おまけ付きの豪華パッケージだった
『三國志』は、光栄(現:コーエーテクモゲームス)から発売された歴史シミュレーションゲーム。現在でも続く人気シリーズの記念すべき1作目で、同社の『信長の野望』シリーズと双璧をなす歴史シミュレーションゲームの金字塔だ。
当時としても高めの設定だった価格、14800円で発売されていたことも印象深い。確か地図やブックレットのおまけ付きだった覚えがある。もちろん、プロデューサーはシブサワ・コウ氏、音楽は作曲家の菅野よう子氏が手掛けた。
本作は中国の歴史小説『三国志演義』を下敷きにした作品。プレイヤーは劉備、曹操、孫権を始めとする三国時代の君主となり、中国全土の統一を目指す。当時はいまほど『三国志』の物語がメジャーではなかったため、本作をキッカケに『三国志』の世界を知りのめり込んでいった人も多かったのではないだろうか。
筆者などは完全にその口で、『三國志』に出てきた武将のことをもっと知りたくて、吉川英治や横山光輝、陳舜臣の作品を辿っていった記憶がある。
革命的だったのは、国や君主だけでなく配下の“武将”にも焦点を当てたところ。ゲームのシステムとして配下武将を取り入れたのは『三國志』が初めてで、『信長の野望』シリーズよりも早かった。
武将たちの能力・個性が武力や知力、カリスマといった数字で表現されていて、数値の高い武将を見つけると(当時はどんな人物かも知らないのに)無性にワクワクさせられたものだった。武力や知力がやたら高い呂布や諸葛亮を発見したときの衝撃は相当なものだったはず。武力は凡庸ながらカリスマが異様に高い劉備みたいに、得心が行く割り振りもさすがだった。
有名武将には顔のグラフィックもあり、プレイヤーの想像力を強烈に掻き立てた。いまなお武将のイメージが『三國志』のグラフィックに引っ張られているなんて人も多いんじゃないだろうか。
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武将の“引き抜き”に夢中になった人も多かったと思う。本作では忠誠度の低い武将を他国から引き抜いて自国で登用できたことも画期的だった。計略で忠誠度をコツコツ下げて引き抜きといった具合に、知略で勝つ快感も『三國志』は教えてくれた。ときには在野に優秀な武将がいることもあり、毎ターン探しまくっていた気もする。
戦争では武将が部隊を率いて戦うのだが、知力が高いと“火計”が決まりやすく、武力が高い武将だけが強いというわけじゃない点もよかった。ただ、火の燃え広がりが半端ではなく、いま思うと猛威を振るい過ぎだった気もする。
1989年12月には続編『三國志II』が発売されシリーズ化。以降、国取りの戦略性を高める君主プレイと武将の人生を体験する全武将プレイといった具合に、ふたつの方向性で大きく進化を遂げていった。
ナンバリングシリーズでいちばん数字が大きい作品は2020年12月10日発売の『三國志14 with パワーアップキット』で、最新作は2026年1月29日発売予定の『三國志8 REMAKE with パワーアップキット』となる。
『三國志8 REMAKE with パワーアップキット』は、全武将プレイが可能な『三國志VIII』の大規模リメイク作品のパワーアップ版。武将育成の新要素“宝珠”や、戦況を一変させる“転機”、5本の追加仮想シナリオ、充実した編集機能などが加えられた作品だ。
スマートフォン向けMMO戦略シミュレーション『三國志 覇道』やApple Arcade向け『三國志 HEROES』といったタイトルもサービス&配信中。
















