完璧なルードハーネが唯一できないことは……

 2015年3月12日に発売が予定されているコーエーテクモゲームスのプレイステーション Vita、プレイステーション・ポータブル用ソフト『遙かなる時空の中で6』。本作は、“和風”の世界観が魅力のひとつである女性向け恋愛ゲームシリーズの最新作で、主人公の女子高生・高塚梓が異世界の大正時代、“帝都東京”にタイムスリップし、帝国軍と“鬼の一族”の抗争に巻き込まれるというストーリーが展開する。ここでは、ゲーム内で攻略対象となる“ルードハーネ”を演じる立花慎之介さんへのインタビューをお届けしよう。

『遙かなる時空の中で6』キャストインタビュー 立花慎之介さんと真面目な完璧主義者“ルードハーネ”の共通点とは_02

――まずはアフレコを終えての感想をお願いします。
立花慎之介(以下、立花) 今回初めてフルボイスでやらせていただいたので、「結構しゃべったな」と(笑)。キャラクターも多く、今回陣営がふたつ(※編集部注:帝国軍と“鬼の一族”。立花さん演じるルードハーネは“鬼の一族”側に属している)あるので、場面転換などで絡むキャラクターが違うおもしろさがありました。自分たちの仲間とはしゃべったりキャラクター設定も見えてくるんですけど、本編中は陣営が違うので、もう片方のキャラクターとはなかなか会えなかったですね。今後、別のアナザーストーリーなどで絡めるとおもしろいと思います。

――収録中、印象的だったことはありますか?
立花 ダミーヘッドマイクですね! “ネオロマ”のゲームで使用するのは初だと言われているダミーヘッドマイク。多くはないんですが、どこで使われているのかを楽しみにしていてください。ダミーヘッドが好きな乙女たちも多いですし、楽しみながら演じさせていただきました。やっぱりふつうのマイクでしゃべっている甘いセリフとダミーヘッドでささやくセリフは若干違いますし、臨場感はダミーヘッドの方が楽しんでいただけるんじゃないかな。

――お芝居もふつうのマイクとは変わりますか?
立花 ダミーヘッドマイクだと、自分で動きがつけられますからね。相手の聞いている位置に対して、近いのか遠いのかだけでも距離感が出せます。ふつうのマイクだと距離感を出すのは難しいですし、結局ステレオで収録するのであまり差が出ないんですよ。それがダミーヘッドだと、自然に自分の芝居の流れの中でやれたりするので。聞こえかたも違いますしね。それが慣れるとおもしろいので、僕は好きです。

『遙かなる時空の中で6』キャストインタビュー 立花慎之介さんと真面目な完璧主義者“ルードハーネ”の共通点とは_06
▲ルードハーネ 15歳 鬼の一族
「世話役として、あなたのそばにいる義務があります。何か問題でも?」
 ダリウスより、主人公の世話役を命じられている少年。愛称は“ルード”。年の割には落ち着いており、大人びている。まじめな完璧主義者であり、ダリウス邸の家事および財政管理は彼の手腕に任されている。

――ルードハーネの魅力を教えてください。
立花 ルードはダリウス邸の世話役で、何をやらせても完璧なんですけど、意外に恋愛だけはまったくしてこなかったというギャップがおもしろいんじゃないかな。本人自体それが恋なのかに気づいていないんですよね。恋愛を恋愛だと思っていないところがあって、いろいろできるはずのルードが、そこだけできないところがおもしろかったりします。その辺は僕も遊びながら演じさせていただいた部分ですね。

――15歳という設定ですが、キャラクターの掴みに苦労されたりは?
立花 設定としては15歳ですが、すごく落ち着いた、青年のようなキャラクターですからね。周りが賑やかしをしているのを裏でしっかり取りまとめるキャラクターで、外見や年齢よりも大人な子なので、その辺りを打ち合わせしたら、キャラクターとしては簡単に掴めました。

――ルードハーネを演じる際に意識したところはありますか?
立花 主人公と出会ったころはツンツンした、とっつきにくい小姑みたいな(笑)キャラクターなので、そういった基本のルードくんを保ちつつ、遊べるところは遊んでみる試みをしました。ルートによっては自分の感情にモヤモヤしているところもあるので、その変化も楽しいと思います。

――ルードハーネと立花さんに共通点はありますか?
立花 当然僕も何でもできますよ(笑)。そこはもう瓜二つです(笑)。執事はやったことがないですけど、身の周りを整理したり規律正しくしたりするのは得意ですね。ルードのすごいところは、それを周りの人にやれるところですけど。そこは似ているようで違うかな。僕は自分のためにはやれますが、人にどこまでやれるのかはわからないので。几帳面なところは似ているかもしれません。整理整頓しないと嫌ですし。使ったものはもとのところに戻すくらいしないと、荒れるでしょ?(笑)

――では、ルードハーネの“モテポイント”を教えてください。
立花 「意外に優しいよ!」というところですかね。見た目と態度はつっけんどんですが、行動ではフォローしてくれていたり。虎などに対してもそうですけど、周りをしっかり見ているキャラクターなんです。ただ単に口が優しくないだけで、行動は非常に優しいので、それが彼のセールスポイントのひとつだと思います。それから、恋愛に対してうぶなところも。

――ルードハーネがとくに仲のいいキャラクターはいますか?
立花 ダリウスに対しては仲がいいというよりは主従関係なので、“仲がいい”というと虎ですかね。お互い口を悪く言い合ってはいるんですが、本音をお互い遠慮なくぶつけ合える仲のよさがあると思います。

――“白龍の神子”である千代との接点はありますか?
立花 千代は帝国軍側にいるので、会話などはない気がします。もうひとつの陣営とはほとんど絡まないので、不思議なんですよね。それがいろいろあって、最終的におもしろいことになるので、期待していてください。

――ご自身が演じている以外で気になるキャラクターはいますか?
立花 敵陣側(帝国軍側)が気になりますね! 声も聞いていないし(笑)。まず4人が気になるんですけど……マイケルさんが(萩尾)九段をどう演じているんだろうというところが気になりますね。まだ聞いてないんですよ。ほかのキャラクターはある程度想像つくんですけど、マイケルさんだけがどう来るのか……楽しみです!

――立花さんからご覧になって、いちばんモテそうなキャラクターは誰でしょうか。
立花 ダリウスじゃないですか? 絵的にも。いちばん大人ですしね。妖艶な感じがいいと思います。

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『遙かなる時空の中で6』キャストインタビュー 立花慎之介さんと真面目な完璧主義者“ルードハーネ”の共通点とは_07
『遙かなる時空の中で6』キャストインタビュー 立花慎之介さんと真面目な完璧主義者“ルードハーネ”の共通点とは_01
▲ダリウス(声:鈴村健一さん)
▲萩尾九段(声:四反田マイケルさん)
▲駒野千代(声:高橋美佳子さん)

――ルードハーネと主人公の恋をひとことで表すと?
立花 ルードは自分の気持ちが恋なのかどうかわからなくて、「好きだ」と言いつつ、「これが恋なのかどうかわからない」と言ってしまっているんですよね。だから難しいんですよ(笑)。それを何と表現すればいいのか……。でもすごく前向きです。なので、“前向きで明るい恋愛”ですかね。

――では、漢字ひと文字で表すと?
立花 “輝”かな。前向きな恋愛というのもありますし、ルードルートをプレイしていただくとわかると思いますが、希望のある、明るい未来を感じさせるものになっているので。人によっていろいろエンディングがあると思うんですけど、今回はすごく人間くさいんです。とくにルード編は。

――本作の登場人物は“鬼の一族”であったり、特殊な力を持っていますが、何か特殊な力が手に入るとしたらどんな力を手に入れたいですか?
立花 テレポーテーションです! もしくは超高速移動ですね。移動時間が無駄なので。でも、テレポーテーションだと昔のゲームのように壁の隙間に入って死ぬ可能性があるので(笑)、安全性のためには高速移動の方がいいのかな。そうしたら遅刻しませんし、ギリギリまで寝ていられますから。

――立花さんが大正時代にタイムスリップするとしたら、やってみたいことは何ですか?
立花 ……新幹線が走る場所、新幹線の駅がある土地を買いますね(笑)。絶対高く売れる土地なので(笑)。銀座とか、そういうところはもう大正時代には拓けている可能性がありますし、都会に土地を買うとコストがかかるので、安く買えて高く売れる土地を買います(笑)。将来、絶対に起こり得ることを考えると新幹線ですよね。当たらない土地を買っても仕方がないので(笑)、当たることがわかっている土地を買います!

――高く売れるようになるまでずいぶん時間がかかると思うんですが(笑)、そこに土地を買ったら何をします?
立花 小作人に貸します(笑)。都心部でも、渋谷や新宿は大正時代には栄えていない可能性があるので、そういう土地を安く手に入れる案もありますよね。そういうところを手に入れたら……当時なかったであろう、日本初の24時間の駐車場を作ります(笑)。ビルを建てたりしたらコストがかかりますから(笑)。当時、車を持っている富裕層だったらそれくらい出すでしょ!

――では、大正時代では具体的にはどんな職業に就きたいですか?
立花 貿易商ですかね。歴史を知っているので、このあと何が必要になるのかわかりますし(笑)。そしたら先物買いでそれをいっぱい買っておけばいいワケですよ。大正時代は海外の文化や技術が入ってくる時代なので、そこを先読みした動きをしたいですね。めっちゃ儲かりますよ失敗する恐れがないんですから(笑)! 安心して投資できます(笑)

――もしほかの時代にタイムスリップするとしたら、いつの時代に行ってみたいですか?
立花 また金儲けの話ですか(笑)? そうだなぁ、だったら弥生時代とかじゃない? そこまで飛んでしまった方が、国を治めやすいですよね(笑)。それこそいまの技術を持ち込めば、魔法のような力ですからね。現代的なものがなかったとしても、現代の戦術などは当時ないわけですから、そういう意味で百戦百勝ですよ(笑)。一気に国をまとめてしまって、いい日本を作ります(笑)。

『遙かなる時空の中で6』キャストインタビュー 立花慎之介さんと真面目な完璧主義者“ルードハーネ”の共通点とは_04

――大正時代は“和”と“洋”が入り混じった時代ですが、立花さんは“和”と“洋”のどちらが好きですか?
立花 僕、明治、大正時代が結構好きなんですよね。その“混じってる”感じが好きなんです。和にも洋にも行きすぎない、何とも言えない混じってる感が。着物に洋靴を履いていたり、レンガづくりの街を着物の人が歩いているような文化が好きなので、どちらかというよりも、混ざっているほうが好きかな。

――では、女性の和装と洋装はどちらがお好きですか?
立花 ……難しいね(笑)。現代では洋装の方が多いので、逆に和装なのかな。和装が多い時代だったら洋装のほうが映えますしね。

――本作のこれまでのシリーズにない“新しさ”は、どの辺りから感じましたか?
立花 やっぱりフルボイスですし、ダミーヘッドマイクもありますし、新しい試みがふんだんに入っています。『5』から『6』に関しては、シナリオ的にも“いままでのシリーズのお約束が今回は……”というお話なので、おもしろいと思いますよ。

――演じられるうえで、前作を意識することはありましたか?
立花 とくにないかな。小松は小松、ルードはルードですから。引きずるわけでもなく、ルードが「君はバカなの?」と言うわけでもないですし(笑)。若干小松っぽいところがあるのかな? というセリフはありますが、「似ているところがあるな」とユーザーさんが感じるのであれば、それはそれでいいかなと思っています。

――前作、本作を収録された中で、立花さんはどんな部分に“ネオロマンスらしさ”を感じられましたか?
立花 物語の設定や、キャラクターひとりひとりの裏設定・描写が細かく描かれていますよね。しっかり土台が作られているところが“ネオロマ”のひとつの魅力だと思います。それに基づいて話が展開するので、人と人とのやりとりが多いところが、僕の思う“ネオロマ”らしさかな。過剰に甘いセリフもありませんし、ちゃんと物語があって、流れで発生する恋愛に落ち着くところが徹底されていると思います。

――本作を楽しみにしている読者へ、メッセージをお願いします!
立花 久しぶりの『遙か』新作ということで、心待ちにしている方もたくさんいらっしゃると思います。お待たせしました。ほかのキャストとも話していたんですけど、すごく工夫されたおもしろいシナリオになっているので、楽しめると思います。何と言ってもフルボイスなので、最初から最後までボイスを聞いて楽しんでいただけるとうれしいです。たくさん応援をいただければ、ファンディスクも出るかもしれませんし、いろいろと続いていくと思いますので、僕らも皆さんもいっしょに『遙か6』を盛り上げていけるとうれしいです。応援をお願いいたします!

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