※海外版を使用して作られていますので、画面写真は日本語版と異なる場合があります。
ファーラ「『ファークライ3』が楽しみすぎてモヒカン待機してる皆様、こんにちは! 当講座の講師を務めさせていただく、ファーラです! よろしく!」
クライブ「FPS大好き少年、クライブです! 先生、このゲームはFPSですよね? FPSでマップエディットってあんまり聞いたことないんですけど……」
ファーラ「そうね、クライブ君。これまでのFPSは対戦を重視しているものもあったけど、決められたマップでの連戦や、公式からの新マップの配信を待つしかないものが多かったわ。でも『ファークライ』シリーズは1作目から、かなり自由にマップを作れることをウリにしているの。下手したら一生遊べるわよ」
クライブ「そいつは楽しみだなあ……。でも、先生。これだけグラフィックが緻密なゲームでエディットとなると、難しそうというか……適当に作るとアラが目立ちそうな気がするんですけど」
ファーラ「フフ、そうね。意気揚々とエディット開始したはいいけど、ゲーム本編のような美麗なステージが思うように作れないと「やっぱ、俺なんてドブネズミだよな……」って落ち込んで、AK47の砲身を口に突っ込んで目を閉じるわよね」
クライブ「い、いや、一気にそこまではいきませんけども」
ファーラ「ところがどすこい、おそらくアナタの予想以上にカンタンに作れてしまうのよ。さあ、マップエディット画面を開いてちょうだい!」
想像力の海原へイカダを漕ぎ出せ! ロマンティック島作り編
クライブ「開きました!」
ファーラ「よーし、いい子ね。クライブ君、アナタはどんなマップを作ってみたいのかしら?」
クライブ「そうッスねー……『ファークライ3』って南国の島が舞台ですよね。やっぱ男のロマンとしては無人島で、飛行機墜落で奇跡的に助かったふたりの生存者として、スゲェかわいい子と砂浜で焚き火の前で膝を抱えて「これから私たち、どうなっちゃうんだろう」「バカ、心配するなよ。俺がついてる」「クライブ君……うん、ありがとう。でも、怖いよ。私たちふたりだけしかいないんだよ」「アダムとイヴもふたりだけだったろ? もっとも、禁断の果実はもう俺の目の前にあるけど……ね」「えっ……あっ、ん……」と彼女と揉みくちゃになって、砂浜に描いたSOSの文字をグシャグシャにしながら、焚き火に照らされたふたりのシルエットがもつれ合いながらも次第にひとつになっていく……そんなカンジの島を作ってみたいッス!」
ファーラ「なかなか重症ね。無人島をナメきった現代っ子の都合のいい妄想がこれ以上ない角度で炸裂してるけど、大☆丈☆夫! 『ファークライ3』のマップエディットは、そんなものも余裕で作っちゃうわ……。とりあえず地面を地面らしくするところから始めましょうか。砂浜のテクスチャを選んで、マウスで塗るように、グリグリ広げてみなさい」
クライブ「は、はい。グリグリ……っと」
クライブ「おお……お手軽に砂浜が」
ファーラ「地面ができたら、適当にヤシの木あたり植えてみましょう」
クライブ「モロにそのまんまのヤシの木アイコンが……ほかにもいろんなタイプの樹木があるんスね」
ファーラ「植樹も一瞬でできるわけよ。あと、平らってのも変だから、ちょっと凹凸をつけて……」
クライブ「もっこり!」
ファーラ「冴羽遼みたいに言わないでよ。あと、島だから、周りを海にしないとね。遠くに海が見えてるでしょ? 最初は海のライン高さが、地面のすぐ下あたりになってるの。だから、ちょっと地面をへこませてあげると……」
クライブ「おお、池が!」
ファーラ「この要領で周囲を水没させていくわよ……」
クライブ「だいぶ、島っぽくなってきましたね」
ファーラ「これであとは時刻設定を夕暮れ時にして、焚き火を設置して、砂浜にSOS描いて……ついでに墜落した飛行機も置いときましょうか。チョイチョイ……っと」
クライブ「うおおー! 俺とナターシャの、文字通りの愛ランド完成ッスねー! 燃えるー!」
ファーラ「誰よ、ナターシャって……。まあ、ともかく、ここまで10分かかってないわね。どう、カンタンでしょ?」
クライブ「はい! やる気出てきました! ……って、むむ? 砂浜に何かいますね、これ」
クライブ「! 人が折り重なって……せ、先生! 俺のサバイバルラブまで再現してくれてたんですか! サイコーッス!」
ファーラ「フフ、ほんのサービスよ」
クライブ「どれ、もっとアップで……。」
クライブ「うおおおお、来たー! ハイ、来たー! これは奪ってる! 完全に唇奪ってる! ありがとうございます! 唇ありがとうございます! エンダァァァァーイヤァァァー!」
ファーラ「全力で“I will always love you”流してるところ悪いけど、これ、死体なのよね」
クライブ「……え?」
ファーラ「このエディターでは、ご覧のように飛行機の残骸や焚き火など、オブジェクトもいろいろと置けるわけだけど……死体も置けるの。試しに、この上のほうの人をどけてみましょうか……チョイチョイっと」
クライブ「グワー!? オッサンの死体だこれー!」
ファーラ「極限状態で苦楽をともにしたふたりには、時として性別も友情も超えた愛情が芽生えてもおかしくないものよ。ハイ、エンダー……」
クライブ「イヤァァァァー!」
ファーラ「フフ……無人島と言ったら、先客の死体でしょ。あと、クライブ君はさっき“南国の島が舞台”と言ったけど、別に南国にこだわる必要はないのよ。岩山に囲まれた秘密基地みたいなのも作れるし、塔だって作れるわ。というわけで第2のステップにいきましょう」
空の高さを確かめろ! マップの広さ確認編
ファーラ「マップエディット欲が出てきたところで、「どのくらいの規模のものが作れるんだ? マップの広さは?」と気になってる人もいるんじゃないかしら。そこで……ってクライブ君、うつろな目で黙々と何をやって……」
ファーラ「……悪かったわ。アナタはオッサンの唇は奪ってない。大丈夫よ。あれはナターシャのお父さんなの」
クライブ「マジで!?」
ファーラ「マジよ。飛行機墜落直後は生きてたんだけど、日没とともに彼の命も……。彼女は岩陰に泣きに行って、アナタは彼のまぶたをそっと閉じさせてあげていただけなの。この後、悲しみにくれる彼女の心につけ込……いや、慰めるようにして、凍りついた彼女の心を解きほぐしていかなきゃ。砂浜でおっぱい作ってる場合じゃないわ。分かるでしょ?」
クライブ「そ、そうですね……よし!」
ファーラ「さて、というわけで……まずはマップの広さをご紹介するわ。クライブ君、次の写真は適当に山や森を生成したマップなんだけど、これが制作できる最大サイズなのよ。どう思う?」
クライブ「すごく……大きいです……。一見、狭く見えますけど、これ、カメラものすごい引いてますよね。FPSの対戦マップとしては逆に広すぎる気も」
ファーラ「その通り。「俺のこのダダ漏れの創作欲を満たすべく、すごい巨大マップ作るぜー」と思ってる人はパッと見、物足りなさを感じるかもしれないけど、実際にマップを走ってみると広すぎて考え直すと思うわよ。実際に計測してみたんだけど、端から端まで走りっぱなしで約1分15秒かかったわ。参考までに、ちょっと降り立ってみましょうか」
クライブ「……向こうの山が果てしないッスね。RPGだったら何か乗り物でもないと、徒歩ではあそこまで行きたくないなー」
ファーラ「というわけで、広さは充分。マップサイズを狭くすることはできるし、マップとして使う部分の周囲に適当に高い岩山でも作って、囲ってしまってもいいわね」
クライブ「FPSのマップエディットってオマケのようなものと思ってたんですけど、侮ってたかも……。これなら、何でも作れちゃいそうですね」
ファーラ「そうね。でも、広さは問題ないんだけど、マップ全体に置けるオブジェクト数と、一定範囲内に置けるオブジェクト数には限界があるから、際限なくいろいろと詰め込むってわけにはいかないけどね。全体にバランスよく配置することを心がければ、思い描いているたいていのものは作れると思うわよ」
クライブ「そっかー。何作ろっかな……とりあえずナターシャとの愛の巣でも……島に廃墟となった高層ビルがあって、そこの最上階とかにするかな。「あそこに廃墟ビルが見えるだろ? じつは、あそこの最上階に、壁・床・天井が無事で住めそうな部屋が残ってたから片付けておいたんだ。その部屋は眺めが最高なんだ。とくに……朝日がね」ブホッ! ヤッベ、決まりだわ、これ……」
ファーラ「待って、クライブ君。お楽しみのところ悪いけど、まだ確かめていないことがあるわ」
クライブ「? 何スか?」
ファーラ「マップの高さよ。私は『マインクラフト』大好きっ子なんだけど、高さ制限がけっこうきびしかったのよ。だから、バベルの塔のような建造物を作るのは難しかった。アナタが作ろうとしてるそのビルも、高さ制限次第では……」
クライブ「! そうか。低すぎたら朝日の眺めどころじゃないな……。先生! どうやって確認すれば」
ファーラ「フフ、まかせなさい。じつは、こんなものを作っておいたわ」
クライブ「!? こ、これは……!?」
ファーラ「地面を隆起させて、その横に階段もつけてみたわ。期せずして超高層ビルみたいになってるわね」
クライブ「この時点でもう、ボクの作ろうとしてるビルはいけそうですが……」
ファーラ「これが高さ制限いっぱいまで……で、思いっきりカメラを引いた図よ」
クライブ「……さっきの草原と山の比じゃないものを感じますが……」
ファーラ「実際には、この頂点の上にさらにオブジェクトを置けるから、もう少し高くなるわ。こんな感じね」
クライブ「先生、高さも充分じゃないですか! 問題ナス! 早速、愛の巣ビル作りを……」
ファーラ「でもね、これをご覧になっている人たちには、これだけじゃイマイチ伝わらないと思うの。さっき、端から端まで走って約1分15秒って言ったけど、あんな感じだともう少し伝わりやすいかなって」
クライブ「なるほど。ってことは、この階段を使って下からダッシュで駆け上ればいいわけですね」
ファーラ「待って。これは螺旋階段だから、その方法だと、ちょっと正確性に欠けるのよね。」
クライブ「あ、そっか。まったく同じスピードで1層ずつ上るとか、機械でもないと無理ですね……うーん、どうしよう」
ファーラ「そこで、私にいい考えが……クライブ君、飛び降りて。えいっ」
クライブ「ファッ!?」
うわあぁぁぁ……
クライブ「ゴハッ! ちょっ、ゴッ、うっ……」
ファーラ「計測したわ……約15秒ね。これはスゴいわよ、クライブ君。建物の2階から1階に落ちるのなんて一瞬だから、そこを15秒もかかるって……かつて、こんな高さまで作れるエディットがあったかしら!? いや、ない!(反語)」
クライブ「こ、これまでか……ゴホッ、ゴホッ……」
ファーラ「大丈夫、テストマップでは無敵になれるのよ。この設定画面の下から5番目を見てちょうだい!」
クライブ「チェ、チェックマーク、外れて……うっ、ゲフッ」
ファーラ「……あれ? あー……これは……忘れて……それでは次回はマップを彩る、豊富なオブジェクトについてご紹介していくわ! 乞うご期待!」
クライブ「ボ、ボクの命も乞います……」
〜第2回に続く〜
■著者紹介 夢崎
ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。PC版『マインクラフト』とコラボしたりもしている本作、モノづくりスキーには見逃せない1本になるかと思います。