- 近未来の核テロリズムと武力紛争を描く『MW』シリーズ。その3作目となる『MW3』の物語は、前作『MW2』のラストシーンから続く形でスタートする。本作だけを遊んでももちろん楽しむことはできるが、物語をより深く堪能したいのであれば、前作、そして前々作も知っておいたほうがいいことは間違いない。
- そこで今回は、これから『MW』シリーズを始めようという人向けにその歴史を振り返ってみよう。シリーズはすべて遊んでいるという人も、最新作を遊ぶにあたっての復習という意味でぜひチェックしてほしい。なお、『MW』シリーズ前2作は廉価版が発売中。シリーズ初体験で、最新作を万全の態勢で遊びたいという人は、そちらを手に取ってみるのもいいかもしれない。
- これまで第2次世界大戦を描いてきた『コール オブ デューティ』シリーズが、初めて現代の戦争を舞台にしたのが、『MW』シリーズの1作目『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』だ。S.A.S(イギリス軍特殊部隊)のソープと、U.S.M.C(アメリカ海兵隊)のジャクソンというふたりの主人公の視線で描かれるのは、混迷する世界情勢の中から台頭してきた、ソビエト国家の再建を目論む"ロシア超国家主義者"たちとの戦い。
- そして、シリーズを貫くキーワードである"核の脅威"は、物語中盤における中東での作戦中に最悪の形でプレイヤーへ提示されることになる。グラフィック、各種演出のリアリティーはもちろん、"死の商人"が暗躍するテロリズムの世界描写など、"実際に起こりうる事態"を描いたストーリーからも、ゾッとするほどの現実感が得られるだろう。
- S.A.Sの新米隊員で、本作の主人公かつプレイヤーキャラクターのひとり。着任してすぐにプライスとともにテロ鎮圧の各種作戦に駆り出される。シリーズを通して登場するキャラのひとりだ。
- ソープが所属するS.A.S部隊の隊長。15年目にザカエフ抹殺の任務を帯び、チェルノブイリに潜入した経歴がある。なお、その任務はミッションとして描かれ、プレイヤーはプライスを操作する。
- 超国家主義派のキャンプに潜入してS.A.Sへ情報を流していたが、発覚して拘束。ソープらに救出されて以降は、行動を共にすることとなる。『MW2』では危機に瀕したソープらを救うシーンも。
- ロシア超国家主義派のリーダーとして、過激なテロ活動を先導する。死の商人としての顔も持ち、あらゆる武器を扱う。15年前のプライスのスナイパーライフルによる狙撃で、左腕を失っている。
- 中東某国の実力者として君臨し、軍事クーデターを起こして国内を掌握。反米主義者として知られ、親米派だった大統領を殺害して国の実権を握る。米軍の追跡から逃れるために、最後の手段を選択。
- 15年前のプライスの上官で、ともにチェルノブイリへ潜入する。草木や小枝などを貼り付けたギリースーツを纏っており顔を見ることはできないが、さまざまなシーンでプライスへ適格な指示を送る。
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物語は前作の5年後から始まる。ロシア国内では右傾化が進み、新たなリーダー"マカロフ"の元でロシア超国家主義派は勢力を拡大していた。そんな中、ロシアの空港で銃乱射テロが発生。その犯人のひとりがアメリカ人であったことから、国民感情は急激に反米へと傾いてしまう。しかしこのテロには不明な点が多く、真相を探るべく結成された特殊部隊"タスクフォース141"が調査に乗り出すが……。前作同様ふたつの視点から物語は進行。空港におけるテロ描写が発売前から物議を醸した本作だが、終盤で描かれるロシア軍のアメリカ本土上陸というシーンもかなりセンセーショナルだ。首都ワシントンが炎に包まれる衝撃的な映像は、そこへ至るまでの重厚なストーリーも相まって、強い説得力を持つ。しかし、これは『MW3』で描かれる世界規模の紛争の序章に過ぎなかった……。
- 5年前の戦いで英雄となった、前作から引き続き登場するプレイヤーキャラクターのひとり。タスクフォース141のメンバーとしてさまざまな作戦に参加する。トレードマークはモヒカン頭。
- 前作でザカエフを倒した後から行方不明になっていたが、物語中盤で再び姿を見せ、タスクフォース141に参加する。合流後さまざまな作戦に従事するが、上部の命令を無視して大胆な行動を取ることも。
- ザカエフの意思を継いだロシア超国家主義派の新たなリーダー。スペツナズ(ロシア軍特殊部隊)所属経験もある元軍人で、ザカエフが成し得なかったソビエト連邦再興のために、過激な行動を起こしていく。
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- 前作の衝撃的なラスト直後から始まる本作で、ロシア超国家主義派を率いるマカロフの計画はつぎの段階に入る。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツと、世界を巻き込んだ戦争だ。高層ビルが建ち並ぶアメリカ・マンハッタンは荒れ果て、巨大な時計台"ビッグベン"を背景に激しい銃撃戦がくり広げられるイギリス・ロンドン、フランス・パリは街のシンボルであるエッフェル塔を含むセーヌ川周辺までもが戦火に巻き込まれ、ドイツ・ベルリンではベルリン大聖堂の近くにあるシュロス橋に爆撃が行われる。
- ひとりの男の野望によって、世界規模の紛争が幕を開けてしまったのだ。なお、マカロフを追っていたソープとプライスを始めとするタスクフォース141は、前作の終盤で起きたある男の裏切りによって世界中から追われる身に。彼らが物語へどう関わってくるかも、『MW3』で注目すべき点と言えるだろう。
物語のダイジェストだけでは、『MW』シリーズの魅力すべてを伝えることはできない。そこで、同シリーズに魅了され続けているライターのポルノ鈴木とブンブン丸、そしてファミ通.com記者のキモ次郎に、思いのたけ綴ってもらった。
- 我々日本人が自衛隊に感じる距離感と比べれば、アメリカ人が自国の軍隊に感じる距離感は比較的近い。その理由として、やはり従事する人間の数を始めとした規模が全く違うことが挙げられる。アメリカが有する正規の軍隊は五軍ある。陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つがそれにあたり、総兵力は予備役の人間も含めれば約250万人。自衛隊の総兵力のざっと10倍となるその規模を考えれば、アメリカと日本の人口比を考えても、アメリカ人にとって"軍隊"というのは身近であることがわかる。またそうした規模を維持するために、アメリカ軍のリクルーティングはごく一般的に行われており、そのためのPR活動も良く目にすることができる。男性誌には頻繁に陸軍や海軍の広告が掲載されているし、ESPNでストックカーレースのNASCARやドラッグレースのNHRAを観れば、米陸軍がスポンサードするアーミー・レーシングのマシンがサーキットを走っている。これらのレースは、スタート前に国歌斉唱が終わると、必ず歌い終わるタイミングと同時に空軍の戦闘機が上空を通過し、観客は歓声を上げながらレース開始の合図を聞く……。
- ここまで書いたことが、現在のビデオゲームチャートが"戦争をするゲーム"ばかり話題になっていることの、直接的な補完になっているとは思わない。しかし、"戦争をするゲーム"を世界中にドロップし、タイトルによっては1000万本を超えるパワーセールスを記録する"戦争をするゲーム"のフランチャイズは、こういうアメリカという国から生み出されている。
- ただしその上で、『MW』シリーズという"戦争をするゲーム"を観てみると、非常に興味深いというのも確かだ。『MW』の世界は、覇権国家であり世界の警察を自称するアメリカという国を、絶対的な正義として描かない。主人公サイドの視点は元SASのイギリス人兵士側にあり、アメリカ軍兵士はあくまで一兵卒として描かれるに過ぎないのだ。シリーズ1作目では中東に派遣された海兵隊数万人が核攻撃で全滅し、『MW2』では米本土がロシア軍に急襲され、ワシントンは陥落してしまう。『MW』シリーズは、アメリカ映画によくあるような、「アメリカ軍が最強だぜイェー!」といったマッチョなアメリカ思考は希薄で、極めてドライな視点でアメリカの戦争を描くゲームだ。そんなゲームが、既にロシア軍に蹂躙されたアメリカとその戦い、そして世界に飛びしていく戦火の行方をどう描くのか。『MW3』への期待は、その一点にある。
- いまから10年前の2001年9月11日に起きた"アメリカ同時多発テロ事件"。アメリカン航空とユナイテッド航空の計4機の旅客機が世界貿易センタービルとアメリカ国防総省本庁舎に突っ込んだのである。善悪や価値観の違いこそあれど、アメリカという国は自由と正義を象徴として掲げている国。世界中の国々からもそういった認識で捉えられている国である。そんなアメリカがあそこまで大規模なテロを受けることになるとは、誰が予想しただろうか? "あのアメリカが大規模自爆テロの対象になった"。この強烈すぎる現実が、テロリズムに対する"悪と恐怖"という明確なイメージを俺たちに植えつけた。オウム真理教による地下鉄サリン事件はあったものの、テロリズムに対して関心の薄かった日本でさえ、"アメリカと友好関係にある国も狙われるかもしれない"という恐怖を感じずにはいられなかった。そこから6年経った2007年。『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』が登場した。
- 当時のFPSと言えばネットワーク対戦のマルチプレイを目当てにするプレイヤーばかりで、ほとんどのゲームメーカーもそれに習っていた。『HALO(ヘイロー)』シリーズなど一部の例外もあったが、FPSにおけるそのほとんどがひとりでプレイするモード(キャンペーン)は添え物程度だった。『MW』はそんな常識を覆した。敵は"超国家主義派"。テロリズムとの戦いがテーマなのだ。テロリストたちと世界各国の軍隊による戦いはじつに生々しく、もしかしたら今日にでも世界のどこかで起きてしまうのではないか? という危うさすら感じさせた。ゲーム中におけるシナリオはもちろん、ハリウッド映画的な演出は非常にドラマチックであり、世界中のFPSプレイヤーをテロリストと戦う兵士にしてくれた。かくいう俺もいまのいままでFPSで『モダン・ウォーフェア』シリーズ以上に衝撃を受けた作品とは出会えていないのだ。ついに発売される『MW3』でこの戦いは一時的な幕を下ろすのかもしれない。もしまだ同シリーズをプレイしていないゲーマーがいるなら、いまからでも過去作からプレイしてみてほしい。極上の映画を上回る、最高のドラマが味わえるはずだ。
- 上に登場しているポルノ鈴木とブンブン丸は、『MW』シリーズを骨の髄まで楽しみ尽くしている、言ってみればプロのような人たち。そんな人たちと並んでシリーズの魅力を語るなんて正直恐れ多いのですが、FPSタイトルは日本での人気が海外に比べてそれほど……という現状もあるので、自分のようなライト寄りFPSユーザーの意見も少しは参考になるだろう、と自分に言い聞かせて書かせてもらいます。まず、いきなりバカ丸出しな感じで恐縮なのですが、『MW』の魅力を語るうえでグラフィックの美麗さというのは外せません。本当におもしろいゲームはグラフィックなんて関係ない、といった旨の意見はよく聞きますが、それでもキレイにこしたことはないでしょう。また、FPSでは敵の視認性がゲームの攻略にも深く関わってくるので、グラフィックの美しさがそのままゲームのおもしろさにもつながる、と言ってもいいのではないでしょうか。加えて、『MW』シリーズはコンシューマーのFPSとしては珍しくフレームレートが60なので、とにかくヌルヌル動く。これを体験してしまうと、もうほかのタイトルに浮気する気なんて失せます。
- もうひとつは、これまたベタで恐縮なのですが完成度の高いストーリー。臆面も無く"映画のような"なんて言葉を使いたくなるほど、本当によくできている。組織、チーム、国それぞれの思惑が絡み合い、それがうねるように展開する作りは、遊んでいて「よく考えるもんだぜ!」と唸ってしまいます。こんなにうねる物語は、『MW』シリーズか、映画『仁義なき戦い』シリーズくらいでしょう。じつはいま、けっこう適当に『仁義なき戦い』の名を挙げたのですが、これは我ながらなかなかどうして言い得て妙な気がします。新米兵士のソープがひとつの戦争を経て英雄となり、やがてチームを率いる身となるあたり、菅原文太演じる広能昌三に被るではありませんか。となれば、プライスは梅宮辰夫が演じた若杉寛か! いやいや、あの相棒感はどちらかと言えば松永弘(成田三樹夫)が近いかもしれない。そして、マカロフの知的な狂犬っぷりは千葉真一が演じた大友勝利まんま……。話が飛躍し続けていますが、とにかく熱く語りたくなる物語という点において、『MW』シリーズは日本映画史上屈指の名作『仁義なき戦い』シリーズなのであります。なお、異論は多いに認めさせていただきます。
次回はキャンペーンモードの内容に迫る!<2011年11月17日更新予定>
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