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ニュースライン

Interview

日本マイクロソフト 井上正之氏

Xbox Oneは毎日を楽しくしてくれるハード

日本のユーザーの皆さんが喜ばれる製品を目指して

前回の泉水敬氏へのインタビューに続いて、ここでは日本マイクロソフト インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス Xboxプロダクト マーケティンググループ シニア マネージャー 井上正之氏のインタビューの模様をお届けしよう。井上氏は、2001年に日本マイクロソフトに入社後、XboxやXbox 360、Xbox Oneに関わり続けている方。Xbox Oneの国内展開の製品戦略を担っている。なお、お話をうかがったのは、泉水氏同様、6月10日〜12日にアメリカ・ロサンゼルスで開催された世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014の会場となる。

“すべてのエンターテインメント体験をこの一台で”を発売する意図は?

――ついに国内におけるXbox Oneの価格と発売日も決定して、いよいよ本格始動という感じですが、改めての決意のほどをお聞かせください。
井上 ようやく日本のユーザーの皆さんにも本体製品のラインアップやアクセサリーなどを発表できました。だいぶお待たせしてしまったのですが、とてもうれしく思っています。“決意”ということで言うと、私たちが大事にしなければならないのは、日本のユーザーの皆さんが喜ばれる製品として、何をご提供できるかということです。
――“ユーザーの皆さんに喜びを”というところで、ベースとしてはゲームがあって、まずはラインアップを充実させていく感じですか?
井上 おっしゃる通りです。初代Xboxでマイクロソフトが家庭用ゲーム機に参入したときに、「なんで、マイクロソフトがゲーム事業に参入するの?」と言われたなかで、結果としては、“家庭用ゲーム機として、ユーザーの皆さんに楽しいゲーム体験をお届けする”という思いでいました。それは、Xbox 360はもちろん、Xbox Oneでも変わっていません。私たちの使命のようなもので、そこが私たちの出発点となっています。私たちの“原点”ですね。
――“すべてのエンターテインメント体験をこの一台に”というのがXbox Oneの大きな魅力ですが、最初は少しユーザーに誤解を与えてしまったかもしれない?
井上 これに関しては、少しお話を整理しないといけないですね。初代XboxからXbox Oneに至るまでの私たちの使命というのは変わっていないですし、“変わっていない”という伝えかたをしてきたつもりでいました。Xbox 360では、100の価値のゲームを提供できたとして、そこにエンターテインメントが入ってくることで、Xbox 360の価値を100+αでさらに高めることができたと自負しています。Xbox Oneでは、“オール・イン・ワン エンターテインメント”をテーマとすることで、ゲームそのものの価値を100からさらに高めたい、ということを発想したんです。次世代でさらなる高みを目指す。それが“すべてのエンターテインメント体験をこの一台で”ということの、真にお伝えしたいことでした。
――なるほど。
井上 ただ、ユーザーの皆さんを不安にさせてしまった部分があることも理解しています。Xbox Oneでは、エンターテインメントやアプリを含めて、ゲームユーザーの皆さんに喜んでいただけるようなものの基準を、さらに引き上げたいと思っています。
――Kinectを同梱しないバージョンを発売することにしたのも、ゲームユーザーの便宜を考えてのものですか?
井上 Kinectを同梱したものと、Kinectを同梱しないものとでは、10000円違いますよね。ゲームによっては、2本くらい買える価格差です。ユーザーの皆さんが新世代機を実感したい思ったときに、やはりいちばん楽しみにしていらっしゃるのはゲームだと思います。10000円安い金額で提供することで、ご自身がいちばん楽しみたいと思っているものにお金を使っていただけるという選択肢をご提供するのは大事なことだと考えていまして、それでKinectを同梱しないバージョンを発売させていただくことにしました。ユーザーさんによっては、まずはXbox One本体のみをご購入いただいて、興味が湧けばKinectセンサーもお求めいただく……ということも可能なわけです。一方で、私なんかは買うときは全部揃っていないと気が済まないタイプなのですが(笑)、私みたいな方には最初からXbox One + Kinectを購入していただけるわけです。
Xbox One + Kinect

▲国内のローンチ時には、Xbox One + Kinect(写真)と、Kinectを同梱しないバージョンの2種類を発売。

質・量ともにユーザーの皆さんが驚くようなラインアップを

――となると、カギを握るのはやはりゲームですが、ラインアップに対する自信のほどは?
井上 初代XboxやXbox 360と比べても、Xbox Oneのゲームソフトの立ち上がりはすごいというのが偽らざる実感です。プラットフォームがローンチするときって、本数もそうですが、まだまだハードの初期段階なので、ハードとしては、まだまだ伸び代の余地がある中でのリリースになりがちじゃないですか。
――確かに、そのハードに向けての初めてのソフトとなると、中々ハードの性能を活かし切るというわけにはいきませんね。
井上 そういった意味では、質・量ともにユーザーの皆さんが驚くようなラインアップをご提供できると自負しています。
――スタートダッシュから全力疾走みたいな感じですかね。そんな中、井上さんがとくにオススメのタイトルは?
井上 海外では昨年発売された『コール オブ デューティ ゴースト』と合わせて、今年に出る『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』をぜひ遊んでみたいです。『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』に関してはXbox One先行で追加コンテンツを皆さんにお届けできますので、ぜひともオススメしたいです。ローンチタイトルでは、『Dead Rising 3』ですね。泉水は『Dead Rising』に1作目から関わっているということもあり思い入れが深いようですが、私の場合はいちユーザーの目線で『Dead Rising』が好きですね。ゲーム中に倒されてやり直すとつぎのプレイがやりやすくなったりという親切設計がユーザーライクですし、サブストーリーを解いていくのもすごく楽しかった。その遺伝子は『3』でも引き継がれていますし、さらにオープンワールドになっている。個人的にはオススメの1本ですね。
Dead Rising 3

▲Xbox Oneのみで発売される『Dead Rising 3』。

――まさにいちゲームファンの視点ですね(笑)。
井上 はい(笑)。あと、Xbox Oneらしい最新の映像表現を体験したいということであれば、『Ryse: Son of Rome』。さらにエレクトロニック・アーツさんの『タイタンフォール』ですね。私はシューティングが決してうまくはないのですが、好きでして。『タイタンフォール』はオンラインマルチプレイでボコボコにされて心折れることが何度かありつつも、何となく“活躍した感”があるんですよね。そんなにうまくない私なのですが(笑)。ロボットの操作とあわせて、『タイタンフォール』の魅力をぜひとも堪能していただきたいです。あと、もう1本オススメしてもいいですか? 少し欲張りですが(笑)。
――もちろん、ぜひ!
井上 『Kinect スポーツ ライバルズ』です。
――あら、それは少し意外ですね。
井上 Kinectの魅力を堪能できる1本ですね。1作目の『Kinect スポーツ』を遊ばれたユーザーさんならばなおさらのこと、「Kinectってここまで精度が上がっているんだ!」と、感嘆していただけるのではないかと。精度が上がることによってゲーム性がこれだけ向上するということが、まさに実感していただけるのではないかと。
――KinectをXbox 360で遊んでいた人にこそ、ぜひオススメしたい?
井上 ぜひ、オススメしたいです。『Kinect スポーツ ライバルズ』は昨年の東京ゲームショウでも出展したのですが、触っていただいたユーザーさんにも好意的な反応をしていただきましたし。
――日本のゲームユーザーが気にするのは、日本向けのゲームがどうなるか……だと思うのですが、そのへんも期待していいですか?
井上 そうですね。プラットフォームを準備万端でユーザーさんにお届けするときに、最終的にコンテンツがなければただの“箱”なので、コンテンツの充実には注力しています。一方で、コンテンツを楽しむためには、本体側にきちんと付随機能が準備されているかが重要になります。ユーザーさんからは少し見えにくいことなのですが、コンテンツをきちんと楽しんでいただくためのシステム側の開発などにも、順次取り組んでいます。そのバランスが取れたのが、日本では9月ということですね。
――“コンテンツの充実に注力している”ということは、つまり国内のサードパーティーの取り組みも追々明らかになってくると?
井上 当然のこと、まだお話していない取り組みもけっこうありますので、それはお楽しみにしていただきたいですね。
――国内メーカーのタイトルも期待できる?
井上 もちろん! 現時点でも国内だけで48社さんのゲームメーカーさんにご参入いただいておりますので、これからどんどん発表されるコンテンツに期待していただければ……と思います。
――E3でプラチナゲームズの神谷英樹氏による『Scalebound』が発表されましたが、あんな感じで日本のクリエイターがファーストパーティータイトルに関わるケースもどんどん増えていく?
井上 4月下旬にXbox Oneの参入メーカーさんを発表させていただいたときは(⇒関連記事はこちら)、プラチナゲームズさんの名前が入っていなかったので、ユーザーさんからは「Xbox 360をずっと応援してくれたプラチナゲームズさんの名前がないのは残念だ」というご意見がたくさんあったんですね。本当は違うのに……ということで残念だったのですが、今回ついに正式にお話ができて、ほっとひと安心しました(笑)。さらに、今後も本当にすばらしい開発会社さんとゲームを開発できるようになっていきますし、もちろん、ゲームを提供してくださるパブリッシャーさんともお話しをしていくので、タイトルがどんどん出てくることを期待してください。
Scalebound

▲プラチナゲームズによる『Scalebound』はE3で発表され大きな注目を集めた。

“付加価値”のあるサービスを提供したい

――それは期待したいですね。あと、ゲームプラスアルファの部分で、オススメのサービスなどありましたら、お教えください。
井上 ゲームプラスアルファの部分で言うと、ふたつあります。ひとつがアプリ。もうひとつがテレビも含めた総合的な体験です。ゲームをしっかりとユーザーさんに提供した上で、その上に載せる“付加価値”の部分ですね。“Xbox Oneでテレビを見る”というと、言葉だけ聞くと何でもないことのように聞こえるかもしれませんが、実際に体験してみると、ものすごく快適です。テレビの放送がXbox Oneの中の体験として統合されるので、ユーザーさんが好きなコンテンツを好きなときに選べる。利便性が極めて高いんですよ。番組表を表示するといったサービスは、国内ではローンチ時は未対応ですが、対応に向けて調整中ですので、いましばらくお待ちください。
――もうひとつのアプリは国内向けのものも用意されているそうですね。
井上 はい。アプリに関しては、Xbox Oneをもっと便利にしてくれるアプリと、エンターテインメントをより楽しくしてくれるアプリ、あとはスポーツやフィットネス系のアプリ……世界的には“ウェルネス”をいう言いかたをするのですが……“スポーツ&ウェルネス”などを考えています。これらアプリを付加価値として提供していく予定でいます。国内で魅力的なアプリも、Xbox Oneらしい体験の仕方で提供していくつもりでいます。さらにXbox Oneはマルチタスクを特徴としていますので、ゲームとテレビ、ゲームとアプリのコンビネーションが抜群の効果を産んでいく。そういった意味では、“付加価値の相乗効果”というものを、ユーザーさんにも感じていただけるようになるのではないかと。
――“付加価値の相乗効果”で魅力が倍増すると?
井上 はい。“付加価値×(かける)付加価値”になっていくようにしていきたいですね。その上で、ユーザーの皆さんには「Xbox Oneには、ほかにはない価値も提供しているんだな」と思っていただけるようにしたいです。究極の目標は、「ユーザーさんが楽しみたいソフトがすべてここにある」という状況ですね。
Xbox One + Kinect

▲豊富なアプリもXbox Oneの魅力と言えるだろう。

――Xbox Oneにアプリを提供するクリエイターの手応えはいかがですか?
井上 パートナーさんの反応はとてもいいです。ゲームのパートナーさんは初代Xboxからのお付き合いがあるので、とても良好な関係を築かせていただいています。アプリのパートナーさんとは関係を構築させていただいており、アプリはアプリのパートナーさんが大事にしているものを私たちが理解して、Xbox Oneでさらに発展させていく……という形にできればと。いずれにせよ、クリエイターさんといかにお付き合いするかは、今後大きなカギを握ると思っています。これはゲームに関してもそうですが、クリエイターさんが作りたいものって、ひとつひとつ全然違っていて、新しいものを目指そうとしています。それぞれのパートナーさんが作り出したいものを私たちがきちんと理解して、ユーザーさんにどう付加価値を載せてご提供できるか……その積み重ねをできるかできないかが、最後は大きな違いになるのかなと思います。
――もしかして、そういう幅広いコンテンツを受け入れる度量の広さがXbox Oneにはある?
井上 Xbox One自体は、いろいろなコンテンツを受け入れられるようなさまざまな機能がありますし、ユーザーさんには直接は見えないのですが、クラウドのインフラもあります。パートナーさんから見て、いろいろな可能性を秘めているのではないでしょうか。
――Xbox Oneというハードは、パートナーさんからの評判も良好?
井上 はい。「マイクロソフトの技術が詰まったハードウェアだね」というのは、多くのパートナーさんからいただいている言葉です。“マイクロソフトらしさ”というのは、先ほどお話したクラウドの膨大なインフラもそうですし、長年培ってきたWindowsと親和性の高いOSとゲーム専用のOSなどの組み合わせでマルチタスクを可能にする技術もそうです。マイクロソフトでなければ実現できないテクノロジーを提供している。それがひとつ。もうひとつの“マイクロソフトらしさ”は、世界に向けて発信していけるというグローバル性です。当然のこと国内のパートナーさんは、「足元の日本のユーザーさんにこそ、もっともコンテンツを楽しんでもらいたい」を念頭に開発に取り組んでいるのですが、それと同時に海外ユーザーさんにもお届けしたいという想いも抱いていると思うんです。マイクロソフトであれば、世界に向けて発信できるわけです。
――世界市場をターゲットにすることで湧くインスピレーションもあるかもしれませんし?
井上 そうです。誤解がないように補足させていただきますが、それは国内メーカーが日本のユーザーさんを重視していないということではまったくありません。国内メーカーさんも、日本のユーザーさんを大切にしてきた積み重ねのうえにいまの土俵があって、それが大前提になっています。その上で、いま持っている価値を日本のユーザーさん以外にも広めていくために、マイクロソフトが最大限のサポートを提供できるということです。

「触ったらおもしろい」ではないことを提案したい

――なるほど。今回のインタビューでは井上さんにXbox Oneの魅力を語っていただきましが、そのよさをユーザーの皆さんに広めるために、どのような方針を考えていますか?
井上 詳細に関しては、またお話しさせていただける機会もあるかとは思うのですが、製品担当側の思いとしては、「触ったらおもしろいよね」ということではないことを、ちゃんとやりたいですね。
――「触ったらおもしろい」じゃないことですか?
井上 少しわかりづらいご説明でしたね(笑)。私は、マイクロソフトの前はゲームメーカーに在籍していたのですが、「このゲームって触ったらおもしろいよね」というのは、その製品の価値がユーザーさんにあまり届かなかったときの言葉なんですね。ゲームを出したときに、触ったらおもしろいというのは当たり前と言えば当たり前ですよね。そうではなくて、製品のよさを、ユーザーさんにピンとくる形でお伝えしていかなければいけない。それが製品担当としての想いです。そのうえで、ユーザーさんにはそれを実際に確かめていただきたいんです。「マイクロソフトは、あんなことを言っているけど、本当なのかしら?」と(笑)。「マイクロソフトはいろいろ言っているけど、自分にとってそれは本当におもしろいと思えるものなのか?」、「自分が期待している通りのものなのか?」という疑問を確かめる体験の機会というものを、たくさん作りたいです。
――Xbox Oneを体験できる機会はたくさん設けるけれど、その前にユーザーさんにXbox Oneのことをちょっとでも気にしてほしいとか?
井上 「Xbox Oneってこうだよね」というピンとくるイメージを抱いていただけるような製品の情報発信をたくさんした上で、それをちゃんと確かめる機会をご用意して、気になるゲームを遊んでいただきたいですね。
――ピンとくるイメージって何ですかね?
井上 ユーザーさんが想像しているものを私たちが理解して、“よさ”を絞っていく感じでしょうか。言いたいことが100あるとして、100を全部言うと散漫になってしまうので、ポイントを絞って、本当に知っていただきたいことをお伝えしたいですね。
――井上さんがキャッチコピーを作るとすると?
井上 “毎日を楽しく”かな。
――おお、それをこのインタビューの見出しに使わせていただきます!
井上 いや、それは……(苦笑)。泉水からは、「井上はセンスがない」と言われていますから(笑)。でも、私の中では、Xbox Oneは“毎日を楽しく”ですね。本社の担当者と話すときに、「日本はどういう製品を期待しているのか?」という問いに対して、「Entertain your life everyday」と答えたんです。日本語に翻訳すると「毎日のエンターテインメントを楽しく」「日々のエンターテインメントの生活」みたいな感じになるかと思うのですが、さらにシンプルにして“毎日を楽しく”で。
――“毎日を楽しく”で、日本のユーザーにXbox Oneを訴求するということですね。
井上 はい。Xbox Oneの国内における発売日や価格、それに関連商品も発表できまして、これから皆さんの期待しているゲームやどんなサービスが楽しめるか……といったことを、どんどんお届けしていきますので、そこから皆さんがお好きなタイトルを探していただければ……と思います。Xbox Oneは楽しい毎日を提供してくれるハードですので、ぜひご期待ください。

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