• DATA
  • ■メーカー:スクウェア・エニックス
  • ■ジャンル/テイスト:アクション・シュー
  • ティング/戦争
  • ■発売日:2011年11月17日(日本語字幕版)、
  • 2011年12月22日(日本語吹き替え版)
  • ■価格:各7980円[税込]
  • ■開発:インフィニティ・ワード/スレッジハンマー・ゲームス

ソフト発売前週から4週にわたってお届けしてきた『MW3』の特集もいよいよ最終回。そこで今回は、同作のVIPにインタビューを敢行する。登場してくれるのは、『MW』シリーズの主役とも言える"ソープ・マクタビッシュ"の日本語吹き替え版声優を担当した岡林史泰さんと、『MW3』の物語でキーとなる存在"アリョーナ"の日本語吹き替え版声優を担当した植田佳奈さんのふたり。収録時の模様から、日本語吹き替え版の注目ポイントなどを聞いた。またふたりは、プライベートでも『MW3』に夢中ということで、それぞれのプレイスタイルについても質問。マルチプレイで役立つテクニックも明らかになるかも?

公私ともに『MW3』に魅了されているふたりは、日本語字幕版の発売日(2011年11月17日)よりスタートしたニコニコ生放送の番組"コール オブ デューティチャレンジ"に出演中。毎週木曜の午後8時〜午後9時まで、全6回にわたって放送中だ。番組内では毎週、ゲストおよび視聴者とともにオンラインでマルチ対戦を実施。ふたりはどんな戦いぶりを見せ、そして成長していくのか? 放送スケジュールは以下の通り。

  • ――まさかソープがあんなたいへんなことになるとは……。
  • 岡林  そうですねえ……僕もビックリしました。収録のときは台本のみだったので、どういう経緯でああいったことになるのかがよくわかっていなかったので、実際にプレイしたときの衝撃ときたら! しばらくその場から動けなかったですもん。
  • ――収録にはどのような気持ちで臨んだのでしょうか?
  • 岡林  情報が多くなかったので、状況をしっかりと想像して収録に臨みました。あとは、若干の期待も残しつつ……「まさか、そんなはずはない!」と(笑)。
  • ――岡林さんが、かなりソープに思い入れを持っていることがよくわかりました。『MW2』で最初に声優のお話が来たときはどう思われましたか?
  • 岡林  お話が来た時点では『MW』シリーズの名前こそ知っていたものの、遊んだことがなかったので、まず初代『MW』を遊んでみました。でも、ソープは主人公だから姿が見えないし、セリフもない(笑)。だからどんな口調なのか、どんな性格なのかは『MW2』の台本から想像するしかなかったんですよね。ただ、英語の原音は聴くことができたので、そこから雰囲気だけは感じ取れました。あとは、「こんなに激を飛ばしているんだから、きっとソープはアツい男に違いない!」とか、ローカライズスタッフと相談しながら手探りでキャラ作りをしていきましたね。だけどそれでも正直不安はあったので、ソフトが発売されたときは答え合わせをしているような気持ちでした(笑)。
  • ――岡林さんが思い描いたソープという人物をひと言で表現すると?
  • 岡林  熱血ですね。不利な状況に陥っても己の正義を貫いて戦うあたりはじつに彼らしいと思う。声が大きいだけの熱血ではなく、真の強さを持った男ですね。
  • ――英雄という言葉がふさわしい感じですかね?
  • 岡林  うーん、英雄と言えばそうなんですけど、個人的に『MW』シリーズに英雄はいないと思っています。ほかの戦争物ゲームでは主人公が英雄的に際立って活躍することが少なくないですけど、『MW』シリーズは群像劇の要素が強いんじゃないですか。場面によって主人公が変わり、ソープはあくまでそのひとりに過ぎない。変な言いかたになりますが、名前はあるけど全員エキストラのような感じがしますね。いま振り返ってみれば、ソープを演じるときも彼を英雄視することはなかった気がします。
  • ――あくまで、ひとりの優れた兵士という捉えかたをしていたわけですね。
  • 岡林  そうですね。でも、プレイ中にソープが前にいるとすごい安心感があるんですよね。盾になってくることもあるし。
  • ――演技するうえで気を付けたことはありますか?
  • 岡林  絵にマッチさせることですね。状況にマッチさせるのは当たり前のことなので、そこから一歩進んでキャラクターの絵に自分の声を合わせることを意識しました。あとは『MW2』から『MW3』で若干のキャスト変更があったなか、続投させてもらえたという意味を重く捉えていました。
  • ――とくに印象的だったセリフはありますか?
  • 岡林  いちばん印象的だったのは……けっこうバカゼリフかもしれませんけど、『MW2』だと「よく考えてから武器を拾え。そんなやかましいのはいま必要ないだろう」、『MW3』なら「もうおまえといっしょのステルス任務はゴメンだ」ですかね。どちらも主人公が彼の命令を守らずに行動してしまい、敵から総攻撃を受け、なんとかやり過ごした後に吐き捨てるように言うセリフです。物語がシリアスに進行するなかで、どこかほっとできるセリフなので印象に残りました。あと、本当にいちばん印象的だったのは……まあ、それは『MW3』をプレイすればわかると思います。
  • ――自分がプレイしたのは字幕版ですけど、なんとなくわかりました(笑)。
  • 岡林  ですよね……。ただその場面に限らず、個人的に日本語吹き替え版では場面ごとの空気感などがよりよく感じ取れると思います。収録時にディレクターを担当してくれた方が、相手との距離感などを考えながら細かい指示を出してくれたので。場面によってはオリジナルよりもセリフの演出がよくなっているかもしれません。
  • ――字幕版を遊んだ人も、改めて日本語吹き替え版を遊ぶ意味がありそうですね。
  • 岡林  それはぜひ! 僕も字幕版を遊びましたが、ときどき字幕が表示されないシーンがあるんですよね。「いま何て言ったのか気になるのに!」って感じに。これは北米版でも字幕がない部分なので仕方がないのですが、でも日本語吹き替え版ではそういったところも吹き替えされているので、絶対に遊んだほうがいいです。『MW3』の世界が広がると思いますよ。
  • ――それわかります! プライスとソープがジープで突入するシーンで、ふたりが何か喋ってるところ、すごく気になるんですよ。
  • 岡林  もちろん、そこのシーンを始めすべて吹き替えされていますよ! もう買うしかありませんね(笑)
  • ――ちなみに、ソープに限らず『MW』シリーズで好きなキャラクターはいますか?
  • 岡林  僕は『MW2』のタスクフォース141の面々が大好きなんです。精鋭の集まりだけど、緊迫した状況の中でジョークを飛ばしあったりするあの感じ……命のやり取りの中で行われる軽いやり取りが、じつに傭兵っぽい。あと、『MW2』の主人公はジャンプするとよく落ちて仲間に助けられますよね(笑)。それがちょっとおもしろかったりもしました。
  • ――ジャンプ失敗は『MW』シリーズの伝統とも言えますよね(笑)。そういった過去作の要素を毎回取り入れるところも、本シリーズの魅力だと思います。
  • 岡林  そう! あれがまたグッと来るんですよ。『MW3』は1作目を遊んでいた人がグッと来るシーンが多いと思いました。ちょうどいま1作目から遊び直しているんですけど、ところどころに『MW3』への伏線が張られているじゃないですか。とくによかったのは、プリピャチへ行くシーンのあの人があんなところで……というところですね。
  • ――"あの人があんなところで"は、『MW3』で意外とサラっと語られていましたけど、ファンにはたまらない伏線でした。
  • 岡林  1回目は見逃してしまう人がいるかもしれませんよね。でも話の大筋がわかって、細かところも見る余裕ができた2周目あたりで、「あれ……、この人って?」と気づくわけです!
  • ――今回でソープたちの物語は一旦の終結を迎えたわけですが、収録全体を振り返ってみていかがでしたか?
  • 岡林  『MW』シリーズは各所で戦いが勃発しますよね。とくに『MW3』はそれが顕著で、ひとりの話が飛び飛びになっている。そうなると演じる側は戦地と戦地のあいだを想像しなければいけないわけですが、逆にそのお陰で考える楽しさがあったと思います。『MW2』ではソープというキャラクターを知ることに手一杯でしたが、『MW3』ではその戦地と戦地のあいだを考える余裕もありました。セリフ自体はそんなに多くないのですが、すごく楽しい収録でしたね。
  • ――日本語字幕版の発売に合わせてニコニコ生放送の番組『コール オブ デューティ チャレンジ』がスタートしましたが、数回を終えていまのご感想は?
  • 岡林  やっぱり、FPSって日本だと正直まだそれほど人気があるとは言えないですよね。楽しさを広めるためには、初心者も楽しめるし上級者も楽しめるというふたつの要素を、提示していかなければいけないと思う。『コール オブ デューティ チャレンジ』でそれができたらいいんですけど……僕も植田佳奈さんもヘタクソなので、上級者視点をなかなかお見せできていません(笑)。そこら辺の歯がゆさを感じています。
  • ――でも、岡林さんのプレイを見る限りそこまでひどくはない気も……。
  • 岡林  いやー、まだまだですよ! 放送での瞬殺ぶりを見てもらえばとても上級者だなんて言えません(笑)。
  • ――ふだんオンラインマルチプレイはどれくらい遊んでいるんですか?
  • 岡林  仕事がないときはつねに繋いでいるような状態ですね。マルチ、またはサバイバルを遊んでいて、マルチがランク45あたり、サバイバルは37かな。けっこう遊んでいる気がするんですけど、上には上がいるもので、そういう人たちを見ると「もっとがんばんなきゃな」という気持ちになります。
  • ――自分よりはかなり上を行かれています……。
  • 岡林  マルチって最初がいちばん難しいんですよね。武器も充実していないし……僕から初心者の方にアドバイスをするとしたら、いろいろな武器を使ってみるというのをオススメしますね。高ランクの人が落とした武器を拾って使ってみると、「こんな武器が将来使えるんだ!」という発見があるので。
  • ――ちなみに岡林さんのプレイスタイルはどのようなものでしょうか?
  • 岡林  最初はエイムが苦手で、まったく当てられなかったんです。だから、エイムに頼るのはやめて、ナイフで攻める決断をしました(笑)。走ってナイフ、走ってナイフというプレイスタイルで、銃はまったく使わないというスタンスだったんです。そうするとキルレシオ(キル数とデス数の比率)が0.5くらいで安定するんですよ。1回倒して、1回やられる状態ですね。でも、ある日気付いたんです。ナイフはゲーム中に1種類しかないけど、銃は何十種類もある……ナイフだけ使っていて、このゲームをやり尽くしたと言えるのか? って(笑)。それから銃も使うようになりましたね。だから、銃の扱いはまだまだだし、ナイフのときの癖が抜けないのでついつい突撃してしまうんですよ。ただ、振り返ったら敵がいた、目の前を敵が横切ったときなんかは「ビックリしたらナイフを出せ」と頭に叩き込まれているので、ナイフの反射神経はかなり高いかと(笑)。あと、井上さん(『MW3』の宣伝 プロデューサー)といっしょに遊ぶことが多いんですけど、井上さんがよく突撃する。ゲームが始まるとすごい勢いで走っていって、それが本当に楽しそうで、ついつい自分もつられて突撃しちゃうことがありますね。初心者の方は、やられるのが怖くなっている人が多いと思うんですけど、井上さんのプレイを見ていると、むしろやられるのを楽しめるくらいの気持ちがいいのかもと思います。突撃して、めちゃくちゃにやられる楽しさを知ると、プレイもまた違ったものになるかもしれません。
  • ――声優さんどうしで遊ぶことはあるんですか?
  • 岡林  ウォールクロフト役の白熊(寛嗣)さんとしょっちゅうやっていますね。発売記念パーティーで、ゲームに集中しすぎて無口になってしまった白熊さんですけど(笑)、オンラインではほんと饒舌なんですよ。スペシャルオプスのサバイバルはけっこう頭を使うので、「これココに置いたら楽になるんじゃない?」とか「いやいや、コレをあそこに」なんて感じにボイスチャットでつねに相談しながらやっています
  • ――サバイバルモードは、最高で何ウェーブまで行きましたか?
  • 岡林  どうやっても26ウェーブで止まっちゃうんですよ。ジャガーノート3体、自爆犬に重装兵、さらにヘリも来るのでもう完全に詰まってしまいます。とくに自爆犬がなんとかならないですかねぇ……おお犬だ! と思ったら赤く光っていて、自爆するから後ろに下がったらジャガーノートが待っているみたいな、ほんとハンパないですよ(笑)。すごいやり込んでいる人は60ウェーブくらい到達しているらしいですけど、もう60ウェーブって「何が起きるんだ!?」の世界。UFOとか出てくるんでしょうか(笑)
  • ――お話を聞いていると、『MW3』のオンラインプレイを本当に楽しんでいることがよくわかります(笑)。
  • 岡林  みんなでワイワイやるとやっぱ楽しいですよ。ひとりでやるよりはフレンドとパーティーを組んで、あーでもないこーでもないと言い合っていると、負けても楽しいと思う。言い訳ができるし(笑)
  • ――その楽しさは『コール オブ デューティ チャレンジ』でもうまく伝わっていそうですね。
  • 岡林  そうだったらうれしいですね。僕はやられたときの言い訳をどうおもしろく言おうかをつねに考えているので、番組ではそこにぜひ注目してください。たとえば、デュアル(2丁拳銃)を持った人にやられたときは「デュアルじゃしょうがねーよなぁ! 火力が違うからさぁ!」って言うようにしています。
  • ――番組は全6回ですが、「終了時にはこうなっていたい」といった目標はありますか?
  • 岡林  ぼんやりとした目標ですけど、キルレシオ1が目標ですね。いま0.5くらいなんですけど、そこから上げるのが本当に地道な作業で「本当にうまくなってんのかな?」と不安になる時期があるんですよ。でも、ずっとやっていればわずかだけど確実に上がっていく。と言うことは、1も夢じゃないと思う。やればやっただけうまくなるなんて、本当にスポーツと同じですよ。
  • ――最後に、番組を観ている人、また日本語吹き替え版の発売を待つファンに向けてひとことお願いします。
  • 岡林  この番組の目標のひとつに"FPSを日本でも定着させる"というものがあると思います。なので、FPSファンの人はどんどん周囲に広めてほしいし、やったことがない人はこれを機会に友だちを誘って遊んでみれば、必ずおもしろい発見があると思います。皆さん、この番組を通じてFPSを楽しんでいきましょう!
  • ――アリョーナは登場シーンこそ少ないものの、物語上重要な存在ですよね。演じるうえで気を付けたことはありますか?
  • 植田  FPSタイトルで女性キャラクターとなると、私の場合は女戦士を演じるのかな? と思っていたんですけど、いざ役を聞いてみたら大統領の娘で、ちょっとホッとしました。女戦士だったら叫んだりするから、たいへんですし(笑)。
  • ――でも、悲鳴をあげるシーンもありますよね。
  • 植田  そう、だからある意味叫んでいますね。とは言え、雄叫びではないので、肩の力を抜いて参加できました。あと、私はSF系の戦争物への出演経験はあるんですけど、本作みたいにリアルな戦争物は初めてで、実生活と地続きという意味で、感情移入はしやすかったと思います。
  • ――『MW3』でとくに印象的だったシーンはどこですか?
  • 植田  私が演じたところではないのですが、●●●が●●●●ところですかね……。
  • ――あ、そこはすべて伏字になってしまうので……2番目に印象的だったシーンを(笑)。
  • 植田  ですよね(笑)。そしたらつぎに印象的だったのは……フランス・パリの戦いですかね。エッフェル塔が倒壊するシーンはかなり衝撃的でしたから。
  • ――キャンペーンに登場するキャラで、好きなのは誰ですか?
  • 植田  やっぱりソープですね。強いところももちろん

かっこいいんですけど、つねに冷静で仲間思いなところもステキ。自分が危ないときでも、仲間をかばうあたりとか「カッコイイなあ」って。だから、日本語吹き替え版が発売されたらぜひ吹き替えでもソープの声が聴きたいですね。

  • ――ちなみに植田さんはかなりのゲーム好きで知られていますが、『MW』シリーズの魅力は何だと思いますか?
  • 植田  自分が映画の主人公になっているような……というよりは映画の世界に入っているような演出、と言うほうが正しいかな。目の前にクルマが飛んでくる、瓦礫が落ちてくるといった場面でのカメラワークは、本当によくできていると思います。あとはマルチプレイ。クラスがいろいろあったりして、そこら辺もリアルですよね。
  • ――FPSタイトルは『MW』以外にもけっこうやられているんですよね。
  • 植田  そうなんですよ。だからFPSの操作やゲーム性にはそれなりに慣れているんですけど、いざマルチプレイで実戦となるとまだまだで……。実際に人とやると、歯が立たないんですよ。発売記念パーティーでのマルチプレイもボロボロでしたし。
  • ――現在、『コール オブ デューティ チャレンジ』で毎週マルチプレイをユーザーといっしょに遊んでいますが、上達の具合はいかがですか?
  • 植田  なんとなくですけど、前衛で戦うのは自分に向かないことに気づきました(笑)。敵との距離が詰まってくると焦るし、ナイフのタイミングも把握しきれていないので、ちょっと遠目から狙う方向でがんばろうと思っています。ただ、放送は6回あるので毎回作戦を変えながら戦いに臨もうかと。今日は(第2回放送時)スナイパーで狙いつつ、闇にまぎれてナイフでザクっといきますよ!
  • ――マルチプレイを遊ぶときに気をつけていることはありますか?
  • 植田  あまり汚い言葉を使わないことですかね。やられたら思わず出てしまうので(笑)。
  • ――声優仲間と遊ぶことはあるのでしょうか?
  • 植田  岡林さんはかなり遊んでいるみたいですけど……じつはまだ声優仲間の人たちと一回もオンライン上で会ったことがないんですよ。私いつも昼間にログインすることが多いので、どうしても時間が合わないみたいなんです。だから、キャンペーンをひとりで遊ぶことも多くて、いま2周目に入りました。
  • ――最後に、日本語吹き替え版を待つファンに向けてひとことお願いします。
  • 植田  字幕版もリアルでカッコイイと思いますが、日本語吹き替え版では言葉がしっかりと耳に入ってくるし、声優陣も迫真の演技をしていると思いますので、字幕版を遊んだ方もぜひ日本語吹き替え版をプレイして、もっともっと『MW3』の世界を楽しんでいただければうれしいです。

発売から数週間が経ち、オンラインマルチプレイに明け暮れている人も少なくないだろう。本特集の第1回で『MW』シリーズ愛を語った3人ももちろんそうである。そこで今回は全世界のFPSユーザーを虜にしている『MW』のマルチプレイについて語ってもらった。

  • 例えば子供のころ、銀玉鉄砲を握って野山を駆け回り、友達同士で撃ち合うなんて遊びは、男子なら誰でもやる行為だ。それが水鉄砲などでも同様で、とにかくお互いに武器的玩具を持ち撃ち合うという遊びは、誰もが経験する面白かった遊びのひとつだろう。
  • だから最先端のゲームマシンが描く広大な3DCGのフィールド上で、オンラインで繋がった世界中のプレイヤーたちが撃ち合いごっこするゲームなんて、面白いに決まっている。筆者が『COD』シリーズにハマったのは、その「面白いに決まってんじゃん!」という確信が、想像以上だったからに他ならない。
  • 2007年に一作目の『MW』が発売されて以来、『ワールド・アット・ウォー』、『MW2』、『ブラックオプス』と、我が家の据え置き機は完全に『COD』シリーズ専用機になってしまった。特に『MW2』以降は、次の新作が出るまで1年間みっちりオンラインで遊ぶというような状況で、自分でも「ちょっと大丈夫か?」というようなハマり方をしている。一応ゲーム界隈で物書きをしている身の上として、何故自分はここまでハマったのか? ということを自問し、その原因をちょいちょい考えるのだが、核となる答えは、結局「面白いに決まってんじゃん!」というシンプルなものに至る。
  • ここをもう少し解くと、「面白いに決まってる」行為とは「撃ち合いごっこ」であり、「撃ち合う」という行為は人間の生理的な攻撃的欲求に根ざしている部分が大きく、撃ち合いごっこによって相手を倒す、勝利するという感触は、理屈抜きに気持ちいい。そしてその逆の場合、相手に倒される、負けるという状態になると、非常に悔しい思いをする。だから必然的に熱中度も上がる。
  • ただこの理論は、全ての銃器を使用した対戦ゲームにも当てはまる。近年の『COD』シリーズが他の多くのゲームに差を付けてることができたのは、この撃ち合いごっこの気持ちよさの部分を、非常に重要視したゲームデザインを行ったからだ。
  • 『MW』以降の作品で、最も気持ちよさに貢献しているのは毎秒60fpsのスムースな描画と、良好な操作レスポンスだ。タイムラグも無く、スムースに操作できる毎秒60fpsのグラフィックは、プレイ中の一体感を向上させる。プレイヤーの思考、操作と画面上のグラフィックがスムースにシンクロすることで、ゲームの身体性が増し、没入感は非常に高まる。ここで操作レスポンスが悪かったりグラフィックの描画がガクガクしていては、当然のことながら高い没入感は生まれない。プレイヤーの思考、操作と画面の動きが乖離せず、ダイレクトに反映されるからこそ、敵を倒す気持ちよさもダイレクトにプレイヤーに返ってくるわけだ。
  • そして、敵を倒すという部分の細かい演出にも、気持ちよさが詰め込まれている。『COD』シリーズは、自分の撃った弾が敵に当たったり敵にダメージを与えた場合、若干の視覚効果とともに、「プッ」という相手への着弾やダメージを知らせるSEが鳴る。実際の世界ならこんなことはあり得ないが、この「プッ」があることで着弾が物理的な感触としてプレイヤーに伝わり、敵を倒したことの実感が大きくなる。さらには相手をヘッドショットで倒した場合は、「プッ」ではなく「カン!」と固い金属音が鳴り、より強い感触をプレイヤーに残す。この"自分が撃った弾丸が相手に当たっている音"の効果は、遊んでみると非常に大きく、語弊はあるかもしれないが生理的な気持ちよさをくすぐる演出になっている。(※)
  • もちろん敵を倒せば倒すほど有利になるキルストリークシステムや、各種の経験値システムなども、人々を熱中させている重要な仕組みだ。だが結論を言えば、『COD』シリーズは、命の危険さえ無いのならば誰もが夢中になる"撃ち合いごっこ"の楽しさを、とことん追求したゲームなのだと言える。そこで重要視されたのは身体性であり、キャラクターを操作して戦っているのではなく、あたかも自分がその場で戦っているようにプレイヤーに実感させるために、あらゆる部分の作り込みが高いレベルで成されているのだ。
  • 実際の所、『COD』シリーズが毎回2000万本級のヒットとなっているのは、このマルチプレイを目当てに世界中の多くのユーザーが買うからに他ならない。"撃ち合いごっこ"の面白さは、きっと世界共通なんだろう。
  • FPSをプレイしていないゲーマーから「FPSの魅力は?」と聞かれることがある。PCゲームの『QUAKE(クエイク)』に始まりさまざまなFPSをプレイしてきたが、そのほとんどがオンラインプレイに対応していた。このオンラインプレイがFPS最大の魅力と言っても過言ではないだろう。初めて『QUAKE(クエイク)』のデスマッチを経験したときは、「こんなおもしろい対戦ゲームが毎日家で遊べる!!!」なんて感動したっけ。興奮のあまりプレイしすぎちゃって、月の電話代(当時はテレホーダイという回線使い放題のサービスがあったが、夜の23時から翌朝の8時までだった)が数万円になったこともあったね。いまでは日本のネット環境も整備され、高速な光回線が月額固定金額で使い放題だっていうんだから夢みたいな時代だ。話を戻そう。
  • 『MW』シリーズはマルチプレイの評判が非常に高く、1年以上継続して遊ぶプレイヤーがザラ。最新作となる本作でも、世界中のプレイヤーがさまざまなルールで対戦に興じている。だが、マルチプレイでの対戦に敷居の高さを感じるユーザーは必ずいる。慣れてしまえば本当に些細なことに感じるかもしれないけれどね。そういったプレイヤーにこそオススメしたいのが、最大ふたりでプレイ可能な"スペシャルオプス"の"サバイバルモード"だ。
  • このモードは1ラウンド区切りで敵が攻撃を仕掛けてくるというルールで、ラウンドが進むほど敵の攻撃が激化していく。ひとりでは限られる戦力も、ふたりで協力し合うことで倍以上になっていく。誰かに背中を預けて戦い、助け合い、絶望的な状況を乗り越え、目的を達成したときの喜びといったらひとりでプレイしたときの比じゃない! まずはサバイバルモードで協力することの楽しさ、難しさ、奥深さを経験してみよう。しばらく遊べば、オンラインへのマルチプレイにも抵抗なく参加できるはずだ。『MW3』のマルチプレイは遊びごたえがあり、その戦いに終わりはない。誇張抜きに、無限の遊びと言っても過言じゃない。
  • まずはサバイバルモードから、その一歩を踏み出してみないか?
  • 正直な話、『MW』シリーズに限らずFPSタイトルのオンラインマルチというのがあまり好きではありませんでした。と言うのも、うまい人が相手だと一瞬でやられてしまうじゃありませんか。リスポーンしてすぐにスナイプで頭を貫かれた日には、瞬時にディスクを取り出してベランダの鳥よけに使いたくなるほど心も荒むというものです。そんな理由もあって、過去の『MW』シリーズもキャンペーンをじっくりと遊んだら終わり。もちろんちょろっとマルチはやってみるものの、上記のような理由で暗い気持ちになり、そっと引き出しの奥にしまっていた次第です。ところが、『MW3』のオンランマルチはどういうことか、発売から数週間が過ぎた現在も気持ちが折れずに続いている。理由は、新ルール"キルコンファームド"があったからです。
  • このルールは、敵を倒すと出現するドッグタグを回収すればポイントが得られるというもので、逆を言えばドックタグを回収されなければポイントになりません。個人的に、オンランマルチプレイで瞬殺されることの何がイヤかと言えば、オンラインの向こう側にいる自分を瞬殺した憎いアンチクショウが、(たぶん)ドヤ顔でいることでして、その表情を想像するだけで、その晩は悔しさから悪夢に悩まされることは必至です。その点、"キルコンファームド"は倒したあとが本番とも言えるので、憎いアンチクショウはドヤ顔を浮かべるどころか焦りの表情すら浮かべるのでしょう。たぶん。これだけでも快適な睡眠は十分に守られるわけですが、加えて憎いアンチクショウが誰かのタグを回収しに来たところを狙って、返り討ちにした日には! 夢の中で大好きな仲村みうちゃんに会えるかしもれない。
  • とは言っても、実際のところはいつも通り瞬殺され続けてデスストリーク三昧な日々。しかし、ときおり訪れる返り討ちのカタルシスは得難いものがあります。その瞬間を求めて、今日も「ぐぬぬぬ……」と言いながらコントローラを握ってしまう。これが『MW3』のオンラインマルチプレイの魅力……と言うにはあまりにも個人的な嗜好に走っている感もありますが、ゲームの楽しさとは本来そういう個人的なサムシングであると思います。テクニックに自信がある人はフリーフォーオール(自分以外全員敵のモード)でキルしまくるのもいいでしょう。フレンドがたくさんいる人は、チームプレイにこだわって遊ぶのもいい。ただ、もし自分と同じような理由で本作のマルチプレイを避けてしまっている人がいたら、ぜひ"キルコンファームド"をプレイしてみてください。決して難度が下がるわけではありませんが、1キルしたときのよろこび、快感は確実に増していると思うので。
  • ※着弾時のSEは、不具合のため発生しない場合もあります。なお、当不具合に関しては今後アップデートで修正予定です

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