ファーラ先生とクライブ君のマップエディット講座

※海外版を使用して作られていますので、画面写真は日本語版と異なる場合があります。

マップに豊かな彩りを! オブジェクト設置編

ファーラ「第2回目は、マップ制作の要である“オブジェクト”について! オブジェクトというのは、カンタンに言うとマップに置けるモノのことで、本やコップといった小物から、家そのもの、木や滝といった大物までイロイロあるわ」

クライブ「前回でいうと、ヤシの木や、飛行機の残骸、焚き火といった、あの辺りですね」

ファーラ「その通り。使用できるオブジェクト数は約2000種類という豊富さで、どんなものがあるかと聞かれると、ちょっと多すぎて、正直まだ把握しきれてないくらいよ」

クライブ「前回は基本的に外のお話でしたけど、FPSは屋内戦もありますしね。難攻不落の要塞とか作ってみたいなぁ」

ファーラ「最初は、何もない状態からあれこれ作ろうとするよりは、狭い空間に限定して、ちょっとずつアレンジしていくほうがやりやすいと思うの。というわけで、つぎの写真を見てちょうだい」

クライブ「おっ、建物の中ッスね」

ファーラ「ここを“酒場”というテーマで、クライブ君流にアレンジしてみて」

クライブ「なるほど、了解しました! えーと、ここにこれを置いて……っと」

〜小一時間後……〜

クライブ「できました!」

ファーラ「どれどれ」

ファーラ「ふむ、いかにもな酒場ね……外を夕暮れにして、ライトを設置したわけか。棚や机に置かれた酒瓶も雰囲気出てるし、なかなか工夫してるじゃない」

クライブ「ヘヘ……。酒場といえばタルと、あと、天井のプロペラみたいなオシャレ空調ッスよね」

ファーラ「そのへんはなかなか貧困な発想ではあるけど、初めてにしては悪くないわ。でも、個人的にはもうちょっと、こう……荒くれ者たちの下品な笑い声が響き渡る感じの酒場が見てみたいわね」

クライブ「あー、分かります。西部劇みたいな?」

ファーラ「そうそう。左右に開く扉を押して入店したら客がジロッとこっちを睨みつけて、こっちもひとりひとり睨みつけながらカウンターに歩みを進めていく感じの」

クライブ「先生! ここからさらにアレンジして、そんな感じのを作って見せてくださいよ!」

ファーラ「OK牧場。ここをチョイチョイっと……んで、ここを……カチャカチャカチャッ……ターン! ハイ、こんなものかしらね」

クライブ「全然違うし!

ファーラ「荒くれ者たちがガンをつけただの、つけてないだので始まる小競り合いは酒場の華よね」

クライブ「小競り合いで飛び蹴りってあります? しかも、やたら打点高いし! あと、後ろはそれどころじゃないし!」

ファーラ「コメディ西部劇にはよくある光景じゃない」

クライブ「そんなジャンル、初耳ですよ!? 何なの? 馬に引きずられながらジェットスキーでもすんの?」

ファーラ「前の写真と比べて間違い探しをしてみるのもおもしろいわよ」

クライブ「いろんな意味で間違いだらけですよ!」

ファーラ「まあ、お気に召さなかったようだから、笑いあれば涙あり……ってことで、こんなのもご用意してみたわ」

クライブ「! おおっ、なんか戦死した者の墓碑チックな……」

ファーラ「飛行機墜落の衝撃から我が娘を守るべく、身を呈して帰らぬ人となったナターシャの父・サムソン。その最期を看取ったクライブは、海の見える丘に亡骸を埋め、沈み行く夕日に何を思うのか……」

クライブ「そ、そうだったのか……。娘さんのことはまかせてください! ボクがおいしくいただきます!」

 

ファーラ「テーレッテー! 貴様に……娘は……やらん……

クライブ「!?」

 

 

ファーラ「突如、蘇ったサムソン! なんと、この島には死体を媒介とする特殊なウイルスが蔓延していたのだ。「やめて、お父さん!」と泣きじゃくるナターシャ。「君のお父さんは、もう死んだんだ!」と叫び、歯を食いしばりながら銃口を向けるクライブ。一発の銃声の後、撃たれた死体が発するかすかな声が、クライブの耳に届いた。「あり……が……とう……」」

クライブ「こんなB級、いまどき、あります? もー、先生に作らせると、毎回、変なジオラマみたいになるじゃないですか……しかも全部バッドエンドだし」

ファーラ「いいこと言ったわ、クライブ君。そう、『ファークライ3』のマップエディットには、そういう楽しみかたもあるのよ。FPSの対戦用マップを作らなくちゃ……っていう固定観念にとらわれず、ジオラマを作るつもりで、発想の翼を大いに羽ばたかせてほしいわね」

クライブ「クッ、なんかいいこと言って締めたっぽい雰囲気が腑に落ちねー……。」

マップエディットの醍醐味! オブジェの組み合わせ編

ファーラ「さて、さっきの、地面から手が出て復活したゾンビ父さんだけど、アレ、どうやって作ったと思う?」

クライブ「むむ、そうですね……多分、死体があるんだから、腕だけのパーツとかが……あれ? 見当たらないな」

ファーラ「あれは、手をのばしてる死体を縦向けにして、地面にめり込むように設置してあるのよ。地面の下は通常見えないから、都合よく隠せるわけね」

クライブ「なるほど……地面の下へ追いやっちゃえばいいのか」

ファーラ「地面だけでなく、オブジェクトの中もアリよ。たとえば……」

ファーラ「これは、正方形のプレートを2枚重ねてるの。上のほうのプレートの大部分は、下のプレートの中に埋まってるってわけね」

クライブ「なるほど……パッと見、分かりませんね」

 

ファーラ「丁寧に合わせれば、この通り、縦の接合面もキレイでしょ」

クライブ「そっか。これを応用すれば、自分の好みの間取りの建物とかも作れるってわけですね!」

ファーラ「ええ。でも、その場合、壁だけでかなりのオブジェクト数になるから、詰め込みすぎて、肝心の小物が置けなくなったりしないようにね。……さて、クライブ君。今回のメインディッシュでもあるけど、このオブジェクト組み合わせを使って、組み合わせならではのモノを何か作ってみてちょうだい」

クライブ「組み合わせならでは、ですか……たとえば、どんな?」

ファーラ「こんな!」

クライブ「!? 『ぷよぷよ』のカーバンクル……ですかね、これは」

ファーラ「チッ、最近の子は『ぷよぷよ』なのね……『魔導物語』も、やんなさいよ!」

クライブ「す、すんません。なるほど、黒い部分が、あんぐりと開けた口なわけですね……そうか、こういうのも作れるのか」

ファーラ「フフフ。さあ、ここまでで学んだことを踏まえて、クライブ君の成長を見せてちょうだい……」

クライブ「やったろうじゃん!(原 秀則)」

〜小一時間後……〜

クライブ「できました!」

ファーラ「どれどれ」

ファーラ「ぼ……ぼうえいシステムときたか」

クライブ「DS版の合体ロボは邪道だと思うんですけど、先生はどう思います」

ファーラ「そんなことより“かくばくだん”を投げつけても、その後、双方、平然と戦いを続けるのはどうかと思うわ……。しかし、なんか丸みがあって、ちょっとかわいいし……やるわね、想像以上の成長よ。しかし、ここまで作ったなら気付いたはず。『マインクラフト』と違って“色”を出しにくいから、こういうの作りづらい、と!」

クライブ「ま、まあ、もともと、そういう作りかたは想定されてませんしね」

ファーラ「そこで、それを踏まえて、もう一丁いってみましょう。今度は、FPSの対戦ステージってことも少しだけ意識してみてちょうだい。そう……こんなのを!」

クライブ「!? こ、これは『マインクラフト』の、自爆するアレですよね。なるほど、遺跡発掘に見立てたわけですか。それに、緑色なら地面のテクスチャで代用できる。よくできてる……けど、なんか前方後円墳みてぇ」

ファーラ「フフ……こんなところで銃撃戦とか、考えただけでゾクゾクするでしょ」

クライブ「な、なんて心臓に悪いステージなんだ……。心理的にグレネード投げれねぇ」

ファーラ「ジオラマ感も大事にしてるのよ。この隠し切れない遺跡発掘臭……どうよ」

クライブ「おお……これも死体オブジェクトですよね。資料を手にする考古学者にしか見えない」

ファーラ「机の上に広がる小物類も、すべてオブジェクトによるものよ。……さあ、つぎはクライブ君の番よ! “色”の再現が難しいこのエディットで、私を唸らせるものを作ってごらんなさい!」

クライブ「分かりました。一週間後、またここに来てください。本物のオブジェクトをご覧に入れますよ」

ファーラ「士郎か!」

〜小一時間後……〜

クライブ「お待たせしました」

ファーラ「どれどれ……」

ファーラ「飛空艇……! くっ、これなら色の問題もクリアーしている……考えたな、士郎」

クライブ「クライブです。それにこのプロペラ、見てください。ちゃんと回ってるんですよ」

ファーラ「これは……酒場で使ってたアレね。なるほど、上下逆に設置したのね。ううむ、これはナカナカ……」

クライブ「狭いですけど、飛空艇内部をもうちょい作りこめば、対戦もできると思うんですよ。空中で戦うFPSってナカナカないですよね。そして……背景にも注目していただきたいですね。飛空艇といえば、雲海を突き抜けての疾駆。その雲海も再現しました」

ファーラ「雲海……遥か上空に作ったのかしら?」

クライブ「いえ。第1回でマップの高さの限界を確かめましたが、頂点に達しても雲がかかることはありません。……フフ、先生にも分かりませんか?」

ファーラ「くっ……!」

クライブ「つぎの写真を見てください」

クライブ「海の高さをゼロにして、地形をいじるメニューの“アドバンス”の中にある、穴を開ける機能を使って地面ごと削り取るんです。すると、周囲が雲海になります」

ファーラ「なるほど……これは盲点だったわね。とにかく何でもいじってみて覚える、クライブ君のポジティブエディットによる発見というわけね。うーん、負けたわ」

クライブ「やったー!」

ファーラ「ところでクライブ君。これ、落ちたらどうなるのかしら?

クライブ「えっ? ……そ、そうですね、地面がないわけですから……えーっと……」

ファーラ「大丈夫、今回は“ゲーム中無敵になる”にチェックマーク入ってるから」

クライブ「え、大丈夫って何が……ちょ、やめっ」

うわあああぁぁぁ……

あああああああ……

ああああああ……

 

あああ……

クライブ「……あれ? 先生、これ、いつまでたっても……」

ファーラ「なるほど、いつまでも自由落下し続けるわけか……またひとつ勉強になったわね」

クライブ「そ、そうですね。痛い思いしなくてよかったですけど……あの、先生。これ、もとに戻すには」

ファーラ「スタートボタン押してエディットモードに戻るしかないわね。……おっと、コントローラーの電池が切れたわ」

クライブ「ええ!? 早く新しい電池を……」

ファーラ「分かりました。一週間後、またここに来てください。本物の自由落下をご覧に入れますよ。それじゃ」

クライブ「ちょっ……何言ってるんですか! 本物の自由落下って何なんですか! これでしょ! ジャスト、これでしょ! 先生ー! 戻ってきてくださーい! 話的にオチてないですよ! ハッ、自由落下してるから落ちてはいるのか……じゃなくて、先生ぇぇー!」

 

〜第3回に続く〜

 

■著者紹介 夢崎

ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。PC版『マインクラフト』とコラボしたりもしている本作、モノづくりスキーには見逃せない1本になるかと思います。

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