ファーラ先生とクライブ君のマップエディット講座

※海外版を使用して作られていますので、画面写真は日本語版と異なる場合があります。

フィールドに工夫を凝らせ! 対戦マップ制作編

ファーラ「第3回目は、これまでの経験を糧にして、いよいよ対戦用マップの制作に着手していくわよー」

クライブ「待っていましたよ……」

ファーラ「あら、クラウド君。何よ、フリーザみたいなこと言って」

クライブ「クライブです! 大剣背負ってないし! ……フフフ、お忘れですか。ボクは飛空艇オブジェで、すでに先生を追い抜いたと言っても過言ではない……対戦用マップも、当然、もうできています」

ファーラ「大きく出たわね……早速、そのマップを見せてもらおうじゃない」

ファーラ「ふむ、大きな傾斜……これはスキー場かしら?」

クライブ「このゲーム、ある程度の傾斜は歩いたり走ったりできるんですが、急な角度になると、ただザーッと滑っていくんです。滑ってる間は、移動もジャンプもできない。ただし……銃は撃てるんですよ」

ファーラ「なるほど……つまり、滑りながら撃ち合うという新感覚シューティング、というわけね。坂の上に復活地点を設置して、崖下までいくと落下して死亡。また坂の上からスキーの始まり……か」

クライブ「その通り。あと、ピンボールの釘のように、各所にポールや木を設置しています。これによって、ただ滑降していくのでなく、障害物に弾かれることで、滑降ルートも予測できない。既存のFPSにはない、新たなアクション性をご提供する……というわけですよ。遮蔽物に隠れつつの撃ち合いなんて、もう古い! また度肝抜いちゃったかな? ついでに甘栗も剥いちゃったかな? このファーラ道場の看板、貰っちゃっていいですかね?」

ファーラ「どこから持って来たのよ、その看板……でもまあ、斬新ではあるわね。対戦のルールの中には、マップ上に散りばめられたオブジェクトを一定時間占拠するというのもあるけど、その辺りはどうなってるのかしら」

クライブ「ぬかりはありませんよ。これを見てください」

クライブ「坂の途中には、ポールや木だけではなく、このような足場もいくつか作ってあります。一定時間占拠する必要があるオブジェクトなどは、こういう場所に設置しています。が……敵が上から滑りながら撃ってきた場合、隠れる遮蔽物などはないんですよ。足場自体も狭いですし、逃げ場がない分、下手に占拠しに行くと逆に危険だったりする」

ファーラ「なるほど。滑降中に相手を仕留めて、復活してまた滑ってくる間に占拠してしまうか……もしくは、危険を承知で足場から上方向に銃を構えて、滑り落ちてくる相手をイチかバチかの撃ち合いに持ち込むか……駆け引きもあるわね」

クライブ「さらに、こんなものも仕掛けています」

ファーラ「この分かりやすい赤ドラム缶……爆発オブジェクトね」

クライブ「上から滑り落ちていって、敵を倒せずに通り過ぎてしまった場合など、こっちを狙って爆風で倒すという選択肢もとれるようにしました」

ファーラ「一見、足場で待機してるほうが有利に見えるけど、このドラム缶の存在がいい効果を出してるわね。……ところで、テストプレイはやってみたかしら?」

クライブ「もちろんです。意外な角度まで登れてしまうので、確実に滑る角度に調整しましたよ」

ファーラ「それじゃあ……サーバにマップをアップロードして、実際に誰かと対戦は?」

クライブ「いえ、ひとりで作ってたので、それはまだですけど……」

ファーラ「いい機会だし、ちょっと対戦してみましょうか」

ファーラ「これがサーバにマップデータをアップロードする画面よ。最初は未公開状態になってるから、まだ大勢に見られたくはないけど、ちょっと知り合いと対戦してみたい……ってときは、未公開のままでプライベートマッチで対戦→調整→アップロードし直し、というふうにやっていくといいわね」

クライブ「フフ、調整なんて必要あるかな?」

ファーラ「それではゲーム開始!」

クライブ「早速、滑降といくか……ていっ」

 

 

クライブ「ん? なんかダメージを受けて……ああっ!?」

 

 

クライブ「自爆!? ど、どういうことだ……」

ファーラ「エディットモードのテストプレイでは滑っていたようだけれど……実際には上手く滑らず、落下死扱いになるようね。しかも自分から滑りに行ったもんだから、自爆呼ばわり……」

クライブ「くっ……」

ファーラ「エディットモードでのテストプレイと実際の対戦での挙動は異なることが多いのよ。発想はよかったけど……フフ、詰めが甘かったようね」

クライブ「うっ、これは……」

ファーラ「対戦終了時の制裁画面ね。フフフ、覚悟はいいかしら」

クライブ「へぶしっ! 痛ぇっ」

ファーラ「これはサムソンのぶん!」

クライブ「ふぼっ!」

ファーラ「これはナターシャのぶん!」

クライブ「ぶべらっ!」

ファーラ「そしてこれが……クリリンのぶんだぁー!」

クライブ「全員、ボクは手をかけてないし、ひとり、関係ないの混ざってましたよね!?」

ファーラ「……」

クライブ「……」

クライブ「痛っ! なんで追加で殴られるの!?」

ファーラ「まあ、こんなふうに、負けたときはボコボコにされるわけね。ところで、クライブ君。対戦マップをアップロードするとき、“エンドムービー”っていうオブジェクトを置く必要があったでしょ」

クライブ「ああ、ありましたね……そうか、あれを設置した場所で、この制裁が行われるわけですね」

ファーラ「あれの設置場所は大事なのよ……ホラ、見なさい」

クライブ「あ……キャラが壁にめり込んじゃってる」

ファーラ「こういうことにならないように、実際に対戦してみて、細かく調整していくものなのよ。いろいろと急ぎすぎたようね」

クライブ「くっ……まだです! マップは、もうひとつあるんです!」

ファーラ「ほほう?」

ファーラ「これは……袋小路なのに出口側に爆弾を置いてしまって、聖母の眼差しで爆死を待つしかなくなる伝説の」

クライブ「どんだけヘタなんですか。対戦、そしてグレネードといえばこれでしょう」

ファーラ「ふむ……まあ、んじゃ対戦してみましょうか」

クライブ「! おっと。先生、スナイパーライフルで狙ってますね……そうはいかんざき!」

ファーラ「隠れたわね……長期戦になるわよ、これ」

クライブ「そりゃ、隠れますとも……」

 

クライブ「……」

クライブ「……」

 

クライブ「……どこにもいない! 先生、マジでいるんですか!?」

ファーラ「アナタが作ったんでしょ、このマップ。両者ともに移動し続けている場合、同じ列に同じタイミングでひょっこり出くわす確率が異様に低いのよ。見下ろし型視点のゲームならこれくらいの広さでいいんだけど、主観視点でさまようとなると、この程度でもかなり広く感じるでしょ」

クライブ「ぐう……」

 

ファーラ「あ、いた」

クライブ「え? どこどこ」

 

クライブ「グハァ!」

ファーラ「報酬はスイス銀行へ……」

クライブ「くっそー……復活したら、今度こそ先生の背後を!」

クライブ「よし、復活! さて、どういうルートで……」

ファーラ「……」

 

クライブ「ぐわー!? く、くそっ、また背後をとられたのか……」

クライブ「クッ、二度までも不覚を……」

クライブ「ほげー!? なんで、こんなにすぐ殺されるの!? 新手のデスノート!?」

ファーラ「私は、さっきから全然動いてないわよ」

クライブ「え!?」

ファーラ「アナタが勝手に、死んでは私の目の前に復活をくり返していたのよ……。ちょっと、マップエディター見せてちょうだい」

ファーラ「やっぱり……。復活地点を中央に集中させすぎ。このマップなら、すべての交差点にバラけさせてもいいくらいね」

クライブ「そうか、ボクが延々と同じ所に復活するもんだから、待ち伏せされてたわけですね」

ファーラ「でも、仮にバラけさせていたとしても微妙な結果になったと思うわ。なかなか相手に出くわさないから、黙々と迷路を歩いてるみたいだったでしょ」

クライブ「うっ……。そうッスね」

ファーラ「マップに立体的な要素を入れたり、地下にも道を作って、ソーッと敵の背後にまわれるような仕掛けを作っておいたり……。FPSのマップにはアスレチック的な、子供心のワクワク感を刺激するような作りが必要ということね」

クライブ「ぬう……無念。師匠越えには一歩及ばなかったか……。名残惜しいですが、この看板はお返しします」

ファーラ「だから、どっから持って来たのよ、その看板は……。それはそうとクライブ君、今度は私の作ったマップで対戦してみない?」

クライブ「ほう! やりますとも。ここで勝利すれば、汚名を多少は返上できる」

ファーラ「もし私に勝てたら、このブログの主導権を譲ってもいいわ……タイトルを"クライブ君の、ファークライ!? ドントクライ! 迷える子猫ちゃんを導くマップエディット・キッス 〜今宵、貴様のハートをヘッドショット〜"に変えてもいい」

クライブ「そのタイトル名は若干アレンジさせて頂きますけど、主導権は魅力ですね……乗った!」

ファーラ「それじゃ、ゲームスタート!」

クライブ「! いたな……」

ファーラ「……」

クライブ「さすがの先生も、正面きっての撃ち合いは好まないようですね……。いや、分かってますよ。先生の持ってる武器がスナイパーライフルだからでしょう? この距離なら使いづらい銃だ。もはやボクの勝ちは決まったようなもの! さあ、観念してください!」

クライブ「グルグルと往生際の悪い……! つぎのカドは曲がらせませんよ!」

クライブ「!? バッ……バカな、消えた!? 隠れるところなんて、どこにも……!」

クライブ「上……にもいないな。そもそもハシゴなんてないし……」

クライブ「がっ! う、撃たれた……!?」

クライブ「後ろ!? 後ろから……!? 追いかけていたのはボクなのにィーッ!」

ファーラ「残念だったわね……さて、なぜあの状態で背後から撃たれたのか? 分かるかしら、クライブ君」

クライブ「建物の上に上れるようなものはなかったし、近くに地下道のようなものもなかった……しかも一瞬だった。"背後をとったと思ったら、とられていた"……ハッ、まさか先生はスタンド使……」

ファーラ「違います。……タネ明かししましょうか」

ファーラ「ここはさっき、アナタが背後から撃たれた場所ね。クライブ君、ここの壁に体当たりしてみて」

クライブ「? は、はぁ。よっこらせ……っと」

クライブ「!? 中に部屋が……いや、壁をすりぬけた……?」

ファーラ「よく分からないけど、このパーツはすり抜けられるのよ。いろんなオブジェクトを試していたときに気付いたんだけどね」

クライブ「そうか……カドを曲がったときにここへ入って、この幻影の壁の裏を通ってボクの背後にまわったんですね」

ファーラ「そういうこと。クライブ君に、第2回までのフロンティア精神があれば気付いたかもしれないけれど……アナタはもう、逃げる私の背中しか見ていなかったものね」

クライブ「ぐっ、完敗です……!」

ファーラ「んじゃ敗者には、お決まりの……アレを喰らってもらおうかしら」

クライブ「うっ、これは……」

ファーラ「覚悟は、いいかしら……」

クライブ「! そ、そうだ。ホラ、先生。写真にあるように、寛大な心で許すことだってできるんです! 師匠越えなんて、魔が差したんです! 後生です!」

ファーラ「そうね、誰でも調子に乗っちゃうことはあるわ。まあ今回は許……」

ファーラ「さなーい!

クライブ「ですよねー!」

〜第4回に続く〜

 

■著者紹介 夢崎

ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。PC版『マインクラフト』とコラボしたりもしている本作、モノづくりスキーには見逃せない1本になるかと思います。

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