『AKIBA'S BEAT(アキバズビート)』は、HDクオリティで再現された “秋葉原”を舞台に、“妄想の浸食”や、“くり返される日曜日”など、これまでにないアイデアが詰め込まれた作品になっている。物語の序盤、主人公・アサヒは秋葉原で二―ト暮らしを満喫していたが、ある日突然、秋葉原駅の外観がオーディオに覆われ一体化していることに気づき……。
↑親友・ミズキとの約束に寝坊し、あわてて待ち合わせ場所に向かう主人公・アサヒ。少しでも早く着ければと秋葉原駅構内を通り抜けようとするが、そこでアサヒが目にしたのは、ふだんとはまったく異なる秋葉原駅の姿だった。
←秋葉原の異変に気づくアサヒ。しかし道行く人々は違和感に気付いていない様子だ。
 秋葉原の異様な光景にうろたえるアサヒの前に、ひとりの少女・サキと、宙に浮かぶおかしな生き物・ぴんくんが現れ、こう告げた。「ここで見えているものすべてが“現実”である」と。
 秋葉原の異変の原因は、“妄想の浸食”によるもので、妄想の浸食に気づく者は、妄想した本人と選ばれた人のみ。サキは、この秋葉原の街を浸食する妄想を壊し続けているという。
 秋葉原駅の変貌に、ひとりの男が「これこそが秋葉原の理想の形だ」とアサヒたちに語る。秋葉原でオーディオ専門店を営む男・音田ヒサヨシだ。その姿を見たサキとぴんくんは、彼こそがこの異変の原因となる妄想をした本人であると結論づけるのだ。
 そして、立ち去った音田と入れ替わるように、駅前に出現した謎の扉。これを妄想が具現化したダンジョン“妄想宮”の入り口だと語るサキは、強引にアサヒを巻き込み、扉の奥へ向かう。果たして、アサヒは“妄想宮”で何を知るのか――?
 理解しがたい状況の中、サキとぴんくんに導かれるままに“妄想宮”を踏破することになったアサヒ。しかし、迷宮から抜け出した彼らを待ち受けていたのは、同じ日曜日をくり返す世界だった。
 もう一度迎えてしまった日曜日で再開を果たすアサヒとサキ。この“くり返される日曜日”という現象にまわりは気づいていない。この現象を妄想の浸食による影響だと考えたふたりは、秋葉原のすべての妄想を破壊することを決意するのだった。
 秋葉原の異変を探し始めたアサヒたちは、同じことがくり返されるはずのこの世界で、前日まで行われていなかった駆け出しアイドル・百瀬リユのファンイベントが新たに開催されていることを突き止める。アサヒは、会場で人一倍熱心に彼女を応援するファン、芽鐘タロウと出会ったのだが、翌日もう一度イベントの様子を見に行くと、そこには前日とは異なり動揺している芽鐘の姿が!? 芽鐘がくり返しの影響を受けていないことに気付いたアサヒたちは、このイベントが芽鐘の妄想なのではないかと疑い始める。
 アサヒを始めとする、くり返しの影響を受けない人々の行動によって、少しずつ日々の歪みが大きくなっていく。最終的にはイベントまでもが中止され、ファンによる大暴動が巻き起こってしまうのだ。