夕鬼 零 -Yuoni:ゼロ-(Nintendo Switch)のレビュー・評価・感想情報
ジャイロ操作でプレイヤーの視点を動かしつつ、教室の机の上に置かれた本を読みながら物語を進めていくスタイルが斬新。とは言え、教室内で起こる変化がさほど多くなく、移動も自由に行えないため、疑似VR空間がもたらす怖さを含めた“遊び”の部分よりも、テキストを読むことに対する“手間”が増えた印象が強い。リアルな音の演出が世界への没入感をサポートするので、ヘッドホンで遊んでほしい。
週刊ファミ通1629号より
夕暮れの教室でスケッチブックをめくって物語を読み進めるだけなのだが、もとがVR用のゲームだけに、周囲をグルッと見回せるのも手伝って、たっぷりの臨場感が不安を煽る。そして、ときおり挟まるホラーの演出にゾクッとさせられます。怪談をベースにしながら、年ごろの少年少女の悩みや成長を描くシナリオもいいが、選択肢による分岐などがないので、ボリューム感としてはコンパクトな印象。
週刊ファミ通1629号より
陰湿なトーンの物語には好き嫌いが分かれそうですが、誰の心にもひっかき傷を残すような強さに引かれました。ゲーム性の少ないビジュアルノベルゆえ、プレイヤーを選ぶものの、サウンドや絵による演出は効果的。不気味さを引き立て、内面に溜まったドロッとした感情を意識させます。もともとVR向けの画面作りで、スイッチとの相性は必ずしもよいとは言い切れないものの、没入感を高める一助に。
週刊ファミ通1629号より
前日譚的位置づけのストーリーは、ジワジワ引き込む魅力がありながらもやや短め。“スケッチブックに綴られた奇妙な物語をひとり読む”というシチュエーションの疑似体験ものとしては、演出の細やかさによって、濃密な時間経過を堪能できるでしょう。いつでもどこでも気軽に、というカジュアルなゲーム性ではない点と、不意討ち系のホラー表現にある程度の耐性が必要なことさえ納得ずくであれば。
週刊ファミ通1629号より
ファミ通公式レビューアーイラスト:荒井清和
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