※海外版を使用して作られていますので、画面写真は日本語版と異なる場合があります。
これまでに学んだすべてを出し切れ! ゲーム再現マップ編
ファーラ「さて、当講座も4回目を迎え、今回で最終回。クライブ君も、そろそろ立派なマップエディターとして成長してもらわないと困るわけだけども……」
クライブ「安心してください。出会い、別れ、増長、挫折、覚醒、突風、パンチラ、二度見……これらをひと通り経験したボクは、ひと味もふた味も違いますよ」
ファーラ「最後のほうは何なのよ。まあ、これまでで『ファークライ3』のエディットはどういうことができるか、だいたいつかめたと思うから……今回は当講座の卒業試験として、他人様に見せても恥ずかしくない対戦マップを作ってもらうわ。テーマは“ゲームファンならではの再現”にしようかしらね」
クライブ「フフフ……お安い御用ですよ。じつは、もう作っています! これをご覧ください」
ファーラ「ハッ……これは初代『リッジレーサー』ね! このヤバいくらい曲がったヤシの木には見覚えがあるわ!」
クライブ「ご明察! ボクは『リッジ』は少々やり込みましてね……このコースには愛着が……いや、もう愛していると言っても過言ではない! ヤシの木前カーブ! 好きだー! 結婚してくれー!」
ファーラ「ふうむ……『ファークライ3』特有の南国パーツによって、初代『リッジ』の象徴でもある不思議南国テイストを生かしてるわね」
クライブ「フフフ、しかもこのゲームはクルマも設置できる……つまり、こんなことも可能なわけですよ!」
クライブ「ぬーすんだジープで走り出す〜」
ファーラ「そういえば、このゲームには実際に乗車可能なクルマも設置可能だったわね。しかも、迫り来るヘリまで再現とは……成長したじゃない」
クライブ「恐悦至極!」
ファーラ「この先は、たしかトンネルがあったと思うけど……」
ファーラ「ほほう、トンネルもちゃんと作ってるのね。天井の模様が集中線みたいに見えて、疾走感が出てるのもナカナカ……でも天井に張り付いてるドラム缶は何?」
クライブ「先生ならご存知だと思いますが、マップ上に設置できるライトの数には限りがあるんです。とくに『リッジ』のトンネル内のようにいっぱい設置すると、アッという間に上限に達してしまうので……。ここは、アスファルトに照らされたオレンジ色の光点の再現に注力しました。上は見ないで、地面だけを見て!」
ファーラ「前見ないと危ないでしょ……」
クライブ「フフフ、そして見よ! PSのコントローラがすり減るほどに鍛えたドリフトテクを!」
ファーラ「あっ、ちょっ、それは」
ファーラ「だから言ったのに……。これ、さすがに『リッジ』並のドリフトとかはできないから」
クライブ「ゴホッ、注意一秒、ケガ一生……」
ファーラ「でもコレ、クルマで実際に走って楽しむことはできるけど、対戦用マップとしてアップロードするときはクルマは撤去しないといけないし、そもそもこのマップはけっこう広いから対戦用には向かないのでは……」
クライブ「その通り……向きません! でもっ……曲がったヤシの木パーツを見たとき、ボクの心のシフトレバーが一気に一速に」
ファーラ「まあ、分からんでもないけれど」
クライブ「それに、これを見てください!」
クライブ「このように、全国1000万の『リッジ』ファンなら一度は夢見た、コースフェンスの外側に行くこともできるんです! これ、夢やってん! ワイの夢やってん!」
ファーラ「ど、どうでもいいうえに、持ってる武器が武器だけに、コース外から狙撃しようとしてるゴルゴ視点にしか見えないわね」
クライブ「あとは、ここも見ていただきたい!」
クライブ「ここは『リッジ』で周回ラップが流れるトンネル前なんですが、本来はここに、窓ガラスがエメラルドに輝くような近代的なビルっぽいものがあるんです。でもさすがにそこまでの再現は無理なので、色味の再現だけでもと、がんばってみました。分かる人は分かってくれるはずです!」
ファーラ「分かった分かった。アナタの努力は評価するわ」
クライブ「じゃあ、卒業試験は合格ですね!」
ファーラ「うーん、そうね……じゃあ前回の仕切り直しということで、私が作ったマップで対戦して、私に勝ったら合格ということで」
クライブ「うっ……分かりました。前回みたいに、すり抜ける壁とかヘンな仕掛けはないですよね?」
ファーラ「大丈夫、正統派よ」
クライブ「ううっ! こ、これは……『かまいたちの夜』の舞台、ペンション・シュプール! 外の地面はこれ、砂浜テクスチャですけど、時間帯を夜にすることで雪っぽく見せてるわけですね。なるほど……」
ファーラ「その通り……そしてクライブ君、これを見て何か気づかない?」
クライブ「青チーム、赤チームの復活地点を示すオブジェクトですよね。ハッ、この青……『かまいたちの夜』のシルエットっぽい……!」
ファーラ「フフフ。こういう、分かる人には分かる小ネタも挟みつつ……『かまいたちの夜』は、同じ登場人物、同じペンションを舞台に、まったく異なる複数のストーリーを楽しめるゲームということは知ってるわよね?」
クライブ「ええ、もちろん。基本となる殺人事件の解決を目指すミステリー編に加えて、オカルト色の強い悪霊編、各国のスパイが集結して銃撃戦もくり広げるスパイ編なんてのもありましたよね……ハッ!」
ファーラ「気づいたようね。そう、あのスパイ編の激戦を自分たちで再現できるといってもいい……『かまいたち』ファン」にとっては夢のようなステージなのよ!」
クライブ「くっ、これはたしかに点数高い……!」
ファーラ「とはいえ、ゲーム中では間取りがハッキリしない点もあるから、ある程度は想像で作るしかなかったのも事実……。なので、『かまいたちの夜』好きな海賊が建てた、あのペンションにクリソツなアジト……の廃墟、という設定でお願いするわ!」
クライブ「『ファークライ3』の世界観を考えると、違和感ない設定ではありますね。むう、つじつま合わせまで完璧とは……ッ」
ファーラ「ただ再現するのではなく、対戦を念頭に細かいアレンジも施してあるわ。たとえば……」
ファーラ「原作にはないけど、床下も移動可能にしてあるのよ。ところどころに壁も作ってあるから、この床下だけでも攻防が楽しめるわ」
クライブ「なるほど……コッソリ先回りとかにも使えそうですね。あと、廃墟ということで、1階の床はオンボロで隙間があるから、上を見上げれば、1階を移動する敵の姿もチラ見えするという戦略性もありますね、これ」
ファーラ「そういうことよ。ほかにも……」
クライブ「おお、あの地下室ですね。死体まで置いてあって、なんとまあ、原作に忠実な」
ファーラ「『かまいたちの夜』だと、ここは行き止まりというか、本当に単なる地下室なんだけども、FPSの対戦としては、こういう場所は好ましくないのよ」
クライブ「ああ、そっか……相手を倒す目的なら、わざわざこんな袋小路に来る理由がないし、一時的に隠れるためにここへ逃げ込んだなら、上からグレネード投げられたりして圧倒的不利ですね。つまり、誰もこの場所に来なくなる」
ファーラ「その通り。せっかく作ったのに誰も使わない死にエリアなんて、もったいないものね。そこで、廃墟という設定を生かして、地下室の壁をこうしてみたわ」
クライブ「おっ、穴が……これは外に通じてるわけですね。なるほど、これなら待ち伏せすると見せかけてコッソリ逃げることもできるし、攻めるほうも、階段と壁の穴、どっちから攻めるかで意表を突ける」
ファーラ「出口がひとつしかなかったり、基本的に行き止まりってのは背後を突けなくなるからね。こういったアレンジは、各部屋にも施してあるわ」
クライブ「む、窓が通行可能になってる……?」
ファーラ「外はベランダというか、外壁の縁を歩行可能にしてあるのよ」
クライブ「なるほど、それならどの部屋に立てこもってても裏をかくことができるし、また、逃げることもできますね」
クライブ「ん、こんなところにハシゴが……ここは原作でいうと浴室の位置ですよね?」
ファーラ「スパイ編で、浴室から天井裏へ抜けて、別の部屋に出るというのがあったでしょ。それを再現してみたんだけど……」
クライブ「なるほど! そういや、そんなのありましたね。どれどれ、上はどうなってるのかな」
クライブ「あれっ!? なんか、やたら開放感あふれるような……」
ファーラ「本当は全部、壁で塞いで完全に屋根裏にする予定だったんだけど、ちょっと詰め込みすぎてね……。一定範囲内に設置できるオブジェクトの限界数に達しちゃってるのよ。みんなも、作るときは注意してね」
クライブ「なるほど……」
ファーラ「まあ、廃墟という設定だから、多少壁が壊れてたり、天井裏のはずが屋上レベルになってたりするのは大目に見てもらうということで……。というわけでクライブ君、実際にこのマップでちょっと対戦やってみましょう」
クライブ「イエッサー!」
ファーラ「今回は“ドミネーション”というルールでやってみるわね。これは単なる撃ち合いじゃなくて、マップに設置されたA・B・Cの3つの発炎筒を一定時間占領し合う……といった感じのルールよ」
クライブ「やったことないですけど、まあ、やってりゃ分かるでしょう! スタート!」
クライブ「おっ、あったあった、これだな。なるほど、発炎筒の近くでジッとしてると占領ゲージが増えていくわけですね。こうやってより多くの発炎筒を占領していくと……」
ファーラ「占領完了すると、そこはクライブ君のものになるけど、私がそこへ行けば占領し返すこともできるからね」
クライブ「ドハァー! めっさ血ィ出てる!」
ファーラ「ちなみに占領を開始すると、相手がどこを占領中か画面に出るから」
クライブ「それ先に言ってくださいよ!」
〜しばらく膠着〜
ファーラ「……クライブ君、B地点のを取りに行きなさいよ」
クライブ「イ、イヤですよ。どう見ても、先生、B地点で待ち伏せしてるでしょう。さすがに分かりますよ」
ファーラ「チッ、このままじゃラチがあかないわね。ん? 時間が……」
クライブ「あっ、しまった。時間切れか……」
クライブ「……また、これですかぁ。しかも先生、前回、ボクに“エンドムービー”の位置を調整しないとキャラがめり込むとか説明してたのに、左の人、めちゃめちゃ埋まってるじゃないスか」
ファーラ「まあ、四の五の言わずに観念なさいな……ん?」
ファーラ「ほー……こんなんじゃ効かないぜ、ときたか。フフ、さすがに制裁慣れしてるクライブ君。これは失礼したわ。こちらも本気でかからないとね……」
クライブ「え!? いや、ボクは別にそんなこと言うつもりは」
ファーラ「時は来たれり……贄を捧げよ! 下等生物にしかるべき鉄槌を! 堕天使に裏切りの接吻を!」
クライブ「ちょっとー!? 何なんですか、これ! わざわざ作ったんすか! あと、こっそりサムソンも紛れてるでしょ、これ!」
ファーラ「チグリス! ユーフラテス! チグリス! ユーフラテス!」
クライブ「チックショー! 生きてたら、また会う日までー! ああっ、足元に火が……」
〜おわり〜
■著者紹介 夢崎
ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。PC版『マインクラフト』とコラボしたりもしている本作、モノづくりスキーには見逃せない1本になるかと思います。
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