&オオニューラでスタート。両者ともに負けた試合の先発を採用する珍しい展開になった。
キタザワ選手は2試合目と同様に“ねこだまし”でメガプテラを止めつつ、一方的に“おいかぜ”を展開。オノ選手はニンフィアの“ハイパーボイス”でプテラとオオニューラにそれぞれ大ダメージを与えた。
続く2ターン目はオノ選手がメガプテラをイダイトウ(オスのすがた)に交代。オオニューラからの“インファイト”を無効化しつつ、最小限のダメージでイダイトウ(オスのすがた)を場に出すことに成功した。イダイトウ(オスのすがた)は先制技の“アクアジェット”でプテラを倒せる。キタザワ選手は“おいかぜ”を決めたものの、なかなか攻めきれない苦しい展開だ。

しかし3ターン目、オノ選手はこのBO3でもっとも絶望的な状況に直面する。「イダイトウ(オスのすがた)の“アクアジェット”を読んでキタザワ選手のプテラは“まもる”を使うだろう」というオノ選手のその読みが大惨事を招く。
オノ選手はニンフィアをメガプテラに交代。そしてイダイトウ(オスのすがた)に与えた指示はプテラへの“アクアジェット”ではなくオオニューラへの“アクアブレイク”だったという。しかし、キタザワ選手はプテラが倒されるのを覚悟で“いわなだれ”を選択。さらにオオニューラはニンフィア方向へ“フェイタルクロー”。
まずはプテラの“いわなだれ”がイダイトウ(オスのすがた)とメガプテラに突き刺さる。メガプテラには大ダメージが入る。そして“フェイタルクロー”もメガプテラが受ける。これはダメージこそ小さいが、追加効果でメガプテラがまひ状態になってしまう。素早さが武器のメガプテラには致命的な状態異常だ。

そして極めつけは、“いわなだれ”の追加効果によるイダイトウ(オスのすがた)のひるみ。この1ターンだけでオノ選手は非常に多くのものを失った。

それでも勝ち筋は見失っていなかったという。キタザワ選手の4匹目はメガフラエッテだろうと予想しつつ、ガブリアスの“がんせきふうじ”でメガフラエッテの素早さを下げつつメガプテラが“いわなだれ”を使える状況を作り、こちらも相手をひるませることができれば勝機はある。極限状態の中、そこまで思考を巡らせていたというのだから驚きである。
まずは“アクアジェット”でプテラを倒しながらメガプテラをニンフィアに交代。つぎのターンは“アクアジェット”と“でんこうせっか”を重ねてオオニューラを倒し、着々と理想の最終盤面へいたるルートを確保していく。
オノ選手の予想通り、キタザワ選手の4匹目はメガフラエッテ。終盤の重要な局面、オノ選手側にはガブリアス&ニンフィア、キタザワ選手側にはドドゲザン&メガフラエッテが並ぶ。
ガブリアスは勝利のための絶対条件“がんせきふうじ”をメガフラエッテへ放つが、メガフラエッテは“まもる”で防ぐ。しかしその隙にニンフィアの“はかいこうせん”がドドゲザンにクリーンヒット。
ニンフィアの特性“フェアリースキン”でフェアリータイプになっている“はかいこうせん”はメガフラエッテの特性“フェアリーオーラ”による強化を受け、ドドゲザンを倒しきることに成功した。

残ったポケモンの数だけで考えれば、オノ選手が3匹に対してキタザワ選手は1匹。大きく有利に見えるが、オノ選手のポケモンは“はかいこうせん”の反動で動けないニンフィア、メガフラエッテに相性不利なガブリアス、まひ状態かつHPも残り少ないメガプテラ。メガフラエッテを万全の状態で残しているキタザワ選手のほうが有利と言える。
ここでメガフラエッテの“マジカルシャイン”によりガブリアス&ニンフィアが倒されるが、その前にガブリアスの“がんせきふうじ”がメガフラエッテにヒット。ダメージは小さいが、素早さを1段階下げることに成功した。
シニアカテゴリ決勝戦の決着は、まひ状態のメガプテラと素早さ1段階ダウンのメガフラエッテの一騎打ちに託された。しかし、オノ選手が越えなければいけない壁は多い。メガプテラが先に行動できるか、痺れずに攻撃できるか、“いわなだれ”が当たるか、2発で倒しきれるダメージを与えられるか、そしてメガフラエッテがひるむか。

両者が祈りを捧げる中、メガプテラが先に動いて“いわなだれ”を当てた! ダメージも十分であるように見える。そして……。

ひるんだ!!!!!!!!!!!
これには会場もこの日いちばんの大歓声が上がった。そしてもう1度両者が祈りを捧げる。

オノ選手が選んだ技は、1試合目に2連続で外した“ダブルウイング”。命中は90。当たれば日本一、外せば負け。

ここぞの場面でトレーナーの信頼に応えたメガプテラ。“ダブルウイング”を見事に当てて、オノ選手をチャンピオンの座へ導いた。

インタビュー本編/一瞬揺らいだメガプテラへの信頼。最後の最後で取り戻す
――“PJCS2026”優勝おめでとうございます。いまの率直な気持ちを教えてください。
――決勝の対戦相手・キタザワ ソウマ選手と面識はありましたか?
試合後に握手する約束もしていたのですが、最終戦があまりにも激しい試合だったので、勝った直後は疲れ切って約束を忘れてしまっていました。キタザワ選手が手を差し出してくれたおかげで、約束を思い出して握手できました。
――オノ選手は“PJCS2022”でジュニアカテゴリの決勝戦を戦っています。当時と比べて今回の決勝はいかがでしたか?
――日本一になったことで何か日常に変化はありましたか?
――決勝戦は本当にドラマチックな展開でした。観ている側はめちゃくちゃおもしろかったのですが、本人にとってはたいへんな試合でしたね……。
――お父さんも見ていてヒヤヒヤされたのでは。
お父さん 私は大会のときはいつも対戦を直接見ないようにしているんです。ドキドキしすぎて見ていられないので(笑)。ですが今回は関係者席をご用意いただいていたので、ずっと目を離さず見ていました。もう最後は目頭が熱くなりましたね。試合後は本人も泣いているように見えましたが、後で聞いたら「泣いてない」と言い張っていました。
――そういうことにしておきましょう(笑)。“PJCS2026”に向けてはどんな準備をしてきましたか?
インタビュー本編/ダブルバトルを始めたその年の“PJCS”で準優勝。天狗になるも、すぐに挫折を経験して成長できた
――好きなポケモンは何ですか?
せっかくやるからには勝ちたいと思い、構築記事を読みながらチームを作ってみました。実際にやってみるとダブルバトルの楽しさにハマって、以降はダブルバトルをメインに遊ぶようになりました。
――その参加賞がもらえる大会、“PJCS2022”のオンライン予選では? そこから初めて“PJCS2022”で準優勝……?
仲のいい選手たちが世界大会へ出場するなか、自分だけがその場にいないことが本当に悔しかったです。そこから心機一転してランクバトルをやり込んだり、有志が主催してくれている非公式オフライン大会にも参加したりするようになり、実力が伸びていきました。
――その仲のいい選手たちとは、どこで知り合ったのですか?
――ほかに仲のいい選手はいますか?
――最後に、“ポケモンWCS2026”に向けて意気込みをお願いします。


















