――『聖闘士星矢』のテレビアニメ化から今年で25周年を迎えますが、振り返ってみていかがですか?
田中 25年ってすごいですよね。月日が経つのは早いなと。でも、自分ではそんなに経ったという感じではありませんね。
――それは、劇場版『聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜』やOVA『聖闘士星矢 冥王ハーデス編』などにも出演されているからですか?
田中 そうですね。アニメ『聖闘士星矢』が終わったあとも、映画とかOVAなどの作品が何本かありましたから、25年も経っていたという感覚があまりないんですよね。
――何十年と愛されている作品(『聖闘士星矢』)・キャラクター(アイオリア)に対してどういうお気持ちですか?
田中 これだけ長いあいだ愛され続ける作品というのは、何本もあるわけではないと思いますので、こういった作品に参加させていただいたことをとても感謝しています。
――キャラクター(アイオリア)の気持ちや声を長いあいだ留めておくのはたいへんではないですか?
田中 皆さんはどう思われているんですかね。本人は留めているつもりなんですけど(笑)。これだけ何十年も経つと声も感性も変わってきますからね。テレビシリーズが長かった作品ですし、そのあいだに何本かOVAもありましたから、そういった意味ではキャラクターを忘れてしまうことはありませんでしたが、観ている方に昔のイメージのままで伝えるのがたいへんなところですね。
――昔のイメージを保つというのは、過去の作品をご覧になったり?
田中 そうですね。ときどき観ることもありますね。
――当時(テレビアニメ『聖闘士星矢』)の思い出に残っているエピソードあればお聞かせください。
田中 だいぶ前のことなので忘れちゃいましたね(笑)。当時のキャスト陣とは、いまでもほかの現場でいっしょになることがあるので、当時の話を懐かしがってすることもあります。
――当時の収録はどのような雰囲気だったのでしょうか?
田中 みんなお互いに知っているメンバーでしたので、とても和気あいあいと収録していましたが、いい緊張感もあったスタジオだったと記憶しています。
――ほかの出演者の方と「ここはもっとこうしたほうがいい」といったことを話し合うこともあったのでしょうか?
田中 役者どうしでアドバイスをし合うことはありませんでしたね。原作のキャラクターもしっかりと描かれていましたし、出演者のみんなもキャラクターをしっかりと作り上げてきていたのでやりやすかったというか、お互いが自然に刺激し合って収録できたいい雰囲気のスタジオでした。
――アイオリアを演じられていて、苦労した部分はありますか?
田中 25年前からキャラクター設定がすごく若かったんですよ。当時の出演者はキャラクターの年齢よりもだいぶ歳が上だったので、みんなそれぞれたいへんだったと思います。僕の場合は、年齢を上げずに力強さを出すという部分に苦労しました。力強さを出そうとするとどうしても年齢が上がっていっちゃうんですよ。なので、音で言うと低いほうの音は少なめにして、年齢を上げずに強さを出していくという点がすごく難しかったです。その難しさは、当然年々難しくなっていくんですけどね(笑)。
――逆に演じやすかった部分があればお聞かせください。
田中 それはやはり、出演者どうしがキャラクターをしっかりと作っていたので、やりやすいスタジオの中で収録できたという点ですね。
――アイオリアのほかに気になるキャラクターがいましたらお聞かせください。
田中 みんな好きですよ。これだけ長く愛される作品はみんなそうだと思いますが、どんな小さなキャラクターでも魅力のあるキャラクターに描かれているので、そういう作品に出会うとやっぱり、まわりのほかのキャラクターもみんな気になりますね。
――そして、今回『聖闘士星矢』アニメ化25周年記念作品として、プレイステーション3で『聖闘士星矢戦記』が発売されます。映画、OVAから久々のアイオリアとナレーションになりますが、演じられての感想をお聞かせください。
田中 また、『聖闘士星矢』の作品に携わることができてうれしかったです。今回はゲームということで、ふつうのアニメーションと収録方法が違うのでいろいろとたいへんなところもありましたが、また新鮮な気持ちでキャラクターを作らせていただきました。
――実際にご自分のナレーションや、お声が入ったアイオリアをご覧いただいての感想をお聞かせください。
田中 映像のきれいさと動きがすばらしくてびっくりしました。いままでのゲームとはぜんぜん違いますね。
――印象に残っているシーンはどこですか?
田中 幻朧魔皇拳に罹り、カシオスの自害によって正気を取り戻したシーンですね。
――では、最後に『聖闘士星矢戦記』を楽しみに待っているファンへメッセージをお願いします。
田中 皆さんのご期待に添える作品にでき上がったと思います。『聖闘士星矢戦記』でまた新たな『聖闘士星矢』の世界を楽しんでください。
――スーパーミュージカル『聖闘士星矢』では星矢役を演じられましたが、『聖闘士星矢』の中で好きなキャラクターはやはり星矢ですか?
鎌苅 カミュです(笑)。
――星矢ではないんですね。意外でした。
鎌苅 星矢は別格なんです。ミュージカルで演じさせていただいこともあるので思い入れもありますし、もともと主役のキャラクターが好きなので、星矢はいちばん好きなんですけど、別次元にいるんですよ。なので、星矢以外のキャラクターだとカミュですね。
――カミュのどこに惹かれましたか?
鎌苅 単純に僕が水瓶座だからですね。僕が3〜4歳のころにアニメの『聖闘士星矢』が放映されていたんですけど、カミュの技“オーロラエクスキュージョン”は頭に残っていましたね。
―――そんなカミュ好きな鎌苅さんに『聖闘士星矢戦記』を体験していただきましたが、感想をお願いします。
鎌苅 すごかったです。僕はプレイステーション3を持っていないので、グラフィックのきれいさに驚きました。キャラクターの動きもリアルでしたし、声も臨場感があるし、ファンにとっては最高ですよ。それに、『聖闘士星矢』って男の子向けの作品の中でもトップクラスの独特の魅力を持っているんだなっていうのが、ゲームをプレイしていてわかりましたし、それを崩さないように開発スタッフの皆さんが努力されたのが伝わってきました。
―――最初、オープニングムービーをご覧になられているときも「すごい、すごい」とおっしゃっていましたね。
鎌苅 基本的に面倒臭がりなので、ゲームのオープニングとか飛ばしちゃうんですけど、これは見入っちゃいました。あと、ゲームの合間に流れるムービーもすごく懐かしかったです。アニメと違った表現(3D)で名場面が再現されているのがおもしろいですね。
――敵とのバトルでも、かなり熱くなられていたように見えました。
鎌苅 今回はレベルの高いキャラクター(星矢)を用意していただいたので、必殺技を連発していましたけど、実際はペガサス流星拳をどこで使うかが重要になってくると思うので、それを考えながら進むのもおもしろそうだなと感じました。あと、こういうゲームは、つぎつぎと出てくる敵を倒しまくるのも楽しいですよね。男の子はすごく好きだと思いますよ。
――操作はすぐに慣れましたか?
鎌苅 スティックの操作にあまり慣れていないんですけど、自動でカメラの視点を合わせてくれるし、俯瞰で見やすかったので、コントローラの操作に集中できました。初めてプレイステーション3のゲームをプレイする人も遊びやすいと思いますよ。戦争ゲームとかだと自分でカメラの視点を合わせたりするので、操作が難しいじゃないですか。でも、『聖闘士星矢戦記』は、そういうのがないのですごくやりやすかったです。今回はノーマルモードをプレイさせていただきましたが、上のレベル(モード)もあるみたいなので、そっちもプレイしてどれくらい難しいのか体感したいです。
――今回は星矢でプレイされましたが、つぎはどのキャラクターで遊びたいですか?
鎌苅 ムウを使ってみたいですね。あと、カミュも使いたいですし、青銅聖闘士だけでなく黄金聖闘士も使えるのがいいですね。全キャラクターでクリアーしたら、隠しキャラクターが出てきたりとか……。老師(童虎)も出てくるんですか?
――ダウンロードコンテンツで配信になります。
鎌苅 それは絶対ダウンロードしてプレイしないとだめでしょ。マンガを読んだときに「えー! 老師ー! そうなっちゃうの!?」ってびっくりしましたからね。車田正美先生すごいな。なんでもありなんだなって思いましたよ。
――そういえば、ゲームプレイ中に流れるムービーシーンで、キャラクターといっしょにセリフを読み上げたりしていましたね。
鎌苅 名場面が満載ですからね。気持ちが盛り上がって言っちゃいますよ。とくに、ファンの人はみんな言っちゃうと思いますよ。
――敵とのバトルでもいろいろな声が出ていましたが。
鎌苅 敵と戦っているときは言葉が乱暴になっちゃいますね。バトル中にほかのキャラクターからメッセージが入るんですけど、熱くなりすぎちゃってつい「うるせー」って言っちゃいましたからね(笑)。
――それほど盛り上がったということですね。
鎌苅 すごく楽しかったです。ワクワクしますねこの作品は。男の子や『聖闘士星矢』ファンの人はとくにそうだろうと思いますし、『聖闘士星矢』を知らない人も『聖闘士星矢戦記』から『聖闘士星矢』を好きになる人が出てくると思います。
――鎌苅さんから見た『聖闘士星矢戦記』のここに注目してほしいという点はどこですか?
鎌苅 爽快なバトルとムービーも醍醐味だと思いますけど、いいリアル感があるところですかね。
――リアル感ですか。
鎌苅 リアル感もあるけど、ゲーム感もあるし、そのちょうどいいところを持っていると思います。いまはリアルなゲームが多いと思いますけど、この作品はちゃんとアニメの部分も残っているから、ファンタジー感やワクワク感もあるので、僕はすごく好きですね。マンガ、アニメ大好きっ子なので。マンガを読みながらプレイしても楽しそうですね。対戦はできないんですか?
――対戦はありませんが、ふたり協力プレイはできます。
鎌苅 たまんないですね! 自分がくり出した技は味方には当たらないんですか?
――当たるか当たらないかは選べるようになっています。
鎌苅 うわー! 最高! わかってるー! それ! じつは、この作品はひとりでプレイするより友だちといっしょにプレイしたいなと思っていたんですよ! 僕は寂しがり屋なのでひとりでプレイしていると「なんでひとりでずっと敵を倒しているんだろう」って空しくなることがたまにあるんです。なので、ふたりでいっしょに遊べるのはすごくいいですね!
――(笑)。では、最後に『聖闘士星矢戦記』を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
鎌苅 ちょっとだけでしたが、皆さんより早くプレイさせていただきました。期待を裏切らないというか、いい意味で裏切るものになっていると思います。皆さんも楽しい『聖闘士星矢』の世界を味わえると思いますので、小宇宙を溜めて待っていてください。