心に響く音楽の祝福
それまでのネオロマンスシリーズは、宇宙を統べる女王候補として守護聖とともに奮闘する『アンジェリーク』、“京”と呼ばれる異世界を舞台に龍神の神子となって八葉と鬼に立ち向かう『遙かなる時空の中で』とスペクタクルな印象が強かったが、本作では一転。物語の舞台は現代となっており、等身大のキャラクターたちが紡ぐ物語は多くの女性のハートを射止めた。
とはいえ、さすがルビーパーティーの作品。テーマをクラシック音楽にすることでネオロマンスシリーズが持つ品や美しさ、尊さといったものはしっかりと継承している。もちろん、ゲームシステムも骨太で、主人公のスキルアップと恋愛、両方に大忙しの日々を送ることに。
コンクールおよび、定期的に行われるセレクションに出場するキャラクターは、音楽科2年ヴァイオリン専攻の月森蓮、普通科2年ピアノ奏者の土浦梁太郎、音楽科1年チェロ専攻の志水桂一、音楽科3年トランペット専攻の火原和樹、音楽科3年フルート専攻の柚木梓馬、音楽科1年クラリネット専攻の冬海笙子。いずれも音楽へ情熱を傾ける優秀な学生ばかりだ。このほかにも音楽の教師でコンクール担当の金澤紘人、音楽科の卒業生である王崎信武、普通科2年で新聞部の天羽菜美など、魅力的な人物が多い。
練習を重ねるに従って、最初は聞くに堪えない主人公のヴァイオリンの音色が少しずつ美しく変化をし、いつしか主人公の中で音楽に対する情熱が高まっていく。それに呼応するように、最初はそっけない態度だったキャラクターたちが次第にいい反応を見せてくれ、ときにはいっしょに合奏をすることも。彼らとの親密度を上げるのも音楽、ライバル度を上げるのも音楽という、音楽でつながる絆がとても美しい。
さらにそれを縫うように、登場キャラクターを一新した『金色のコルダ3』(2010年2月25日発売)、『金色のコルダ4』(2016年3月10日発売)やそのリメイク版があるほか、リズムアクションゲームやスマートフォン向けのゲームなども多数展開。コミカライズや舞台化、アニメ化もしており、筆者は本作のキャラクターデザインを務める呉由姫先生のコミックスを愛読していた。
どのシリーズ作品も横浜を舞台にしているので、聖地巡礼をした人も多いのでは? まだ行ったことがないという人は、この機会に出かけてみるのもおすすめだ。
ちなみに、今年(2024年)9月23日は『アンジェリーク』の発売から30周年、つまり、ネオロマンスシリーズが誕生してから30周年を迎える。ということで、さまざまなグッズの販売やゲームソフトのセール、イベントなどが企画されているので、オフィシャルサイトをチェックしよう!