プレイインプレッション【後編】 歯ごたえのあるバトルは、アイドルの歌声を響かせて戦場を支配する!

公開日時:2015-08-07 17:00:00

 美少女ゲーム好きのライターによる『ルミナスアーク インフィニティ』プレイインプレッション。後編では、シミュレーションRPGとしての側面を掘り下げていく。
 
 前篇では美少女が登場するキャラクターゲームとしての側面をプッシュした『ルミナスアーク インフィニティ』だが、本作のジャンルはあくまでも“ファンタジー・シミュレーションRPG”だ。美少女を前面に押し出したタイトルと聞くと、肝心のバトル部分の出来が気になるところだが、心配するなかれ。一本のシミュレーションRPGとしての面白さも保証つきだ。

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▲四角のマスで構成されたマップで、順番にヒロインたちに指示を出していく。

●アイドルたちの響かせる“歌声”と“共鳴”がバトルの鍵を握る!
 バトルの基本は、オーソドックスなシミュレーションRPGを踏襲していて、相手より高い位置から攻撃したり、敵の側面や背後から攻撃すると与えるダメージがアップする。前篇では“アイドル・歌”と、キャラクター性との調和を強調したが、それらの要素はバトルの中にもシステムとして落とし込まれている。

 その中でも特に独自性があるのが、ヒロインが歌うことで周囲のマスにいる味方キャラクターに補助効果をもたらすコマンド“コーリング”だ。これだけならよくある補助システムで終わってしまうのだが、本作ではコーリングを使用した時に広がるサークル“アンサンブルリング”の効果範囲を、別のアイドルの“アンサンブルリング”と重ねることで、隣り合っているサークルの内側すべての範囲にそれぞれのアイドルが持つ補助効果を重複させることができるのだ。分かりやすく例えを言うと、防御力が上昇するアクアのサークルと、攻撃力が上昇するブリジッタのサークルを重ねた場合、ふたり分のサークルすべてに防御力上昇と攻撃力上昇の両方の効果が与えられる。これはコーリングに参加するアイドルが増えていくにつれ“デュオ”→“トリオ”→“カルテット”とパワーアップしていくぞ。

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▲普通、コーリングの効果範囲は周囲8マスだが、前の章で“シークレットレッスン”を成功させているアイドルは範囲が大きく広がる。

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 コーリングを使用すると稼ぐことができるVP(ヴォイスポイント)を使えば、通常より威力や射程が増した強力な攻撃が放てるようになる。コーリングで獲得できるVPは共鳴が増えるごとに増加していくので、効率的にVPを稼ぐことがバトルを有利に運ぶうえで重要になってくる。しかし、歌っているあいだは敵の攻撃に対して無防備となってしまい、そのうえ敵はどうやらコーリング中のキャラクターを優先的に狙ってくる特性があるようなので、歌っているヒロインを守るための行動も取らざるを得なくなる。この辺りのさじ加減が難しく、欲張ってコーリングを連打していたら敵に囲まれて袋叩きに遭っていた、なんてことも起こってしまう。

 無事VPを最大まで貯めることができた場合は、究極の大魔法“ラピスバースト”の出番だ。これは射程内の敵を一掃できる威力もさることながら、発動時の演出にも非常に凝っている。ヒロインの歌をBGMに、美しく、かわいらしい迫力のあるムービーは、それを観賞するために毎回ラピスバーストを狙ってしまうほど。そのためにはVPを貯めなければ。アイドルを守らなければ。と、戦略に悩まされることになる。

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▲ラピスバーストのムービーはどれも力が入っている。一度に出撃させられるのは6人までだが、頑張って全員分見るだけの価値がある。

 アイドルにはそれぞれ得意な属性が決まっていて、自分で使えるアーツ(魔法)の属性は限られているのだが、その点を解決するのがもうひとつのシステム、“デュオレント”だ。これは近くにいる味方のアーツを借りて放つことができるコマンドで、これを駆使することで幅広い属性の攻撃を互いにカバーし合える。

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▲VPを消費することで好感度の高い味方と協力する高威力の“デュオストライク”も発動できる。

●アイドルなら戦場でもみんなを魅了しなきゃ!
 さて、主人公のシードはと言うと、脈が速くなる動きが制限される“砂の呪い”を受けているため直接戦闘には参加せず、専用の“コンダクトコマンド”でヒロインたちをサポートしていくことになる。その中にある“パフォーマンス!”を使用すると、ヒロインに“チャーム属性”に対応したポーズでアピールさせることができ、キャラクターの成長に必要なオーラポイントを獲得できる…が、地域によって人気のある(オーラポイントを多く獲得できる)属性が異なるので、観客のニーズに応えた売り出し方をしていかなければならない。

 また、戦闘終了後には“バトルランキング”が表示され、敵の撃破数、仲間のサポート、アピール力の3つを基準に採点が行われ、そのバトルでのMVPが選出される。MVPには経験値ボーナスが加算される効果があるため、プレイヤーはお気に入りのアイドルが目立つよう、戦闘中でもプロデュースを怠ってはならない。書いていてこちらも不安になってきたが、これはシミュレーションRPGの話だ。

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▲世界の平和を守りながら、アイドルのプロデュースもしなきゃならない……調響師ってのは大変なのだ。

●手堅く基本を押さえつつ、独自システムで味付けされた、遊びがいのあるシュミレーションRPG
 独自システムが豊富で一見複雑そうな本作だが、バトルの難易度はオプション画面で変えることができるので、シミュレーションRPGが苦手であっても問題なく進めていける。難易度がノーマルでも普通に攻略するぶんにはあまり難しさを感じることはないのだが、各ステージごとに設定された“○○で△体の敵を倒す”といった特殊条件を達成したり、アピールでオーラポイントを稼ぎつつMVPを取らせる、といったこだわりを持つと、一転して歯ごたえのある難易度に変化する。通常はやり込みプレイといった個人の趣味で終わってしまいそうなそれらのこだわりが、アイドルという要素によってゲームシステムの中に組み込まれているのが面白い。

 システム的にはコーリングの共鳴が非常に強力で、バトルが始まったら後方で固まって相手を迎撃する、いわゆる待ちプレイが強すぎてバトルがワンパターンになってしまうのではないかと思ったのだが、もちろん1ヵ所に密集していると敵の範囲攻撃にまとめて巻き込まれるハメになるので、共鳴にも工夫が必要だったりする。

 これらバトルのシステムもまた、歌とアイドルとファンタジーという本作独自の世界観と密接に結びついているものばかりで、『ルミナスアーク インフィニティ』というオンリーワンのタイトルを形作る要素となっている。美少女ゲームと、シミュレーションRPG、どちらの側面から見ても幅広く、ボリュームのある面白さが詰まっていて、今回前後編にわたって紹介したものの中でひとつでもピンと来るものがあれば、手に取ってみることをオススメしたい一作だ。

ライター 甲田 久
 美少女ゲームと格闘ゲームとRPGが特に好みな雑食ゲームライター。本作ではヒソカの台詞を聴いた瞬間に一目…“一耳”惚れ。本シリーズが推している“声”の底力を感じることとなった。

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『ルミナスアーク インフィニティ』特設サイト

■対応機種
プレイステーション Vita
■メーカー
マーベラス
■発売日
2015年8月6日(木)
■価格
6800円 [税抜](7344円 [税込])
■ジャンル
ファンタジー・シミュレーションRPG
■CERO
15歳以上対象
© 2015 Marvelous Inc.